7-16 NETWORK TM
Blu-ray BOX「TM NETWORK THE VIDEOS」が、5/22にリリースされました。
3万円を超える高額商品の上、ほとんどが既発表商品の寄せ集めだったにもかかわらず、音楽Blu-rayチャートで2位・5914セットの成績を上げました。
音楽Blu-ray・DVD総合では3位です。
同様の商品としては2016年に、30周年関連の映像をまとめた「TM NETWORK 2012-15」がありましたが、こちらは1519セットしか売れませんでした
これは収録映像のほとんどが数年以内にリリースされたばかりのものでしたので、ファンも多くは購入を見送ったものと思われます。
また2015年には、SONY時代の歴代ライブ映像を1枚のDVDに寄せ集めた「TM NETWORK THE MOVIE」もありましたが、これは3360枚の売上で、「TM NETWORK THE VIDEOS」の半分強しか売れていません。
もっと売れたものでは、2013年「START investigation」以後の新作映像の売上は7000~8000枚でした。
2012年の「incubation Period」は、再結成のご祝儀セールスで1万枚くらい行きましたが、それを除けばTMの映像作品の購買層はだいたい7000~8000程度と考えられますので、その中の6000人を動員できたのは、商法としてはうまくいったのだと思います。
本商品について、私にとって商品価値の99%は初商品化の特典ディスク「Dragon The Festival Tour」にあるので、今回はこれだけ触れることにしようと思います。
ちなみにBOXのフタの裏には、本ツアーエンディングの3人のシルエットのイラストが描かれています。
こういう細かいところで、ファンとしては嬉しくなりますね。
しかし今「これだけ触れることにしようと思います」とか書きましたが、実は今回は、何も語ることがありません!
これまで私は「CAROL Deluxe Edition」「TM NETWORK THE MOVIE」「FANKS CRY-MAX」など、過去のライブ映像を対象とした商品が発売されるたびに、ものすごくねちっこく、どの部分の映像がどうだと、細かく検証し、文句をつけてきました。
熱心なファンの反感も買いながらも、時間をかけてこんなことをしてきたのは、ひとえにSONYから提供されるものの質がひどすぎたことがあります。
またファンがこういうクズ商品に満足してしまうと、今後もSONYから同様の粗悪品が出され続け、本丸となる映像の全貌が延々と隠匿され続けるという危惧もありました。
そこで私は、本当に求めるものはこんなのじゃないはずだと、訴え続けてきました。
そして遺憾の意を述べるだけでなく、どこが不満で何が欲しいのかも、ちゃんと書くようにしてきたわけです。
ところがですよ
今回の「Dragon The Festival Tour」
これこそまさに、私が求め続けてきたものそのものなのです!
まず映像はSONYの倉庫に保存されている素材を使い、最善の画質で提供されました。
今回商品化された日本青年館公演の映像は、かつて4曲がTVで放映されていましたので、私はてっきりその映像が含まれているものと思っていました。
ところがいざ見てみると、本ディスクではTVで放映したものと共通する映像も用いながら、まったくの別編集となっていました。
過去の編集済映像をアップコンバートしたのではなく、当時の映像素材を使って一から編集し直したと考えられます。
本ツアーの音については、これまで「Groove Gear 1」「The Singles 1」に断片的に収録されたものがありましたが、Blu-rayはそれらと比べても、それぞれの音がはっきりと聞こえます。
当時のラジオの録音との違いはもちろんです。
やはりBlu-ray用にリマスター処理を行なったようです。
なお余談ですが他のディスクについても、DVDで抹消されていた「LAST GROOVE 5.19」の「Kiss You」の歌ミスが、ミックスをし直した結果か、うっすらと復活しています
最後になんといっても感激したのは、デビューからまもない売れていない時代のライブの様子を、最初から最後まで続けて全部見ることができたこと!
古いライブは完全な形では見られないという話は何度も聞かされていましたが、ここに来て人生の願いの一つが叶えられました。

「永遠のパスポート」を座りながら歌っていたのも初めて知りました
ということで、SONY様!様様!
今回のBOXは(実質的には「Dragon The Festival Tour」のディスクが)大満足の出来でした!
