7-6 キヲクトキロク
6/27リリースの「TETSUYA KOMURO ARCHIVES」の収録内容について、既発表のT盤・K盤に加えて、6/19に9枚組BOXのボーナスディスクの内容も公開されました。
T盤4枚・K盤4枚・ボーナスディスク1枚の9枚の内容を見るに、選曲は1990年代が中心で、全体の過半を占めています。
ただ注目すべきはむしろ2010年代、逮捕後の音楽活動再開期で、いろんなところに単発で提供され入手が難しかった楽曲が集められています。
私には、こんなのあったの?て思ったのもありました。
2010年代分を入手するだけでも価値があるかもしれません。
もしかしたらこの選曲、発売中止になった「JOBS#2」の残骸なのかもしれないです。
未発表曲としては、K盤に梅田彩佳 「MY HISTORY」と、Tetsuya Komuro feat. Beverly「Guardian」、ボーナスディスクに甲斐よしひろ「against the wind」が収録されます。
「Guardian」は今後ゲーム関係の商品に収録される可能性もありますが、他の2曲は多分この商品以外では聞けないものになるでしょう。
なお 「MY HISTORY」は新曲、「against the wind」は1999年頃にレコーディングされながら、これまでお蔵入りしていた曲です。
他に1980年、Missオレンジ・ショックの「愛しのリナ」あたりも、一部のコアファンには嬉しいところでしょうか。
郷ひろみとかtaecoとか、単発TK作品を集めたい方にも重宝するかと思います。
もっともTKファンには一定の意義はあっても、TMファンには特に意味がある作品にはならなそうです。
TMの収録曲は「Self Control」「Get Wild」「Beyond The Time」「Seven Days War」「Get Wild '89」「Love Train」「I am」の7曲ですが、ファンならだいたい持っているものでしょう。
私としては、出費する必要がなくなったので安心しているところです。
「TETSUYA KOMURO ARCHIVES」と同日には、リットーミュージックよりTower Record限定で、「Tetsuya Komuro Interviews Complete Edition 2018」が発売されます。
4860円です。
これまでリットーミュージックからは、2013年までの「Keyboard Magazine」「Keyboard Landの小室さん記事を集めた電子書籍「Tetsuya Komuro Interviews」vol.0~4、2014年分の記事を加えて白黒印刷された「Tetsuya Komuro Interviews Complete」が発売されていましたが、今回のはこれに2015年以後の記事を加えてカラー印刷にしたものです。
これで3回目ですが、さすがにこれで完全版でしょうか。
他の雑誌でもこういうの出ませんかね。
ウツはソロ25周年のファイナルツアー開催が発表されました
9/21~11/23の2ヶ月で11公演です。
て、あれ、最終日にはすでに26年目に入っているんですが…。
今回はT.UTU with the BAND名義でもU_WAVE名義でもない、久しぶりのウツソロのバンドツアーです(2012年以来)。
特徴的なのはバンド編成で、ギターの西山毅さんの他は、キーボードが土橋安騎夫さん、浅倉大介さん、nishi-kenさんの3人となっています。
キーボード3人編成、何か特別な狙いはあるんでしょうか。
木根さんはDVDと「2525ツアー」の宣伝のためか、6/16にFM西東京の「WEEKLY MUSIC TOP20」に出演しました。
また8/24にはかつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールで、渡辺美里さんのツアーにゲスト出演するとのことです。
木根さん作曲の曲をやるんでしょうか。
美里さん、少し前に「ribbon」の豪華版アルバムを出したので、「さくらの花の咲くころに」あたりをやるかもしれません。
それでは本題に入ります。
---------------------
2002/10/31にTMのシングル「Castle in the Clouds」がリリースされた直後、11月初頭にアルバムのリリースが発表された。
「Castle in the Clouds」リリース前に決定していた企画だろう。
アルバムのリリースは、翌年2/5とされた。
当時のHMVのサイトの解説文は以下の通りである。
上記にあるように、翌年発売予定のアルバムは、未発表楽曲・未発表テイク・デモ音源に加え、ROJAM時代の楽曲を収録するというものだった。
この企画版は「キヲクトキロク~Major Turn-Round」と題してリリースされた。
DISK1の蔵出し音源集と、DISK2の「Major Turn-Round」を合わせた2枚組で、3240円で販売された。
TMのアルバムタイトルが日本語なのは、2018年時点で史上これだけである。
小室は後まで自らの栄光を振りかえる際に、この「記憶と記録」という言葉を使い続けた。
「Tour Major Turn-Round」のスクリーンに映し出された3人のメッセージ中の「記録と記憶」に由来するタイトルと考えられる。
ジャケットは何を撮影したものかよく分からないが、スタジオのカセットデッキだろうか。
ライナーの中にも3人の写真は使われていない。
結論から言っておくと、本作はベスト盤を除く歴代のTMアルバムの中で、最低の作品である。
新作に当たるDISK1には、実際ほとんど商品価値が存しないため、インディーズ盤「Major Turn-Round」を抱き合わせ販売したものと考えられる。
それまで「Major Turn-Round」は一部店舗を除いて一般流通に乗らず、ROJAM POPSHOPから送料500円込みで通販購入するしかなかった。
だが「キヲクトキロク」の発売により、「Major Turn-Round」を店舗購入することが可能になった。
つまり「Major Turn-Round」の購入に便宜を与えたと言う点において、本作は後発ファンにとって、多少の意味はある商品となった。
なお2002年9月にはROJAMとR&Cが、お互いに株式を持ち合うことにして、連携関係を強めている。
このことも「Major Turn-Round」がR&Cから再販される前提になっただろう。
ただROJAMは「キヲクトキロク」のリリースによって、ほとんど唯一の売れ筋商品を失うことになった。
一応新作となるDISK1の内容は、デモや未発表テイクを集めた1994年の「Groove Gear」に類する内容となっている。
「終了」以前のEPIC/SONY関係の音源が収録されていないのは、おそらく権利関係の問題があるのだろう。
ただSONY系列のTRUE KiSS DiSC時代の音源は収録されている。
唯一の「終了」以前の音源として、1991年の「月とピアノ」が収録されている。
(アルバムには「EPILOGUE 1991~月とピアノ~」として収録)
これは当時ヤマハから出版された「K's Magazine vol.3」の付録CDに収録されたもので、SONYは関係していない。
うまい具合に穴を見つけたというところだろう。
ただしこれはTM曲というよりは小室ソロ曲というべきものである。
これが「キヲクトキロク」に収録されたことによって、初めてTM曲としてロンダリングされたとも言える。
小室によるピアノ演奏音源である「CAROL」「In The Moment」も、もともとTM用の音源として作られたものだったのかは疑わしい。
音源の出どころも明らかではない。
木根のピアノ演奏音源である「We Are Starting Over」に至っては、1999年の木根ソロライブ「talk & live vol.5」のパンフレットの付属CDに収録されたものであり、後にTM曲になったとはいえ、本来は木根ソロの音源である。
