6-19 SONY期TMの終焉

更新が少し遅れました
今更ですが、坂本龍一さんのガン公表に続いて、
氷室京介さんが聴覚障害により「卒業」を宣言しました


前後の世代のビッグアーティストたちの相次ぐ体調不良を見ると、
去年の小室さんとウツの病気を思い出します
いつ何があってもおかしくないんだなあと感じます
正直活動を追いかけるのも楽ではありませんが、
追いかけられるだけ幸せなんですよね…


さて、8/1ローソンチケットのメールマガジンによると、
TM NETWORK 30th Season2のツアータイトルが、
「30th WINTER TOUR 2014 Quit30」になったようです
これで決まりかな?
Quit…やめる・立ち去る… なんか不安なタイトルですねえ
まあ、きっと大した意味はないと思いますが


FC会員の方と小室メルマガ会員の方は、
チケット当落通知が来たことと思いますが、いかがだったでしょうか
私はFCとメルマガで、希望公演のチケットは確保できましたが、
叶わなかった方は、ローソンなど各プレイガイドでの先行受付もありますので、
そちらに賭けてください


なおローソンチケットではプレリクエストが始まっており(8/13まで)、
8/20からはチケットぴあで札幌の、8/22からはe+で名古屋の先行があります(8/6現在)
他の公演の先行予約も順次、発表されると思います


Season1「the beginning of the end」のBD/DVDも、
amazonで2000~3000円近く値引きをして予約を受け付けています
送料も無料ですので、普通に買うよりもかなり安いです
(ブログ右側の商品一覧にもリンクを貼っておきました)
他にもHMVなど各所で割引の上予約を受け付けていますので、
ご吟味の上ご予約下さい


BD/DVDリリース日に合わせて、
SONYお得意のBlu-Spec2商法も来ました
今回の対象は「終了」直前にリリースされた、
「Colosseum Ⅰ・Ⅱ」「Classix 1・2」「Groove Gear」「final live LAST GROOVE 5.18/5.19」
となっていますが、
さすがにオリジナルアルバムほどの価値がないことはSONYも理解しているようで、
それぞれ2枚組み3240円でのリリースで、少しお徳になっています
(オリジナルアルバムは1枚で2160円)


「Groove Gear」はBOX中のCD3枚から、
オリジナル音源の大部分を除いてデモ・ライブ音源中心の2枚組みで販売です
タイトルも「TMN Groove Gear 1984-1994 Sound Selection」となっています
この音源は「Groove Gear」「World Heritage」など高額のBOXを持っていないと手に入らなかったので、
嬉しい方もいらっしゃるかもしれません


これで80~90年代の音源がBOX以外で高音質版がリリースされていないのは、
「Open Your Heart」「Another Meeting」「Detour」の3曲だけですね
私はどっちにしろこの手のものは要りませんが、
むしろ「Major Turn-Round」の先行シングルやDVDが、
品切れで入手困難になっていることの方が問題と思います
こちらはどうにかならないもんですかね…
もちろんこの頃はROJAMですから、SONYは関係ない話なんですけど


7/31には木根さんの「震・電気じかけの予言者たち」が発売になりました
思わせぶりなタイトルでしたが、「震」というべき内容はありませんでした
というか、意図的に外したんでしょうね


小室事件以後の話はあまりなく、
メインは「SPEEDWAY」のレコーディング話です
この頃の活動に関心がない方には、大した価値はない本だと思います


ただ2007年のGWの頃からアルバム制作の話が始まっていたというのは初耳で、
思ったよりも早くから動いていたようです
しかし一方で、レコーディングにはかなりてこずっていた様子もうかがえます
色々と大変だったんでしょうね…


それだけに、「incubation Period」の打ち合わせで、
ウツが「あの頃のてっちゃんが戻ってきた」と思ったというエピソードは、
かなり重いものを感じました


なお冒頭に、小室さんが(CAROL2の)「最終章」を書き上げるためにロンドンへ旅立ったとあるのですが、
となると、やはりインドネシアだけでなくロンドンもCAROL2執筆の取材と絡むものだったようです
小室さんの言う「最後の取材旅行」は1つと思い込んでいましたが、
2つとも「最後」だったんですね
これは論理学的思考の裏をかかれたなあ…(自分だけ?)


