7-14 Fan Event in Naeba
つい2ヶ月前、カウンターの増設をした旨を書いたばかりですが、先日気がついたら、旧カウンターが動いていませんでした。
どうやらもともと利用していたサービス先が消滅したようです。
ということで結果として、カウンターの切り替えということになりました。
やっぱ無料サービスてのは怖いですねえ。
まあこのBIGLOBEのブログサービスも無料なんですけど。
さて、TM NETWORKデビュー35周年、おめでとうございます。
4/21のTM35周年記念日には全国の映画館で、「TMN final live LAST GROOVE 5.18/19」の上映が行なわれました。
意外と動員も良かったようで、大半の会場は前売り券で満員になっていました。
私も一応見には行きました。
今回の目玉は音・映像のレストアと、松本孝弘さん出演の5.19「Get Wild '89」「You Can Dance」でした。
まず映像については、まあこんなもんかなと思いました。
そこまできれいな映像とは思わなかったですが、家でBlu-rayをDVDと比べてみると違うのかもしれません。
一方5.1chになった音はとてもよかったです。
これまではちゃんと聞こえていなかった音もよく聞こえました。
1994年の会場では席のせいもあり、必ずしも音は良くなかったので、今回はこの音を聞きに行ったと考えれば良いのかなと感じています。
Blu-rayになっても、家に5.1ch再生環境がないと再現できませんしね。
新追加の「Get Wild '89」は、なぜか「もう一人のスペシャルゲスト、松本孝弘!」の紹介シーン前後が演奏も含めて削られており、妙に気持ち悪いイントロになっていました。
浅倉大介さんの登場シーンも、以前と同様にカットされています。
こんな1分くらいの映像、けちっていったい何の得があるんでしょうか。
もしかしたら将来、「真の完全版」が出る可能性が…?
なんかBOOWY商法みたいになって参りました。
この他、リハーサルシーンやエンディングなども含め、事前告知があった部分以外、映像の構成は基本的にほぼ既発売DVDと同一でした。
また数ヶ所あった音の修正も変わっていません。
まあこれはもともと期待はしていませんでしたが。
今回「Get Wild '89」以外に映像の再編集告知があったのは、「Rainbow Rainbow」「You Can Dance」です。
「Rainbow Rainbow」は葛城さんと北島さんの映像のバランスが悪かったのを調整したものとのことです。
(ふくりゅうさんが直々に教えてくれました)
「You Can Dance」はかつての映像では松本さんが消されていましたが、今回はちゃんと入り込むように編集されていました。
こちらの映像、楽しそうな雰囲気が伝わってきて、とてもよかったです。
最後の松本さんの雄たけびがなかったことにされているのは気になりましたが…。
なお上映が終わると、5.18・5.19ともに、最後に「in memory of ISAC SAKANISHI」の一行が映し出されました。
TMのかつての映像監督坂西伊作さんをしのぶと言うメッセージが出たのは、今回の企画に伊作さんの旧関係者が入っていたからでしょう。
きっとTM3人も、同じことは感じているんだと思います。
さて、TOHOシネマズ新宿では上映の前に、木根さんとふくりゅうさんのが舞台挨拶がありました。
その様子はすでにネットニュースに上がっており、全貌も近日中に公式サイトに出るそうです。
各会場でも5.18と5.19の合間に告知されたのですが、TMN「終了」ライブの前日に当たる5/17に、東京のZepp DiverCityとZepp Osaka Baysideで、また「TMN final live LAST GROOVE 1994」を上映するそうです。
(4/21のとは微妙にタイトルが違いますが、同じ内容のようです)
すでにチケットぴあで先行受付が始まっています。
なおトークショーもありますが、登壇者は未発表です。
今回の映画上映に先立って、企画を盛り上げるために、同ライブについて関係者へのインタビューなどが行なわれました。
たとえばCocotameでは立岡正樹さん、久保こーじさん、川崎幹雄さん(映画の映像プロデューサー)のインタビューが掲載され、公式サイトでは葛城哲哉さんと山田亘さんのトーク動画も公開されています。
中には初めて聞いた話もありました。
関係者にはこういう機会にいっぱいしゃべってもらいたいものです。
挨拶程度のものですが、35周年記念日にはメンバーの発言もありました。
ウツは35周年記念日に、「人生いろいろ♫ですが、3人とも生きているという小さな奇跡も迎えましたm(__)m 」とtweetしました。
木根さんも上記舞台挨拶で、「これだけは言えるのは、今のところ3人とも元気です(笑)。そして僕らも皆さんと同じ思いだということだけお伝えします」と言ったそうです。
さて、前回大騒ぎで話題にした「TM NETWORK THE VIDEOS」ですが、謎に包まれていた特典ディスク2枚目の内容が判明しました。
1988/8/25開催の東京ドームライブ「STARCAMP TOKYO」です。
ただし「Dragon The Festival Tour」とは異なり、完全収録ではなく、2/3程度の収録となります。
その内容はNHK総合の1時間版と同じとのことです。
編集用経費がかかるからテレビで放映されたものを使うというのは分かります。
しかしこの件で解せないのは、なぜNHK総合版なのかということです。
というのもこのライブ、当時はNHK総合以外にNHK BSでも放送されており、BSの方が2曲多いのです。
当然ながら、この2曲は放送用に編集済みです。
つまり今回の収録内容は編集費用の問題ではなく、単なるSONYの出し渋りです。
ここで出し渋るということは、今後まだTMの映像作品で稼ぐつもりなのでしょう。
これに対して「Dragon The Festival Tour」を最初から完全版で出すのは、たぶんブレイク前の本ツアーは今後もたいした金づるにならないのに対し、全盛期の「STARCAMP TOKYO」は、小出しにすれば金づるになると考えているからだと思います。
正直今後「STARCAMP TOKYO」が中途半端に増補されても、完全版じゃない限り買う気はないですが、もしもSONYがそういう考えなら、「価値がない」時期の「Electric Prophet」(1984年)や「Fanks Dyna-Mix」(1986年)の完全版を出してほしいものです。