以上4テイクと「Get Wild」ライブ音源を除く7テイクの内訳を見ると、TRUE KiSS DiSC時代の楽曲は4テイク、ROJAM時代の楽曲は2テイク、R&C時代の楽曲は1テイクとなる。
この中でデモ音源もしくはプロトタイプ音源に当たるものは、「Get Wild Decade Run」「It's gonna be alright」「Castle in the Clouds」の3テイクである。
既述の「We Are Starting Over」もプロトタイプ音源に数えても良いだろう。
またオリジナル音源の制作後にリミックスされた音源としては、「10 Years After」「Happiness×3 Loneliness×3」の2テイクがある。
この他に、新たに制作されたリミックス音源が2つある。
「Worldproof」「MESSaGE」である。
後述するように、これはアルバムリリースに当たり制作された新作だが、リミックスの担当はいずれも小室ではない。
以上のようにDISK1は、種々の未発表音源や他者のリミックス音源をまとめたものであり、本作リリースに合わせて改めてメンバーが関与した形跡はない。
TMライブで本商品のアレンジを意識して演奏を行なった例も、せいぜい2003~08年の「CAROL」のピアノソロくらいだろう。
ただし2019年のウツソロツアー「Dragon The Carnival」では、「In The Moment」がSEとして用いられている。
なお木根がこの頃の動向を記した「新・電気じかけの予言者たち」には、「キヲクトキロク」は一切登場しない。
本作は当時の出来事を時系列上に記す構成を取っており、文筆家の作品としてはどうかと思うところもあるが、一方で木根の目に入った情報をそのまま知ることのできる素材ともなっている。
そこに「キヲクトキロク」が登場しないのは、ウツ・木根がまったくタッチせずリリースされたことを意味しているのだと思う。

チラシでもわざわざ「TMを愛するスタッフがファンへ贈る」とされている(TMが贈るのではない)
リリースに当たってのプロモーションも、ほとんど行なわれなかった。
ライブはもちろん、雑誌のインタビューなども確認できない。
ただそうした中でNHK-FM では2002/12/24に、FANKS出自の中村貴子をパーソナリティとして、特番「TM NETWORK special 」が組まれ、TMを招いて2時間のトークが行なわれた。
本番組は12/31にも再放送されている。
この時には未発表音源として「CAROL (Unreleased Piano Version)」が放送され、小室は「倉庫から出てきた」と言っている。
同番組ではさらに、「キヲクトキロク」のリリースについても告知され、小室は「買ってもらえなかったものを集めた」「コレクション」などと、ささやかに述べている。
さすがに誇らしく宣伝する気にはなれなかったのだろう。
収録音源には、どうしても聴く必要のあるものは存在しない。
熱心なファンでも金を払う価値があるのは、「月とピアノ」「Happiness×3 Loneliness×3」「10 Years After」「Castle in the Clouds」くらいだと思う。
「It's gonna be alright」には記念音源としての意味もないことはないが、それこそROJAMで無料配信すれば十分な代物である。
なおDISK1収録の12テイクの内で半分に当たる、「CAROL」「10 Years After」「In The Moment」「Worldproof」「We Are Starting Over」「月とピアノ」の6テイクには、ウツの歌が入っていない。
この点でも本作は、TM色が薄い商品となっている。
この中で「Worldproof」を除く5テイクは、そもそもTM用音源として作られたものかも怪しいものである。
(少なくとも「We Are Starting Over」「月とピアノ」は明らかに違う)
TMは2年ぶりの再始動シングルの後に、なぜこんなものをリリースしたのだろうか。
ここで思い出されるのが、秋のリリースが計画されていたTMのリミックスアルバムである。
これは2002年初めにTMメンバー間で合意された後、春にはメンバーによって公言もされていた。
ところが夏に「Castle in the Clouds」の件が具体化する頃からこの件は語られなくなり、結局制作作業に入ることはなかった。
TMはR&Cに移籍した際に、年度内にアルバム・シングル1枚ずつのリリースを契約していたのだろうが(2003年度にもシングル・アルバム各1枚をリリース)、ある時点で年度内の新作アルバムリリースが困難な見込みになったため、代替措置として音源集リリースが決定されたのだろう。
ただそれにしても、再始動直後の大事な時期に、このような商品しかリリースできなかったのはどういうことか。
タイミングから見て、リミックスアルバムの中止も「キヲクトキロク」リリースも、「Castle in the Clouds」リリース以前には決定していたはずだから、これらの事態は「Castle in the Clouds」のセールス不振を背景としたものではない。
私はこの事情について、ある可能性を考えているのだが、これについては別の章で触れることにしたい。
ただ事情は何であれ、個人的にはここまで無残な商品を出すくらいなら、再始動後の全シングル集を出してくれた方がよほど意味があったと思う。
当時TRUE KiSS DiSC時代のシングルはまだアルバムにまとめられていなかった。
またROJAM時代のシングルも「Major Turn-Round」ではアルバムミックスになっているから、シングルバージョンを聴くことができるアルバムは当時存在しなかった(「MESSaGE」「We Are Starting Over」は2020年に「Gift from Fanks T」に収録された)。
当時は既発売シングルだけでも、「Get Wild Decade Run」「It's gonna be alright」「10 Years After」「Happiness×3 Loneliness×3」「80's」「MESSaGE」「Ignition, Sequence, Start」「We Are Starting Over」の8曲が存在していたから、これに最新シングル「Castle in the Clouds」「君がいる朝」を収録するだけで、アルバム1枚には十分な分量である。
吉本としては、既発表音源の寄せ集めよりは、未発表テイクを出した方がまだ売れるだろうと言う判断だったのかもしれないが、結局その結果作られた「キヲクトキロク」は、単独では商品になりえないカステイクの寄せ集めになってしまったという印象である。
本商品はチャートでは、初動25位・1.4万枚の成績を出し、最終的には2.1万枚を売った。
2000年にSONYが出した間に合わせベスト盤「Best Tracks」(26位、3.5万枚)と比べると、ランクはほぼ同じだが、売り上げは6割程度である。
ファンのほぼすべてが持っているであろう過去音源を集めたベスト盤よりも売れなかったのである。
本作に対するファンの失望がうかがえよう。
なお2004年にもSONYからベスト盤「Welcome to the Fanks!」がリリースされているが、これは18位・2.9万枚の成績であり、やはり「キヲクトキロク」よりも売れている。
以下ではDISK1収録の音源について簡単に見ていこう。
ただ既発表音源である11・12曲目の「月とピアノ」「We Are Starting Over~ずっと好きだった(Naoto Kine Piano Instrumental Version)」については、すでに触れたこともあるので(1・2)、ここでは改めて触れない。
また唯一のR&C時代の楽曲として9曲目の「Castle in the Clouds (Yabe Version)」があるが、このテイクについても以前触れたので、内容は割愛する。
1曲目は、「CAROL (Unreleased Piano Version)」。