つきましては、この他にも蔵に眠っている映像素材、機会を見つけて日の目を見せていただきたく存じます!
いや、あることは分かっているんです!
分かっているから早く出せやこのや…いや、出してくださいませ。
今から企画を作れば、来年度には出せますよね?
そんなすぐには無理でも、またいずれ次の企画を、是非お願いします!
この水準のものを出してくれれば、単品3万円くらいでも余裕で出します!
さて今回の35周年関係企画について、少し前には木根さんのインタビューが出ましたが、「Player」7月号にも木根さんのインタビューが出ているそうです(本記事haruさんコメント)。
またBOXリリース日には、ウツのインタビューが出ました。
ウツが昔の思い出を語ってくれています。
「TMN 4001 Days Groove」2日目のオープニングの話もしていますが、何の曲をやったか覚えていないようです(実際にはTMの曲ではなく、サポートメンバーによる即興演奏)。
まあウツはオープニングではステージにいなかったわけだし、ウツ自身が演奏したわけでもないから、あんまり印象にないのかもしれないですね。
このたびのBOXリリースで、TM35周年企画は終わりとなりましたが、6/18にはナタリーの企画で、新宿ロフトプラスワンにクラムボンのミトさんとRAM RIDERを招き、トークライブ「Respect! トークライブ Vol.2 ~TM NETWORK 勝手に名曲総選挙~」が開催されます
すでに終わってしまいましたが、6/3までTMの名曲投票が行なわれていたので、おそらくこの結果を元にトークを行なうんだと思います。
ウツは「それゆけ!歌謡曲〜ギア4 one〜」が佳境に入ってきましたが、5/29のマイナビブリッツ赤坂公演では、ゲストとして木根さんが出演しました。
木根さん、小室さんとたまたま会った話などしたそうです。
木根さんは「2626ツアー」の後半公演の日程(8/17~10/6)を発表しました。
6/15チケット発売です。
またFC休止の代替措置として、停止されていたメーリングリストが再開されました。
いつのまにか「キネメガ」て名前が付けられているんですが、こんな名前ありましたっけ?
メディア出演では、木根さんが、6/3日本テレビの「ヒルナンデス!」、6/4ラジオフチューズの「Zackeyの府中熱中音楽館」に出演しました。
ウツは6/1「ほくりくアイドル部 放課後ホリデイ」、6/11「Sunset Express MOVE」に出演します。
どちらもFM石川です。
では本題に入ります。
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TM20周年記念シングルは、小室新曲・小室リミックス曲・木根新曲の3曲と、それぞれのインストを加えた6テイクを収めたマキシシングルとして、2004/2/25にリリースされた。
この中で小室の2曲はともにトランスアレンジである。
これをリードシングルとして出してきたことは、TM20周年がトランスを中心とすることを宣言するものでもあった。
アルバム制作も本作と連続して行なわれたが、やはりトランス風味の作品に仕上がっている。
このシングルは収録曲とは別のタイトルが付けられた。
「NETWORK™」である。
こうした例はTMでは他にないが、当時の邦楽シングルでしばしば見られたものである。
小室が本作の前に制作したKEIKOのソロシングルも、収録曲名とは関係なく「KCO」と名付けられている。
翌月のアルバムのタイトルが「NETWORK-Easy Listening-」であり、20周年記念ライブのタイトルが「Double-Decade “NETWORK”」だったように、20周年では「NETWORK」という単語がクローズアップされた。
実は意外なことに、これまで20年間、「TM NETWORK」の内の「NETWORK」がキーワードとして強調されたことはなかった。
タイトルのロゴは、「™」の部分がマルで囲まれている。
また文字の周りには、汚れのような装飾がある。
このロゴは「NETWORK™」のCDに印刷されているほか、「NETWORK-Easy Listening-」の「NETWORK」の部分でも用いられた。
だから実は「NETWORK-Easy Listening-」も、厳密には「NETWORK™-Easy Listening-」とすべきである。
CDには藤井徹貫の解説文を載せた別紙も封入されており、その裏には20周年のロゴマークが印刷されている。