また「final live LAST GROOVE」両日分のライブDVDが2枚組で、「TM NETWORK THE VIDEOS」と同日の5/22にリリースされるそうです。
BOXを買うほどではないけど「LAST GROOVE」だけなら買いたいという方用でしょうね。
なお「LAST GROOVE」は過去に発売したものもまだ在庫があるようです。
こちらは画質が悪い上に1曲少ないのに、今回の商品よりも高くなります。
メンバーの活動を見ると、ウツは4/1から「それゆけ!歌謡曲〜ギア4 one〜」が始まりました。
また4/17には「Tour Thanatos」のBlu-rayが一般発売されました。
「Open Your Heart」「Ignition, Sequence, Start」「Runnning To Horizon」などが収録されています。
木根さんはコラボライブなどを回っています。
また4/4には日本テレビの「笑神様は突然に」の特番に出演しました。
正月に続き2回目ですね。
私は見ていませんけど。
またFM COCOLOの「J-POP Legend Forum」では、今月は毎週ゲストを招いて小室哲哉特集をやっています。
これまで藤井徹貫さん・木根さん・DJ KOOさんなどが出演しています。
木根さんの時には結構じっくりとTM話をしてくれました。
木根さん、番組の締めに、「でもなんか僕は予感としてね、もう一度TMはできるんじゃないかなと勝手に、希望的観測を持って、メンバーとして」と言っていました。
TMはまだ終わっていないと言うスタンスを取り続けてくれているのは嬉しいところです。
小室さんについてはBOXのリリースが終わった後、今度は「Tetsuya Komuro Archives」のT版・K版各50曲から20曲をセレクトした「T SELECTION」「K SELECTION」と、CD版に入らなかった小室さんの楽曲20曲を集めた「Tetsuya Komuro Archives EX」が、4/10に配信限定でリリースされました(収録曲にミスがあったEXのみ4/17に延期)。
以上、近況だけで相当長くなってしまいましたが、2ヵ月半ぶりに本題に入ります。
もう皆さん覚えていらっしゃらないと思いますが、前回「7-13 20周年への助走」を踏まえて、2003/9/6・7開催の「Fan Event in Naeba」の内容のまとめです(具体的内容は9/7に準じる)。
期せずして「終了」の話から始まります。
------------------------------
ファンが待ちわびる中、SEなどもない中で、メンバーがステージに現れる。
ウツ・木根・吉田はステージの椅子に着席する。
通常のTMのライブの場合、オープニングで何らかの演出を設けたり、派手なSEやイントロを流したりするのだが、普通にステージ奥からメンバーが歩いて現れるという始まりは稀有である。
1曲目は誰も予想しなかったであろう「Nights of the Knife」である。
言うまでもなくTMN「終了」の曲で、1994年以来の演奏となる。
観客の中には「終了」を思い出した者もいたかもしれないが、実は「Nights of the Knife」は、「新しい始まりが今」から歌詞が始まることから分かるように、新たな活動に移ることを宣言した曲である。
もちろんリリース当時、それは実質的にはTMN「終了」を意味したのだが、「we are going to make a brand-new day」と言っているように、歌詞の趣旨はあくまでも次の活動を前向きに告げる内容である。
20周年の助走となる本イベントをこの曲で始めたのは、ファンに対して今からが「新しい始まり」となることを宣言したものだろう。
TMファンにとってのトラウマになったこの曲は、この時に別の意味を与えられ生まれ変わったのである。
この曲は翌年の20周年ライブでも演奏されたが、それも同様の意味づけの下で行なわれたものと考えられる。
演奏が終わると、ウツの舌足らずなMCが入り、「Nights of the Knife」の上記の位置付けがなんとなく述べられる。
ここで木根は「どっちがホントなの」と突っ込むが、ウツが笑いながら続ける。
ここで木根が「北島先生に比べたら」と、どうでもいい絡み方をしてきて、ウツが「え?」と戸惑う。
ここで会話が途切れ、微妙な空気になり、木根が「すばらしいトークの交流だね!」と、無理やり話を進める。
やっと小室が一瞬だけ会話に加わり、観客拍手。
木根がシンセをいじる小室に話を振ると、観客の拍手。
ウツは「大丈夫ですか?」と小室に話しかけ、小室は「ええ、リハーサルで声出してないですからね、一言も。すいません。大丈夫です」と答えるが、ウツは「大丈夫ですか?」と再確認。
小室は今度は沈黙したため、ウツは改めて「ばっちりですか?」と問いかけると、小室は笑いながら「ばっちりです」と答え、ウツは「あのー、次の合間からよろしく」と続けた。
観客が笑いながら拍手する中、ウツ「じゃあ次行きましょう」。
ここでウツが「大丈夫ですか?」と聞いたのには、一つの伏線がある。
この日(9/7)の小室は体調を崩しており、夕食前のトークショーでは席を外して吐きに行き、写真撮影会でも鼻血を出すという場面があったのである。
小室はその後休憩を取ってライブに臨んだわけだが、おそらく万全の体調ではなかっただろう
翌日木根とウツがイベントを終えて苗場を出た後も、小室はホテルで寝込んでいたと言う。
こうした状態がこの日だけのことなのか、精神的な原因から不調が続いていたのかはよく分からない。
さて、2曲目は「Human System」である。
小室は楽器をシンセからピアノにシフトする。
基本的にオリジナルバージョンの演奏だが、「ClassixⅠ」収録の「café de paris mix」で使われたドラムのフレーズが用いられている。
3曲目は、この日の目玉というべき「金曜日のライオン」である。
原曲とは大きく異なり、トランスアレンジが施されている。
これがTM版トランスの初披露となる。
最新のTMの音を、TMの始まりの曲(デビュー曲)で試みたわけである。