これは「CAROL」組曲中の「A Day in the Girl's Life」のピアノ演奏である。
2003/9/6・7開催の「Fan Event in Naeba」での演奏は、おそらくこれを意識しているのだろう。
2007~08年のTMライブでも演奏された。
少し飛ばして6曲目の「In The Moment」に触れよう。
新曲ではあるが、曲名はアルバム収録に当たって決められたもので、元のテープには「PIANO #1」とだけ記されていたという。
要するにデモテープの最初にあったものを収録したのである。
実際のところ、TMの曲として作られたものかどうかも不明である。
両テイクはともに某年1月25日に、東京ベイブリッジスタジオで録音されたという。
おそらく同じ年にレコーディングされたものだろう。
日付まで分かって年が分からないのは不自然で、古いものである可能性を匂わせるために年を伏せたものと考えられる。
1998年、小室はピアノアルバムをリリースする計画があったが、秋に無期延期となったことがある(後に2003年3月にリリース)。
あるいは両音源はこれと関わるもので、1998年以後に録りためていた音源の一部だろうか。
ならば候補として1999・2000・2001・2002年がありえるが、2000/1/25は「Touch the globe LIVE!」名古屋公演の日であり、2001/1/25の小室は上海にいるので、ともに東京のレコーディングはない。
だとすると1999年か2002年ということになる。
もう少し絞り込む材料があれば確定できそうだが…。
8曲目は「Get Wild (Live from 2001 RENDEZVOUS IN SPACE)」。
これは2001/1/1に開催された沖縄ライブの音源で、すでにテレビで放送されていたが、商品化はされていなかった。
ただしライブアレンジも演奏メンバーも「Tour Major Turn-Round」と同じでなので、DVD「Live Tour Major Turn-Round 02」を持っていれば、さほど意味があるものではない。
どうせ「Get Wild」を入れるのならば、未商品化の「Log-on to 21st Century」の音源を入れていれば、それなりに価値の高いものになったはずだが、権利関係で難しかったのかもしれない。
沖縄ライブでは1番Aメロの「チープなスリルに身を任せても」のところで、ウツが歌詞を噛むというミスをしたが、この音源ではその部分が上からかぶせた別音源で修正されている。
しかしその音質が明らかに前後と異なり、大変気持ち悪い。
このあたりは極めて雑な仕事といわざるを得ず、この商品のやっつけ具合が端的に現れている。
むしろこれくらいなら、修正しない方が良かったと思う。
これと「Get Wild Decade Run ('99 Version)」は、2017年の「Get Wild」歴代トラック集成アルバムである「Get Wild Song Mafia」「Get Wild 30th Anniversary Collection」にも収録されていない。
R&CのライブDVD「Double Decade "NETWORK"」に入っている「Get Wild」の音源は収録されているので、レーベルの問題でもないようである。
関係者からも存在を忘れられた商品だったのだろう。
2~5曲目は、TRUE KiSS DiSC時代の楽曲である。
制作が古い順に挙げていこう。
まず4曲目「It's gonna be alright (TK Vocoder Version)」は、1999年6月のハワイレコーディング以前、1999/4/30に日本で作ったラフミックスである。
再始動期TMの音源の中では、現時点で商品化されているもので最古のものである。
2曲目「Get Wild Decade Run ('99 Version)」は、シングル盤「Get Wild Decade Run」完成の3日前、1999/6/18にできたラフミックスである。
以上2テイクについては、以前触れたことがある。
あとの2曲は海外のアレンジャーによるリミックスである。
いずれも原曲と大幅に異なるアレンジであり、本音源集中でも多少の価値は認められるテイクである。
まず3曲目「Happiness×3 Loneliness×3 (Club Mix)」は、レコーディングは1999年だが、月日・場所は不明である。
だがオリジナル音源の制作は11月であるから、そのリミックスが同年中に制作されたのならば、それは11~12月ということになるだろう。
リミックスを行なったのはBobby D'Ambrosioで、早くからメジャーアーティストのリミックスを手がけていた人物である。
当時はニューヨークで活動するDef Mix Productionsに属していた。
ハウスなどクラブ系の音に通じた人物だったらしい。
本テイクではボーカルは同じながら、原曲からは大幅にアレンジが変えられている。
原曲はフラメンコギターなどを入れ、ラテン風の雰囲気が強いが、こちらはラテン的な要素を薄め、クラブ風のパーカッションを強調したオケになっている。
曲の長さも8分以上で、原曲の約2倍である。
このアレンジを聞くと、この曲の歌メロが極めて平坦で、半ばラップ状態だったことが、原曲よりもよく分かる。
ウツも歌うのは大変だっただろう。
逆にこれほど平坦な歌メロであるにもかかわらず、原曲がそれなりにメロディアスに感じられるアレンジだったことは面白い。
問題はこのテイクは何のために作ったのかということである。
ROJAMのMailing ListであるTM NEXTで配信された解説には、「この制作時に、小室哲哉が世界各地のアーティストにリミックス及びリプロダクションを依頼。 そのときの音源集から見つけ出した未発表テイク」とあるが、結局よく分からない。
私は一つの可能性として、2000年3月リリース予定だったTMのアルバムに収録するはずの音源だったことを考えている。
2000年1・2月にTMのアルバムレコーディングが予定されていたと考えられることは、以前述べたことがある。
小室がこのアルバムに入れることを念頭に置いてアレンジを依頼していた可能性は高いと思う。
5曲目は「10 Years After (Featuring COMMON)」である。
サビの「10 Years After Where Will We Go?」の部分ではコーラスを聞けるものの、メインボーカルはウツではなく、COMMONのラップである。
ラップを前面に出すように、オケは控えめなアレンジである。
もともとヒップホップを意識して作った曲だけに、小室もラッパーをフィーチャーしたかったのだろう。
COMMONはアメリカで活躍していたラッパーで、当時はSoulquariansのメンバーとして人気を博していた。
後に2015年には「Glory」で、ゴールデングローブ賞とアカデミー賞を獲得している。
「10 Years After」のシングル盤レコーディングは1999年6月だが、「featuring COMMON」のレコーディングはこれよりかなり遅く、2001/4/23である。
レコーディングの場所は分からない。
2001/9/27ラジオ「それゆけ!TM NETWORK」最終回で、このテイクが放送されていたという情報がある。
この音源は制作日から見て、2000年のアルバム収録のための音源ではないことは明らかだが、何のために作られたのかは成案がない。
ただウツのボーカルがないことを考えると、そもそもTM曲として作られたものではないのかもしれない。
なおTM NEXTのメールには、「10 YEARS AFTER('99.7.28 release)制作時、この楽曲にUSで活躍するラッ パーをフューチャーしたい小室哲哉の意向により、その実力・人気ともに高い評価を得ているCOMMONに白羽の矢を立て、制作したバージョン」とある。
この文章は藤井徹貫だろうか。
だが本テイクが「10 YEARS AFTER制作時」に作られたとするのは、ライナーに書いてある日付と矛盾している。
