3-21 Camp Fanks!! '89 ①

FCの通知によると、ツアーの追加公演が決定したようです
まだサイトなどには出ていませんが、一応挙げておきます


・4/29(火)大分市iichikoグランシアタ
 17:00開場 18:00開演
・5/1(木)SHIBUYA-AX
 18:00開場 19:00開演
・5/2(金)SHIBUYA-AX
 18:00開場 19:00開演
・5/24(土)Zepp Tokyo
 18:00開場 19:00開演
・5/25(日)Zepp Tokyo
 17:00開場 18:00開演


箱小さすぎてとれねえちゅうの!!ヽ(`Д')ノ


追加って、本当にこれで終わり?
せめてパシフィコ横浜レベルくらい用意してくれないの?
これってウツソロくらいの会場じゃん
ちょっとこれは過小評価過ぎませんか??
それともこの後に、
ツアーとは別にスペシャルライブが一本くらい用意されているのかなぁ…


ところで追加はともかく、
いよいよメンバーがライブのリハーサルに入ったそうです
今回は直前までレコーディングということもないし、
万全な状態でスタートできることと信じてます


それと、KCOのシングル「春の雪」がリリースされました
私としてはglobe・KCOとかはあまり興味ないのですが、
カップリングの「Mobile Emotion」が結構良いです
昔のglobeだと、「Degenerate」みたいな雰囲気でしょうか
こういう勢いのある曲がまだ作れるんだなぁと、嬉しくなりました
それでは本題に入ります


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「TM NETWORK CAROL Tour Final Camp Fanks!! '89」は、
4/19~28「CAROL Tour」武道館公演に代わり、
同ツアーのファイナルとして設定された特別ツアーで、武道館公演の時に発表された
このツアーは1989/8/25・26の東京ベイNKホール公演と8/29・30の横浜アリーナ公演の4公演で、
合計3万人を動員した


「Camp Fanks!! '89」が当初から計画されていたと言う情報はない
ウツの怪我による「CAROL Tour」一部公演の延期により、
ツアーファイナルとして設定されていた武道館公演の後、
4ヶ月もの間継続することになってしまったが、
おそらくこのために、ツアーの締め括りとして改めて設定されたのだろう


ツアー用の音源は、「CAROL Tour」の合間に制作されたらしい
具体的には、福岡サンパレス公演のあった8/2~4から、
地元のスタジオで制作を始めたと言う
この時は「CAROL」組曲以外はすべて入力をやり直し、
「Dress」ベースのアレンジにしたという


「CAROL Tour」は8/18大阪厚生年金会館公演で終了した
その後8/22・23に三郷市でリハーサルが行われたというが、
これは「Camp Fanks!! '89」初日公演の2日前なので、
ゲネプロに当たるものだろう
おそらく「Camp Fanks!! '89」の準備は、
大阪公演の後すぐに始まっていたと思われる


「CAROL Tour」は前期・中期・後期で、
演奏曲目やアレンジがかなり変更されたが、
「Camp Fanks!! '89」は曲目・アレンジだけでなく、
そもそも3部構成というライブの枠組みも変え、
前半ミュージカル、後半ダンスナンバー中心の2部構成になった
舞台監督の鬼塚玲二は、
ツアーと同じ流れで変更しても追加公演にしかならないと思い、
第2部はツアーとまったく異なる内容にしたと言っている


「CAROL Tour」がミュージカルをメインにしていたのに対し、
「Camp Fanks!! '89」は第2部のダンスタイムに重点を置いていた
これを確認するため、「Just One Victory」のライブにおける位置づけを考えてみよう


「Just One Victory」「CAROL Tour」では全体のトリの位置に置かれた
「CAROL」テーマソングだったこの曲でライブが終わるのは、
ライブ全体が「CAROL」の物語を核に構成されていたことを反映している
TM=ガボールスクリーンがキャロルの勝利を称揚することで、物語が終わるのである


しかし「Camp Fanks!! '89」では、
第一部の最後でこの曲が演奏された
ミュージカルとしてのまとまりはこの方が良いのだが、
その後の第二部は「CAROL Tour Final」と言いながら、
「CAROL」的な部分はほぼ出てこない
(Pernillaがダンサーとして登場するくらい)
つまり「CAROL」の物語は第一部だけで完結しており、
ライブ全体には関わっていないのである