このアレンジの「金曜日のライオン」は、翌年「Take it to the lucky(金曜日のライオン)」と題され(原曲のメインタイトルとサブタイトルを入れ替えたもの)、シングル「NETWORK™」に収録された。
シングル用のオケはライブ用トラックのデータを手直ししたものであり、その点でシングル版の音は基本的には本ライブで披露されていたことになる。
もちろん本ライブの演奏とシングル版には異なる部分もあるが、これについては別章で触れることにしたい。
なお2004年のアルバム「Easy Listening」リリース時にはPVが作られなかったので、メディアでの宣伝では、DVDのこの曲の演奏シーンが流された。
この曲の後にウツは、「「金曜日のライオン」がニューアレンジになりました」とファンにアピールし、
小室に「やっぱトランス系なんですかね?」と聞くと、小室はそうだと答えた上で、20年ぶりにこの曲をいじったと述べた(実際には80年代にはかなりアレンジを加えて演奏していたのだが)。
その後はメンバーがデビュー当時のエピソードをめいめいに話した。
木根は、ライブで「Electric Prophet」を演奏している間、松本孝弘が寝てしまうことがあったというエピソードを語る。
FANKS時代のアレンジでは、終盤のサビ繰り返しまでエレキギターが出る場面がなく、松本は5分ほど立ちっぱなしになることになるし、ライブの最後の曲でもあったから、つい油断してしまうこともあったのだろう。
またウツは、1984年のライブの話をした。
デビュー当時はライブをやらないことにしていたが、どんな人が来るか確認するため、実験としてライブをやったのだという。
1984年6~7月のライブのことだろう。
この時、客が踊り出すという、予想しなかった行動を取ったため、後にTMでダンスを取り入れたという。
時間軸がかなり飛んでいる話をまとめて話している印象もあるが、デビュー当時はダンスという要素を想定していなかったという証言は興味深い。
ウツがサポートの吉田建と葛城哲哉を紹介し、次の曲に入る。
独特なシンセのイントロで始まる「8月の長い夜」である。
原曲とはかなりアレンジが替わっているが、特に小室のピアノパートはとても好きだ。
「Tour TMN EXPO」のフォークパビリオンを除けば、この曲が演奏されるのは1989年「CAROL Tour」以来14年ぶりである。
9月初めという日程を意識した選曲だろう。
次の「Girl」も、フォークパビリオンを除けば、TMでは1987年「Kiss Japan Tour」以来となる演奏である。
ただ直前の「tribute LIVE」でも演奏されたので、参加者にとって懐かしさという点ではそれほどでもなかったかもしれない。
明るい雰囲気だった「8月の長い夜」とは打って変わって、緊張感のある演奏である。
「8月の長い夜」が終わると、小室がシンセからピアノに移動し、演奏を始める。
ウツ、「ピアノ、小室哲哉」と言ってステージから退く。
前半は「CAROL」組曲の「A Day in the Girl's Life」で、「キヲクトキロク」の「CAROL (unreleased piano version)」を意識した演奏となっている。
後半は多分即興演奏だと思う。
長時間の雑談に入る。
初めは葛城がライブ中のインスト演奏の意義について論じていたが、木根に話が振られると、なぜか竹馬や空中浮遊などパフォーマンスの話になってしまった。
次の曲は「Dreams of Christmas」。
アコースティック楽器のみのシンプルな演奏である。
この時はウツもアコースティックギターを演奏した。

♪君はきっと埋まっているよぉ
「8月の長い夜」と同じライブでクリスマスソングを演奏するのはどうかとも思うが、この曲のオリジナルシンガー4人が揃ったことから、季節感の無さすぎる選曲になったのだろう。
この曲はウツ・木根のソロライブなどで演奏されることはあったが、4人そろった演奏は、この時以外では「Rhythm Red Tour」「Tour TMN EXPO」のクリスマス前後の数公演で披露されたくらいである。
この演奏は、意外なところにつながる。
このイベントにはKEIKOもついてきて会場で見ていたのだが、この曲を聞いて自分も歌いたいと言い出したのである。
小室は9/8に帰宅した後、9/9からKEIKOのソロシングル「KCO」のレコーディングに入ったが、本作に「Dreams of Christmas」が入ったのは、これがきっかけだった。
「Seven Days War」。
この曲、オリジナルではウツの歌で始まるが、この時は小室のピアノで始まり、その後にウツの歌が乗るというアレンジだった。
前曲から引き続き、アンプラグドの演奏で、特にピアノが前面に出されている。
最後はウツが「どうもありがとう」と言って締める。
MCに入る。
ウツが、「Seven Days War」がロンドンで制作されたことや、小室がロンドンに住んでいたことに言及し、ロンドンでの活動に当たりEPIC/SONY社長(当時)の丸山茂雄の後押しがあったことにも触れた。
ここで丸山の手紙が出された。
20周年を迎えるTMに向けて認めたものである。
木根がこれを朗読し、小室はバックでピアノを伴奏した。
演奏曲は「1974」「Self Control」「Get Wild」「Love Train」と変わり、最後にはglobeの「Feel Like Dance」になった。
TMのイベントでglobe曲を演奏するのは疑問に思うところだが、それまでの自らの道のりを曲で時代順に表現したものだろうか。
個人的にこうした演出をファンの前で行なうのは好きではないが、動き出しが鈍かったTM(特に小室)に対しては、いくらかの刺激(叱咤激励)にはなったものと思う。
その全文は翌年の「Double Decade “NETWORK” in YOKOHAMA ARENA」のパンフレットに、丸山の署名とともに収録されている。
以下にこれを転載しよう。
朗読が終わると、観客の拍手。
これにてMCコーナーは終わり、ウツ・木根・吉田も含めて全員が起立する。
ウツが「そろそろ、新しい曲に行きましょう」と言うと、「Castle in the Clouds」の演奏が始まる。
「新しい曲」とはいっても、すでに1年近く前の曲だが…。
小室はこの曲では意外にもピアノを担当するが、この音色は意外と良く合っている。
なお2002年の「Laugh & Peace Premium Night」では、小室はこの曲でシンセを演奏していた。