要するにこの文章は当てにならないらしい。
本作は2001年の制作だが、当時の小室がglobe・Gaballなどで手掛けたトランスミックスとは異なる流れである。
むしろ流れとして近いのは、Kiss Destinationだろう。
2001/4/25には2ndアルバム「AMARETTO」がリリースされており、小室もこの頃までは、R&BやHip Hopへの関心が残っていた。
どのような形でこれを発表する予定だったのかは明らかでないが、2001年初めの段階の小室が必ずしもトランス一辺倒で行くつもりではなかったことを示すものでもあろう。
「MESSaGE」「Worldproof」のROJAM期音源2曲は、村上章久がリミックスを担当した。
(木根版「We Are Starting Over」は除く)
レコーディングは2002年12月某日、ROJAMスタジオで行なわれた。
ROJAM期の楽曲については、アルバム代表曲の「Ignition, Sequence, Start」は収録されなかったが、これはすでに2001年ウツのソロアルバムに、小室も関わった「tatsumaki remix」が収録されていたからだろう。
村上はTK時代以来小室のアシスタントを務めてきた人物である。
2000年には「Log-on to 21st Century」でマニピュレータを務め、「Major Turn-Round」でも岩佐俊秀とともにプログラミングを担当しており、TMとも関係ないわけではない人物である。
だがアシスタントにリミックスを投げると言うのは、「Castle in the Clouds」でアレンジを吉田健に外注したこととともに、当時はいささかがっかりさせられた。
それにしても「Worldproof」がリミックスされるとは驚きだ。
なにしろ、原曲は単なる水の泡の音であり、実質的には次に収録される「Ignition, Sequence, Start」につながるSEである。
ただこのアレンジでは「Ignition, Sequence, Start」イントロ冒頭の音も用いている。
というよりも、実質的には「Ignition, Sequence, Start」イントロ冒頭部分のリミックスというべき内容であり、なぜ「Worldpfoof」の曲名を用いているのかがむしろ不審である。
このリミックスは小室の仕事ではないが、嫌いではない。
曲を通じて無機質な電子音が流れ続け、後半では原曲にはないオリジナルフレーズが展開するなど、なかなか努力した印象である。
(そもそもTMの要素がどこにあるのかと言われると微妙だが)
なお正式タイトルは「Worldproof (A Deep Remix)~Interlude~」で、アルバムでは7曲目に収録される。
10曲目「MESSaGE (KIOKU Remix)」は、ミディアムテンポの原曲をトランス風のアップテンポの曲に仕上げなおしたものである。
思い切ったアレンジだとは思うが、良いアレンジかというと疑問である。
むしろ、本商品で一番がっかりしたテイクである。
(2018/6/19執筆、2021/12/29加筆)
T盤4枚・K盤4枚・ボーナスディスク1枚の9枚の内容を見るに、選曲は1990年代が中心で、全体の過半を占めています。
ただ注目すべきはむしろ2010年代、逮捕後の音楽活動再開期で、いろんなところに単発で提供され入手が難しかった楽曲が集められています。
私には、こんなのあったの?て思ったのもありました。
2010年代分を入手するだけでも価値があるかもしれません。
もしかしたらこの選曲、発売中止になった「JOBS#2」の残骸なのかもしれないです。
未発表曲としては、K盤に梅田彩佳 「MY HISTORY」と、Tetsuya Komuro feat. Beverly「Guardian」、ボーナスディスクに甲斐よしひろ「against the wind」が収録されます。
「Guardian」は今後ゲーム関係の商品に収録される可能性もありますが、他の2曲は多分この商品以外では聞けないものになるでしょう。
なお 「MY HISTORY」は新曲、「against the wind」は1999年頃にレコーディングされながら、これまでお蔵入りしていた曲です。
他に1980年、Missオレンジ・ショックの「愛しのリナ」あたりも、一部のコアファンには嬉しいところでしょうか。
郷ひろみとかtaecoとか、単発TK作品を集めたい方にも重宝するかと思います。
もっともTKファンには一定の意義はあっても、TMファンには特に意味がある作品にはならなそうです。
TMの収録曲は「Self Control」「Get Wild」「Beyond The Time」「Seven Days War」「Get Wild '89」「Love Train」「I am」の7曲ですが、ファンならだいたい持っているものでしょう。
私としては、出費する必要がなくなったので安心しているところです。
「TETSUYA KOMURO ARCHIVES」と同日には、リットーミュージックよりTower Record限定で、「Tetsuya Komuro Interviews Complete Edition 2018」が発売されます。
4860円です。
これまでリットーミュージックからは、2013年までの「Keyboard Magazine」「Keyboard Landの小室さん記事を集めた電子書籍「Tetsuya Komuro Interviews」vol.0~4、2014年分の記事を加えて白黒印刷された「Tetsuya Komuro Interviews Complete」が発売されていましたが、今回のはこれに2015年以後の記事を加えてカラー印刷にしたものです。
これで3回目ですが、さすがにこれで完全版でしょうか。
他の雑誌でもこういうの出ませんかね。
ウツはソロ25周年のファイナルツアー開催が発表されました
9/21~11/23の2ヶ月で11公演です。
て、あれ、最終日にはすでに26年目に入っているんですが…。
今回はT.UTU with the BAND名義でもU_WAVE名義でもない、久しぶりのウツソロのバンドツアーです(2012年以来)。
特徴的なのはバンド編成で、ギターの西山毅さんの他は、キーボードが土橋安騎夫さん、浅倉大介さん、nishi-kenさんの3人となっています。
キーボード3人編成、何か特別な狙いはあるんでしょうか。
木根さんはDVDと「2525ツアー」の宣伝のためか、6/16にFM西東京の「WEEKLY MUSIC TOP20」に出演しました。
また8/24にはかつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールで、渡辺美里さんのツアーにゲスト出演するとのことです。
木根さん作曲の曲をやるんでしょうか。
美里さん、少し前に「ribbon」の豪華版アルバムを出したので、「さくらの花の咲くころに」あたりをやるかもしれません。
それでは本題に入ります。
---------------------
2002/10/31にTMのシングル「Castle in the Clouds」がリリースされた直後、11月初頭にアルバムのリリースが発表された。
「Castle in the Clouds」リリース前に決定していた企画だろう。
アルバムのリリースは、翌年2/5とされた。
当時のHMVのサイトの解説文は以下の通りである。
80年代から90年代の音楽シーンを常にリードし、
現在活躍している多くのアーティストに影響を与えてきたTM NETWORK。
これまで決して裏側を見せることのなかった彼らが、
数々のヒットを世に出す中で、結局未発表を決心した楽曲や、
CDに収録されなかったリミックス、そしてああのヒット曲のデモまでを
当時のストーリーとともに世に送り出すことが決定!!
同時に彼らがより自由な音楽活動の場を求めて
インディーズレーベルよりリリースした楽曲も収録。
TMファンにとっては涙ものであり、それ以外にもかなり興味深い作品に
仕上がっています!詳細は分かり次第告知します!
