7-2 トランス期の小室哲哉
3/8の報道によれば、TM NETWORK「Get Wild Song Mafia」がギネス記録に認定されました。
記録は「トップ100にチャートインしたCDアルバムに収録された同じ曲のバージョン/リミックスが最多数」とのことです。
原文は、以下の通りです。
正直この記録が「achieved by Tetsuya Komuro」となっているのは腑に落ちません。
「Get Wild Song Mafia」はTM NETWORK3人の名義の作品なのに…。
ただメディアもすべて「小室哲哉の業績」として本件を紹介しています。
これはおそらくavexの小室さんのスタッフが、話題を作ろうと考えて申請したものだからであり、その受賞情報もavexスタッフが広報したためでしょう。
正直、音楽的な価値は何もない記録で、別にどうでも良いことではありますが、ここに目をつけたスタッフは、スタッフとしては有能なのだろうと思います。
あえて言えば、TMが(小室さんが)こうなってしまった今、小室さんへの最後のはなむけとはなるでしょうか。
またはこれで小室さんの意欲も湧いて、活動再開への糸口となる可能性もあるかもしれません。
なお「Get Wild Song Mafia」は、同日3/8にCDショップ店員が選出する「第10回CDショップ大賞2018」リビジテッド賞にも選ばれています。
また小室さんは1/23(引退会見4日後)に、第18回ビートたけしのエンタテインメント大賞で功労賞を受賞しました。
小室さんは2/25の表彰式を欠席しましたが、たけしさんは、
とコメントしたそうです。
全体的に最後のご祝儀的な印象はぬぐえませんが、最後まで惜しまれつつ引退したのだとは思います。
小室さん最後の仕事となっている「ラストアイドル 2nd season」では、3/10放送分で小室さんがラストアイドルへの提供曲のアレンジを変えてきました。
これが小室さん最後の音ということになるのでしょうか。
このニューアレンジ、最初のよりも改善された印象は受けましたが、秋元康さんプロデュースのシュークリームロケッツに負けてしまいました。
翌週3/17放送分では5組の総当たり戦が終わりました。
3/24には上位3組で勝負して、1位を決める段取りになっていると思われます。
これで1位となったユニットの曲が4/18リリースのCDの表題曲となります。
現時点ではつんく♂さん・織田哲郎さんが3勝1敗で上位3組入りが決定し、指原莉乃さんは全敗で落選が決定しています。
決勝進出の残り1枠は、2勝2敗の小室さんか秋元さんかまだ発表されていませんが、以前番組で行なったweb人気投票の結果を参照して決められると見られます。
これで小室さんが勝てば、もう1回だけ小室さんが番組に登場する可能性があります。
ただ勝っても出ない気もしますし、もうどうでもいいかな…とも感じています。
ウツは2/28にソロ25周年記念アルバム「mile stone」をリリースしました。
通常版は28位・2556枚、限定盤は81位・787枚で、合計3000枚を越えました。
前作「T.UTU with the Band All Songs Collection」の29位・2258枚は上回った感じです。
また去年10月からFM NORTH WAVEで放送されてきた「ξUTSU BARξ 440」は、アルバムのプロモーションも終わったということで、今月で終了とのことです。
このスケジュールは当初の予定通りでしょう。
4月からは「「それゆけ歌酔曲!!」ξIdiosξ」が始まります。
木根さんについては、特に新情報はありません。
では本題に入ります。
-----------------------
2001年当初の小室が想定していた音は、おそらくトランスとR&Bだった。
2001年3月にリリースされたglobe「outernet」はトランス、4月にリリースされたKiss Destination「AMARETTO」はR&Bを主軸としていた。
なおおまけながら「AMARETTO」には、「永遠と名づけてデイドリーム」のインストとして「デイドリーム」が収録されている。
Kiss Destinationは、ボーカル麻美の妊娠と離婚によって実質的に活動を終えた。
出産は2001年9月、離婚は2002年3月である。
2001年の時点では、妊娠に伴う活動「休止」に過ぎなかったが、離婚によって活動は不可能になる。
これ以後小室は、R&B路線から離れることになった。
Kiss Destinationは、先行シングルをROJAMでリリースしながら、なぜか「AMARETTO」をポニーキャニオンからリリースした。
一般の流通に乗せてセールスを上げることを目論んでのことだろうが、この挙はインディーズレーベルROJAMの通販戦略の失敗を認めたも同然である。
しかも本作の成績は24位・2.1万枚に終わった。
前作「Gravity」の7位・6万枚も成功とは言えないが、これと比べても大きく売り上げを落としている。
globe「outernet」も9位・14.9万枚と、この時点ではglobe史上最低の売上に終わったが(前作のオリジナルアルバムである1998年の「Relation」は1位・173万枚)、それでもKiss Destinationと比べれば、まだ可能性は残っていたといえる。
Kiss Destination休止の中で、小室はglobeと新ユニットGaballを活動の中心とするようになる。
globeは従来通りavexから、Gaballは吉本R&Cから作品をリリースした。
さらに小室は10/24アンビエント系のインスト曲を、ソロシングル「Blue Fantasy ~Love & Chill Out~」としてリリースしている。
オリジナル曲のソロシングルとしては、1992年「Pure」以来9年ぶりである。
(1997年「Speed TK-Remix」は小室によるリアレンジ曲)
翌年には本作のリミックス9バージョンを収録したアルバム「Blue Fantasy ~Love & Chill Out with Trance Remixes~」がリリースされた。
「Blue Fantasy」はFoa Recordsからリリースされた。
またTM NETWORKのVHS/DVD「Live Tour Major Turn-Round」はポニーキャニオンからリリースされ、小室が名目的にエグゼクティブプロデューサーを務めたウツ・木根作品はROJAMからリリースされた。
つまりこの時期の小室関係作品は、以下のレーベルからリリースされたことになる。
・globe =avex
・Kiss Destination・TM NEWORK =ポニーキャニオン
・Gaball =R&C
・ウツ・木根ソロ =ROJAM
・小室ソロ =Foa Records
以上の中で小室の活動の中心となったのはglobeとGaballであり、両ユニットではともにトランスが試みられた。
これ以後2004年まで小室哲哉が音楽的に追及したのは、一貫してトランスだった。
小室哲哉にとっての2000年代前半とは、一言で言えばトランス期である。
90年代における音楽的嗜好のめまぐるしい変化と比べると、この長期的な継続には驚かざるを得ない。
小室がトランスにはまるきっかけは、2000年頃にロスアンゼルスで偶然聞いたChicaneの曲だったという。
2000/3/27リリースの「Behind The Sun」がヒットした頃の話だろう。
小室がアンビエントに手を出したのも、Chicaneの作品からトランス・アンビエントの双方へと関心が向いたものかもしれない。
トランス期小室はDJ Dragonと特に親密だった。
小室が彼とVJ原田大三郎と組んだのがトランスユニットGaballである。