このように構成を変更したのは、
中盤にミュージカルが入ることで盛り上がりの時間が中途半端になってしまうことを避け、
ダンスチューンの時間をまとめて確保しようとしたためだろう
だがそれによってこのライブの性格は、
およそ「CAROL」中心とは言いがたいものになった
端的に言えば、前半は「CAROL」、後半は「Dress」という、
二種類の無縁のコンセプトを別々に上演した混合ライブといえよう


曲数や公演時間はかなり長く設定されていた
それまでのライブでも最長だと思う
第一部は1時間、第二部は1時間半、合計2時間半である
MCを除いた演奏時間で言えば、
第二部だけで復活後2000~08年のライブ1本分に相当する
人気の面でも絶頂期にあったこともあり、
一つの記念碑的なライブとされている


特に第二部終盤のテンションはものすごいものがあり、
過去の全TMライブを挙げても、
おそらくこれが一番ではないかと思う
このテンションでこの時間のライブを上演できるというのは、
それだけで評価されて良い
音の派手さも随一で、まさしくFanks!! '89である
全盛期のTMを評した「音の洪水」という表現が最も当てはまるライブだが、
当時これほど派手な音を提供できた日本のバンドは、
他にほとんどいなかったと思う


サポートメンバーやステージのセットなどは、
「CAROL Tour」と同じである
メンバーの第一部の衣装は、
「CAROL Tour」の第二部と同じである
ただし「Just One Victory」だけは、
「CAROL Tour」第三部のものを使っている
「CAROL Tour」で第三部ラストに当たるのがこの曲だったため、
その時と同じ衣装を用いたわけである


第二部は新しい衣装である
第一部以上に徹底したコスプレぶりで、
三人ともメタリックな装飾の衣装に身を包んでいる
ウツは黒、小室はシルバー、木根は黒で、
それぞれマントみたいなのも付いている
ウツは後半、「Kiss You」から赤いロングの衣装に着替える
こちらはファンタジーな雰囲気はしないが、
やたらと目に付く派手さである
おそらくTM歴代の派手衣装という点では、
この「Camp Fank!! '89」第二部のものが一位だろう



小室、演奏中



このライブでは、珍しい試みも行なわれた
最終日の8/30、全国10箇所の会場でライブを衛星中継するというものである
(札幌ASTY45・仙台菅原学園・新潟セレモニーホール・静岡焼津文化センター・名古屋サンホール・大阪アルカイックホール・広島NAMIKI Edel Hall・福岡サンパレス・熊本県立劇場・沖縄市民会館)


この企画は「Closed Circuit Concert in Yokohama Arena」と名付けられた
欧米のビッグアーティストのやり方を導入したものだが、
会場によっては電波障害が起こるなど、トラブルもあったらしく、
以後同様の試みは行なわれなかった


演奏曲について末期「CAROL Tour」と比べると、
曲目はそれほど変わっていない
特に前半第一部のミュージカルパートは、
すべて「CAROL Tour」で演奏した曲目・アレンジである


後半の第二部は、
「Seven Days War」「8月の長い夜」「Self Control」が消え、
「Passenger」「Rainbow Rainbow」が入った
だがそれ以外の曲についても、
「Give You A Beat」「Nervous」「Confession」以外は、
すべてアレンジが変わっている
(この3曲も自分が気付いていないだけで、、
音が微妙に変更されているかもしれない)


アレンジの変更に関して多いパターンは、
以前から演奏していた曲が「Dress」バージョンになるというものである
具体的に挙げれば、
「Come On Everybody」「Kiss You」「Don't Let Me Cry」「Be Together」「Come on Let's Dance」である
ただし「Kiss You」「Be Together」は純粋な「Dress」バージョンではなく、
もとの「CAROL Tour」バージョンの要素が相当残っている


「Confession」「Dress」バージョンだが、
この曲は「CAROL Tour」でも「Dress」バージョンで演奏されていた
この点は「Get Wild '89」も同様である
ただし「Get Wild '89」については、
「CAROL Tour」「Camp Fanks!! '89」でアレンジが異なっている