3本の傘が横に並び、その下に「NETWORK™」の文字、そしてその下に「DOUBLE-DECADE」の文字があり、これらが下向きの矢印の中に収められているというものである。
なぜ傘なのかは分からないが、3本の傘はTMの3人を表現しているのだろう。

このロゴマークは「Double-Decade “NETWORK”」でも使用され、TM20周年のシンボル的なマークになった。
色々と不満があった20周年の活動ではあったが、個人的にこのロゴは結構好きである。
CDのジャケットは、浮輪をはめて屋外を歩く子供の後ろ姿である。
海岸で撮影したものだろうか。
この時期のジャケットデザインは、洋楽ジャケット風の雰囲気が濃い。
本作に封入される応募券を「Easy Listening」に封入される応募ハガキに貼って送ると、抽選で「プレミアムグッズ」がプレゼントされた。
A賞はオリジナルリストウォッチ(50名)、B賞はオリジナルウィンドブレーカー(100名)、C賞はオリジナルピンバッチ(赤・青・黒)(300名)だった。
さらに本作には、4/21の横浜アリーナライブ「Double-Decade “NETWORK”」と、5~6月の全国ツアー「Double-Decade Tour」(一部)の特別先行予約案内も封入されていた。
この時の活動が短期で宣伝もほとんどできなかったこともあり、TMは新作の発売をライブ開催と組み合わせて、効率的に動員に結び付けようとした。
本作は初動13位・1.8万枚、総合2.7万枚の成績となった。
2002年の前作「Castle in the Clouds」の3.6万枚を下回る成績であり、TMのメジャーシングルでは、1987年「Get Wild」以来、初めて10位内ランクインを逃した。
売上は3万枚(1989年CD化当時の売上を除く)を越えた1987年「Self Control」を下回っている。
TMが長い間まともな活動を行なわなかったことで、ファンの規模がブレイク以前の程度にまで低落していたことが分かる。
本作の制作過程については、アルバムとともに前章ですでに触れたところである。
結論のみ確認すると、2003/11/10~13に「Take it to the lucky」がレコーディングされた後、2004/1/6から同月半ばにかけて、「風のない十字路」「Screen of Life」がレコーディングされた。
そして小室はそのまま、アルバム曲の制作に入った。
アルバムも含めてこの時のレコーディングでは、小室とウツ・木根の間のコミュニケーションが極めて乏しかった。
レコーディングの時も、3人で会ったことは一度もなかった。
2000年の「Major Turn-Round」の時も、小室はアメリカ、他のメンバーは日本でレコーディングし、データをネットでやり取りしつつ制作を行なった。
だがこれは、小室がアメリカの永住権を保持するために、一定日数アメリカに滞在しないといけないという事情もあったと思われる。
一方2004年には、3人とも東京にいたにもかかわらず、小室は自宅のスタジオで一人で作業を行なった(もちろんアシスタントはいたが)。
小室によれば、Protoolsでハードディスクレコーディングをすれば、大規模な設備は不要だったためという。
シンセサイザー以外の生楽器は、葛城哲哉のエレキギターだけである。
小室は音源がある程度できると、スタッフを呼んで渡すか、またはデータでメンバーに送った。
ウツ・木根はこれに歌やコーラスを入れて小室に送り返した。
木根は個別に小室に会うことはあったようだが、3人で日常的な会話をする機会はほとんどなく、3人での打ち合わせはラジオ出演などの機会をとらえて行なわれた。
木根の「新・電気じかけの予言者たち」でも、本作のレコーディングについては、エピソードらしいものがほとんどない。
木根がほぼ関与しておらず、仕事の進行状況以上の情報が入ってこなかったのだろう。
一方で木根曲の「風のない十字路」には、小室が関与した形跡がまったくなく、事実上木根と吉田建による共作となっている。
アルバム曲を含めても、この事情は変わらない。
Dave Fordに外注した音源も、小室は関わっていないようだ。
小室が関わった曲はほぼ一人で作り、その他の曲は完全に制作をまかせると言う形態であり、シングルのキャッチフレーズである「NETWORK」が生きているとは思えない状態である。