ウツのMC。
「ありがとうございます。久々に歌いました。たしか今回で2回目だったと思います」
すると木根、
「大丈夫大丈夫、「一途な恋」は歌ってないから」
などと余計な事を言ってしまう。
観客から「歌って―」の声。
ウツは「歌わねーし」と答えるも、木根はギターを弾いて「一途なこーいー♪」とワンフレーズだけ歌い、観客も後から合唱する事態になる。
この曲は生では歌えないため、これまでも演奏されてこなかったのだが、木根は「(歌えない部分は)みんなに歌ってもらえばいい」と言い、小室も、長淵剛のように会場だけで歌ってもいいと話す。
ウツは「でも「一途な恋」に限らず、(歌ったことない曲なら)いっぱいあります」と言い、「I Want TV」「You're The Best」などのレア曲に話題が及んだ。
小室は応援歌として「You're The Best」よりも「Just One Victory」を推したい旨を述べたが、実際に20周年ライブでは「Just One Victory」のライブバージョンが一つの目玉になった。
そろそろ時間が来たのか、ウツがまとめに入り、20周年に向けての抱負を小室と木根に求めた。
これを受けて小室は、1999年に再始動したのはどこかにやり残した感があったからだとして、TM NETWORKの20周年を形にしたいと述べた。
木根は、今回のイベントで出た話題を20周年に預かっておきたいとして、20周年を次のステップとなる年として大切にしたいと述べた。
最後にウツは、普段はTMの曲をちゃんと聞く機会がないとのことで、「Rainbow Rainbow」から聞いて練習しておく、選曲の神様として頑張ると述べた。
そして最後にひとこと。
「ということで、最後の曲を聞いて下さい」。
曲は「Love Train」のトランスミックスである。
これは翌年「Easy Listening」に「Love Train -Extended Mix-」として収録されるものの元になったものだが、「金曜日のライオン」と比べると後のスタジオ音源との差異が大きい。
この曲のアレンジについては、別章で改めて触れることにする。
なお9/6には、この曲でブレイクが入る箇所の後、小室がガイドになる音を出さなかったため、バンドメンバーが混乱する場面があったらしい(2番のサビ前か)。
さすがに9/7にはこういうことは行なわなかったようだが、音の加減を即興でいじる場面は、翌年の「Double Decade Tour」でもしばしば見られた。
演奏が終わるとウツが、「どうもありがとう。来年会いましょう」と言い、メンバーはステージから退場する。
そしてスタッフが出てきて、ライブの終わりを告げた。
なおここまでの流れから明らかなように、ライブは「Love Train」まで一連の流れで構成されており、メンバーも一時退場などはしていない。
ところがDVDでは「Love Train」のみ「Encore」と書かれている。
これはアンコールではないと思うのだが、DVD製作者の意図がよく分からない。
DVDにはこの後、トークシーン、リハーサル、写真撮影会などのダイジェスト映像が収録される。
BGMは「MESSaGE」のインストだが、この音源はシングル収録のインストとミックスが違っている(BGM用に、サビの部分などで音が減らされている)。
DVDリリース告知では、この部分について、「あの曲のNEWバージョンが収録されています!」として宣伝されたが、別にもったいぶってアピールするほどのものではない。
どうやらもともと利用していたサービス先が消滅したようです。
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4/21のTM35周年記念日には全国の映画館で、「TMN final live LAST GROOVE 5.18/19」の上映が行なわれました。
意外と動員も良かったようで、大半の会場は前売り券で満員になっていました。
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今回の目玉は音・映像のレストアと、松本孝弘さん出演の5.19「Get Wild '89」「You Can Dance」でした。
まず映像については、まあこんなもんかなと思いました。
そこまできれいな映像とは思わなかったですが、家でBlu-rayをDVDと比べてみると違うのかもしれません。
一方5.1chになった音はとてもよかったです。
これまではちゃんと聞こえていなかった音もよく聞こえました。
1994年の会場では席のせいもあり、必ずしも音は良くなかったので、今回はこの音を聞きに行ったと考えれば良いのかなと感じています。
Blu-rayになっても、家に5.1ch再生環境がないと再現できませんしね。
新追加の「Get Wild '89」は、なぜか「もう一人のスペシャルゲスト、松本孝弘!」の紹介シーン前後が演奏も含めて削られており、妙に気持ち悪いイントロになっていました。
浅倉大介さんの登場シーンも、以前と同様にカットされています。
こんな1分くらいの映像、けちっていったい何の得があるんでしょうか。
もしかしたら将来、「真の完全版」が出る可能性が…?
なんかBOOWY商法みたいになって参りました。
この他、リハーサルシーンやエンディングなども含め、事前告知があった部分以外、映像の構成は基本的にほぼ既発売DVDと同一でした。
また数ヶ所あった音の修正も変わっていません。
まあこれはもともと期待はしていませんでしたが。
今回「Get Wild '89」以外に映像の再編集告知があったのは、「Rainbow Rainbow」「You Can Dance」です。
「Rainbow Rainbow」は葛城さんと北島さんの映像のバランスが悪かったのを調整したものとのことです。
(ふくりゅうさんが直々に教えてくれました)
「You Can Dance」はかつての映像では松本さんが消されていましたが、今回はちゃんと入り込むように編集されていました。
こちらの映像、楽しそうな雰囲気が伝わってきて、とてもよかったです。
最後の松本さんの雄たけびがなかったことにされているのは気になりましたが…。
なお上映が終わると、5.18・5.19ともに、最後に「in memory of ISAC SAKANISHI」の一行が映し出されました。