木根本発売日には新宿紀伊国屋でサイン会も行なわれましたが、
木根さんの販促活動はまだ続き、
今度は8/10の15:00よりTSUTAYA Tokyo Midtown 1Fでサイン会です
詳しくはリンク先をご覧下さい
ただ対象者はTSUTAYAオンラインショップで8/6午前6時までに本を購入した方限定で、
この記事をアップする数時間後に締切なんですけど…(ごめんなさい)


小室さんはtwitterによると、
7/18以前に帰国、7/19朝にCAROL2原作を書き上げ、7/21校了したとのことです
全部で65000字とのことですが、
文庫本なら100ページくらいの量ですね
本と電子書籍として発売する予定のようです


そして原作が出来た後、7/22頃から作曲に入ったようで、
7/27にはCAROL2の20分程度の原曲ができたそうです!
さて、さて、どんな曲なんでしょうか?
Season2に向けて動き出してきましたね!


小室さん、9/14にはデジタルミュージックの夏フェス「The Big Parade 2014」出演します
また9/24の19:00と21:30にBillboard Live TOKYOで、
10/4の16:30と19:30にBillboard Live OSAKAで、
坂本美雨さんとコラボライブを行ないます
このコラボは4月以来ですが、前回が楽しかったんでしょうか
東京1本目の開演と2本目の開場の間が1時間45分であることを考えると、
長くて1時間半くらいかと思いますが、
関心のある方はどうぞご参加下さい


テレビでは、8/13「FNSうたの夏まつり」に小室さんが出演します
この番組の出演は、ここ数年の恒例となっていますが、
今回はかなり多く、7曲で演奏するとのことです
渡辺美里さんとのコラボもあるそうです
ただ、そんならTMもやってよ…と思いますが


ということで、Season2に期待を膨らませつつ本題に入ります
ある意味で、TMの歴史を二分する事件に関するお話です

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1999年末までのTM NETWORKは、
翌年3月のアルバムリリースと、「桜の咲く頃」のライブを計画していた
ところが年が明けると、何らかの事情でライブ開催は困難となり、
アルバムリリースも中止となった
これを受けてウツと木根は、
TMレコーディング用にスケジュールを空けていた2月、
それぞれの夏のソロ活動に向けて準備を始めた


いわば再始動したTMの活動計画は、ここで一度白紙化したのだが、
この事態急変の背景は何だろうか
公式見解では小室の沖縄サミット担当によるものとされるが、信憑性は薄い


同じ頃から小室は、香港のROJAMを拠点とした大規模音楽ビジネスを志した
詳しくは次章で触れるが、2000年の小室は、
拠点をSONYグループのレーベルTRUE KiSS DiSCからROJAMに移し、
TM NETWORKやKiss Destinationもここに移籍する
(ただし鈴木あみはTRUS KiSS DiSCに残し、SONYとの関係も残した)
小室は1993~97年はavex、1998~99年はSONYと組んだが、
2000年には独自の活動を始めるのである


この事情を考える上で参考になるものがある
小室はROJAMでインターネットによる音楽ソフト販売を始めたが、
インターネットがまだ十分に普及していなかった当時、
この試みはファンの間では不評だった
2000/9/5、小室はtk56のチャットでファンからの不満を聞かされた後、
日が明けてからBBSにネット販売の背景をかなり赤裸々に書き連ねている

みなさんへ。
最大の決定原因は大手メーカーの僕、もしくは、僕たちの、
初回出荷の減少にあります。
大変、驚かれるはなしかと思いますが、TMの場合、もし、お店に
おいてもらったとして、初回、2万枚から3万枚です。
メーカーから、許可をもらっているのは、ネット販売だけです。
コンビニ等でおければみなさんにとって、良心的なんですが
許可はおりてません。
2万枚全国のお店においてもらうか、通販で買ってもらえる人にお届けするか、
今は、2とうりしかないんです。
アイデアはあっても契約問題があります。
お店において、80位くらいでがんばりますか?
それとも先進てきなことをやりますか?
新曲はもうできてますよ。
ダウンロードなら、明日、送れます、。ただで、、、。


以上を見るに、当時のTMは新譜をリリースしても、
店舗販売用にプレスされるのは2~3万枚程度となっていたらしい
明言はしていないが、これはSONYからリリースする場合の条件だろう
おそらく3月リリースのアルバムの制作が中止されたのも、
この条件が小室にとって受け入れがたいものだったためである


もちろん初回分が売れてまだ売れる見込みがあれば追加プレスはされるが、
当時SONYはTMの新曲が2~3万枚程度しか売れないと見込んでいた
そして小室は、そのことを不満としてSONYから離れ、
独自の販路開拓を目指すことになったと考えられる