上記にあるように、翌年発売予定のアルバムは、未発表楽曲・未発表テイク・デモ音源に加え、ROJAM時代の楽曲を収録するというものだった。
この企画版は「キヲクトキロク~Major Turn-Round」と題してリリースされた。
DISK1の蔵出し音源集と、DISK2の「Major Turn-Round」を合わせた2枚組で、3240円で販売された。
TMのアルバムタイトルが日本語なのは、2018年時点で史上これだけである。
小室は後まで自らの栄光を振りかえる際に、この「記憶と記録」という言葉を使い続けた。
「Tour Major Turn-Round」のスクリーンに映し出された3人のメッセージ中の「記録と記憶」に由来するタイトルと考えられる。
ジャケットは何を撮影したものかよく分からないが、スタジオのカセットデッキだろうか。
ライナーの中にも3人の写真は使われていない。
結論から言っておくと、本作はベスト盤を除く歴代のTMアルバムの中で、最低の作品である。
新作に当たるDISK1には、実際ほとんど商品価値が存しないため、インディーズ盤「Major Turn-Round」を抱き合わせ販売したものと考えられる。
それまで「Major Turn-Round」は一部店舗を除いて一般流通に乗らず、ROJAM POPSHOPから送料500円込みで通販購入するしかなかった。
だが「キヲクトキロク」の発売により、「Major Turn-Round」を店舗購入することが可能になった。
つまり「Major Turn-Round」の購入に便宜を与えたと言う点において、本作は後発ファンにとって、多少の意味はある商品となった。
なお2002年9月にはROJAMとR&Cが、お互いに株式を持ち合うことにして、連携関係を強めている。
このことも「Major Turn-Round」がR&Cから再販される前提になっただろう。
ただROJAMは「キヲクトキロク」のリリースによって、ほとんど唯一の売れ筋商品を失うことになった。
一応新作となるDISK1の内容は、デモや未発表テイクを集めた1994年の「Groove Gear」に類する内容となっている。
「終了」以前のEPIC/SONY関係の音源が収録されていないのは、おそらく権利関係の問題があるのだろう。
ただSONY系列のTRUE KiSS DiSC時代の音源は収録されている。
唯一の「終了」以前の音源として、1991年の「月とピアノ」が収録されている。
(アルバムには「EPILOGUE 1991~月とピアノ~」として収録)
これは当時ヤマハから出版された「K's Magazine vol.3」の付録CDに収録されたもので、SONYは関係していない。
うまい具合に穴を見つけたというところだろう。
ただしこれはTM曲というよりは小室ソロ曲というべきものである。
これが「キヲクトキロク」に収録されたことによって、初めてTM曲としてロンダリングされたとも言える。
小室によるピアノ演奏音源である「CAROL」「In The Moment」も、もともとTM用の音源として作られたものだったのかは疑わしい。
音源の出どころも明らかではない。
木根のピアノ演奏音源である「We Are Starting Over」に至っては、1999年の木根ソロライブ「talk & live vol.5」のパンフレットの付属CDに収録されたものであり、後にTM曲になったとはいえ、本来は木根ソロの音源である。
以上4テイクと「Get Wild」ライブ音源を除く7テイクの内訳を見ると、TRUE KiSS DiSC時代の楽曲は4テイク、ROJAM時代の楽曲は2テイク、R&C時代の楽曲は1テイクとなる。
この中でデモ音源もしくはプロトタイプ音源に当たるものは、「Get Wild Decade Run」「It's gonna be alright」「Castle in the Clouds」の3テイクである。
既述の「We Are Starting Over」もプロトタイプ音源に数えても良いだろう。
またオリジナル音源の制作後にリミックスされた音源としては、「10 Years After」「Happiness×3 Loneliness×3」の2テイクがある。
この他に、新たに制作されたリミックス音源が2つある。
「Worldproof」「MESSaGE」である。
後述するように、これはアルバムリリースに当たり制作された新作だが、リミックスの担当はいずれも小室ではない。
以上のようにDISK1は、種々の未発表音源や他者のリミックス音源をまとめたものであり、本作リリースに合わせて改めてメンバーが関与した形跡はない。
TMライブで本商品のアレンジを意識して演奏を行なった例も、せいぜい2003~08年の「CAROL」のピアノソロくらいだろう。
ただし2019年のウツソロツアー「Dragon The Carnival」では、「In The Moment」がSEとして用いられている。
なお木根がこの頃の動向を記した「新・電気じかけの予言者たち」には、「キヲクトキロク」は一切登場しない。
本作は当時の出来事を時系列上に記す構成を取っており、文筆家の作品としてはどうかと思うところもあるが、一方で木根の目に入った情報をそのまま知ることのできる素材ともなっている。
そこに「キヲクトキロク」が登場しないのは、ウツ・木根がまったくタッチせずリリースされたことを意味しているのだと思う。

チラシでもわざわざ「TMを愛するスタッフがファンへ贈る」とされている(TMが贈るのではない)
リリースに当たってのプロモーションも、ほとんど行なわれなかった。
ライブはもちろん、雑誌のインタビューなども確認できない。
ただそうした中でNHK-FM では2002/12/24に、FANKS出自の中村貴子をパーソナリティとして、特番「TM NETWORK special 」が組まれ、TMを招いて2時間のトークが行なわれた。
本番組は12/31にも再放送されている。
この時には未発表音源として「CAROL (Unreleased Piano Version)」が放送され、小室は「倉庫から出てきた」と言っている。
同番組ではさらに、「キヲクトキロク」のリリースについても告知され、小室は「買ってもらえなかったものを集めた」「コレクション」などと、ささやかに述べている。
さすがに誇らしく宣伝する気にはなれなかったのだろう。
収録音源には、どうしても聴く必要のあるものは存在しない。
熱心なファンでも金を払う価値があるのは、「月とピアノ」「Happiness×3 Loneliness×3」「10 Years After」「Castle in the Clouds」くらいだと思う。
「It's gonna be alright」には記念音源としての意味もないことはないが、それこそROJAMで無料配信すれば十分な代物である。
なおDISK1収録の12テイクの内で半分に当たる、「CAROL」「10 Years After」「In The Moment」「Worldproof」「We Are Starting Over」「月とピアノ」の6テイクには、ウツの歌が入っていない。
この点でも本作は、TM色が薄い商品となっている。
この中で「Worldproof」を除く5テイクは、そもそもTM用音源として作られたものかも怪しいものである。
(少なくとも「We Are Starting Over」「月とピアノ」は明らかに違う)
TMは2年ぶりの再始動シングルの後に、なぜこんなものをリリースしたのだろうか。
ここで思い出されるのが、秋のリリースが計画されていたTMのリミックスアルバムである。
これは2002年初めにTMメンバー間で合意された後、春にはメンバーによって公言もされていた。
ところが夏に「Castle in the Clouds」の件が具体化する頃からこの件は語られなくなり、結局制作作業に入ることはなかった。
TMはR&Cに移籍した際に、年度内にアルバム・シングル1枚ずつのリリースを契約していたのだろうが(2003年度にもシングル・アルバム各1枚をリリース)、ある時点で年度内の新作アルバムリリースが困難な見込みになったため、代替措置として音源集リリースが決定されたのだろう。
ただそれにしても、再始動直後の大事な時期に、このような商品しかリリースできなかったのはどういうことか。
タイミングから見て、リミックスアルバムの中止も「キヲクトキロク」リリースも、「Castle in the Clouds」リリース以前には決定していたはずだから、これらの事態は「Castle in the Clouds」のセールス不振を背景としたものではない。
