3-25 メディアミックス
SONY Music Shopのサイトより
キターーーー!!
未発表ライブ音源が来ました
しかも「Electric Prophet」(Parco)と「Dragon The Festival Tour」(青年館)から、
各3曲ずつです
正直に言えば、
なんですでに「Vision Festival」に入っているのに、
「金曜日のライオン」「Electric Prophet」を選ぶのかとか、
どうせなら「17 to 19」を出してくれとか、
不満は色々あるわけですが、
それでも未発表音源をリリースできるということは判明しました
多分これはDVD BOXリリースの前に、
小出しにライブ音源を出していこうという計算だと思うので、
今後に期待したいと思います
10月に出る「The Singles 2」にも、
きっと未発表ライブ音源が入るのでしょうから、
こちらも注目していたいと思います
あと小室さんがiTunesでPodcastを公開しました
Arashiyama Podcast feat. TETSUYA KOMURO & DAIZABURO HARADA
原田大三郎氏との縁はまだ続いていたんですね
「Arashiyama」は、DJTKで作ったあの曲のリミックスでしょうか
今度のは10分くらいあるようです
また「Far Eastern Wind」シリーズの「Summer」もリリース予定だとのこと
変なプロデュースよりも、こういうインスト作品を堅実にやっていってくれればと思います
では本題に入ります
--------------------------
1989年は、TM NETWORK人気の最盛期である
TMブームの頂点と言って良い
何をやってもうまく行ってたし、注目もされた
小室のソロデビューという冒険も、
このタイミングだからこそできたと言って良いだろう
ただこの時期が頂点ということは、
ここで頭打ちになるということでもある
その背景の一つには音楽の流行の変化という側面もあったのだが、
また一つにはアイドル的な売り方が顕著になり、
男性ファンや音楽マニア層が離れていったことはあったと思う
翌年のリニューアルは、これを打破しようとしたものだろう
確かに当時はTM関係のモノは売れた
1989/4/26、幕末塾のデビュー曲として、
「Come on Let's Dance」が、
初のTMカバー曲としてリリースされたのも、
TMの人気が背景にあってのことだろう
なお幕末塾は、彦麻呂が所属していたことで知られる男性アイドルグループである
秋元康のプロデュースだったが、
あまり成功しなかった(38位、1.8万枚)
TMはパロディの対象にもなった
有名ではないが、1989/12/15にはCM NETWORKという企画で、
「CM DISCO NOW & THEN 24時間みてますか」という、
CMソングのリミックスCDが出されている(76位)
以後TMの活動期に当たる1991年まで、
何枚かのCDがリリースされた
時期は遅れるが、TMパロディでより有名なのは、
ユニコーンの「PTA~光のネットワーク~」であろう
1990/10/21リリースのシングル「命果てるまで」のカップリングである
(半月後、ミニアルバム「おどる亀ヤブシ」にも収録)
サブタイトル「光のネットワーク」は、
当時の人気グループだった光GENJIとTM NETWORKから来ており、
両グループのパロディソングとして作られたものである
作詞・作曲はユニコーンの奥田民生・阿部義晴だが、
編曲が小西康陽(当時ピチカートファイブ)というのも興味深い
小室関連(と言ってよいとすれば)で小西が関わる唯一の例ではないか
歌詞は学校の先生の苦労に同情した生徒の気持ちを歌ったものである
うがち過ぎかもしれないが、
学校の支配に対する学生の抵抗を扱った「Seven Days War」を意識し、
その逆の立場をあえて歌ったものかもしれない
また「大迷惑」「働く男」などユニコーンお得意の、
労働者の悲哀を扱った曲の一環と考えることもできる
サビのところ、合唱で「ぼくらはみんな同じ弱虫 人間なんだ」と歌うところは、
メロディや歌詞の雰囲気も含めて光GENJIのパロディと思うが、
それ以外のところは、リニューアル前のTM NETWORK、
特にFANKS期のTMをイメージしてパロディ化したものだろう
たとえばポップなシンセサウンド(特にイントロのハイテンポなシンセ)や、
Bメロの展開(特に最後のオーケストラヒット)などは、
たぶんTMを意識している
実際のTM曲にはここまで能天気なものはないが、
一般の人の持っていたTMサウンドのイメージとしては、
よく表現できていると思う
CDやビデオのような音楽関係の商品だけでなく、
TM関係のキャラクターグッズなども次々と売り出されていく
メンバーのルックスや、SF・ファンタジー色の強い設定など、