TMのかつての映像監督坂西伊作さんをしのぶと言うメッセージが出たのは、今回の企画に伊作さんの旧関係者が入っていたからでしょう。
きっとTM3人も、同じことは感じているんだと思います。
さて、TOHOシネマズ新宿では上映の前に、木根さんとふくりゅうさんのが舞台挨拶がありました。
その様子はすでにネットニュースに上がっており、全貌も近日中に公式サイトに出るそうです。
各会場でも5.18と5.19の合間に告知されたのですが、TMN「終了」ライブの前日に当たる5/17に、東京のZepp DiverCityとZepp Osaka Baysideで、また「TMN final live LAST GROOVE 1994」を上映するそうです。
(4/21のとは微妙にタイトルが違いますが、同じ内容のようです)
すでにチケットぴあで先行受付が始まっています。
なおトークショーもありますが、登壇者は未発表です。
今回の映画上映に先立って、企画を盛り上げるために、同ライブについて関係者へのインタビューなどが行なわれました。
たとえばCocotameでは立岡正樹さん、久保こーじさん、川崎幹雄さん(映画の映像プロデューサー)のインタビューが掲載され、公式サイトでは葛城哲哉さんと山田亘さんのトーク動画も公開されています。
中には初めて聞いた話もありました。
関係者にはこういう機会にいっぱいしゃべってもらいたいものです。
挨拶程度のものですが、35周年記念日にはメンバーの発言もありました。
ウツは35周年記念日に、「人生いろいろ♫ですが、3人とも生きているという小さな奇跡も迎えましたm(__)m 」とtweetしました。
木根さんも上記舞台挨拶で、「これだけは言えるのは、今のところ3人とも元気です(笑)。そして僕らも皆さんと同じ思いだということだけお伝えします」と言ったそうです。
さて、前回大騒ぎで話題にした「TM NETWORK THE VIDEOS」ですが、謎に包まれていた特典ディスク2枚目の内容が判明しました。
1988/8/25開催の東京ドームライブ「STARCAMP TOKYO」です。
ただし「Dragon The Festival Tour」とは異なり、完全収録ではなく、2/3程度の収録となります。
その内容はNHK総合の1時間版と同じとのことです。
編集用経費がかかるからテレビで放映されたものを使うというのは分かります。
しかしこの件で解せないのは、なぜNHK総合版なのかということです。
というのもこのライブ、当時はNHK総合以外にNHK BSでも放送されており、BSの方が2曲多いのです。
当然ながら、この2曲は放送用に編集済みです。
つまり今回の収録内容は編集費用の問題ではなく、単なるSONYの出し渋りです。
ここで出し渋るということは、今後まだTMの映像作品で稼ぐつもりなのでしょう。
これに対して「Dragon The Festival Tour」を最初から完全版で出すのは、たぶんブレイク前の本ツアーは今後もたいした金づるにならないのに対し、全盛期の「STARCAMP TOKYO」は、小出しにすれば金づるになると考えているからだと思います。
正直今後「STARCAMP TOKYO」が中途半端に増補されても、完全版じゃない限り買う気はないですが、もしもSONYがそういう考えなら、「価値がない」時期の「Electric Prophet」(1984年)や「Fanks Dyna-Mix」(1986年)の完全版を出してほしいものです。
また「final live LAST GROOVE」両日分のライブDVDが2枚組で、「TM NETWORK THE VIDEOS」と同日の5/22にリリースされるそうです。
BOXを買うほどではないけど「LAST GROOVE」だけなら買いたいという方用でしょうね。
なお「LAST GROOVE」は過去に発売したものもまだ在庫があるようです。
こちらは画質が悪い上に1曲少ないのに、今回の商品よりも高くなります。
メンバーの活動を見ると、ウツは4/1から「それゆけ!歌謡曲〜ギア4 one〜」が始まりました。
また4/17には「Tour Thanatos」のBlu-rayが一般発売されました。
「Open Your Heart」「Ignition, Sequence, Start」「Runnning To Horizon」などが収録されています。
木根さんはコラボライブなどを回っています。
また4/4には日本テレビの「笑神様は突然に」の特番に出演しました。
正月に続き2回目ですね。
私は見ていませんけど。
またFM COCOLOの「J-POP Legend Forum」では、今月は毎週ゲストを招いて小室哲哉特集をやっています。
これまで藤井徹貫さん・木根さん・DJ KOOさんなどが出演しています。
木根さんの時には結構じっくりとTM話をしてくれました。
木根さん、番組の締めに、「でもなんか僕は予感としてね、もう一度TMはできるんじゃないかなと勝手に、希望的観測を持って、メンバーとして」と言っていました。
TMはまだ終わっていないと言うスタンスを取り続けてくれているのは嬉しいところです。
小室さんについてはBOXのリリースが終わった後、今度は「Tetsuya Komuro Archives」のT版・K版各50曲から20曲をセレクトした「T SELECTION」「K SELECTION」と、CD版に入らなかった小室さんの楽曲20曲を集めた「Tetsuya Komuro Archives EX」が、4/10に配信限定でリリースされました(収録曲にミスがあったEXのみ4/17に延期)。
以上、近況だけで相当長くなってしまいましたが、2ヵ月半ぶりに本題に入ります。
もう皆さん覚えていらっしゃらないと思いますが、前回「7-13 20周年への助走」を踏まえて、2003/9/6・7開催の「Fan Event in Naeba」の内容のまとめです(具体的内容は9/7に準じる)。
期せずして「終了」の話から始まります。
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ファンが待ちわびる中、SEなどもない中で、メンバーがステージに現れる。
ウツ・木根・吉田はステージの椅子に着席する。
通常のTMのライブの場合、オープニングで何らかの演出を設けたり、派手なSEやイントロを流したりするのだが、普通にステージ奥からメンバーが歩いて現れるという始まりは稀有である。