前章で触れたように、小室が精神的に追い詰められていた中での作業だったことから、あえてこのような形が取られたのだろう。
おそらく楽曲制作をする小室の横にいたのは、ウツでも木根でもなく、妻のKEIKOだった。
この小室の孤立感は、次作「SPEEDWAY」レコーディング時との大きな相違点である。
以下、本作収録の3曲について触れていく。
まず最初に作られた「Take it to the lucky(金曜日のライオン)」は、すでに述べたように9月の「Fan Event in Naeba」でのアレンジを基にしている。
2004年1月から、フジTV系「ジャンクSPORTS」のエンディングに起用されたが、かつての「Ignition, Sequence, Start」と同様に、よほど意識していないと誰の曲かも分からない程度の無意味なタイアップだった。
本作は1984年のTMデビュー曲「金曜日のライオン(Take it to the lucky)」のトランスミックスで、選曲としては20周年にふさわしい。
曲名とサブタイトルを入れ替えた事情はよく分からないが、「金曜日のライオン」というタイトルを後悔していたのだろうか。
この曲ではバックトラックを作り直しただけでなく、ウツのボーカルも録り直した。
ウツは20年前よりも声が若くなっていると言っている。
歌唱力の増したこの頃のウツによる「金曜日のライオン」が音源化したことは、この曲のファンである自分には嬉しいところだった。
ベース・ドラムはシンセである。
いかにも機械で作られた感じのシンセドラムは、この時期の作品の特徴でもある。
生音としては、葛城哲哉のエレキギターが入っている。
このギターはところどころでかなり目立っており、曲に適度な重みを加えている。
「金曜日のライオン」の原曲は個人的にも大変好きな曲なのだが、このアレンジではたしかに21世紀仕様に大きく様変わりした。
原曲のフレーズはほぼ使っておらず、かつての表現を使えば「リプロダクション」というべきものである。
原曲の雰囲気が残っているのは、間奏のシンセのフレーズくらいだろうか。
また苗場で行なわれた「Fan Event in Naeba」のバージョンとシングル版を比較すると、シングル版はイントロがパーカッションのみで始まるが、この冒頭のパートは苗場バージョンには存在しない。
シングル版で私が特に好きなのは、イントロやBメロで多用される左右に振られたシンセで、この曲でもっとも印象的な音となっている。
AメロからBメロの展開も好みで、原曲とは違った魅力を表現できていると思う。
この曲は1番から2番Bメロにかけて勢いを増すが、2番・3番のサビ(「Together」以下の部分)では音が大きく減らされる(ただし3番サビ後半では音が加えられている)。
サビをあえてシンプルにして、メリハリを付けようとしたものだろう。
ただ私はこの部分は、あまり好きではない。
なお苗場では、シングル版ほど極端にはサビの音が減っていない。
「Take it to the lucky」は翌月リリースのアルバム「Easy Listening」にも、「Album Mix」として収録された。
曲の長さは30秒ほど長くなったくらいだが、音の面でもシングル版とはかなり異なっている。
20周年のライブでは、常に「Album Mix」が演奏された。
「Album Mix」のイントロは、シングルのようにパーカッションで始まるのではなく、シンセで始まる。
私としては、イントロはこちらの方が気に入っている。
1番Aメロに入った後も、オケの印象はかなり違う。
「Album Mix」ではしばらくドラムが入らないのだ。
また3番Aメロのドラムパターンが、シングルと「Album Mix」では異なっている。
シングルでは2番Aメロのパターンを使っているが、「Album Mix」は前半が1番Aメロ、後半が2番Aメロのパターンを用いている(この曲は1番と2番でAメロのドラムパターンが異なる)。
最大の違いは、3番サビの後の展開である。
シングル版では原曲に準じてBメロの繰り返しが入るが、「Album Mix」ではこれがなく、ウツが「Take it to the lucky」のフレーズを2回歌うまで2分以上間奏が続く。
逆にウツの歌う「Take it to the lucky」のフレーズは、シングル版には入っていない。
他にも様々な相違点があると思うが、いずれにしろ「Album Mix」は、単にシングル版を長くしたわけではない。
ついで「Screen of Life」に触れよう。