私はこの事情について、ある可能性を考えているのだが、これについては別の章で触れることにしたい。
ただ事情は何であれ、個人的にはここまで無残な商品を出すくらいなら、再始動後の全シングル集を出してくれた方がよほど意味があったと思う。
当時TRUE KiSS DiSC時代のシングルはまだアルバムにまとめられていなかった。
またROJAM時代のシングルも「Major Turn-Round」ではアルバムミックスになっているから、シングルバージョンを聴くことができるアルバムは当時存在しなかった(「MESSaGE」「We Are Starting Over」は2020年に「Gift from Fanks T」に収録された)。
当時は既発売シングルだけでも、「Get Wild Decade Run」「It's gonna be alright」「10 Years After」「Happiness×3 Loneliness×3」「80's」「MESSaGE」「Ignition, Sequence, Start」「We Are Starting Over」の8曲が存在していたから、これに最新シングル「Castle in the Clouds」「君がいる朝」を収録するだけで、アルバム1枚には十分な分量である。
吉本としては、既発表音源の寄せ集めよりは、未発表テイクを出した方がまだ売れるだろうと言う判断だったのかもしれないが、結局その結果作られた「キヲクトキロク」は、単独では商品になりえないカステイクの寄せ集めになってしまったという印象である。
本商品はチャートでは、初動25位・1.4万枚の成績を出し、最終的には2.1万枚を売った。
2000年にSONYが出した間に合わせベスト盤「Best Tracks」(26位、3.5万枚)と比べると、ランクはほぼ同じだが、売り上げは6割程度である。
ファンのほぼすべてが持っているであろう過去音源を集めたベスト盤よりも売れなかったのである。
本作に対するファンの失望がうかがえよう。
なお2004年にもSONYからベスト盤「Welcome to the Fanks!」がリリースされているが、これは18位・2.9万枚の成績であり、やはり「キヲクトキロク」よりも売れている。
以下ではDISK1収録の音源について簡単に見ていこう。
ただ既発表音源である11・12曲目の「月とピアノ」「We Are Starting Over~ずっと好きだった(Naoto Kine Piano Instrumental Version)」については、すでに触れたこともあるので(1・2)、ここでは改めて触れない。
また唯一のR&C時代の楽曲として9曲目の「Castle in the Clouds (Yabe Version)」があるが、このテイクについても以前触れたので、内容は割愛する。
1曲目は、「CAROL (Unreleased Piano Version)」。
これは「CAROL」組曲中の「A Day in the Girl's Life」のピアノ演奏である。
2003/9/6・7開催の「Fan Event in Naeba」での演奏は、おそらくこれを意識しているのだろう。
2007~08年のTMライブでも演奏された。
少し飛ばして6曲目の「In The Moment」に触れよう。
新曲ではあるが、曲名はアルバム収録に当たって決められたもので、元のテープには「PIANO #1」とだけ記されていたという。
要するにデモテープの最初にあったものを収録したのである。
実際のところ、TMの曲として作られたものかどうかも不明である。
両テイクはともに某年1月25日に、東京ベイブリッジスタジオで録音されたという。
おそらく同じ年にレコーディングされたものだろう。
日付まで分かって年が分からないのは不自然で、古いものである可能性を匂わせるために年を伏せたものと考えられる。
1998年、小室はピアノアルバムをリリースする計画があったが、秋に無期延期となったことがある(後に2003年3月にリリース)。
あるいは両音源はこれと関わるもので、1998年以後に録りためていた音源の一部だろうか。
ならば候補として1999・2000・2001・2002年がありえるが、2000/1/25は「Touch the globe LIVE!」名古屋公演の日であり、2001/1/25の小室は上海にいるので、ともに東京のレコーディングはない。
だとすると1999年か2002年ということになる。
もう少し絞り込む材料があれば確定できそうだが…。
8曲目は「Get Wild (Live from 2001 RENDEZVOUS IN SPACE)」。
これは2001/1/1に開催された沖縄ライブの音源で、すでにテレビで放送されていたが、商品化はされていなかった。
ただしライブアレンジも演奏メンバーも「Tour Major Turn-Round」と同じでなので、DVD「Live Tour Major Turn-Round 02」を持っていれば、さほど意味があるものではない。
どうせ「Get Wild」を入れるのならば、未商品化の「Log-on to 21st Century」の音源を入れていれば、それなりに価値の高いものになったはずだが、権利関係で難しかったのかもしれない。
沖縄ライブでは1番Aメロの「チープなスリルに身を任せても」のところで、ウツが歌詞を噛むというミスをしたが、この音源ではその部分が上からかぶせた別音源で修正されている。
しかしその音質が明らかに前後と異なり、大変気持ち悪い。
このあたりは極めて雑な仕事といわざるを得ず、この商品のやっつけ具合が端的に現れている。
むしろこれくらいなら、修正しない方が良かったと思う。
これと「Get Wild Decade Run ('99 Version)」は、2017年の「Get Wild」歴代トラック集成アルバムである「Get Wild Song Mafia」「Get Wild 30th Anniversary Collection」にも収録されていない。
R&CのライブDVD「Double Decade "NETWORK"」に入っている「Get Wild」の音源は収録されているので、レーベルの問題でもないようである。
関係者からも存在を忘れられた商品だったのだろう。
2~5曲目は、TRUE KiSS DiSC時代の楽曲である。
制作が古い順に挙げていこう。
まず4曲目「It's gonna be alright (TK Vocoder Version)」は、1999年6月のハワイレコーディング以前、1999/4/30に日本で作ったラフミックスである。
再始動期TMの音源の中では、現時点で商品化されているもので最古のものである。
2曲目「Get Wild Decade Run ('99 Version)」は、シングル盤「Get Wild Decade Run」完成の3日前、1999/6/18にできたラフミックスである。
以上2テイクについては、以前触れたことがある。
あとの2曲は海外のアレンジャーによるリミックスである。
いずれも原曲と大幅に異なるアレンジであり、本音源集中でも多少の価値は認められるテイクである。
まず3曲目「Happiness×3 Loneliness×3 (Club Mix)」は、レコーディングは1999年だが、月日・場所は不明である。
だがオリジナル音源の制作は11月であるから、そのリミックスが同年中に制作されたのならば、それは11~12月ということになるだろう。
リミックスを行なったのはBobby D'Ambrosioで、早くからメジャーアーティストのリミックスを手がけていた人物である。
当時はニューヨークで活動するDef Mix Productionsに属していた。
ハウスなどクラブ系の音に通じた人物だったらしい。
本テイクではボーカルは同じながら、原曲からは大幅にアレンジが変えられている。
原曲はフラメンコギターなどを入れ、ラテン風の雰囲気が強いが、こちらはラテン的な要素を薄め、クラブ風のパーカッションを強調したオケになっている。
曲の長さも8分以上で、原曲の約2倍である。
このアレンジを聞くと、この曲の歌メロが極めて平坦で、半ばラップ状態だったことが、原曲よりもよく分かる。
ウツも歌うのは大変だっただろう。
逆にこれほど平坦な歌メロであるにもかかわらず、原曲がそれなりにメロディアスに感じられるアレンジだったことは面白い。
問題はこのテイクは何のために作ったのかということである。