1曲目は誰も予想しなかったであろう「Nights of the Knife」である。
言うまでもなくTMN「終了」の曲で、1994年以来の演奏となる。
観客の中には「終了」を思い出した者もいたかもしれないが、実は「Nights of the Knife」は、「新しい始まりが今」から歌詞が始まることから分かるように、新たな活動に移ることを宣言した曲である。
もちろんリリース当時、それは実質的にはTMN「終了」を意味したのだが、「we are going to make a brand-new day」と言っているように、歌詞の趣旨はあくまでも次の活動を前向きに告げる内容である。
20周年の助走となる本イベントをこの曲で始めたのは、ファンに対して今からが「新しい始まり」となることを宣言したものだろう。
TMファンにとってのトラウマになったこの曲は、この時に別の意味を与えられ生まれ変わったのである。
この曲は翌年の20周年ライブでも演奏されたが、それも同様の意味づけの下で行なわれたものと考えられる。
演奏が終わると、ウツの舌足らずなMCが入り、「Nights of the Knife」の上記の位置付けがなんとなく述べられる。
えー、あらためてこんばんは。「終了」の歌ですが、まーなんかこれも、続きみたいなね、新たなまた始まりで。えー、84年にデビューしたわけなんですが、実質結成から考えると、まー今年がね、本当は20周年。で来年が本当の…
ここで木根は「どっちがホントなの」と突っ込むが、ウツが笑いながら続ける。
まーでもなんかあの、よく最近ね、「tribute LIVE」やったばかりだし、20年なんていってますけど、よく考えると、なんか演歌の世界だと、20周年だと先生みたいなのも、なんか違うね20周年ていってもね。
ここで木根が「北島先生に比べたら」と、どうでもいい絡み方をしてきて、ウツが「え?」と戸惑う。
木根「北島三郎さんが40周年迎えたから」(北島三郎は1962年デビュー)
ウツ「そうですね。(木根は)なんかそういうの詳しい」
木根「ぼくらは「函館の女(おんな)」から…「函館の女(ひと)」か」
ウツ「あー、そうですね、ええ」
ここで会話が途切れ、微妙な空気になり、木根が「すばらしいトークの交流だね!」と、無理やり話を進める。
ウツ「まあね、昨日もね、こんな感じだったんですけど」
小室「そうだね」
やっと小室が一瞬だけ会話に加わり、観客拍手。
ウツ「ま、今日、今夜はですね、いろんな曲をご用意致しております」
(観客拍手)
ウツ「なかなかね、集まることないんで、おさらいみたいな、来年に向けての、おさらいみたいな。ホントにね、おさらいになりました」
(観客笑い)
ウツ「いろんなこと考えたのも、今回も何曲かあるんですが。でまあ、軽く、ほとんど木根君になると思うんですが、トークの達人として、こういったトークを交えて」
木根「いやあの、なんかこう、ぼくの話なんてのはもうね、よく出しているんで、いろんなところで。やっぱ小室さんの声なんかも聞きたいんじゃないかと思うんですけど」
木根がシンセをいじる小室に話を振ると、観客の拍手。
ウツは「大丈夫ですか?」と小室に話しかけ、小室は「ええ、リハーサルで声出してないですからね、一言も。すいません。大丈夫です」と答えるが、ウツは「大丈夫ですか?」と再確認。
小室は今度は沈黙したため、ウツは改めて「ばっちりですか?」と問いかけると、小室は笑いながら「ばっちりです」と答え、ウツは「あのー、次の合間からよろしく」と続けた。
観客が笑いながら拍手する中、ウツ「じゃあ次行きましょう」。
ここでウツが「大丈夫ですか?」と聞いたのには、一つの伏線がある。
この日(9/7)の小室は体調を崩しており、夕食前のトークショーでは席を外して吐きに行き、写真撮影会でも鼻血を出すという場面があったのである。
小室はその後休憩を取ってライブに臨んだわけだが、おそらく万全の体調ではなかっただろう
翌日木根とウツがイベントを終えて苗場を出た後も、小室はホテルで寝込んでいたと言う。
こうした状態がこの日だけのことなのか、精神的な原因から不調が続いていたのかはよく分からない。
さて、2曲目は「Human System」である。
小室は楽器をシンセからピアノにシフトする。
基本的にオリジナルバージョンの演奏だが、「ClassixⅠ」収録の「café de paris mix」で使われたドラムのフレーズが用いられている。
3曲目は、この日の目玉というべき「金曜日のライオン」である。
原曲とは大きく異なり、トランスアレンジが施されている。
これがTM版トランスの初披露となる。
最新のTMの音を、TMの始まりの曲(デビュー曲)で試みたわけである。
このアレンジの「金曜日のライオン」は、翌年「Take it to the lucky(金曜日のライオン)」と題され(原曲のメインタイトルとサブタイトルを入れ替えたもの)、シングル「NETWORK™」に収録された。
シングル用のオケはライブ用トラックのデータを手直ししたものであり、その点でシングル版の音は基本的には本ライブで披露されていたことになる。
もちろん本ライブの演奏とシングル版には異なる部分もあるが、これについては別章で触れることにしたい。
なお2004年のアルバム「Easy Listening」リリース時にはPVが作られなかったので、メディアでの宣伝では、DVDのこの曲の演奏シーンが流された。
この曲の後にウツは、「「金曜日のライオン」がニューアレンジになりました」とファンにアピールし、
小室に「やっぱトランス系なんですかね?」と聞くと、小室はそうだと答えた上で、20年ぶりにこの曲をいじったと述べた(実際には80年代にはかなりアレンジを加えて演奏していたのだが)。
その後はメンバーがデビュー当時のエピソードをめいめいに話した。
木根は、ライブで「Electric Prophet」を演奏している間、松本孝弘が寝てしまうことがあったというエピソードを語る。
FANKS時代のアレンジでは、終盤のサビ繰り返しまでエレキギターが出る場面がなく、松本は5分ほど立ちっぱなしになることになるし、ライブの最後の曲でもあったから、つい油断してしまうこともあったのだろう。
またウツは、1984年のライブの話をした。
デビュー当時はライブをやらないことにしていたが、どんな人が来るか確認するため、実験としてライブをやったのだという。
1984年6~7月のライブのことだろう。