本作は1999年「10 Years After」以来5年ぶりの小室の作詞である。
以後2014年まで(つまり小室引退に至るまで)、TMの新曲は小室作詞が基本となる。
その意味で本作は、歌詞の上ではTM史上の一つの画期である。
この歌詞は特徴的な文体で、リリース当時ファンによって話題にされた。
一つは歌詞がです・ます調だったこと、一つは相手への呼びかけが「あなた」となっていたことがある。
同様の文体は「Easy Listening」に収録された「Presence」でも採用された。
この文体はTMでは、前にも後にもこの時だけで、ウツははっぴいえんど的な言い回しと言っている。
ただこの文体はTMファンには驚きだったかもしれないが、実はglobeではすでに2002年から、「Over the Rainbow」「get it on now」などで使われており、TKファンにとっては必ずしも突飛なものではなかった。
しかしこの歌詞が衝撃的だったのは、文体以上に内容による。
この頃の小室は、自分の心象風景などいろんなことを歌詞にしたかったといい、どんどん言葉が出てくる状態だった。
次に述べる「風のない十字路」も、初めは小室が自分で作詞することを提案したという。
2007年の「SPEEDWAY」でも同様に、小室が大部分の曲を作詞したが、あるいは曲よりも歌詞の方に関心が向かっていたのかもしれない。
歌詞は「あなたはこの国の戦士(ソルジャー)」という呼びかけから始まる。
その「あなた」は戦いを強いられながらも、生きがいを見つけて愛すべき人を思い出しながら奮闘しているが、「手遅れな人々は山積みにスクラップのようにこの国の土地のために埋め立ての材料にされていく」という。
つまり「あなた」は、国にとって替えの利くコマの一つとして、使い捨てにされそうになっている中で、生きがいや愛する人のために生き抜こうとしている。
小室はそれを踏まえて以下のように言って、「あなた」に対して今すぐではなくてもいいから動くべきだと伝える。
要するに小室は、社会から使い捨てにされそうな状況でもがんばろうと呼びかけているわけである。
かつて作ってきた10代向けの歌詞と比べると、なんとも様変わりした感がある。
小室は団塊世代でも共感できる歌詞と言っている。
だがそもそもこの曲は記念すべき20周年のアニバーサリーソングである。
ファンに向かって「あなたはスクラップにされそうだ」というのは、歌詞の一テーマとしてはありえるとしても、「なぜ今これ?」という思いも禁じ得ないというのが正直なところだ。
団塊世代が共感できる歌詞だとしても、それはTMファンの中心世代(1970年代生まれ)でもない。
この歌詞は本当にTMファンへのメッセージとして着想されたのか、という疑問も湧いてくる。
気にかかるのは、先に述べたように、この頃の小室が自分の心象風景などを書きたいと発言していたことである。
つまりこの歌詞は、小室自身の内心を表現したものである可能性がある。
ならば歌詞の形式は「あなた」=ファンに忠告するものではあるものの、その実、自らの決意表明であるとも考えられる。
決意表明説を傍証するのが、2番の歌詞である。
冒頭では「死に際のスクリーン」に「クライマックスをつくりましょう」と述べられ、そして「私もあなたもつくりましょう」とも述べられている。
自分もクライマックスを作るから、あなたも作ろうと言うことであり、「あなた」への忠告が自分の決意でもあることが明言されている。
だとすれば1番で、スクラップにされそうな状況下で再起を図ってがんばりたいと言われているのも「あなた」だけの話でなく、ほかならぬ小室自身の願いでもあるのかもしれない。
なんとも特殊な状況下にある「あなた」自体、小室が自己を投影したものと見ることもできよう。
想像をたくましくすれば、「あなた」と「わたし」の会話は、小室の心中で行なわれていた自問自答の様子を歌詞に起こしたものかもしれない。
この頃の小室は財政的に窮迫する一方で、仕事はうまくいかず、創作意欲も減退していた。
以下では小室がそのような状況を自省して、「スクラップ」にされそうだと思って作ったのが、「Screen of Life」の歌詞だという前提で、その歌詞を解釈してみたい。
小室がスクラップにされるのは、「この国の土地のため」の埋め立てのためである。
ここで「国」という大きなレベルが持ち出されているのは、この頃の小室が、日本社会全体から不要なものとして見捨てられ、抹殺されようとしていることを感じていたためだろう。