GaballはTM NETWORK「CAROL」の物語で登場したユニットGaball Screenに由来する名称で、レーベル名もR&C内のGaball screenとなっている。
このレーベルには、後にTM NETWORKも所属することになる。
Gaballの構想は原田が「Tour Major Tunr-Round」に関わった頃からあったと見られ、ツアー終了から間もない2001年3月頃には、小室・Dragon・原田の3人で活動する計画が公言されている。
Gaballのデビューは2001/9/12アルバム「Represent_01」である。
「01」とある以上は「02」以後も(さらに言えば「10」以上まで)作成する意気込みだったのだろうが、結果としては現在までこれが唯一のオリジナルアルバムとなっている。
ただ歌が入っていない分、当時の小室が追及したかった音は、本作でもっとも先鋭的に表現されている。
本作収録の「Represent_01」「Kuta Moon」は、逮捕直前までMySpaceでリミックス音源が公開された(現在まで未商品化)。
2011/8/19「FREEDOMMUNE 0」でも、「Represent_01」「Going Out Thing」が演奏予定だった(イベントは中止になったが、その日の夜に小室がスタジオライブを配信)。
小室としては意外とGaballの楽曲に愛着があるようである。
なお2002/6/26リリースのGaball「Ungraded」は、既発表曲1曲+リミックス1曲のCDに、「Represent_01」収録曲の映像入りDVDを同梱したものだった。
こちらは実質的には、原田の映像がメインの作品である。
GaballにVJ原田が参加したのは、ライブ活動の重視を示している。
9/19にはSOTECの「WORLD PC EXPO 2001」でライブを行なっており、ストリーミング配信も行なわれた。
11/16にはZepp Tokyo、11/24には名古屋OZONでライブが行なわれている。
詳しくは分からないが、zentoのイベントでも、DJ Dragonや原田が参加することがあったらしい。
Gaballのワンマンライブは2002年以後行なわれなくなるが、DJ Dragon・原田と小室の関係はトランス期を通じて継続した。
小室が2002年に渋谷WOMBで開催したトランスイベント「TK Presents Synthesized Trance」にも、二人は参加している。
なお「Synthesized Trance」は、私が確認している限りでは2002/7/24~12/25にvol.5まで開催が確認される(確認できていないものもあるかもしれない)。
vol.1とvol.2のライブアルバムも、TSUTAYA限定で販売された。
小室とDJ Dragonの共作では、多くtatsumakiの名義が用いられた。
具体的な作品としては、2000年にBALANCeがあったが、2001年にはウツソロや後述の「global trance」の他、小室ソロ「Speed TK-REMIX~炎のコマ」にも関わっており、2002年ではR9、Female Non Fictionの楽曲もある。
他にワールドカップ2002日本代表サポーターチームULTRASのシングル「AIDA決めてくれー!」やアルバム「ULTRAS 2002」も、DJ Dragonが中心となって制作された作品である。
後者にはTM「Seven Days War」リミックスの「Eleven Hearts War」や、「My Revolution 2002」も収録されている。
当時は勘弁してくれと、強く思ったものである。
原田は2000~01年TM NETWORK「Tour Major Turn-Round」のライブ用映像の制作を行なったが、その後「Double Decade "NETWORK"」以下の2004年TMライブの映像制作にも関わった。
さらに2008年には原田が制作した映像の上に小室が音をつける形で、「Arashiyama」(2006年DJ TK名義で発表)のロングバージョンが制作され、4/30にデジタル配信されている。
同年11月の小室逮捕直前まで関係を保った人物と言えよう。
この時期の小室の活動のもう一つの核だったglobeを見てみよう。
globeは2001/3/28「outernet」でトランスを試みてから、2003年まで発表した楽曲の多くがトランスとなった。
過去楽曲についても2001~02年に、「global trance」「global trance 2」としてトランス版が発表され(ただし小室がリミックスしたトラックはごく一部)、ライブでも過去楽曲はトランスアレンジで演奏された。
トランス期globeの本格的始動となったのは、2001/8/1リリースのシングル「try this shoot」である。
個人的には好きな楽曲である。
9/12には「global trance」をリリースする。
さらに11/14にはドラマ「スタアの恋」主題歌として、カバー曲「Stop! In The Name of Love」をリリースし、12/8にはアニメ「サイボーグ009」主題歌として、「genesis of next」をリリースするなど、2001年後半はトランスユニットglobeをアピールし続けた。
なお小室は「サイボーグ009」のアニメ音楽も担当し、サウンドトラックもリリースしている。
「try this shoot」は10位・7.6万枚、「Stop! In The Name of Love」は7位・14.4万枚、「genesis of next」は4位・9.6万枚の成績だった。
特に「Stop! In The Name of Love」は、2000年のシングル(10~13万枚)を越える売上で、2000年代のglobeシングル作品で最大の成績である。
また「genesis of next」はその実験性も含め、トランス期globeの代表曲となっている。
そして以上のシングルを収録した「Lights」は2002/2/6にリリースされ、2位・27.7枚の成績を出した。
これは「outernet」の9位・14.9万枚の倍近くの売上である。
これまでglobeのアルバムはベスト盤を除けば、ほぼリリースごとに売り上げを低落させ続ける傾向にあったが(例外として「Love again」166万→「Relation」173万)、この時は売り上げが持ち直している。
しかもトランスと言う音楽的実験を前面に出した上での成果である。
小室はここに大きな手応えをつかんだことだろう。
以後も長くトランスを続けるのは、この手応えがあってこそと思われる。
小室は逮捕後の音楽活動再開期、本作収録の「Many Classic Moments」を自分の代表作に挙げているが、これは本作への思い入れの強さを物語るものだと思う。
そして小室はなんと2ヶ月後の2002/4/17には、次のアルバム「Lights2」をリリースする。
「Lights」ラストの「fade in」を受け、「Lights2」は「fade in2 (part2)」でアルバムが始まる構成である。
先行シングルは「Over the Rainbow /Inspired from Red&Blue」しかなかったが、「Lights2」はチャートで2位、16.4万枚を記録した。
この間、globeは約2年ぶりのワンマンライブも再開させ、特に2002年前半には3/30から6/6まで2ヶ月以上、ほぼ継続的にステージに立った。
この頃の小室の活動は完全にglobe中心になっており、Gaballも実質的な活動は行なっていない。