この時、客が踊り出すという、予想しなかった行動を取ったため、後にTMでダンスを取り入れたという。
時間軸がかなり飛んでいる話をまとめて話している印象もあるが、デビュー当時はダンスという要素を想定していなかったという証言は興味深い。
ウツがサポートの吉田建と葛城哲哉を紹介し、次の曲に入る。
独特なシンセのイントロで始まる「8月の長い夜」である。
原曲とはかなりアレンジが替わっているが、特に小室のピアノパートはとても好きだ。
「Tour TMN EXPO」のフォークパビリオンを除けば、この曲が演奏されるのは1989年「CAROL Tour」以来14年ぶりである。
9月初めという日程を意識した選曲だろう。
次の「Girl」も、フォークパビリオンを除けば、TMでは1987年「Kiss Japan Tour」以来となる演奏である。
ただ直前の「tribute LIVE」でも演奏されたので、参加者にとって懐かしさという点ではそれほどでもなかったかもしれない。
明るい雰囲気だった「8月の長い夜」とは打って変わって、緊張感のある演奏である。
「8月の長い夜」が終わると、小室がシンセからピアノに移動し、演奏を始める。
ウツ、「ピアノ、小室哲哉」と言ってステージから退く。
前半は「CAROL」組曲の「A Day in the Girl's Life」で、「キヲクトキロク」の「CAROL (unreleased piano version)」を意識した演奏となっている。
後半は多分即興演奏だと思う。
長時間の雑談に入る。
初めは葛城がライブ中のインスト演奏の意義について論じていたが、木根に話が振られると、なぜか竹馬や空中浮遊などパフォーマンスの話になってしまった。
次の曲は「Dreams of Christmas」。
アコースティック楽器のみのシンプルな演奏である。
この時はウツもアコースティックギターを演奏した。

♪君はきっと埋まっているよぉ
「8月の長い夜」と同じライブでクリスマスソングを演奏するのはどうかとも思うが、この曲のオリジナルシンガー4人が揃ったことから、季節感の無さすぎる選曲になったのだろう。
この曲はウツ・木根のソロライブなどで演奏されることはあったが、4人そろった演奏は、この時以外では「Rhythm Red Tour」「Tour TMN EXPO」のクリスマス前後の数公演で披露されたくらいである。
この演奏は、意外なところにつながる。
このイベントにはKEIKOもついてきて会場で見ていたのだが、この曲を聞いて自分も歌いたいと言い出したのである。
小室は9/8に帰宅した後、9/9からKEIKOのソロシングル「KCO」のレコーディングに入ったが、本作に「Dreams of Christmas」が入ったのは、これがきっかけだった。
「Seven Days War」。
この曲、オリジナルではウツの歌で始まるが、この時は小室のピアノで始まり、その後にウツの歌が乗るというアレンジだった。
前曲から引き続き、アンプラグドの演奏で、特にピアノが前面に出されている。
最後はウツが「どうもありがとう」と言って締める。
MCに入る。
ウツが、「Seven Days War」がロンドンで制作されたことや、小室がロンドンに住んでいたことに言及し、ロンドンでの活動に当たりEPIC/SONY社長(当時)の丸山茂雄の後押しがあったことにも触れた。
ここで丸山の手紙が出された。
20周年を迎えるTMに向けて認めたものである。
木根がこれを朗読し、小室はバックでピアノを伴奏した。
演奏曲は「1974」「Self Control」「Get Wild」「Love Train」と変わり、最後にはglobeの「Feel Like Dance」になった。
TMのイベントでglobe曲を演奏するのは疑問に思うところだが、それまでの自らの道のりを曲で時代順に表現したものだろうか。
個人的にこうした演出をファンの前で行なうのは好きではないが、動き出しが鈍かったTM(特に小室)に対しては、いくらかの刺激(叱咤激励)にはなったものと思う。
その全文は翌年の「Double Decade “NETWORK” in YOKOHAMA ARENA」のパンフレットに、丸山の署名とともに収録されている。
以下にこれを転載しよう。
小室哲哉様
宇都宮隆様
木根尚登様
背景 新涼の頃、TM NETWORKが20周年に向け本格的な活動を始めるとの知らせに老翁の心を躍らせております。
こんな堅苦しい挨拶は君達と私の間では不似合でしょうか。いえ、君達も不惑を過ぎ、これくらいの挨拶が馴染む大人になったのですね。そうわかっていても、ついつい思い出すのは、出会った頃の事、20代の君達が自信と不安、理想と現実の狭間で揺れていた頃です。
当時、まだヨチヨチ歩きだったEPICレコードも、今年25周年を迎えました。手前味噌のようですが、私が社長を務め、君達がアイドルだった80年代は、50周年になろうと100周年になろうと語り継がれるでしょう。その群雄割拠の時代、百花繚乱の季節、TM NETWORKは一つの使命を持ち、それを果たしたのだと考えます。ジャパニーズ・ポップスのクオリティーをワンランク引き上げ、ロック・フィールドに華やかさを持ち込み、J-POPエンタテインメントの基礎を築いたのだから、この事はもっともっと誇りに思うべきだと思います。
そして、今年はいよいよTM NETWORKデビュー20周年。20年と言えば、生まれたての赤ちゃんがまがりなりにも大人になる年月です。言葉を覚え、ひとり歩きを始め、友達ができ、初恋をし、失恋を味わい、人生について考え、夢を抱き、夢破れ、また夢を掲げ、そして責任と義務を認められるようになるまでの時間です。
君達TM NETWORKも同じでしょう。20周年だ、ベテランだと、見張り塔から雲の行方を眺めるのは怠け者です。TM NETWORKを名乗るからには、自身と不安を抱えながら新たな居場所を探す旅を続けてください。
大人にならなければ見えない夢、大人にならなければ感じられない事があります。今の君達だから歌える歌は限りないでしょう。この老翁も、君達に負けないようまだまだ前を向いて走り続けます。あの頃よりも体力は落ちても、ゆっくり走らなければ見えない風景もあるのだと言い聞かせながら。
新しいスタートラインを前に、タイムマシン号の調整は万全ですか?
哲ちゃんは地図を描きましたか?
ウツは操縦桿を握りましたか?
木根君は安全ベルトをしっかり締めましたか?