その前提には、かつて日本列島全体がこぞって、自分を天才ともてはやしていた頃との落差を意識したこともあったに違いない。
かつての多忙なプロデューサー時代の小室は、まさに戦いを強いられる「この国のソルジャー」だったのだ。
だが現状のような絶望的な状況下でも、生きがい(音楽)や愛すべき人(妻KEIKO)のために、小室は今すぐではなくてもできる限り動きたいと願った。
小室の決意表明説をとった場合、だいたい以上がその内容であると考えられる。
周知の通り小室は、2008年の逮捕時、世間から様々な批判を受けたが、その中には、現状を認識せず浪費を続けたことへの批判も多かった。
だが以上のような歌詞の解釈が成立するならば、小室はこの頃には危機的状況を自覚していたと見るべきだろう。
小室は財政的危機の中で、2003年にスランプに陥ったが、2004年にはもう一度音楽とKEIKOのためにがんばろうと決意した。
その決意を元に作り上げたのが、この「Screen of Life」だった。
ところでタイトルの「Screen of Life」=「人生というスクリーン」とは、歌詞に「死に際のスクリーン」に「クライマックスをつくりましょう」とある部分を受けたものに違いない。
つまり小室は人生を、一本の映画に例えているのである。
「クライマックス」というのは、仕事の成功など人生の盛りを言っているのだろうが、それを「クライマックス」と表現するのも、人生を映画に例えた表現と考えられる。
すでに自らは人生において「死に際」にいるが、そんな中でも華々しい場をまた実現したいと、小室は考えていた。
それは「愛する人にその人のためだけの上映会を行ないましょう someday」という通り、愛する人、KEIKOに見せるためだった。
以上のように「Screen of Life」の歌詞は、20周年に当たっての決意表明を述べたものと考えられるが、同時に歌詞全体の形式はファンへのメッセージともなっている。
たとえばサビの「We are always shooting mind, pride, shame, cry, love, fight, all of you!!」という歌詞は、直訳すれば「我々TMは、あなたのあらゆるものをいつも撮影している」ということになる。
ファンの人生の様々な要素を映画の素材に例え、TMがこれをいつも見守っていると伝えているのである。
もっともそれは同時に、自分たちの活動を見守っていて欲しいと言うファンへの期待の裏返しでもあるのだろう。
いずれにしてもこの曲の歌詞からは、いささか重い空気が流れているが、そのことは曲にも表れている。
たとえばイントロ冒頭の哀愁漂うギター音は、まさに「死に際」で息絶えようとしている「私」の様子を表現しているように感じられる。
しかしまもなくすると、テンポの速いドラムとともに、哀愁を含みつつも勢いのあるブラス系音色のシンセが加わってくる。
これは曲のトレードマークとも言える音である。
曲は勢いを増し、Aメロからサビに向かって盛り上がりを高めていく。
なお1番と2番の間の間奏からは、ピアノ音色のシンセが曲の前面に出てくるが、これが曲に軽快な感じを与えている。
重い雰囲気から軽やかな雰囲気へと展開する作りは、少し前の小室曲ではglobeの「Many Classic Moments」を思わせる。
私はこの展開は、絶望の中で生きることをで改めて決意したことを表現したものと思っている。
音が歌詞とともに、製作者の心情を表現しているように思うのだ。
曲の好き嫌いは分かれるだろうが、「Screen of Life」は小室が自らの心情を絞り出すことによって生み出された楽曲だったと感じる。
なおこうした事態がさらに差し迫った段階で、小室が改めて同様の決意表明を行なったのが、2007年の「SPEEDWAY」収録の「Action」だったと考えられる。
木根は「Screen of Life」について衝撃作と思ったと語っている。
特に歌詞を見て新鮮な衝撃を受け、TMで新しいことがやれそうな気がしたと述べている。
TM20周年が真の意味で始まった曲だと言えるだろう。
ウツもこの曲については、曲の雰囲気と歌詞が合っていてとても好きだと言っている。
2009年のTM休止中に開催された「SMALL NETWORK」でも、ウツはこの曲を演奏曲に選んでいる。
ただデモテープではお経のようなラップだったため、ウツはこれに歌を入れてポップスにするのは、かなり大変だったという。