2~3万枚という数字の意味だが、
再始動後最初の新作「Get Wild Decade Run」が23万枚売ったことと比べれば、
TMのCDプレス枚数は1/10に抑えられてしまうということである
SONYがこのような極端な緊縮を試みたのは、
これ以前にTMが経営陣の目算を大きく下回る成績を出してしまい、
大量の不良在庫を作ってしまったことがあったと考えられる


この件が小室に申し渡された時期は大体予想できる
前章で触れたように、TMのアルバム制作延期と絡む最初の動きは、
2000/1/4の木根宛て小室メールである
この1/4という日付を考えれば、
プレス枚数縮減の直接の契機は、
「Happiness×3 Loneliness×3」の週間ランキング発表の可能性が高い


ここまで触れてこなかったが、
小室が政府のキャンペーンソングと言う権威を得て期待を寄せていたこの曲は、
セールス面ではまったくの失敗に終わったのである
この曲は2000/1/3のチャートで9位、5.2万枚の成績を出した
(同日発売の鈴木あみ「Happy New Millenium」は同週2位、30.3万枚)
「Get Wild Decade Run」「10 Years After」の初動は、
それぞれ11万枚と10.5万枚であり、
これらと比べれば一挙に半減したことになる


最終的なセールスも8万枚に終わり、
「10 Years After」(17万枚)の半分以下である
「Get Wild Decade Run」(23万枚)から見れば、
リリースのたびに2/3、1/3と売り上げを減らしていたことになる
SONYはこの時に数万枚規模の不良在庫を抱えることになったと考えられる


イカしたCMだったんだけど…


この成績は2000/1/3付けチャートの数字だが、
通常のオリコンチャート発表スケジュールを考えれば、
雑誌の形では1999/12/28、業界内では12/27に発表されたはずである
(ただ年末なので、多少変則的になった可能性はあるかもしれない)


SONY経営陣はこの成果を見て、
年末年始を挟んで小室にプレス枚数制限の通達に至ったものではないか
もちろん事前の発注枚数などから、おおよその結果は事前にわかっていただろうが、
その決断は具体的な数字が出てから下されたのだろう


それにしても2~3万枚とはあまりにも低く見すぎな印象もあり、
上記BBSの書き込みには、小室の誇張も入っている可能性もある
だが2曲タイアップを付けていた同シングルが8万で、
しかも「Get Wild Decade Run」以来、
TMがリリースごとに売り上げを減らしていた現実を考えれば、
タイアップ無しのシングルで10万のケタを期待することは難しかっただろう


なお「Happiness×3 Loneliness×3」の次のメジャーシングルは、
2002年の「Castle in the Clouds」だが、
これはタイアップ付きで3.6万枚の売り上げである


以上見たように、成果を上げられなかった小室は、
SONYから契約上厳しい条件を突きつけられた
小室はなおSOYN上層部と交渉しただろうが、
1月半ばにはTM新作の制作を中止する方向で話がまとまったらしく、
1/18にはウツがソロ活動再開の意志を表明している


なお小室は鈴木あみ2ndアルバム「infinity eighteen vol.1」リリース(2000/2/9)から2ヶ月余りで、
4/26に3rdアルバム「INFINITY EIGHTEEN vol.2」をリリースしている
レコーディングは2~3月だろう


「infinity eighteen vol.1」のタイトルから見て、
鈴木あみが1年以内にvol.2をリリースすることは、当然予定されていただろう
(鈴木あみ18歳の2000/2/9~2001/2/8の間)
だがそれにしても、2ヶ月間隔でのアルバムリリースはかなり特異である
しかも「vol.2」はプロデューサー時代の小室に特有のシングル詰め合わせアルバムと異なり、
先行シングルは4/12リリースの「Thank You 4 Every Day Every Body」のみだった


売れ線のシングル曲を欠く代わりに実験的な楽曲を多く詰め込んだ「vol.2」は、
同日発売のHello! Project「プッチベスト」に敗れて2位となった
売上も急落しており、1stアルバム「SA」から3rd「vol.2」の売上を並べると、
187.9万枚(年間9位)→106.3万枚(年間15位)→42.7万枚(年間50位)となっている
なおシングルでも、「vol.1」先行シングル「Don't need to say good bye」は34.6万枚を売ったが、
その後の「Thank You 4 Every Day Every Body」「Reality」は20万枚程度の売上にとどまった