この時期のライブはトランスをメインに据えており、特に2001/12/8の特別ライブ「genesis of next」と、3/30~4/7のアリーナツアー「tour category trance」では、それが顕著だった。
小室はこの時、ミキシングコンソールの操作による音源のリアルタイムミックスをライブに導入し、それはキーボードの演奏よりも中心的な役割を果たしていた。
ドラムやベースもハードディスク中のシンセ音源が用いられており、小室はその音量のバランスを調整し、公演ごとに異なるミックスの音を聞かせた。
そのため両ライブではドラム・ベースがおらず、サポートはギターの木村健のみとなる。
この時期の小室はglobeをトランスに特化させたことで、たしかにパフォーマンスの面で一定の成果を出していた。
それがすべてのファンを納得させるものだったかはともかくとして、新しい音楽活動の可能性は示していたし、しかもそれは商業的にもそこそこの成績を上げていたのである。
ただそこに固執し過ぎたことで、2002年後半からは迷走を強めるようになるのだが、それについては別章で述べることにしたい。
この頃のglobeのライブでギター以外にサポートを付けず、小室がミキシングコンソールの操作を中心とするパフォーマンスを行なった点は、2004年にTM NETWORKのライブにも導入される。
その意味でこの時期のglobeの活動は、2004年のTMの活動の前提となったということもできる。
たとえば2001~02年のglobeは以下のようなライブを遂行した。
・ギター1人を加えたトランスの特別ライブ(「genesis of next」)
・ギター1人を加えたトランスのツアー(「tour category trance」)
・バンドを引き連れたトランスを含む全ジャンルツアー(「tour category all genre」)
・3人のみでの全ジャンル特別ライブ(「category trance & all genre」)
これに対してTM NETWORKの2004年ライブは、
・ギター1人を加えたトランス中心の単発ライブ(「Double Decade "NETWORK"」)
・ギター1人を加えたトランス中心のツアー(「Double Decade Tour」)
・バンドを引き連れたトランスを含む特別ライブ(「Double Decade Tour Final」)
となっており、まったく対応するわけではないものの、globeのライブを下敷きにしているように見える。
逆に言えば、小室は2002年から2004年まで、新しい活動形態を思いつかなかったといえるかもしれない。

「Double Decade "NETWORK"」より、ツマミイジイジ小室
小室自身の活動ではないが、この頃軟式globeというのがあった。
バラエティ番組「学校へ行こう」の1コーナー「B-RAPハイスクール」で、2002/6/18から2003/3/25に常連として出演していたグループである。
パークマンサーとコイケの二人組で(もちろんMarcとKEIKOのパロディ)、コイケがglobe「Love again」の替え歌「I'm fallin' DNA」を歌い、パークが毎回ラップでネタを披露するというものである。
当時は中高生に結構流行ったらしく、小室関係のものが一般にブームになった最後の現象といえる。
2002/10/1には小室本人が番組に出演し、11/22にはパーク・コイケが小室・KEIKOの結婚式二次会に出ている。
さて、この頃の小室がGaballとglobeを軸として、トランスを追求する中で、例外的に企画モノに関与したことがある。
avexのsong+nationである。
きっかけは2001/9/11のアメリカ同時多発テロ事件である。
少し前までアメリカに住んでいた小室としては、衝撃は大きかっただろう。
この事件を機に、小室哲哉と松浦勝人は、チャリティ企画としてsong+nationを立ち上げた。
小室書き下ろしの曲を二人のavex所属歌手に歌わせるというものである。
この企画の一環として、12/12浜崎あゆみ&KEIKO「a song is born」、12/19倖田來未&BoA「the meaning of peace」、12/27安室奈美恵&VERBAL「lovin' it」が、シングルとしてリリースされた。
特に「a song is born」は1位、44.1万枚の売り上げを出した。
以後2010年のAAA「逢えない理由」まで、小室作品の1位獲得は長く途絶えることになる。
ただし浜崎単独名義ではないためか、浜崎作品としては、この前後の他作品よりも売上が低い。
2002/1/23にはアルバム「song+nation」がリリースされた。
1位・15.5万枚の成績である。
小室が全曲作曲・プロデュースしたアルバムとしては、これが最後の1位作品だと思う。
アルバムでは3曲のシングル曲以外に、avex歌手が歌う7曲が収録された。
歌手は持田香織(Every Litte Thing)・伴都美子(Do As Infinity)・hitomi・HΛLNA(HΛL)・TRF・BALANCe・KEIKOとなっている。
TRF収録曲は「One Nation」で、zentoの非売品楽曲「extacy of nature」の日本語版である。
BALANCeは既発表シングル「Get Into You Suddenly」が収録された。
KEIKO「Lights brought the future」は、同時多発テロの被害者の命を光に見立てて歌ったバラードである。
2001/12/1府中の森芸術劇場での早稲田大学Gree Clubとのジョイントライブや、2001/12/8「genesis of next」で披露されていたもので、2002年2月発売のglobe「Lights」にも収録された。
「Lights」のタイトルはこの曲から来ている。
song+nation楽曲はいずれも売れ線のJ-POP楽曲であり、チャリティ用に一般向けの楽曲を手掛けたものといえる。
これに対して3/6にリリースされた「song+nation 2」は、song+nation楽曲のトランスミックスであり、いかにも当時の小室の関心が現れているが、この企画でなぜトランス?とも思う。
成績も40位、1.4万枚で、前作とは比べ物にならない。
一般にはほとんど存在も認知されていない作品だろう。
しかしそれにしてもこの頃の小室は、1月に「song+nation」、2月に「Lights」、3月に「song+nation 2」、4月に「Lights2」と、なんと4ヶ月連続でアルバムをリリースしており、1枚はリミックスだとしても、その精力は驚くべきである。
さらに1/30には「サイボーグ009」のサウンドトラックもリリースされている。
小室息切れ直前の最後のラッシュだったと言えるだろうか。
以上、avexの企画モノとしてsong+nationに触れたが、もう一つ、吉本の企画もあった。
これについてはTM NETWORKが絡むため、別章で触れることにしたい
記録は「トップ100にチャートインしたCDアルバムに収録された同じ曲のバージョン/リミックスが最多数」とのことです。
原文は、以下の通りです。
The most versions/remixes of one track on a top 100 CD album is 36, achieved by Tetsuya Komuro (Japan) with all versions/remixes of the song Get Wild appearing on the album Get Wild Song Mafia, released on 5 April 2017 in Japan.