音はトランスを意識しているが、ポップスとして聴くこともできる作りであり、「Take it to the lucky」ほどはトランスの要素を強調していない。
小室は本作を含むアルバム「Easy Listening」の音について、ポップスにトランスを落とし込んだJトランス、またはトランスぽいという意味でトランシーという言葉で説明しているが、おそらくこの説明は「Screen of Life」を念頭に置いたものだろう。
この曲は、シングルでは約5分だが、アルバム版「Extended Mix」は約8分で、かなり長さが異なる(なお歌の部分はどちらも3分程度)。
アルバムでは1曲目に位置するため、イントロは事実上冒頭のSEの役割も兼ね、2分の長さに及んでいる(シングルは1分)。
1番・2番の間の間奏も、シングルでは約30秒だったのが、アルバムでは約2分半に及んでいる。
アルバムでは冒頭のギターがシンセに置き換えられており、シングルとは印象がかなり違う。
またアルバム版の間奏では、「All of you」や「浮かぶんでしょ」の「ぶん」の部分など、「なぜここ?」と感じる箇所がサンプリングフレーズとして用いられている。
最後に「風のない十字路」について触れよう。
歌詞(小室みつ子)については前章で触れたので、ここでは略す。
曲は木根が2002年末に、TMのために作っていたものだという。
これは以前私が推測した、2002年末からのアルバム制作の計画と関わるものだろう。
編曲は2002年の「君がいる朝」と同様に、吉田建と小室哲哉の連名である。
ライナーで吉田の方が小室よりも前に書かれていることを見るに、メインは吉田の方だろう。
おそらく小室の編曲は最終確認程度のものか、またはほとんど名義上のものかもしれない。
木根は12/25「TK Presents X'mas Chorus」およびそのリハーサル(12/17)の時に、吉田と打ち合わせを行なっている。
この時木根は吉田に、「メロディとミスマッチのアレンジ」をお願いしたと言う。
演奏については、吉田がシンセとベースを担当しており、小室のシンセは入っていない。
キーボードとしては国吉良一、ギターとしては松尾和博、シンセプラグラマーとしては溝口和彦が参加した。
別れをテーマにした歌詞に合わせて、曲には悲しげな感じが漂っている。
特にピアノ音色のシンセが印象的である。
サビで別れの決意を力強く歌い上げるところなどは、引き込まれるところである。
安定した木根バラという印象である。
ウツも「君がいる朝」と並んで、すごく良い曲と言っている。
なおこの曲も「Easy Listening」では、「Album Mix」として収録された。
このアレンジについては「君がいる朝」と一緒に、次章で触れることにしたい。
以上3曲の中で「Take it to the lucky」は、すでに「Fan Event in Naeba」で演奏されており、「Double-Decade “NETWORK”」に始まるTM20周年のライブでも演奏された
それ以後TMでは一度も演奏されていないが、意外にも2007年のtribute LIVE「Spin Off from TM 2007」では、シングルバージョンで演奏されている。
「Screen of Life」は20周年を代表する曲であり、20周年のライブでも1曲目など大事な場所で演奏された。
その後も2009年、ウツの「SMALL NETWORK」や、2015年TMの「30th Final」で演奏されている。
ウツが好きな曲ということもあるのだろう。
以上に対して「風のない十字路」は、20周年ライブも含めてTMでは一度も演奏されたことがない。
好きな曲だけに、一度TMで聞いてみたかった曲である。
ただ木根ソロでは演奏されたことがあり、また2007年のtribute LIVE「Spin Off from TM 2007」でも、「君がいる朝」と日替わりで演奏されたことがある。
3万円を超える高額商品の上、ほとんどが既発表商品の寄せ集めだったにもかかわらず、音楽Blu-rayチャートで2位・5914セットの成績を上げました。
音楽Blu-ray・DVD総合では3位です。
同様の商品としては2016年に、30周年関連の映像をまとめた「TM NETWORK 2012-15」がありましたが、こちらは1519セットしか売れませんでした