当時小室最大の稼ぎ頭だった鈴木あみのセールス度外視の不可解なアルバムリリースは、
あるいは小室がTMのために確保してあったレコーディングとライブ準備の期間が空いたのを埋めるべく、
予定外で行なわれたものではないかとも思う
同じ頃、ウツもソロアルバム「White Room」のレコーディングを行なっているが、
つまりTMの予定が突如白紙化したことで空いた時間に、
メンバーは他の仕事を入れることにした可能性がある


TMの話に戻ると、2000年度の去就はともかくとして、
SONYとの1999年度の契約は必ず履行せねばならない
そのため2000/3/23契約消化のために、
ベスト版「Best Tracks -A message to the next generation-」がリリースされた
前章で触れた通り、おそらく1/21のTM会合を受けての措置である


1年前のベスト「STAR BOX TM NETWORK」「STAR BOX TMN」は、
企画ベストだから別枠ともいえるが、
それでも2年連続のベスト版リリースはいかがなものだろうか
さらに1996年12月にはシングル集「Time Capsule」もリリースされており、
なんと3年余りで4枚のベスト版がリリースされたことになる
もちろんSONY側も無価値なことは承知の上でのリリースだろう
成績は26位、3.5万枚だった(一応「2~3万枚」よりは多く売れている)
なおなぜか、1999年の3枚のシングルは収録されなかった
さらにこの時、TMN「終了」以前のオリジナルアルバムも、
廉価版CDで再リリースされた


こうして3/23には、
TMの過去のアルバム再発版とベストアルバムがリリースされたが、
木根も同日これに便乗して、
初のソロベスト「The Best of Naoto Kine 15 Goodies」をリリースした
1992~98年の楽曲を対象にしたものである


こちらは100位圏外なので成績は不明である
木根は1999~2000年に新作リリースがなく、
2001年からはSONY以外のレーベルから新作をリリースするので、
偶然ではあるが、本作はSONY時代の全木根楽曲からのセレクションとなった


なお2012年にはこの時期の楽曲を新録したベスト版「キネバラ」がリリースされたが、
新録となったのは「The Best of Naoto Kine」と収録対象曲がかぶるという理由の他、
契約の問題でSONY時代の音源が使えないという問題もあったからだろう
後にTMの「Easy Listening」(2004年)・「DRESS2」(2014年)や、
小室の「Digitalian is remixing」(2012年)で、
SONY時代楽曲のボーカルや音を完全新録にしているのも、
おそらく同様の理由である


ただウツの場合は2007年の15周年記念DVD BOXや、
2003年までのシングルを収めた「Original Singles」などで、
SONY・ROJAM・R&C時代の作品をまとめてリリースしている
ウツだけ契約が異なったのだろうか
だとすれば、スタッフに先見の明があったということだろう


小室も2000/3/23、プロデュース作品を集めたベスト版として、
「ARIGATO 30 Million Copies」をリリースしている
SONY・avex・orumok・ポニーキャニオンなどレーベルの壁を越えてのリリースである(発売元はavex)
TKブーム期の作品を収録したもので、
TMN「終了」以前の楽曲はtrf「EZ Do Dance」のみである


しかし「ARIGATO」と言うタイトルのダサさに加え、
わざわざ「30 Million」(3000万枚)というセールス実績をつけるあたり、
本当にゲスなタイトルだと思う
そして本作の成績は5位、24.3万枚だった
かつてのTKブーム時代ならばミリオンも行っただろうが、
時に世間の注目は宇多田ヒカル・浜崎あゆみ・モーニング娘。などに向けられており、
TKはすでに過去の存在になりつつあった


ともかく小室哲哉は2000年に入るとともに、
TMをめぐる意見の対立から、SONYと距離を取るようになった
そして2000年3月(1999年度末)には、
契約消化のための間に合わせ商品の濫発によってお茶を濁した


その後2000年にTKプロデュースでデビューした歌手に、
清水まなぶ(4/26「サンキューニッポン」)、
坂口実央(5/13「Enjoy Bad Days, Enjoy Good Days」 )、
MIYUKI(7/11「Feel The Revolution」)がいるが、
作品は休眠状態だった小室個人レーベルfactoryorumokからリリースされた


坂口実央は音楽通信講座TK Music Onlineの特待生としてデビューした
TK Music Onlineは1999年から小室哲哉監修で行なわれていたもので、
小室が実質的な指導を行なっていたとは思われないが、
デビューチャンスも用意しているというのが売りとされていた
いかにも小室の名前を使ったビジネスと言うにおいがするが、
坂口はその信憑性を高めるためにデビューさせたものだろう
「特待生」というのも、実質的には通信講座とは関係ない人選だったことを思わせる