正直この記録が「achieved by Tetsuya Komuro」となっているのは腑に落ちません。
「Get Wild Song Mafia」はTM NETWORK3人の名義の作品なのに…。
ただメディアもすべて「小室哲哉の業績」として本件を紹介しています。
これはおそらくavexの小室さんのスタッフが、話題を作ろうと考えて申請したものだからであり、その受賞情報もavexスタッフが広報したためでしょう。
正直、音楽的な価値は何もない記録で、別にどうでも良いことではありますが、ここに目をつけたスタッフは、スタッフとしては有能なのだろうと思います。
あえて言えば、TMが(小室さんが)こうなってしまった今、小室さんへの最後のはなむけとはなるでしょうか。
またはこれで小室さんの意欲も湧いて、活動再開への糸口となる可能性もあるかもしれません。
なお「Get Wild Song Mafia」は、同日3/8にCDショップ店員が選出する「第10回CDショップ大賞2018」リビジテッド賞にも選ばれています。
また小室さんは1/23(引退会見4日後)に、第18回ビートたけしのエンタテインメント大賞で功労賞を受賞しました。
小室さんは2/25の表彰式を欠席しましたが、たけしさんは、
あれだけ日本中の音楽が変わった時代も珍しいよな。日本中どこにいっても小室哲哉という名前は必ずどっかに出てくるよね。日本中の音楽の流れが一極に集中しちゃった時代だからね。一時代を築いたことは間違いない。
とコメントしたそうです。
全体的に最後のご祝儀的な印象はぬぐえませんが、最後まで惜しまれつつ引退したのだとは思います。
小室さん最後の仕事となっている「ラストアイドル 2nd season」では、3/10放送分で小室さんがラストアイドルへの提供曲のアレンジを変えてきました。
これが小室さん最後の音ということになるのでしょうか。
このニューアレンジ、最初のよりも改善された印象は受けましたが、秋元康さんプロデュースのシュークリームロケッツに負けてしまいました。
翌週3/17放送分では5組の総当たり戦が終わりました。
3/24には上位3組で勝負して、1位を決める段取りになっていると思われます。
これで1位となったユニットの曲が4/18リリースのCDの表題曲となります。
現時点ではつんく♂さん・織田哲郎さんが3勝1敗で上位3組入りが決定し、指原莉乃さんは全敗で落選が決定しています。
決勝進出の残り1枠は、2勝2敗の小室さんか秋元さんかまだ発表されていませんが、以前番組で行なったweb人気投票の結果を参照して決められると見られます。
これで小室さんが勝てば、もう1回だけ小室さんが番組に登場する可能性があります。
ただ勝っても出ない気もしますし、もうどうでもいいかな…とも感じています。
ウツは2/28にソロ25周年記念アルバム「mile stone」をリリースしました。
通常版は28位・2556枚、限定盤は81位・787枚で、合計3000枚を越えました。
前作「T.UTU with the Band All Songs Collection」の29位・2258枚は上回った感じです。
また去年10月からFM NORTH WAVEで放送されてきた「ξUTSU BARξ 440」は、アルバムのプロモーションも終わったということで、今月で終了とのことです。
このスケジュールは当初の予定通りでしょう。
4月からは「「それゆけ歌酔曲!!」ξIdiosξ」が始まります。
木根さんについては、特に新情報はありません。
では本題に入ります。
-----------------------
2001年当初の小室が想定していた音は、おそらくトランスとR&Bだった。
2001年3月にリリースされたglobe「outernet」はトランス、4月にリリースされたKiss Destination「AMARETTO」はR&Bを主軸としていた。
なおおまけながら「AMARETTO」には、「永遠と名づけてデイドリーム」のインストとして「デイドリーム」が収録されている。
Kiss Destinationは、ボーカル麻美の妊娠と離婚によって実質的に活動を終えた。
出産は2001年9月、離婚は2002年3月である。
2001年の時点では、妊娠に伴う活動「休止」に過ぎなかったが、離婚によって活動は不可能になる。
これ以後小室は、R&B路線から離れることになった。
Kiss Destinationは、先行シングルをROJAMでリリースしながら、なぜか「AMARETTO」をポニーキャニオンからリリースした。
一般の流通に乗せてセールスを上げることを目論んでのことだろうが、この挙はインディーズレーベルROJAMの通販戦略の失敗を認めたも同然である。
しかも本作の成績は24位・2.1万枚に終わった。
前作「Gravity」の7位・6万枚も成功とは言えないが、これと比べても大きく売り上げを落としている。
globe「outernet」も9位・14.9万枚と、この時点ではglobe史上最低の売上に終わったが(前作のオリジナルアルバムである1998年の「Relation」は1位・173万枚)、それでもKiss Destinationと比べれば、まだ可能性は残っていたといえる。
Kiss Destination休止の中で、小室はglobeと新ユニットGaballを活動の中心とするようになる。
globeは従来通りavexから、Gaballは吉本R&Cから作品をリリースした。
さらに小室は10/24アンビエント系のインスト曲を、ソロシングル「Blue Fantasy ~Love & Chill Out~」としてリリースしている。
オリジナル曲のソロシングルとしては、1992年「Pure」以来9年ぶりである。
(1997年「Speed TK-Remix」は小室によるリアレンジ曲)
翌年には本作のリミックス9バージョンを収録したアルバム「Blue Fantasy ~Love & Chill Out with Trance Remixes~」がリリースされた。
「Blue Fantasy」はFoa Recordsからリリースされた。
またTM NETWORKのVHS/DVD「Live Tour Major Turn-Round」はポニーキャニオンからリリースされ、小室が名目的にエグゼクティブプロデューサーを務めたウツ・木根作品はROJAMからリリースされた。
つまりこの時期の小室関係作品は、以下のレーベルからリリースされたことになる。
・globe =avex
・Kiss Destination・TM NEWORK =ポニーキャニオン
・Gaball =R&C
・ウツ・木根ソロ =ROJAM
・小室ソロ =Foa Records
以上の中で小室の活動の中心となったのはglobeとGaballであり、両ユニットではともにトランスが試みられた。