女子中高生が飛びつきやすいものだったし、
そもそもメンバーやスタッフも、
そのような展開をある程度視野に入れていた可能性は否定できないだろう
(私はまったく分からないが)女性向け同人誌の世界でも、
このころTMは一つの大きな(最大級の)ジャンルとなっていたらしい
当時の東京在住の女性ファンがかなり足を運んだと思われるが、
1988/12/9「CAROL」リリースの日に、
原宿にはオフィシャルのタレントショップCAROLがオープンした
その他にもこの頃から、各地にTM関係のタレントショップが設立され、
様々なグッズが販売された
1989年夏にTMが活動休止期間に入ると、
「CAROL Tour」のまとめとして、
9/16に写真集「CAROL Graffitti」も発売された
さらにライブビデオのリリースと旧譜のCD化が行なわれたことは、
以前述べたところである
これらの他、必ずしも音楽に関係しない商品も多く発売された
後の言葉で言えば「メディアミックス」である
もともとTMは映像作品にも関心が強く、
音楽作品から他のメディア形態へと派生すること自体には、
嫌悪感はなかっただろう
今見ると正視に堪えないのも事実で、
結果的にTMの価値を下げてしまったといわれても仕方ない
ファンとしては目をそむけたくなるというのが正直なところである
しかしこのような作品が儲けを見込んで発売されるという事実自体が、
当時のTMの人気を表していると言えなくもない
メディアミックスの代表例として挙げられるのは「CAROL」である
アルバムは1988年に発売されたが、
以後も関係商品は次々と発表され続けた
1989年4月発売の木根尚登の小説「CAROL」は別に触れるが、
これをもとにして木根尚登プロデュース、
高河ゆんキャラクターデザインで、
1時間のアニメ「CAROL」が作られた
主題歌は「Just One Victory (Remix Version)」である
声優としては、ウツがフラッシュ役を演じている
その他の声優の一部はファンから選ばれており、
1990/2/11にオーディションが行なわれている
審査員にはスタッフの他、ウツ・木根も加わり、
8028名中3名が選ばれた
このアニメは1990/3/21~4/8「Fanks! Film Collection」で、
小室ソロツアー「Digitalian is eating breakfast tour」の映像と一緒に上演された
つまり声優オーディションから40日もせずに作品が公開されたわけで、
おそらく3名の声優は採用決定後、ほとんど日を置かずにスタジオで収録を行なったものと思う
作品の質も推して知るべしだろう
本作はその後、1990/5/21にビデオとして商品化された
(2001年にDVD化)
おそらく当初から商品化を前提に作られたものと見て良い
ジャケットは高河ゆんの手になるものである
さらにGB別冊として、
アニメ「CAROL」のヴィジュアルブックも発売された
高河ゆんが起用されたのは、
彼女の支持層だった女子中高生がターゲットだったことを、
如実に物語っている
また高河自身、当時かなりのTMファンであった
高河の意向もあり、
アニメ版は恋愛モノの要素が加えられたらしい
敵役の悪魔ケプリもイケメンにされるなど、
全体的に女性受けする方向で修正されている
いかにも90年代初頭のアニメ絵で、
見ているとむずがゆくなる絵であり、台詞回しである
特に「CAROL」ヴィジュアルブックの裏表紙は、
フラッシュ(ウツ)がキャロルにキスするところの絵で、
通常の神経を持つ男性なら恥ずかしくて購入不能である

ただこのビデオには、大きなエサがついていた
これとビデオ「Digitalian is eating breakfast」を両方購入すると、
「CAROL Soundtrack Special Edition」という、
特典の8cmCDをがプレゼントされたのである
ジャケットはアニメ「CAROL」と同じもので、収録曲は、
「A Day in the Girl's Life」「CAROL (Carol's ThemeⅠ)」「Gia Corm Fillippo Dia」「CAROL (Carol's ThemeⅡ)」「Just One Victory」
となっている
2014年リリースの「CAROL Deluxe Edition」で「CAROL」全曲のインストが聞けるようになるまで、
他では一切聞くことができない貴重な音源だった
「CAROL」メディアミックスはこの後も続く
1991/1/5・6には前後編各1時間で、
NHK FMでラジオドラマ「CAROL」が放送された
また自分は聞いたことがないが、
Nack 5でも4回のラジオドラマが放送されたらしい
高河ゆんによる「CAROL」漫画化計画もあった
これは結局実現しなかったものの、
後に1994年、「きみとぼく」で、