ROJAMのMailing ListであるTM NEXTで配信された解説には、「この制作時に、小室哲哉が世界各地のアーティストにリミックス及びリプロダクションを依頼。 そのときの音源集から見つけ出した未発表テイク」とあるが、結局よく分からない。
私は一つの可能性として、2000年3月リリース予定だったTMのアルバムに収録するはずの音源だったことを考えている。
2000年1・2月にTMのアルバムレコーディングが予定されていたと考えられることは、以前述べたことがある。
小室がこのアルバムに入れることを念頭に置いてアレンジを依頼していた可能性は高いと思う。
5曲目は「10 Years After (Featuring COMMON)」である。
サビの「10 Years After Where Will We Go?」の部分ではコーラスを聞けるものの、メインボーカルはウツではなく、COMMONのラップである。
ラップを前面に出すように、オケは控えめなアレンジである。
もともとヒップホップを意識して作った曲だけに、小室もラッパーをフィーチャーしたかったのだろう。
COMMONはアメリカで活躍していたラッパーで、当時はSoulquariansのメンバーとして人気を博していた。
後に2015年には「Glory」で、ゴールデングローブ賞とアカデミー賞を獲得している。
「10 Years After」のシングル盤レコーディングは1999年6月だが、「featuring COMMON」のレコーディングはこれよりかなり遅く、2001/4/23である。
レコーディングの場所は分からない。
2001/9/27ラジオ「それゆけ!TM NETWORK」最終回で、このテイクが放送されていたという情報がある。
この音源は制作日から見て、2000年のアルバム収録のための音源ではないことは明らかだが、何のために作られたのかは成案がない。
ただウツのボーカルがないことを考えると、そもそもTM曲として作られたものではないのかもしれない。
なおTM NEXTのメールには、「10 YEARS AFTER('99.7.28 release)制作時、この楽曲にUSで活躍するラッ パーをフューチャーしたい小室哲哉の意向により、その実力・人気ともに高い評価を得ているCOMMONに白羽の矢を立て、制作したバージョン」とある。
この文章は藤井徹貫だろうか。
だが本テイクが「10 YEARS AFTER制作時」に作られたとするのは、ライナーに書いてある日付と矛盾している。
要するにこの文章は当てにならないらしい。
本作は2001年の制作だが、当時の小室がglobe・Gaballなどで手掛けたトランスミックスとは異なる流れである。
むしろ流れとして近いのは、Kiss Destinationだろう。
2001/4/25には2ndアルバム「AMARETTO」がリリースされており、小室もこの頃までは、R&BやHip Hopへの関心が残っていた。
どのような形でこれを発表する予定だったのかは明らかでないが、2001年初めの段階の小室が必ずしもトランス一辺倒で行くつもりではなかったことを示すものでもあろう。
「MESSaGE」「Worldproof」のROJAM期音源2曲は、村上章久がリミックスを担当した。
(木根版「We Are Starting Over」は除く)
レコーディングは2002年12月某日、ROJAMスタジオで行なわれた。
ROJAM期の楽曲については、アルバム代表曲の「Ignition, Sequence, Start」は収録されなかったが、これはすでに2001年ウツのソロアルバムに、小室も関わった「tatsumaki remix」が収録されていたからだろう。
村上はTK時代以来小室のアシスタントを務めてきた人物である。
2000年には「Log-on to 21st Century」でマニピュレータを務め、「Major Turn-Round」でも岩佐俊秀とともにプログラミングを担当しており、TMとも関係ないわけではない人物である。
だがアシスタントにリミックスを投げると言うのは、「Castle in the Clouds」でアレンジを吉田健に外注したこととともに、当時はいささかがっかりさせられた。
それにしても「Worldproof」がリミックスされるとは驚きだ。
なにしろ、原曲は単なる水の泡の音であり、実質的には次に収録される「Ignition, Sequence, Start」につながるSEである。
ただこのアレンジでは「Ignition, Sequence, Start」イントロ冒頭の音も用いている。
というよりも、実質的には「Ignition, Sequence, Start」イントロ冒頭部分のリミックスというべき内容であり、なぜ「Worldpfoof」の曲名を用いているのかがむしろ不審である。
このリミックスは小室の仕事ではないが、嫌いではない。
曲を通じて無機質な電子音が流れ続け、後半では原曲にはないオリジナルフレーズが展開するなど、なかなか努力した印象である。
(そもそもTMの要素がどこにあるのかと言われると微妙だが)
なお正式タイトルは「Worldproof (A Deep Remix)~Interlude~」で、アルバムでは7曲目に収録される。
10曲目「MESSaGE (KIOKU Remix)」は、ミディアムテンポの原曲をトランス風のアップテンポの曲に仕上げなおしたものである。
思い切ったアレンジだとは思うが、良いアレンジかというと疑問である。
むしろ、本商品で一番がっかりしたテイクである。
(2018/6/19執筆、2021/12/29加筆)
この記事へのコメント
前回のコメントの続きをこちらに書かせていただきます。管理人さんは覚えていらっしゃいますでしょうか。
パチパチで掲載された小室さん自身が書かれた電気じかけの予言者のことをお尋ねしましたね^^
早いもので十年ですがあの直後からご親切にコメント欄から教えてくださったり管理人さんが記事中で触れていただいたりして大変ありがたくずっと思っていました。この場を借りてありがとうございました。とはいうもののその三回をちゃんと読んだのは実はここ最近です。改めて読むとあの三人はまさにTMの三人のことなのかなと思ったりもします。
10YEARS AFTERのリミックスにおけるTRUE KISS DESTINATIONの指摘は合ってると思います。
TRUE KISS DESTINATIONがデビューした1999年に小室さんは同じバックトラック(カラオケ)を使って海外の人にラップを乗せてもらうと発言をされています。
国内向けには麻美の歌声、国外向けには英語のラップを乗せる、とのことです。
それをTMの曲でも同様に試しただけなのではないかと思います。
2001年の段階ですとその興味がなくなったのかそれに嵌まらなかった(興味がなくなった)とおっしゃっています。
真意としてはラップでインターナショナルは目指せなかったと言いたかったのかもしれませんが。
あと、次回に管理人さんが触れるかもしれませんが、キヲクトキロクDISC2のMAJOR TURN ROUNDはおそらくファンとしては誰もがトランスリミックスのほうだと思いましたよねえ^^(自分だけですかね)
「10 YEARS AFTER (Featuring Common)」「WORLDPROOF (A DEEP REMIX) ~Interlude~」のglobeの「Love again」を彷彿とさせる深く入り込み、突き刺さる様な音色作り(暗いシンセと鋭いピアノが大好きです)・曲構成が今尚お気に入りです。
「Get Wild (Live From 2001 RENDEZBOUS IN SPACE)」は最初は声の荒っぽさに驚き「あれ、歌ってる人本当に宇都宮さん?」としばらく戸惑いました。
「インディーズで制作されたアルバム」というキャッチコピーを見た時、インディーズで作る上でのデメリット・当時小室先生を取り巻いていた状況も知らずに素直に冒険心に憧れていました。これが今も繰り返し聞いているアルバムの一つである「Major Turn-Round」との出会いでした。
それでは、失礼致しました。
キヲクトキロクの半額をMTR費とすれば、ROJAM版3枚とあわせて1万円以上をMTRに費やしたのですね…。
MTRはROJAM時代の売り方もひどかっただけに、たくさん持っている方多いですよね。
ちなみに私はキヲクトキロクはあまりにげんなりしたので、
当時レンタル店で借りてダビングして済ませたのですが、
今回この記事を書くに当たり、ライナーを読むためだけに購入しました…。
>Mさん
1985年のエレプロ小説、読まれたんですね。よく入手されましたね。