これ以後2004年まで小室哲哉が音楽的に追及したのは、一貫してトランスだった。
小室哲哉にとっての2000年代前半とは、一言で言えばトランス期である。
90年代における音楽的嗜好のめまぐるしい変化と比べると、この長期的な継続には驚かざるを得ない。
小室がトランスにはまるきっかけは、2000年頃にロスアンゼルスで偶然聞いたChicaneの曲だったという。
2000/3/27リリースの「Behind The Sun」がヒットした頃の話だろう。
小室がアンビエントに手を出したのも、Chicaneの作品からトランス・アンビエントの双方へと関心が向いたものかもしれない。
トランス期小室はDJ Dragonと特に親密だった。
小室が彼とVJ原田大三郎と組んだのがトランスユニットGaballである。
GaballはTM NETWORK「CAROL」の物語で登場したユニットGaball Screenに由来する名称で、レーベル名もR&C内のGaball screenとなっている。
このレーベルには、後にTM NETWORKも所属することになる。
Gaballの構想は原田が「Tour Major Tunr-Round」に関わった頃からあったと見られ、ツアー終了から間もない2001年3月頃には、小室・Dragon・原田の3人で活動する計画が公言されている。
Gaballのデビューは2001/9/12アルバム「Represent_01」である。
「01」とある以上は「02」以後も(さらに言えば「10」以上まで)作成する意気込みだったのだろうが、結果としては現在までこれが唯一のオリジナルアルバムとなっている。
ただ歌が入っていない分、当時の小室が追及したかった音は、本作でもっとも先鋭的に表現されている。
本作収録の「Represent_01」「Kuta Moon」は、逮捕直前までMySpaceでリミックス音源が公開された(現在まで未商品化)。
2011/8/19「FREEDOMMUNE 0」でも、「Represent_01」「Going Out Thing」が演奏予定だった(イベントは中止になったが、その日の夜に小室がスタジオライブを配信)。
小室としては意外とGaballの楽曲に愛着があるようである。
なお2002/6/26リリースのGaball「Ungraded」は、既発表曲1曲+リミックス1曲のCDに、「Represent_01」収録曲の映像入りDVDを同梱したものだった。
こちらは実質的には、原田の映像がメインの作品である。
GaballにVJ原田が参加したのは、ライブ活動の重視を示している。
9/19にはSOTECの「WORLD PC EXPO 2001」でライブを行なっており、ストリーミング配信も行なわれた。
11/16にはZepp Tokyo、11/24には名古屋OZONでライブが行なわれている。
詳しくは分からないが、zentoのイベントでも、DJ Dragonや原田が参加することがあったらしい。
Gaballのワンマンライブは2002年以後行なわれなくなるが、DJ Dragon・原田と小室の関係はトランス期を通じて継続した。
小室が2002年に渋谷WOMBで開催したトランスイベント「TK Presents Synthesized Trance」にも、二人は参加している。
なお「Synthesized Trance」は、私が確認している限りでは2002/7/24~12/25にvol.5まで開催が確認される(確認できていないものもあるかもしれない)。
vol.1とvol.2のライブアルバムも、TSUTAYA限定で販売された。
小室とDJ Dragonの共作では、多くtatsumakiの名義が用いられた。
具体的な作品としては、2000年にBALANCeがあったが、2001年にはウツソロや後述の「global trance」の他、小室ソロ「Speed TK-REMIX~炎のコマ」にも関わっており、2002年ではR9、Female Non Fictionの楽曲もある。
他にワールドカップ2002日本代表サポーターチームULTRASのシングル「AIDA決めてくれー!」やアルバム「ULTRAS 2002」も、DJ Dragonが中心となって制作された作品である。
後者にはTM「Seven Days War」リミックスの「Eleven Hearts War」や、「My Revolution 2002」も収録されている。
当時は勘弁してくれと、強く思ったものである。
原田は2000~01年TM NETWORK「Tour Major Turn-Round」のライブ用映像の制作を行なったが、その後「Double Decade "NETWORK"」以下の2004年TMライブの映像制作にも関わった。
さらに2008年には原田が制作した映像の上に小室が音をつける形で、「Arashiyama」(2006年DJ TK名義で発表)のロングバージョンが制作され、4/30にデジタル配信されている。
同年11月の小室逮捕直前まで関係を保った人物と言えよう。
この時期の小室の活動のもう一つの核だったglobeを見てみよう。
globeは2001/3/28「outernet」でトランスを試みてから、2003年まで発表した楽曲の多くがトランスとなった。
過去楽曲についても2001~02年に、「global trance」「global trance 2」としてトランス版が発表され(ただし小室がリミックスしたトラックはごく一部)、ライブでも過去楽曲はトランスアレンジで演奏された。
トランス期globeの本格的始動となったのは、2001/8/1リリースのシングル「try this shoot」である。
個人的には好きな楽曲である。
9/12には「global trance」をリリースする。
さらに11/14にはドラマ「スタアの恋」主題歌として、カバー曲「Stop! In The Name of Love」をリリースし、12/8にはアニメ「サイボーグ009」主題歌として、「genesis of next」をリリースするなど、2001年後半はトランスユニットglobeをアピールし続けた。
なお小室は「サイボーグ009」のアニメ音楽も担当し、サウンドトラックもリリースしている。
「try this shoot」は10位・7.6万枚、「Stop! In The Name of Love」は7位・14.4万枚、「genesis of next」は4位・9.6万枚の成績だった。
特に「Stop! In The Name of Love」は、2000年のシングル(10~13万枚)を越える売上で、2000年代のglobeシングル作品で最大の成績である。
また「genesis of next」はその実験性も含め、トランス期globeの代表曲となっている。
そして以上のシングルを収録した「Lights」は2002/2/6にリリースされ、2位・27.7枚の成績を出した。