君達の乗ったタイムマシンが金色の尾を引き、天空を横切るのを楽しみに待ちながら、今日も夜空を見上げましょう。敬具
丸山茂雄
朗読が終わると、観客の拍手。
これにてMCコーナーは終わり、ウツ・木根・吉田も含めて全員が起立する。
ウツが「そろそろ、新しい曲に行きましょう」と言うと、「Castle in the Clouds」の演奏が始まる。
「新しい曲」とはいっても、すでに1年近く前の曲だが…。
小室はこの曲では意外にもピアノを担当するが、この音色は意外と良く合っている。
なお2002年の「Laugh & Peace Premium Night」では、小室はこの曲でシンセを演奏していた。
ウツのMC。
「ありがとうございます。久々に歌いました。たしか今回で2回目だったと思います」
すると木根、
「大丈夫大丈夫、「一途な恋」は歌ってないから」
などと余計な事を言ってしまう。
観客から「歌って―」の声。
ウツは「歌わねーし」と答えるも、木根はギターを弾いて「一途なこーいー♪」とワンフレーズだけ歌い、観客も後から合唱する事態になる。
この曲は生では歌えないため、これまでも演奏されてこなかったのだが、木根は「(歌えない部分は)みんなに歌ってもらえばいい」と言い、小室も、長淵剛のように会場だけで歌ってもいいと話す。
ウツは「でも「一途な恋」に限らず、(歌ったことない曲なら)いっぱいあります」と言い、「I Want TV」「You're The Best」などのレア曲に話題が及んだ。
小室は応援歌として「You're The Best」よりも「Just One Victory」を推したい旨を述べたが、実際に20周年ライブでは「Just One Victory」のライブバージョンが一つの目玉になった。
そろそろ時間が来たのか、ウツがまとめに入り、20周年に向けての抱負を小室と木根に求めた。
これを受けて小室は、1999年に再始動したのはどこかにやり残した感があったからだとして、TM NETWORKの20周年を形にしたいと述べた。
木根は、今回のイベントで出た話題を20周年に預かっておきたいとして、20周年を次のステップとなる年として大切にしたいと述べた。
最後にウツは、普段はTMの曲をちゃんと聞く機会がないとのことで、「Rainbow Rainbow」から聞いて練習しておく、選曲の神様として頑張ると述べた。
そして最後にひとこと。
「ということで、最後の曲を聞いて下さい」。
曲は「Love Train」のトランスミックスである。
これは翌年「Easy Listening」に「Love Train -Extended Mix-」として収録されるものの元になったものだが、「金曜日のライオン」と比べると後のスタジオ音源との差異が大きい。
この曲のアレンジについては、別章で改めて触れることにする。
なお9/6には、この曲でブレイクが入る箇所の後、小室がガイドになる音を出さなかったため、バンドメンバーが混乱する場面があったらしい(2番のサビ前か)。
さすがに9/7にはこういうことは行なわなかったようだが、音の加減を即興でいじる場面は、翌年の「Double Decade Tour」でもしばしば見られた。
演奏が終わるとウツが、「どうもありがとう。来年会いましょう」と言い、メンバーはステージから退場する。
そしてスタッフが出てきて、ライブの終わりを告げた。
なおここまでの流れから明らかなように、ライブは「Love Train」まで一連の流れで構成されており、メンバーも一時退場などはしていない。
ところがDVDでは「Love Train」のみ「Encore」と書かれている。
これはアンコールではないと思うのだが、DVD製作者の意図がよく分からない。
DVDにはこの後、トークシーン、リハーサル、写真撮影会などのダイジェスト映像が収録される。
BGMは「MESSaGE」のインストだが、この音源はシングル収録のインストとミックスが違っている(BGM用に、サビの部分などで音が減らされている)。
DVDリリース告知では、この部分について、「あの曲のNEWバージョンが収録されています!」として宣伝されたが、別にもったいぶってアピールするほどのものではない。
この記事へのコメント
登壇があったのは、バルト9じゃなくてTOHOシネマズ新宿ですよ。
音は確かによかったです。色んな音が聞こえたのは、チャンネル数が多くて混ざりあいが少なかったのかもしれないですね。家で2chで聞いても同じように聞こえるんでしょうか。オープニングはまったく仰る通りです。シンプルながらかっこよかったですよね。いかにも記念のショーて感じがして。
>kuri566さん
だって歌詞を正確に翻刻したら、書いた通りで間違いないですよね?
タオルは、私は25年前には買っていなかったのでわかんないですが、基本的に同じサイズ・デザインというコンセプトのはずです。実際に並べると色が少し違うそうなんですが、25年前のが退色しているのかもしれません。
「ラスグル」はおっしゃる通りですが、今回のは坂西監督作「LAST GROOVE」の上映会ということで、まあラスグルで良いんじゃないかと思っています。それに「よんせんいちにちぐるーぶ」て長いんですよね。
うん、「4001」の数字のセンスは私も好きです。かっこいいと思ったんでしょうね。
まあ大したことは言ってませんけど、35周年の記念すべき動画ですね。
ありがとうございます。
80年代のビデオ作品なんかは発売後に編集前のマスターテープ廃棄とか普通にやってましたし、TV局も似たような感じです。
特に洋楽関係なんかではアーティスト側が80年代のライブ映像を購入するために大金を用意してるのに、既にマスターテープ廃棄済みでテレビ局が売りたくても売れないってよくある話ですし
テレビ局がよく行ってたという映像テープの廃棄話。
正確には、テープ自体を捨てず磁気の力で記録した中身のみ消去します。現在の言葉で言い換えると、ビデオテープのフォーマット処理です。
昔たまたま地方のテレビ局を見学する機会があり、番組制作部のスタッフから専用の機械と実際の作業を見せてもらった経験があります。
特に取材テープは記録とフォーマット処理を繰り返しながら使い回しをするのが定番。当時のスタッフ曰く、テレビ局の経費節約として常識的な事らしいです。
TV局が録画を上書きしていくことがあるのは承知の上ですが、特番のライブ放送は今後も再利用する可能性は大いにありますし、これを消すことはそうそうないでしょう。また価値の低い地上波の映像を残して、価値の高いBSの映像のみ消去するというのも、想定しがたいです。地上波版があればBS版も絶対残しているはずですが、それを出してこないのはなぜ?ていうのが、今回の記事で書いたことです。
あとSONYはマスターどころか、映像素材も保管しています。根拠はCAROL Deluxe EditionのCamp Fanks!!'89、去年のFanks Cry-Max増補映像、今回のラスグルの再編集映像です。BOXのドラフェス映像も、過去のTV放送映像とはアングルが変わっており、素材から作り直しています。TMレベルのミュージシャンについて、SONYがマスターを廃棄するというのは、過小評価に過ぎると思います。むしろマスターがなくなった可能性を私が疑っているのは、TK Tracks関係のEXPO ARENAとThink of Earthです。
惑星さんが書き起こしてくれたのを見て涙が止まりません
なんて素敵なメッセージなのでしょう
「TM NETWORKを名乗るからには、自身と不安を抱えながら新たな居場所を探す旅を続けてください。」
これが哲ちゃんの心に当時刺さってくれたら...
だけど遠回りや余計なことも経て
いま無事に継続していることは何よりだと思います
「哲ちゃんは地図を描きましたか?
ウツは操縦桿を握りましたか?
木根君は安全ベルトをしっかり締めましたか?」
これって3人の人間関係をホントに的確に表している表現ですよね
久しぶりに感動で涙が止まりません
惑星さん
しっかり残してくれてありがとうございます
私もこれはちゃんと字にしておこうと思っていました。
時間があったら、是非Double-Decadeのパンフを確認して見てくださいね。