清水まなぶは「ビッグコミックスピリッツ」連載の「TKman」関連のオーディションでデビューしたもので、
小室・木根プロデュースとなっているが、作詞作曲は清水自ら行なっている
MIYUKIは、かつて「ASAYAN」でデビューをかけて鈴木あみと争い敗れた女性である


小室が2000年にデビューさせた歌手は他にもいるが、
その多くはfactoryorumokやROJAMの所属であり、
SONYからデビューした例はほとんどない
例外は2000/8/9TRUE KISS DiSCからデビューした中野さゆりで、
566 featuring 中野さゆり「Never Say Why, Never Say No」をリリースした
ただこれはSONY主催のアニメ「金田一少年の事件簿」ボーカリストオーディション受賞者という特殊な事情があり、
小室もこの一曲以外に中野には楽曲提供を行なっていない
2000年の小室は、概してSONYと積極的な関係を持とうとしなかった


おそらくこれと関連するのが、小室とavexの関係である
小室は1997年のavexとの対立以来、SONYに拠点を戻していたが、
2000年にSONYから距離を取るようになったことにより、
今度はavexに再接近を始め、avex側もこれを受け入れた


これ以前、1998~99年の小室は、
以前からプロデュースを続けていた安室奈美恵とglobeを除き、
avexからの新作リリースは行なっていなかった
しかし2000/8/30には女性R&BユニットBALANCeが、
シングル「Move Your Body」でavexからデビューしている
avexで新たな歌手のプロデュースを始めるのは、
実に安室奈美恵(1995年10月)以来のことだった


BALANCeは一般にはあまり知られていないが、
2ndシングル「Get Into You Suddenly」は、
2012年「Digitalian is remixing」や2014年「EDM TOKYO」にリミックス版が収録されており、
小室の自信作だったようだ


ただ坂口にしろMIYUKIにしろBALANCeにしろ、
この頃の新たなTKプロデュース作品はまったくヒットチャートに現れなかった
(最大の成果が30位・1万枚のMIYUKI「Feel The Revolution」
彼女らは当初アルバムリリースも予定されていたが、いずれも実現していない


なお小室は2000/11/30の「Yes To Life Festival」で、
TRFとBALANCeを出演させている
この後TRFは2001年元旦、
小室のイベント「Rendez-vous in Space OKINAWA 2001」にも出演した
1997年後半以来小室とTRFの関係は絶たれていたが、
その関係が3年ぶりに復活したのである


2001年のTRFはBALANCeメンバーとともにzentoと言うユニットを結成し、
小室の書き下ろし楽曲をひっさげて、
各地でトランスイベント「zento」を開催している
その音源は商品化されなかったが、
2001年にアナログシングル「zento ep1」として配布された


TRFのバックにいたのは小室とavexの対立の契機を作った千葉龍平であり、
そのTRFが小室と関わるようになったのは、
この時点で小室とavexが一定の歩み寄りを見せたことを示す
これ以後、avexが小室の新作リリースに合わせて強力な新作をぶつけてくるような妨害措置を行なうことはなくなる


もっともすでにavexは小室抜きでも、
浜崎あゆみなどで小室作品以上のセールスを実現しており、
情勢としても小室がavexに協力を求めて頼ってきた形だった
かつて対立した頃と異なり、
小室の発言力がavex全体に影響を及ぼす可能性はほぼなかっただろう


またavexとしても、
CDセールスが急減して活動が停止状態に陥っていたTRFを小室に任せてみることは、
成果はさほど期待できなかったにせよ、損になることはなかったはずである
一方で旧TKファミリーでも、
TRFと違って一定の成績を上げていたhitomiは小室と関わることはなかった


小室としても今さらavexに拠点を戻すつもりはなく、
あくまでも敵対関係を解消するという程度の話だったと思われる
avexの松浦勝人についても、小室への感情的なしこりが取れたのは、
逮捕後の小室が援助を求めてきた2009年のことであり、
それまではあくまでもビジネス上の関係改善に過ぎなかったと見られる


小室が新たな拠点としようとしたのが、香港のROJAMだった
そして1984年EPIC/SONYでのデビュー以来SONY所属だったTM NETWORKも、
2000年にはROJAMに移ることになる
このあらましについては、次章で触れることにしたい