高河の「CAROL-k」の読み切りが掲載され、
翌年1月から連載された(1998年3月まで)
キャロルの孫娘品川京呼が主人公だった
ただし高河の常として、物語は完結せずにうやむやになった
1996/9/21には「CAROL-k」のイメージアルバム、
「CAROL-k~Graduater~」も発売された
漫画に基づくドラマCD(Nack 5で放送されたものらしい)だが、
キャロル役の高山みなみによる、
「CAROL (Carol's ThemeⅡ)」のカバーも入っている
歌詞は英語になっている
高山はTwo-Mixのボーカルを務めるなど歌唱力もまずまずなので、
へたなTKプロデュース作品よりも安心して聞ける
さらに木根がテーマ曲「Theme of CAROL-k」を作曲した(インスト)
また京呼役の椎名へきるの「Graduater」も収録される
「Graduater」は小室・木根とは関係ないが、
1997/1/21にシングルカットされた
後に2006年、木根と椎名はユニットひだまりを結成し、
4/26にシングル「Size Up」をリリースしている
「CAROL」ともう一つ、
ファミコンソフト「Live in Powerbowl」にも触れておこう
クリアが困難で(主人公がすぐに死んでしまう)、
当時のファミコン界でも「クソゲー」の代表として知られていた
ゲームの詳しい内容解説は省くが、以下で簡単に紹介する
ゲームは1989/12/22発売で、6200円だった
メタルBOX入り10万個限定発売だったが、何本売れたのだろうか
ケースには人工衛星と宇宙空間を背景に、
メンバー3人の写真が入っている
3人の写真は「Dive Into Your Body」ジャケットの使いまわしだ
またゲームのメニュー選択画面は、
「Gift for Fanks」ジャケットの使いまわしである
ゲームのメインキャラクターは主人公(プレーヤー)とTMの3人
主人公の名前は自分で入力できる
小山みつ子・丸山教授など、
明らかに小室みつ子・丸山茂雄っぽいキャラも登場する
当時のポスターには、以下のようにある
だいたいこれでストーリーは分かるだろう
ちなみにコロセウムが暴走したのは1999年12月24日で、
地球が滅亡したのは12月26日未明である
ゲームのオープニングでは、
コロセウムが「Come On Everybody」の音に合わせて地球を狙撃している
「臨場感たっぷり」の音楽は、今では聞くに堪えない
最終的には1989年12月24日、
TMがPower Bowlというステージでのライブでエネルギーを充填して、
コンピューターを通じて打ち上げ直後のコロセウムに、
暴走を防ぐワクチンを送り込むことになる
(なんじゃそりゃ)
7曲目(「In The Forest」)の30秒の時点でスタートボタンを押すと、
主人公はもといた1999年12月24日13:45の世界に戻る
見事ワクチンを送り込むことで、世界を救ったのである
(10年後にコロセウムが暴走しないことになるから、
主人公が過去のタイムスリップもしなくなる)
まあストーリーとしては分かるが、もう少し盛り上げられないものか
そして10年後の主人公の部屋に、
TMの3人とみつ子が会いに来て、
「会いたかったぜ」「エヘ! きちゃった」など、
それぞれ一言ずつ発言すると、
画面が真っ黒になって「FIN」と出る
最後は「Dive Into Your Body」をBGMにスタッフロールが流れる
何の感動も起こらないエンディングで、
今のゲームの水準を知っていると、到底耐えられないであろう
ちなみに最後には「WE LOVE EARTH…」というメッセージが出る
もしや「We love the EARTH」の曲名はここから…?
(2008/4/29執筆 2008/12/25・2013/4/21加筆)
TM NETWORK THE SINGLES 1 【初回生産限定盤】
発 売 日 2008/05/28
disc 2:
1 DRAGON THE FESTIVAL (Live at 日本青年館)
2 カリビアーナ・ハイ(Live at 日本青年館)
3 Rainbow Rainbow(Live at 日本青年館)
4 金曜日のライオン (Live at PARCO SPACE PART3)
5 永遠のパスポート (Live at PARCO SPACE PART3)
6 ELECTRIC PROPHET (Live at PARCO SPACE PART3)
7 1974(CHILDREN'S LIVE MIX)
8 Self Control~VERSION "THE BUDOKAN"
9 Come on Let's Dance (The SAINTS MIX)
10 YOUR SONG (Special Instrumental Disco Mix)
キターーーー!!