写真とか表紙とかじゃなく、ああいうのこそTIMEMACHINE BOXに入れるべきだったと思うんですよね。
ガボールスクリーンといいCAROLの意味といい、
小室さんの考えたお話には必ずTMを投影した3人組が登場しますよね。
キヲクトキロクDISC2、私は普通のMTRと思っていました。
というか、あまり興味がなかったので、考えもしませんでした(笑)。
まあMessageとworldproofがトランスミックスになったのは、
元のリミックスアルバム計画の名残なんでしょうね。
1999年と2001年の小室さんの発言、知りませんでした。
ラップではないですけど、ハピロンインターナショナルも近い発想だったんでしょうね。
R&B/ヒップホップ路線は、日本国内でかなり盛り上がっていたから、
自分が入り込む余地はないという判断もあったのかもしれません。
しかし1998年から2001年まで3年間続いたこの路線、
2001年以後のトランスほど一辺倒にはならなかったから印象薄いけど、
実は意外と長かったですよね。
要するに麻美と付き合っていた期間ということなのかもしれませんけど。
In The Momentは、私としては悪くはない、平均的な作品という感じですね。
もちろんこのアルバムの中では価値のある方だったと思います。
私の中ではThis Nightみたいなイメージです。
七日間戦争でもいいですが、やっぱその頃の雰囲気ですね。
Get Wild Renewal、ありましたね。あとSecret Rhythm with EOSも。
あとEOSテーマ曲もいろいろあったから、そこらへん入れてくれればよかったですね。
>feさん
Worldproof A Deep Remixは、私も嫌いじゃないです。
ただ原曲は水の音とアクセル音だし、リミックスは小室さん関係ないし、ウツ木根の声も入っていないし、これはTMの曲といって良いのだろうか?という疑念がぬぐえません(笑)。
キヲクトキロクでMTRに初めて接したんですね。
文中にも書きましたが、私も本作最大の意義は、店頭でMTRを買えるようになったという点だろうと思っています。
「キヲクトキロク」は、私も管理人さんと同じく、レンタルで済ませました。ただし、そもそもレンタル店になかなか並んでおらず、友人が会員になっている店舗にあると聞き、借りて来てもらった記憶があります。
Disc2は、インディーズ時代のものを持っていたのでなんの価値もなく、Disc1もこれといって聞きどころのない、残念なものだったという感想も、管理人さんと同じです。
唯一、当時少し繰り返して聞いていたのが、「It's gonna be alright」です。
小室さんボイスが好きだったので、小室さんメインになっているこの曲が、なんとなくお気に入りでした。
90年代後半、小室さんはボコーダーをちょくちょく使っていましたね。華原朋美とか、Kiss Destinationとかでしたでしょうか。
今振り返ると、そういう当時の趣向が垣間見えるな、という程度の意味があるミックスだと思います。
ちなみに、「Castle in the clouds」へのがっかりさが、この「キヲクトキロク」でさらに増していった当時の自分の心境は、思い出すだけで悲しいものがあります。
「globeであれだけ攻撃的な音を作れるのに、なぜ……」と思っていました。
そして、ブームがすっかり終わってしまった後から活動再開となったTMから気持ちがそれ、音楽を聴かなくなっていってし待っていた時期でした。
25年位小室先生とTMNのファンでアルバムはキヲクトキロクだけ持ってなくてこの記事を見て思い出したので助かりました。購入しようと思ってましたが記事を見てレンタルにしました。詳細な記事ありがとうございます。
いつもはリリース当時に購入しているのに何故気が付かなかったのかようやくわかりました。宣伝等ほとんどなかったんですね。
TとKのアルバム届きました。個人的には中森明菜の愛撫、円谷憂子のMystery of sound、ビバリーちゃんのガーディアンズが入っていたので満足です。
引退して全ての楽曲制作が終わってしまったようですがずっと聴き続けますよ!
管理人様ならご存知かと思いますが7/16(祝)NHK FMで『今日は一日“小室哲哉”三昧』が放送されますね!ご本人は出演されないようですが、ゆかりのゲストには2人や、みつ子さんが出演されるかも?と少し期待したり・・。またリクエストを募集しているので、もしTMの曲が沢山リクエストされるようだったら、次の機会に『“TM NETWORK”三昧』に発展しないかしら?と期待を抱いたりも・・。
ツイッター上ではウツの次のソロコンサートがキーボードばかり、また会報でウツが意味ありげなコメントをしてたとの事で最終日、先生の誕生日近くだし飛び入り出演が有るかも?と期待されているようですし・・。何か良い流れにならないかと願ってやみません。
復帰後の作品に馴染みが無く、
且つ初期の小室節が好きなので、
ヘビーローテは中山美穂などのアイドル提供曲、
渡辺美里ぐらいですね。TMはアルバムで聴けばいいし。
じゃ、何故買ったんだと突っ込まれそうですが(笑)
90年代全盛期の曲ですらもはや聴けないというか、
メロディは良いんだけど、アレンジに中途半端な古さを感じてしまいますね。
80年代の方が聴ける不思議。
後期の非ヒットの作品を入れるぐらいなら、
もう少しTMや美里の曲を収録した方が良いと思いました。
ま、avex企画だから仕方ないですが。
ランキング18位のアルバムだし、小規模なレンタル店では置きませんよね。
小室さんのボコーダー、当初はこのままリリースしようとしていたんでしょうかね。
こんなに小室さんのボーカルが前面に出ているのって、TK関係ではともかく、TMではかなり異色だと思います。
たしかに小室ボイスファンにはたまらないかもしれませんね(笑)
キヲクトキロク、私も失望したと言う点ではまったく同じでございました。
>井戸端さん
購入を思いとどまらせることができてよかった?です。
もしもレンタルで気に入ったら、購入もお考えください。
宣伝はCastle~すらあまりありませんでしたね。
ベスト盤、Mistery of Soundは意外な選曲でしたね。
私は買っていないのですが(笑)、小室さんファンは音源集めの意味でも、購入して良いと思いますよ。
トランス関係が皆無なのは、「アーカイブ」として非常に不十分だと思いますけどね。
>syaraさん
TMのライブ映像、昔は買わないとなかなか見られませんでしたが、
今では簡単に検索で見られるようになりましたから、
そこから「TMは実はすごかった」と気付くパターンは結構あると思います。
今後もどんどんはまって行ってください。
ラジオはいろんなところで特集やってますが、一日小室っていうのはかなり大規模ですね。
ウツソロでの小室さん参加は、私は無理だろうなあと思っていますが…年内に何かあると良いですね。
90年代半ばは小室さんの音が邦楽の中心になってしまったところもありましたから、かえって時代を感じさせてしまうところもあるのかもしれませんね。
あと80年代は、あまりマニアックな曲がなくて、コレクターとしてはそんなに心が引かれないというところもあると思います。
ミスオレンジショックみたいなのがもっとあればよかったなあと思います。SERIKA WITH DOGとか。
Major Turn-RoundをR&Cから発売したいとの話になり、
てっちゃんが「それならデモ音源をつけたら」ということで
2枚組になったみたいです。
だからキヲクトキロクはおまけで、Majr Turn-Roundがメインなんです。
何かのインタビューがあったような。
あと、CASTLE IN THE CLOUDS (YABE VERSION)はフルサイズで存在しないんですかね?
ミックスはこっちの方が好きなんですが。
アシスタントのREMIXは数合わせだと思っています。
Major Turn-Roundのライブ音源が入らなかったのは、
レーベルの制限があるからでしょう。
シングル音源入れて欲しかったですね。
IGNITION,SEQUENCE,START (Straight Run)はレア音源になってしましたね。
僕はシングル持ってますけど。
シングルは吉本時代のもレアになっています。
まあ配信音源はありますけど。
Castle~のYABEバージョンは、没が決まった後に1番だけ録ったんだと思います。
Castleの記事に書いていたと思います。
私は思いつきもしませんでしたが。
キオクトキロクはMTRを聞けば、もう一枚は押し入れに突っ込んどいても良いと思いますよ(笑)。