BEST TRACKS~A message to the next generation~
エピックレコードジャパン
2000-03-23
TM NETWORK:TMN
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この記事へのコメント

haru
2014年08月06日 06:49
新記事のアップ、ご苦労様です。う~ん、2000年頃はいろいろと難儀なことがあったんですねぇ…。

 ところで、記事の中盤に“ベスト版「Best Tracks -A message to the next generation-」がリリースされた~、1年前のベスト「The Legend TM NETWORK」「The Legend TMN」は…”とありますが、99年のベストアルバムは「STAR BOX」シリーズだったはず。「The Legend」シリーズはその数年後、EPIC25週年の頃だったと思います。

 もし気を悪くされたのなら、ゴメンナサイ…。
まかろん
2014年08月06日 16:01
更新 ご苦労さま
ツアータイトル『30th WINTER TOUR 2014 Quit30』まで決定していたとは、さすがTMクラスタ 情報が早い。
この冬のツアーで、物語的なコンサートはおしまいかな~?
4月21日に向けては、ベストアルバム的なコンサートになっちゃうのかな~?

Season2に向けて ニューアルバムが発売になるのかな~?
何らかの形で作品にはしてもらえるんでょうけど 楽しみにして待つようにします。
fe
2014年08月06日 20:57
こんばんは。

もうBeing形式みたいな「他人の力を借りてのし上がろう」「素人でもここまで売れる」ではなく歌姫・V系ブームの様な「自分の力で輝こう」「基礎の力を維持・向上しよう」というのが過去の時代はこうだったんだ、時代は変わってしまったんだ、という悲哀に溢れているのが過去の記事を含めて相乗効果で伝わってきました。

この時代は、個人的にはBALANCeとY.U.Mが大好きです。売上は兎も角、小室先生個人の個性とジャンルを如何にすり合わせるかに苦心している気概を感じています。「Get Into You Suddenly」リピートしています。前者はアルバムが騒がれていたのに中止になったのを2005年頃に知りました。

サブタイトルの「Quit」、単純に(EDMから、30周年の雰囲気から)「やめる・立ち去る」であって欲しいと切実に思いました。

失礼致しました。
かっと
2014年08月07日 06:45
記事ありがとうございます!
さくらの咲く頃が消えてしまったのは、なるほど、、、そういうことだったのですね、、、
確かに、tk56 bbsで見た記憶も
鈴木あみのvol.2が不自然に速すぎでシングルも少なくてこれじゃ売れないなと当時思ったことも
TRUE KiSS DiSCレーベルのリミックスアルバムが発売中止になったことも思い出しました。
たらればをいうのもなんですが、99年のシングル三枚が売れていれば、
というかディレクション?するひとが、これじゃだめとか判断できるひとが、3人の外にいれば、
また違ったのですかね、、、99年は曲というよりパッケージの売り出し方がワクワクしなかったですから、、、

それだけに「あの頃のてっちゃんが戻ってきた」2012年から今はワクワクさせてもらえて嬉しい限りです(^^
青い惑星の愚か者
2014年08月08日 04:26
>haruさん
おお! やっちまいました
ここらへんのベスト版は興味がないこともあって、うっかりしちゃいました
ご指摘ありがとうございます
気分を害するなんてとんでもない
むしろ間違いに気づいたら、内容も含めてガンガンご指摘願います

>まかろんさん
Season3はベストライブ的な感じになると、以前小室さんが言ってましたね
多分ツアー自体も今回が最後で、Season3はでかい会場で2daysとかになるんじゃないでしょうか
その意味で、今回のツアーは多少無理してでも全力で参加しますよぉ!
アルバムは作成中のようですよね
来月には出来上がるんじゃないかなあ
ウツ木根も気に入っているようで、楽しみです


>feさん
ヴィジュアル系も実力的にはひどいの多かったし、自称ディーヴァの女性歌手たちも皆が宇多田やMISIAだったわけではないんですけど、仕掛け人が裏に隠れてバンドや歌手が自分たちの力でやっているように見せるのが主流になる中で、TK的な売り方は難しくなったように思います
21世紀になって、小室さん自身が属するKiss Destination、globe、Gaball、TMに活動を絞ることになったのも、その点では必然だったのかも