未発表ライブ音源が来ました
しかも「Electric Prophet」(Parco)と「Dragon The Festival Tour」(青年館)から、
各3曲ずつです
正直に言えば、
なんですでに「Vision Festival」に入っているのに、
「金曜日のライオン」「Electric Prophet」を選ぶのかとか、
どうせなら「17 to 19」を出してくれとか、
不満は色々あるわけですが、
それでも未発表音源をリリースできるということは判明しました
多分これはDVD BOXリリースの前に、
小出しにライブ音源を出していこうという計算だと思うので、
今後に期待したいと思います
10月に出る「The Singles 2」にも、
きっと未発表ライブ音源が入るのでしょうから、
こちらも注目していたいと思います
あと小室さんがiTunesでPodcastを公開しました
Arashiyama Podcast feat. TETSUYA KOMURO & DAIZABURO HARADA
京都嵐山の多様な色彩とその風景を優雅に映し出すシャープAQUOSからインスピレーションを受け、小室哲哉が自身の最新作Arashiyamaを作曲。また、それに加えFar Eastern Windシリーズ、そして現代の音楽ビジネスをGABALLでもお馴染み、そしてArashiyamaのPVを手掛けた映像作家原田大三郎と共に紹介していく。[4.30 リリース]
原田大三郎氏との縁はまだ続いていたんですね
「Arashiyama」は、DJTKで作ったあの曲のリミックスでしょうか
今度のは10分くらいあるようです
また「Far Eastern Wind」シリーズの「Summer」もリリース予定だとのこと
変なプロデュースよりも、こういうインスト作品を堅実にやっていってくれればと思います
では本題に入ります
--------------------------
1989年は、TM NETWORK人気の最盛期である
TMブームの頂点と言って良い
何をやってもうまく行ってたし、注目もされた
小室のソロデビューという冒険も、
このタイミングだからこそできたと言って良いだろう
ただこの時期が頂点ということは、
ここで頭打ちになるということでもある
その背景の一つには音楽の流行の変化という側面もあったのだが、
また一つにはアイドル的な売り方が顕著になり、
男性ファンや音楽マニア層が離れていったことはあったと思う
翌年のリニューアルは、これを打破しようとしたものだろう
確かに当時はTM関係のモノは売れた
1989/4/26、幕末塾のデビュー曲として、
「Come on Let's Dance」が、
初のTMカバー曲としてリリースされたのも、
TMの人気が背景にあってのことだろう
なお幕末塾は、彦麻呂が所属していたことで知られる男性アイドルグループである
秋元康のプロデュースだったが、
あまり成功しなかった(38位、1.8万枚)
TMはパロディの対象にもなった
有名ではないが、1989/12/15にはCM NETWORKという企画で、
「CM DISCO NOW & THEN 24時間みてますか」という、
CMソングのリミックスCDが出されている(76位)
以後TMの活動期に当たる1991年まで、
何枚かのCDがリリースされた
時期は遅れるが、TMパロディでより有名なのは、
ユニコーンの「PTA~光のネットワーク~」であろう
1990/10/21リリースのシングル「命果てるまで」のカップリングである
(半月後、ミニアルバム「おどる亀ヤブシ」にも収録)
サブタイトル「光のネットワーク」は、
当時の人気グループだった光GENJIとTM NETWORKから来ており、
両グループのパロディソングとして作られたものである
作詞・作曲はユニコーンの奥田民生・阿部義晴だが、
編曲が小西康陽(当時ピチカートファイブ)というのも興味深い
小室関連(と言ってよいとすれば)で小西が関わる唯一の例ではないか
歌詞は学校の先生の苦労に同情した生徒の気持ちを歌ったものである
うがち過ぎかもしれないが、
学校の支配に対する学生の抵抗を扱った「Seven Days War」を意識し、
その逆の立場をあえて歌ったものかもしれない
また「大迷惑」「働く男」などユニコーンお得意の、
労働者の悲哀を扱った曲の一環と考えることもできる
サビのところ、合唱で「ぼくらはみんな同じ弱虫 人間なんだ」と歌うところは、
メロディや歌詞の雰囲気も含めて光GENJIのパロディと思うが、
それ以外のところは、リニューアル前のTM NETWORK、
特にFANKS期のTMをイメージしてパロディ化したものだろう
たとえばポップなシンセサウンド(特にイントロのハイテンポなシンセ)や、
Bメロの展開(特に最後のオーケストラヒット)などは、