これに「Rainbow Rainbow」を入れると、
「Dress」収録曲から8曲が演奏されたことになる
これに加えてFANKSの原点たる「Gorilla」から3曲と、
最新曲「Dive Into Your Body」が演奏された
「Dive Into Your Body」は、
「12' Club Mix」の要素が加わえられた


このライブの様子を知る材料として、
「Fanks The Live 3 Camp Fanks!! '89」がある
8/29横浜アリーナ公演の様子を収めたものとして、1989年に発売された
(実際は東京ベイNKホールの映像が中心であるという考証がある
ただし第一部は「In The Forest (inst.)」「Just One Victory」のみで、
しかも編集され、ミュージカル部分の演奏は一切ない
ミュージカルとしての質の問題から、
映像として公表することに躊躇するところがあったのかもしれない


なお「Fanks The Live 3」冒頭には、
これに関してメンバーのメッセージが英語で出ている
英語としておかしいところもあるが、意図を汲み取って訳しておく
ちなみに前半(~this projectまで)は、
「CAROL Tour」エンドロールにも用いられたものである

CAROL played for children who loves music and dream. TM NETWORK tried this fantastic adventure and succeeded and we really thanks for everyone who helped this project.
and, we decided not to show CAROL on the VTR, because of the reason that we would like to remain CAROL in people who actually enjoyed, and joined the show in the theatre, and again we would like you to save it as a sweet memory of 1989.

キャロル(ミュージカル)は音楽と夢を愛する子供たちのために上演されました。TM NETWORKはこのすばらしい冒険を試みて成功を収めました。僕たち(TM NETWORK)はこのプロジェクトを助けてくれたすべての人に、本当に感謝しています。
そして僕たちはキャロルをVTRでお見せしないことに決めました。劇場で本当にショーを楽しんで参加してくれた方々の中にキャロルを残しておきたい、また、皆さんに1989年の甘い思い出としてキャロルを取っておいてもらいたいという理由からです。


これに対して第二部については、
「Give You A Beat」「Passenger」「Confession」以外の全曲が収録されている
ただしほとんどがダイジェスト映像で、
完全に収録されているのは、
「Come On Everybody」「Come on Let's Dance」「Dive Into Your Body」と最後の小室ソロのみである
他に大部分が収録されたものとしては、
「Be Together」「Get Wild '89」もある
なお「Confession」については、
「Fanks The Live 4 Fanks」に完全収録された


第一部に関しては、ファンから商品化の要望も多く、
1992年「ColosseumⅠ」に音源が収録された
ただし「Just One Victory」は一部カットされている
第二部については、
「ColosseumⅠ」「Get Wild '89」が、
「ColosseumⅡ」「Dive Into Your Body」が収録された
また「Groove GearⅡ」には、
「Come On Everybody」「Kiss You」が収録されている
これらに収録されていない映像・音源が、
テレビ・ラジオで放映されたことはない


ただし2004年、20周年を記念して、
年内の期間限定生産でDVD「CAROL The Live」が発売された
(木根の小説「CAROL」も同梱)
これは「Closed Circuit」で中継された8/30の映像で、
もとより商品化を前提としていなかったため、
画質・音質は「Fanks The Live 3」に及ばないが、
「Passenger」以外の全曲を完全収録している


ライナーには、DVDリリースに関して述べたメンバー3人の文章がある
いかにも信憑性のない後付けの文章で、
3人の名義で藤井徹貫が書いた可能性が高いが、
公式見解として以下に引用しておこう

常に新しくいたい。
これは僕達がTM NETWORKである限り、欠かせない条件です。でも、新しくあろうとすると、時に居心地の悪さも覚えます。たとえば自分達ではどうしようもない、時代とのズレという現実に直面したときとか。
 88年頃の事。CAROLプロジェクトに1年以上費やしていました。当時、LPがCDになり、飛躍的な音質向上は、喜ばしい現実でした。ところが、映像メディアはというと……。LDは旧式電子計算機のように、VTRは十露盤(そろばん)のように思えていました。だから、映像版CDが市民権を持つ時代、具体的にはDVD時代が訪れる事を信じ、いくつものコンテンツを未発売のまま、見送る事にしたのです。その1つがCAROLでした。それが今やっと居心地の良い器に収まりました。絵画CAROLがやっとふさわしい額縁を得たと言ってもいいでしょう。
 どうぞ心から楽しんでください。僕達も心から楽しみます。
                    小室哲哉・宇都宮隆・木根尚登