Quitは、考えてみればSeason1もthe beginning of the 「end」だったわけだし、その点では今更騒ぐ話でもないですよね
逆にSeason1では「end」について意外なほど騒がれなかったなあ(自分も含め)
青い惑星の愚か者
2014年08月08日 04:26
>かっとさん
tk56 BBS、今も稼動していれば、資料としてはかなり使い出があると思うんですよね
いったいいつまで続いていたんだろう
まあ、見ると気分が暗くなるんだろうな…

TKDレーベルのリミックスアルバムって初耳かも
それはTMとTKDの楽曲リミックスを合わせたアルバムだったんでしょうか?
1999年、TMでリミックスもやっていきたいとか小室さんが言っていたのは覚えていますけど

99年は売り出し方が最悪でしたね
無理やり動かさないと永遠に動かなかった気もするけど、木根さんが動かすために無理しすぎて、準備が十分に整わなかったのかも

再始動から10年間のTM見てて思うんですが、やはりTMは(小室さんも含めて)プロデュースしてくれる人が必要なんじゃないかと思います
きっと80年代は小坂洋二さんみたいな有能なプロデューサーが引っ張っていたからうまくいったんだろうし、TMN期に変なことになるのも小坂さんの影が薄くなるのが関係しているんじゃないかなあ…
小坂さんの話てあまり出てこないから想像しかできないんだけど
でも今はなんだか分からないけど、奇跡のようにうまく進んでいますね
haru
2014年08月08日 07:12
先日私が指摘した箇所、修正されたんですね。

 管理人さんの私に対するコメントも読みましたので、この前ミスを指摘したコメントやそれに関する部分は削除しちゃってください。
icho
2014年08月11日 11:43
Quitについては、一部の人は「終わらないでー」と不安がっておられますが、さすがに30年弱ファンやってるとけっこう冷静に見られます。今の”潜伏者”シリーズの”終わり”ってことでしょうね。
ビジネス的に見れば、オーザックに500円も出してw、微妙なデザインのグッズwすら売り切れにするようなファンを手放すことはないかと。(TM大好きですけど、本音です)小室さんがTMを離す、辞めるってことはまだないかなと思います。

電気仕掛け、読みました。読みやすい本でしたが、内容は個人的にはいまいちだったかなと。どう考えてももう一冊出しそうな雰囲気ですね。
かっと
2014年08月13日 18:48
>青い惑星さん
同感です(^^

アルバムはレーベルのリミックスと街のCD屋さんで情報見たのですが、中止に。。。
鈴木亜美とか1枚のCDで聴けるのか~とか新しいミックスあるのかな~とか期待してたんですけどね
やっぱり、ハピロン(TM盤も各アーティスト収録盤も)こけたのが大きかったんでしょうね、、、

他のFanksの皆さまももしかしたら感じてるのかもしれませんが
TM(というか小室さん)ってgaball screenのお話を地でいってしまったんだろうな~と 言霊といいますか
売れてたのが見向きもされなくなって、でもまた輝きだして

これからFNSですね(^^
森福
2014年08月18日 19:31
Yahooで小室哲哉と検索すると、
【小室哲哉 かつら】と出てくるのですが、小室哲哉さんはヅラなのでしょうか?
たしかに年齢の割にはフサフサツヤツヤですが。。
ご本人の裁判記録に、【1999年あたりから自分の曲にタイアップがつかなくなったり、売上が激減したりと坂道を転がっている感じがしてました】とありましたが、2000年は迷走してましたね。
でも2000年7月の横浜アリーナのライブは凄く良かったんでぜひ発売してほしいのですが、無理なのでしょうかね、、、。
何はさておき【あの頃のてっちゃんが戻ってきた】わけですから、体に気を付けて頑張ってほしいです。早く11月のライブ行きたい!
yousuke
2014年08月21日 23:01
木根さんもサイン会の動画ではTMのレコーディングが始まりますと言ってましたね。
いよいよニューアルバムはありそうな感じはしますね。
ただEDMはもういいかなと思っています。
小室さんのツイッターの更新が無いところを見ると
レコーディングで忙しそうな感じですね。
haru
2014年08月22日 17:26
「SPEEDWAY」以来実に7年振りとなるオリジナルアルバムが、QUIT30ツアー初日の10月29日にリリースされることが決まりました。

 詳細はまだ発表になっていませんが、新曲がたくさん詰まったクオリティの高い作品を期待しています。

 無意味な複数販売とかはありませんように…。
haru
2014年08月22日 17:36
…と思っていたらmu-moでは「CD2枚+DVD」「CD2枚」「CD1枚」の3パターンで、オリジナル特典はそれぞれA、B、Cと振ってあり異なるようです。(詳細は未定)