たぶんTMを意識している
実際のTM曲にはここまで能天気なものはないが、
一般の人の持っていたTMサウンドのイメージとしては、
よく表現できていると思う
CDやビデオのような音楽関係の商品だけでなく、
TM関係のキャラクターグッズなども次々と売り出されていく
メンバーのルックスや、SF・ファンタジー色の強い設定など、
女子中高生が飛びつきやすいものだったし、
そもそもメンバーやスタッフも、
そのような展開をある程度視野に入れていた可能性は否定できないだろう
(私はまったく分からないが)女性向け同人誌の世界でも、
このころTMは一つの大きな(最大級の)ジャンルとなっていたらしい
当時の東京在住の女性ファンがかなり足を運んだと思われるが、
1988/12/9「CAROL」リリースの日に、
原宿にはオフィシャルのタレントショップCAROLがオープンした
その他にもこの頃から、各地にTM関係のタレントショップが設立され、
様々なグッズが販売された
1989年夏にTMが活動休止期間に入ると、
「CAROL Tour」のまとめとして、
9/16に写真集「CAROL Graffitti」も発売された
さらにライブビデオのリリースと旧譜のCD化が行なわれたことは、
以前述べたところである
これらの他、必ずしも音楽に関係しない商品も多く発売された
後の言葉で言えば「メディアミックス」である
もともとTMは映像作品にも関心が強く、
音楽作品から他のメディア形態へと派生すること自体には、
嫌悪感はなかっただろう
今見ると正視に堪えないのも事実で、
結果的にTMの価値を下げてしまったといわれても仕方ない
ファンとしては目をそむけたくなるというのが正直なところである
しかしこのような作品が儲けを見込んで発売されるという事実自体が、
当時のTMの人気を表していると言えなくもない
メディアミックスの代表例として挙げられるのは「CAROL」である
アルバムは1988年に発売されたが、
以後も関係商品は次々と発表され続けた
1989年4月発売の木根尚登の小説「CAROL」は別に触れるが、
これをもとにして木根尚登プロデュース、
高河ゆんキャラクターデザインで、
1時間のアニメ「CAROL」が作られた
主題歌は「Just One Victory (Remix Version)」である
声優としては、ウツがフラッシュ役を演じている
その他の声優の一部はファンから選ばれており、
1990/2/11にオーディションが行なわれている
審査員にはスタッフの他、ウツ・木根も加わり、
8028名中3名が選ばれた
このアニメは1990/3/21~4/8「Fanks! Film Collection」で、
小室ソロツアー「Digitalian is eating breakfast tour」の映像と一緒に上演された
つまり声優オーディションから40日もせずに作品が公開されたわけで、
おそらく3名の声優は採用決定後、ほとんど日を置かずにスタジオで収録を行なったものと思う
作品の質も推して知るべしだろう
本作はその後、1990/5/21にビデオとして商品化された
(2001年にDVD化)
おそらく当初から商品化を前提に作られたものと見て良い
ジャケットは高河ゆんの手になるものである
さらにGB別冊として、
アニメ「CAROL」のヴィジュアルブックも発売された
高河ゆんが起用されたのは、
彼女の支持層だった女子中高生がターゲットだったことを、
如実に物語っている
また高河自身、当時かなりのTMファンであった
高河の意向もあり、
アニメ版は恋愛モノの要素が加えられたらしい
敵役の悪魔ケプリもイケメンにされるなど、
全体的に女性受けする方向で修正されている
いかにも90年代初頭のアニメ絵で、
見ているとむずがゆくなる絵であり、台詞回しである
特に「CAROL」ヴィジュアルブックの裏表紙は、
フラッシュ(ウツ)がキャロルにキスするところの絵で、
通常の神経を持つ男性なら恥ずかしくて購入不能である

ただこのビデオには、大きなエサがついていた
これとビデオ「Digitalian is eating breakfast」を両方購入すると、
「CAROL Soundtrack Special Edition」という、
特典の8cmCDをがプレゼントされたのである
ジャケットはアニメ「CAROL」と同じもので、収録曲は、
「A Day in the Girl's Life」「CAROL (Carol's ThemeⅠ)」「Gia Corm Fillippo Dia」「CAROL (Carol's ThemeⅡ)」「Just One Victory」
となっている
2014年リリースの「CAROL Deluxe Edition」で「CAROL」全曲のインストが聞けるようになるまで、
他では一切聞くことができない貴重な音源だった