これは「outernet」の9位・14.9万枚の倍近くの売上である。
これまでglobeのアルバムはベスト盤を除けば、ほぼリリースごとに売り上げを低落させ続ける傾向にあったが(例外として「Love again」166万→「Relation」173万)、この時は売り上げが持ち直している。
しかもトランスと言う音楽的実験を前面に出した上での成果である。
小室はここに大きな手応えをつかんだことだろう。
以後も長くトランスを続けるのは、この手応えがあってこそと思われる。
小室は逮捕後の音楽活動再開期、本作収録の「Many Classic Moments」を自分の代表作に挙げているが、これは本作への思い入れの強さを物語るものだと思う。
そして小室はなんと2ヶ月後の2002/4/17には、次のアルバム「Lights2」をリリースする。
「Lights」ラストの「fade in」を受け、「Lights2」は「fade in2 (part2)」でアルバムが始まる構成である。
先行シングルは「Over the Rainbow /Inspired from Red&Blue」しかなかったが、「Lights2」はチャートで2位、16.4万枚を記録した。
この間、globeは約2年ぶりのワンマンライブも再開させ、特に2002年前半には3/30から6/6まで2ヶ月以上、ほぼ継続的にステージに立った。
この頃の小室の活動は完全にglobe中心になっており、Gaballも実質的な活動は行なっていない。
この時期のライブはトランスをメインに据えており、特に2001/12/8の特別ライブ「genesis of next」と、3/30~4/7のアリーナツアー「tour category trance」では、それが顕著だった。
小室はこの時、ミキシングコンソールの操作による音源のリアルタイムミックスをライブに導入し、それはキーボードの演奏よりも中心的な役割を果たしていた。
ドラムやベースもハードディスク中のシンセ音源が用いられており、小室はその音量のバランスを調整し、公演ごとに異なるミックスの音を聞かせた。
そのため両ライブではドラム・ベースがおらず、サポートはギターの木村健のみとなる。
この時期の小室はglobeをトランスに特化させたことで、たしかにパフォーマンスの面で一定の成果を出していた。
それがすべてのファンを納得させるものだったかはともかくとして、新しい音楽活動の可能性は示していたし、しかもそれは商業的にもそこそこの成績を上げていたのである。
ただそこに固執し過ぎたことで、2002年後半からは迷走を強めるようになるのだが、それについては別章で述べることにしたい。
この頃のglobeのライブでギター以外にサポートを付けず、小室がミキシングコンソールの操作を中心とするパフォーマンスを行なった点は、2004年にTM NETWORKのライブにも導入される。
その意味でこの時期のglobeの活動は、2004年のTMの活動の前提となったということもできる。
たとえば2001~02年のglobeは以下のようなライブを遂行した。
・ギター1人を加えたトランスの特別ライブ(「genesis of next」)
・ギター1人を加えたトランスのツアー(「tour category trance」)
・バンドを引き連れたトランスを含む全ジャンルツアー(「tour category all genre」)
・3人のみでの全ジャンル特別ライブ(「category trance & all genre」)
これに対してTM NETWORKの2004年ライブは、
・ギター1人を加えたトランス中心の単発ライブ(「Double Decade "NETWORK"」)
・ギター1人を加えたトランス中心のツアー(「Double Decade Tour」)
・バンドを引き連れたトランスを含む特別ライブ(「Double Decade Tour Final」)
となっており、まったく対応するわけではないものの、globeのライブを下敷きにしているように見える。
逆に言えば、小室は2002年から2004年まで、新しい活動形態を思いつかなかったといえるかもしれない。

「Double Decade "NETWORK"」より、ツマミイジイジ小室
小室自身の活動ではないが、この頃軟式globeというのがあった。
バラエティ番組「学校へ行こう」の1コーナー「B-RAPハイスクール」で、2002/6/18から2003/3/25に常連として出演していたグループである。
パークマンサーとコイケの二人組で(もちろんMarcとKEIKOのパロディ)、コイケがglobe「Love again」の替え歌「I'm fallin' DNA」を歌い、パークが毎回ラップでネタを披露するというものである。
当時は中高生に結構流行ったらしく、小室関係のものが一般にブームになった最後の現象といえる。
2002/10/1には小室本人が番組に出演し、11/22にはパーク・コイケが小室・KEIKOの結婚式二次会に出ている。
さて、この頃の小室がGaballとglobeを軸として、トランスを追求する中で、例外的に企画モノに関与したことがある。
avexのsong+nationである。
きっかけは2001/9/11のアメリカ同時多発テロ事件である。
少し前までアメリカに住んでいた小室としては、衝撃は大きかっただろう。
この事件を機に、小室哲哉と松浦勝人は、チャリティ企画としてsong+nationを立ち上げた。
小室書き下ろしの曲を二人のavex所属歌手に歌わせるというものである。
この企画の一環として、12/12浜崎あゆみ&KEIKO「a song is born」、12/19倖田來未&BoA「the meaning of peace」、12/27安室奈美恵&VERBAL「lovin' it」が、シングルとしてリリースされた。
特に「a song is born」は1位、44.1万枚の売り上げを出した。
以後2010年のAAA「逢えない理由」まで、小室作品の1位獲得は長く途絶えることになる。
ただし浜崎単独名義ではないためか、浜崎作品としては、この前後の他作品よりも売上が低い。
2002/1/23にはアルバム「song+nation」がリリースされた。
1位・15.5万枚の成績である。
小室が全曲作曲・プロデュースしたアルバムとしては、これが最後の1位作品だと思う。
アルバムでは3曲のシングル曲以外に、avex歌手が歌う7曲が収録された。
歌手は持田香織(Every Litte Thing)・伴都美子(Do As Infinity)・hitomi・HΛLNA(HΛL)・TRF・BALANCe・KEIKOとなっている。
TRF収録曲は「One Nation」で、zentoの非売品楽曲「extacy of nature」の日本語版である。