 あーあ…。
kuri566
2014年08月22日 19:02
きましたね!予約します!
iyotae
2014年08月24日 22:07
初日に行けるようなので、よこすかの会場で買うもアリなのでしょうか?
グッズとかは無ければしょうがないでわりとギリで行くつもりでしたが、その場合はやく行くべき?
青い惑星の愚か者
2014年08月30日 01:08
>ichoさん
Quit30は、「終わり」というよりは「区切り」という感じでしょうね
ファンに不安を与えて盛り上げるという意図もあるのかもしれません
ただ全国ツアーを伴う活動は、年齢的にも今回で終わりである可能性はかなり高いとは思います

>かっとさん
レーベルのリミックス版情報、ありがとうございました
どういう構想だったんですかね
木根さんの本には、桜の咲く頃の新譜の代わりにリミックスアルバムを作る案もあったことが出ていますが…
Major Turn-Roundリミックス計画や、2002年頃のリミックスアルバム計画などを経て、その残骸が2004年Easy Listeningで中途半端に実現したんでしょうね

>森福さん
かつら疑惑…
考えたことはありませんでしたが、そう見えますか?
2000年の迷走は小室さん自身も自覚していたようですね
細木数子にのめりこんでいった(だまされた)のもこの頃だったと思います

>haruさん・kuri566さん
アルバム決まりましたね
特典パターンA・B・Cは、avexですねえ
特典が音源とかではありませんように…

>iyotaeさん
ただSeason1の物販を見るに、CD・パンフとその他のグッズは売り場が別で、その他コーナーが劇混みでした
CD・パンフのみなら開場してからでも大丈夫と思いますが、その他グッズも買うならば開場1~2時間前には着いていた方が良いかもしれません

私も初日に行くので、よこすか会場での購入も考えています
会場購入特典もあるでしょうし
ただavexの特典が音源とかになってしまうと、avexで注文せざるを得ません…
難しいところです
青い惑星の愚か者
2014年08月30日 01:14
>yousukeさん
飛ばしてしまってすみません!
twitterの更新が減っているのは、レコーディングに集中しているんでしょうね
今回はCAROL2だとすれば、EDM直球とはならない気がしますが、どうでしょうか
音についてはまだ何も情報がありませんが、BDが出る頃にはそこらへんの話題も出るかな
M
2016年11月12日 10:09
こんにちは。
今更ながら失礼しますが話をされているTKDレーベルのアルバムは97年、98年にソニー、ないしはTKDで出していた曲のコンピレーション盤だったようですね。
ただそうすると曲数が少ないせいなのか、それらに新曲や当時小室さんが試みていたコラボレーション曲を加えた形になっていたと記憶しています。
が、このアイデアは当時直前まで続いていたglobeのツアー直後に小室さんがベスト盤と新曲を混ぜたアルバムを作るという発言がまず先行しておりそれを二重な形でアイデアを生かすことはしなかったのではないかと思われます。それは小室さんのTMへの愛情でしょうね。TMが後回しになった印象がありますがその直後の単独ライブにて、桜が咲くころにアルバムとライブもね、と発言していますので闇雲に成り行き任せに無責任に動いていることは決してないでしょうね。
しかしそううまくいかなかったのはここで読ませていただいたように三人の心中を察するばかりです。
ベスト盤はレコード会社から、新曲やアルバムはあくまでミュージシャンやアーティストからが基本だと考えます。多分三人はベスト盤を出す度申し訳ないなと考えていたかもしれません。
推論ばかりですみません。
ところで僕がここの記事を読ませていただくようになって早いもので十年です。
素晴らしい記事を期待しています。
内容は辛いことばかりでしょうが時折行間に滲む蒼い惑星さんの愛情を感じる文章が僕は好きですから。
これからも宜しくお願い致します。
青い惑星の愚か者
2016年12月09日 00:26
TKDコンピ盤のアイデアは、avexでリリースしたglobeのCruise Recordに収束したのでしょうか
TMのシングルは新作アルバムに入れるつもりだったのでしょうから、当然コンピ盤には入れないと言う話になったと思いますが、そうなると収録作は鈴木あみ・TKD・甲斐よしひろくらいですから、各4曲くらいとして、あまりにも魅力は薄いですね。
まあ、中止して正解だったかなと思います
TKDが成功していればまずまずの成果も期待できたでしょうが、実際には大失敗でしたからね。

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