さらに2014年には30周年記念として、
「CAROL」のリマスター音源、インスト音源、写真集およびDVDを同梱したボックスが限定生産盤「CAROL Deluxe Edition」として発売された
DVDは「CAROL The Live」と同じく「Camp Fanks!! '89」の8/30公演の映像だが、
「CAROL The Live」と異なり、当時の映像素材を使用して編集し直したオリジナル映像である
「Passenger」も含めて全曲が収録されており、
まさに公演から25年を経て完全版映像が発表されたことになる


その点で「CAROL The Live」よりも価値のある映像とは言えるが、
私としては「Camp Fanks!! '89」の映像ばかりが繰り返し(少しずつアップグレードし値上げしながら)リリースされ続けることに対して違和感も感じていた
(当時の感想はこちら


30周年のライブが「CAROL」のストーリーの補完を一つのコンセプトとしていたこともあろうが、
「CAROL」関連のライブならば「STARCAMP TOKYO」「CAROL Tour」もあるし、
そもそも「終了」以前のTMライブはこれ以外に完全版映像はほとんど存在しないのだから、
ファンが欲しがる映像は他にいくらでもあるはずである
2017年の「Get Wild」30周年企画と言い、
SONYスタッフの安易な企画には、本当に辟易させられる


なお「CAROL The Live」「CAROL Deluxe Edition」では、
第一部が「CAROL Tour Final」
第二部が「Camp Fanks!! '89」となっている
つまり「CAROL Tour Final Camp Fanks!! '89」というツアータイトルを、
「CAROL Tour Final」「Camp Fanks!! '89」と解釈しているわけだが、
これは完全な誤りで、
「CAROL Tour」のファイナルのライブタイトルが「Camp Fanks!! '89」という関係であり、
第一部も第二部も「CAROL Tour Final Camp Fanks!! '89」である


この誤りは、当時を知るスタッフがすでにいないことの反映だろう
今後ソニーから発売されるかもしれない過去作品についても、
不安を感じさせる仕事ぶりである


以上が「Camp Fanks!! '89」の概要だが、
すでにかなり長くなったので、
ライブの内容については次回に回すことにしたい


(2008/3/17執筆 2008/12/17・2017/8/13・2023/5/24加筆)



FANKS the LIVE 3 CAMP FANKS!! '89
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2004-05-19
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この記事へのコメント

エルレ
2023年05月23日 12:55
ご無沙汰しております。

CAROL DELUXE EDITION Xでも同じように、CAROL FINALとCAMP FANKSが分かれておりましたね。スタッフの中でFANKSでない人が多いのかもしれないですね。

完全収録については、「Come on Let's Dance」「Get Wild '89」も完全収録だと思われます。「Get Wid 89」は微妙にイントロ部分が削られておりますが、「Come on Let’s Dance 」は時間が完全に一致しました。
逆に「Be Together」は間に演奏されている、のちにSHOUTに使われるシーケンスが鳴っている部分がカットされているので完全収録ではございません。

因みに載せてもらっている写真を見るとちゃんと木根さんもマントを着用しております。
青い惑星の愚か者
2023年05月24日 00:24
ご指摘ありがとうございます。
Get Wild '89は、おっしゃる通り冒頭部分が削られただけで歌は完全に入っているのですが、私としては冒頭の遊びも含めて楽曲のパフォーマンスと考えたいので、こちらは不完全のままとしておいてください。

Be TogetherとCome on Let's Danceの件は、要するに両曲の間の小室ソロを前と後ろのどっちに付属させるかということなんですが、たしかにBe Togetherの流れの演奏と考えるのが普通ですよね。
これを書いた頃の私はCome on Let's Danceの導入として扱ったんだと思いますが(正直よく覚えていない)、こちらはご指摘の通りに直しておきます。

あとマントの件は、まったくおっしゃる通りです。
なんで木根マントだけ除いてしまったんだろう…?
こちらも修正しておきました。

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