BALANCeは既発表シングル「Get Into You Suddenly」が収録された。
KEIKO「Lights brought the future」は、同時多発テロの被害者の命を光に見立てて歌ったバラードである。
2001/12/1府中の森芸術劇場での早稲田大学Gree Clubとのジョイントライブや、2001/12/8「genesis of next」で披露されていたもので、2002年2月発売のglobe「Lights」にも収録された。
「Lights」のタイトルはこの曲から来ている。
song+nation楽曲はいずれも売れ線のJ-POP楽曲であり、チャリティ用に一般向けの楽曲を手掛けたものといえる。
これに対して3/6にリリースされた「song+nation 2」は、song+nation楽曲のトランスミックスであり、いかにも当時の小室の関心が現れているが、この企画でなぜトランス?とも思う。
成績も40位、1.4万枚で、前作とは比べ物にならない。
一般にはほとんど存在も認知されていない作品だろう。
しかしそれにしてもこの頃の小室は、1月に「song+nation」、2月に「Lights」、3月に「song+nation 2」、4月に「Lights2」と、なんと4ヶ月連続でアルバムをリリースしており、1枚はリミックスだとしても、その精力は驚くべきである。
さらに1/30には「サイボーグ009」のサウンドトラックもリリースされている。
小室息切れ直前の最後のラッシュだったと言えるだろうか。
以上、avexの企画モノとしてsong+nationに触れたが、もう一つ、吉本の企画もあった。
これについてはTM NETWORKが絡むため、別章で触れることにしたい
この記事へのコメント
その後に「globe2 pop/rock」と来たのには驚きましたが、ロック好きの小室さんならではの嗜好が生きていて、いい意味で力の抜けた(手は抜いていない)作品でした。
やまびこさん、こんにちは。
お気を悪くさせたらすみません。揚げ足取りではありませんが訂正を。
ガボールがスクリーンに流したのは確か同時期に発生した同時多発テロの悲しみが綴られていたように思います。その上で次の作品の売上を寄付に宛てると考えたのでしょう。全盛期の頃阪神淡路大震災のときに自分の売上を復興に役立てようと考えたのと同じようにそのつもりだったのだと思います。しかし実際アルバムは発表されましたが売上が全盛期ほどではないために寄付の額(勿論額の問題ではありませんが)が小室さんが思うよりは少額になってしまったと思います。これは推測ですが、自分でそう宣言した以上は貢献できるくらいの額を寄付すると考えたのならもしかすると貯金や私財も寄付に宛てたこともあったかもしれません。もしかするとこれも私財を減らした原因になるかもしれませんが。
人間性を失わないようにと何度も努力したこともあったかもしれません。しかしそれに負けてしまうのは小室さんの力の無さというよりは独りで悪を絶つことはできなかったのでしょうね。
だから某占い師に頼ってしまうこともスピリチュアルにはまってしまうのも心が疲弊し弱くなってしまったからだと思います。
心が弱くなって見せてしまうとそれに巣喰いのように寄ってきてもっともらしいことを言ってそそのかすのは彼女ら彼らの得意技ですから強気でいるのは本人がプライドを強く持つしかないのですが。
それでも持てずに嵌まっていったのなら相当追い込まれていたのでしょうね。
この時期のミキシングやつまみいじりのライブは小室さんとしては手応えがあったようですが、そ
れを聞くに小室さんが音楽に没頭するしかないのはお金を得て生活のためでもあるのでしょうがやはり自分を守るための防具なのでしょうね。
真人間でありたい、音楽家でありたい、当時はきっとそう思っていたのかなと考えてみたりもします。
管理人さん、皆様すみません。でしゃばりすぎました。管理人さんの記事にはいつも考えさせられたり納得したりします。文句のつけようがありません。
もし宜しければ今後の記事の言葉の足しにでもしていただけると嬉しいです。すみません。
同時に「電子音を如何に生のギター・ストリングス集団に聴こえる様に錯覚させるか」というのはやはり小室先生以外にプログラマー・ミキサーの力も大きかったんだな…と逆説的に突き付けられた気もしました。実際、そういう腕利きな裏方の皆様が参加していないであろう「Cream Of J-POP」ではそれが響いて人工的な匂いが抜け切れてない様に感じました。
懐かしくなってブックレットを見直しましたが「SPEED TK RE-MIX 炎のコマ」は東芝EMIから出て、「SYNTHESIZED TRANCE」では1つの新曲・GABALLの曲が「©ソニー」となっていて、R&CのワールドカップオムニバスにKEIKOさんが出たりと泥沼化していたのが伝わってきました。
そんな事情を何も知らないで一心不乱に小室先生の作品を目を皿にして探していたあの頃を思い出しながら、今は状況が状況だから久保こーじさんが関与している作品が気になりだしている今日この頃です。
失礼致しました。
第7部は管理人さん的にもやっぱりあまり書きたくないのかなーなんて推測してたので、連載(執筆?)が始まってビックリ&ワクワクしています。
私はTMも小室さんもウツも木根さんも好きですが、それぞれの絶頂期も、衰退期も含めて楽しんでいます。
なので管理人さんの、「人気の低迷など熱心なファンの方だったら目を反らしたくなる部分も、売上などの客観的なデータを用いて論じ、その上で自分の感想も添える」スタイルの文章に、とても読み応えを感じます。
2000年代はTMも各メンバーも暗い話が続きそうでテンション的にちょっとアレですが、更新を楽しみにしています。
90年代末頃の、ディケイドランとか10 Years~とかが30万枚くらい売れていれば、TMにとって明るい2000年代もあったのかなぁ。。
globeはpop/rockから、また新しい展開になりましたね。
Lightsおよびその前後のライブのglobeは、可能性を見せてくれていたと思っています。
ただTKファンやglobeファンの不興を買うことを覚悟で私個人の感想を書けば、
2003年以後のglobeは、がんばって褒めるところを探すことはできたとしても、
ファン以外の方に勧めるのは難しくなったて思います。
>やまびこさん
Gaballは、アルバムで完成しているということなのかもしれませんが、1時間のライブは短いですよね。
この時期はglobeもTMも、ライブが短くなっていましたね。
MTRツアーでの「次のTM」とは、おそらく当時計画されていたアジアツアーではないでしょうか。
このアジアツアー、具体的な話が全然出ていないのでよく分からないのですが、
2001年以後のTMの寂しさは、これがぽしゃったことが引き金だったのかもしれません。