「CAROL」メディアミックスはこの後も続く
1991/1/5・6には前後編各1時間で、
NHK FMでラジオドラマ「CAROL」が放送された
また自分は聞いたことがないが、
Nack 5でも4回のラジオドラマが放送されたらしい
高河ゆんによる「CAROL」漫画化計画もあった
これは結局実現しなかったものの、
後に1994年、「きみとぼく」で、
高河の「CAROL-k」の読み切りが掲載され、
翌年1月から連載された(1998年3月まで)
キャロルの孫娘品川京呼が主人公だった
ただし高河の常として、物語は完結せずにうやむやになった
1996/9/21には「CAROL-k」のイメージアルバム、
「CAROL-k~Graduater~」も発売された
漫画に基づくドラマCD(Nack 5で放送されたものらしい)だが、
キャロル役の高山みなみによる、
「CAROL (Carol's ThemeⅡ)」のカバーも入っている
歌詞は英語になっている
高山はTwo-Mixのボーカルを務めるなど歌唱力もまずまずなので、
へたなTKプロデュース作品よりも安心して聞ける
さらに木根がテーマ曲「Theme of CAROL-k」を作曲した(インスト)
また京呼役の椎名へきるの「Graduater」も収録される
「Graduater」は小室・木根とは関係ないが、
1997/1/21にシングルカットされた
後に2006年、木根と椎名はユニットひだまりを結成し、
4/26にシングル「Size Up」をリリースしている
「CAROL」ともう一つ、
ファミコンソフト「Live in Powerbowl」にも触れておこう
クリアが困難で(主人公がすぐに死んでしまう)、
当時のファミコン界でも「クソゲー」の代表として知られていた
ゲームの詳しい内容解説は省くが、以下で簡単に紹介する
ゲームは1989/12/22発売で、6200円だった
メタルBOX入り10万個限定発売だったが、何本売れたのだろうか
ケースには人工衛星と宇宙空間を背景に、
メンバー3人の写真が入っている
3人の写真は「Dive Into Your Body」ジャケットの使いまわしだ
またゲームのメニュー選択画面は、
「Gift for Fanks」ジャケットの使いまわしである
ゲームのメインキャラクターは主人公(プレーヤー)とTMの3人
主人公の名前は自分で入力できる
小山みつ子・丸山教授など、
明らかに小室みつ子・丸山茂雄っぽいキャラも登場する
当時のポスターには、以下のようにある
戦略防御衛星“コロセウム”が突如暴走し少年は10年前にタイムスリップしてしまった。地球滅亡を防ぐため「TMネットワーク」のメンバー3人と少年はコロセウムの打ち上げ阻止に向う―。「TMネットワーク」のヒット曲を臨場感たっぷりにフィーチャーしたファン待望のゲームソフト。―果たして、地球は救えるか!!
だいたいこれでストーリーは分かるだろう
ちなみにコロセウムが暴走したのは1999年12月24日で、
地球が滅亡したのは12月26日未明である
ゲームのオープニングでは、
コロセウムが「Come On Everybody」の音に合わせて地球を狙撃している
「臨場感たっぷり」の音楽は、今では聞くに堪えない
最終的には1989年12月24日、
TMがPower Bowlというステージでのライブでエネルギーを充填して、
コンピューターを通じて打ち上げ直後のコロセウムに、
暴走を防ぐワクチンを送り込むことになる
(なんじゃそりゃ)
7曲目(「In The Forest」)の30秒の時点でスタートボタンを押すと、
主人公はもといた1999年12月24日13:45の世界に戻る
見事ワクチンを送り込むことで、世界を救ったのである
(10年後にコロセウムが暴走しないことになるから、
主人公が過去のタイムスリップもしなくなる)
まあストーリーとしては分かるが、もう少し盛り上げられないものか
そして10年後の主人公の部屋に、
TMの3人とみつ子が会いに来て、
「会いたかったぜ」「エヘ! きちゃった」など、
それぞれ一言ずつ発言すると、
画面が真っ黒になって「FIN」と出る
最後は「Dive Into Your Body」をBGMにスタッフロールが流れる
何の感動も起こらないエンディングで、
今のゲームの水準を知っていると、到底耐えられないであろう
ちなみに最後には「WE LOVE EARTH…」というメッセージが出る
もしや「We love the EARTH」の曲名はここから…?
(2008/4/29執筆 2008/12/25・2013/4/21加筆)
この記事へのコメント
結局は買いませんでしたが、数年後、Detourの映像と曲聞きたさにPS買っちゃいました(笑)
まあこういう芸能人モノは、ほぼ100%クソゲーになりますが、それにしてもひどい部類だったと思います