まあアジアツアーなんてされても、こちらは見に行けないんですけどね…
>Mさん
2000年代の小室さんは意味の分からない社会貢献事業に手を出しますが、
同時多発テロについては、本当にショックを受けたような感じでしたね。
ガボールのライブの映像、私は見たことがないのでなんとも言えないのですが、
もしかしてUngradedの原田大三郎制作の映像と同じものでしょうか。
なんでこんな中途半端な商品を出すのかなあと思うのですが、
あるいはライブで使った映像の再利用でお茶を濁したのかも…と思いまして。
実際に2001年にはMTRツアー用の原田映像をDVDで商品化していますし、ありえるかなと。
企画物ということもあり、Song+Nationはなかなか振り返られない作品ですね。
全然注意していませんでしたが、Gaballの曲がSONYになっているんですね。
いったいどういうことなんでしょうか。
WCのアルバムにKEIKOが参加しているのは、さほど不審ではないと思いますよ。
オムニバス版に他社の専属ミュージシャンが参加することはよくあると思います。
>ニート寸前さん
初めまして。コメントありがとうございます。
私は売れていた曲が良いわけでも、売れなかった曲が悪いわけでもないと思います。
Actionなんて、TM歴代のベスト盤を作っても、入る曲じゃないかと思っていますし。
ただ売れなくなると小室さんのやる気がなくなったり、
プロモーションにお金を出してもらえなくなったり、
CDやDVDを出してもらえなくなったりするので、
活動の背景として売上など商業的成果にも触れざるをえないから触れているという感じです。
ディケランは実は23万売れていたから、まあまあだったんですよね。
その水準を保てれば良かったんですが、その後どんどん落ちましたからね…。
ディケイドランは再結成の話題性もあってけっこー売れたんですよね。10Years~もそこそこだったけど、ハピロンでコケちゃった。
個人的に10Years~は割りと好きでした。
親しみやすいメロディ、落ち着いた雰囲気のボーカル、ややブラックミュージックっぽい方向に寄せた、それなりに2000年代に対応した感じのアレンジなど、
21世紀に向けて大人になったTMって感じで、コレはコレでアリじゃないのと思ったんですが、
イマイチかつてファンクスだったヒト達に刺さらなかったみたいで、悲しかったです。
「10 years~」は悪くはないのですが、TMらしくないなと思いました。「IT'S GONNA BE ALRIGHT」も同じように、物足りなさを感じたものです。
解散以前の音は、凝ったリズム、いろんなシーケンスや裏メロが鳴っているバックトラックが見事に融合した、とても聞きごたえのあるサウンドでした。なかなかマネのできないサウンドだったと思います。そこを基準にすると、「10 YEARS AFTER」は薄っぺらい音に聞こえたというのが正直なところです。
「GET WILD DECADE RUN」は曲の世界観もあって、少ない音数でも違和感はなかったのですが…
>ぽこさん
コメントどうもです。色々な感想があるものですね。個人的には、薄い音だとは思いましたが、薄っぺらい音だとは思いませんでした。
推測ですが当時は、いわゆるTMらしい分厚くて派手な音を打ち出すのが憚られる状況だったのではないかと。
90年代末は小室さんにとって、globeもプロデュースするアーティストもセールスが目に見えて下降した、逆風の時期だったかと思います。
そうした中で復活させたTMで、TMの、あるいは小室さん自身の全盛期のよーなサウンドを打ち出せば、
TMも小室さんも、「時代に乗り遅れた上に過去に固執するオッサン」みたいなイメージを世間から抱かれてしまう、
そんな感じの危惧が小室さんにあったんじゃなかろうか、と。
TMが同窓会でなく、21世紀に活動していくミュージシャンであるコトを世間にアピールしたい。
そのために、当時のJポップのトレンド(宇多田氏だったりMISIA氏だったり、ブラックミュージック的な洋楽の要素をもつ邦楽がウケていた覚えがあります)に寄せつつ、
小室さんらしい分厚い作り込みを意図的に取り除いた、しなかったのが、10Years~だったんじゃないかと思っています。
それを私は割りと好意的に受け取った、ってなトコです。
ま、結果として10Years~は20万枚に届かなかった(=旧ファンクスを再度TMに引き付けるに至らなかった)のですが。。
20周年ライブで演奏されて、再評価された印象があります。
好き嫌いはあれ、終了前のTMや、最盛期TKプロデュースとは異なる作風を目指していたんだとは思います。
逆にそれで失望した旧TMファンも多かったのでしょうね。
私の母校は大阪桐蔭高校です。2001年時点では2年生でした。この時に、大学進学を見据えて、クラス単位でバスを貸し切り、甲南大学、関西大学のキャンパスを見学に行くという企画がありました。甲南大学に到着する直前に、バス車内のBGMで流れたのが、「try this shoot」です。
この時の印象は、やかましいサウンドで、これでは売れないだろうなということでした。当時の私は、関西のラジオ局が夜に放送した、トップ10形式の音楽番組を聴くことが多かったのですが、「try this shoot」を聴いたことはありませんでした。
トランスサウンドは、日本ではマニアックなジャンルで、大ヒットした事例はありません。でも、最近ではYouTubeにおけるglobeの、トランス期楽曲のMVについて、「最近のEDMを先取りしていた」といったコメントを見かけます。当時のglobeは、先見性がありすぎたのでしょうか。
・SUPER JUNIOR-M「Super Girl」2009年
https://www.youtube.com/watch?v=RePjMjmKtqI
・DALSHABET「PINK ROCKET」2011年
https://www.youtube.com/watch?v=BmOW0xiTEzo
シンセサイザーの電子音を長年にわたり聴き続けると、われわれリスナーも慣れてくるのかもしれません。
globeのトランスが流行らなかったのは音色の問題よりは、長すぎるイントロなど、ポップスのリスナーの需要を考えない作りだったんじゃないでしょうか。そこに寄り添う必要は全然ないんですが、ヒットチャートに出たいんなら、あのままじゃ無理だったと思いますよ。
https://www.youtube.com/watch?v=dbUk2W9P8x8&list=RDdbUk2W9P8x8&start_radio=1
が最初だと思います。この曲のウィキペディアには、「トランスをベースにした楽曲になっている」と書かれています。
個人的には好きな曲ですが、これと比べれば、2001年以降におけるglobeのトランス曲は、イントロが長すぎるなど、大衆性に欠けるのは否めませんね。