これは収録映像のほとんどが数年以内にリリースされたばかりのものでしたので、ファンも多くは購入を見送ったものと思われます。
また2015年には、SONY時代の歴代ライブ映像を1枚のDVDに寄せ集めた「TM NETWORK THE MOVIE」もありましたが、これは3360枚の売上で、「TM NETWORK THE VIDEOS」の半分強しか売れていません。
もっと売れたものでは、2013年「START investigation」以後の新作映像の売上は7000~8000枚でした。
2012年の「incubation Period」は、再結成のご祝儀セールスで1万枚くらい行きましたが、それを除けばTMの映像作品の購買層はだいたい7000~8000程度と考えられますので、その中の6000人を動員できたのは、商法としてはうまくいったのだと思います。
本商品について、私にとって商品価値の99%は初商品化の特典ディスク「Dragon The Festival Tour」にあるので、今回はこれだけ触れることにしようと思います。
ちなみにBOXのフタの裏には、本ツアーエンディングの3人のシルエットのイラストが描かれています。
こういう細かいところで、ファンとしては嬉しくなりますね。
しかし今「これだけ触れることにしようと思います」とか書きましたが、実は今回は、何も語ることがありません!
これまで私は「CAROL Deluxe Edition」「TM NETWORK THE MOVIE」「FANKS CRY-MAX」など、過去のライブ映像を対象とした商品が発売されるたびに、ものすごくねちっこく、どの部分の映像がどうだと、細かく検証し、文句をつけてきました。
熱心なファンの反感も買いながらも、時間をかけてこんなことをしてきたのは、ひとえにSONYから提供されるものの質がひどすぎたことがあります。
またファンがこういうクズ商品に満足してしまうと、今後もSONYから同様の粗悪品が出され続け、本丸となる映像の全貌が延々と隠匿され続けるという危惧もありました。
そこで私は、本当に求めるものはこんなのじゃないはずだと、訴え続けてきました。
そして遺憾の意を述べるだけでなく、どこが不満で何が欲しいのかも、ちゃんと書くようにしてきたわけです。
ところがですよ
今回の「Dragon The Festival Tour」
これこそまさに、私が求め続けてきたものそのものなのです!
まず映像はSONYの倉庫に保存されている素材を使い、最善の画質で提供されました。
今回商品化された日本青年館公演の映像は、かつて4曲がTVで放映されていましたので、私はてっきりその映像が含まれているものと思っていました。
ところがいざ見てみると、本ディスクではTVで放映したものと共通する映像も用いながら、まったくの別編集となっていました。
過去の編集済映像をアップコンバートしたのではなく、当時の映像素材を使って一から編集し直したと考えられます。
本ツアーの音については、これまで「Groove Gear 1」「The Singles 1」に断片的に収録されたものがありましたが、Blu-rayはそれらと比べても、それぞれの音がはっきりと聞こえます。
当時のラジオの録音との違いはもちろんです。
やはりBlu-ray用にリマスター処理を行なったようです。
なお余談ですが他のディスクについても、DVDで抹消されていた「LAST GROOVE 5.19」の「Kiss You」の歌ミスが、ミックスをし直した結果か、うっすらと復活しています
最後になんといっても感激したのは、デビューからまもない売れていない時代のライブの様子を、最初から最後まで続けて全部見ることができたこと!
古いライブは完全な形では見られないという話は何度も聞かされていましたが、ここに来て人生の願いの一つが叶えられました。

「永遠のパスポート」を座りながら歌っていたのも初めて知りました
ということで、SONY様!様様!
今回のBOXは(実質的には「Dragon The Festival Tour」のディスクが)大満足の出来でした!
つきましては、この他にも蔵に眠っている映像素材、機会を見つけて日の目を見せていただきたく存じます!
いや、あることは分かっているんです!
分かっているから早く出せやこのや…いや、出してくださいませ。
今から企画を作れば、来年度には出せますよね?
そんなすぐには無理でも、またいずれ次の企画を、是非お願いします!
この水準のものを出してくれれば、単品3万円くらいでも余裕で出します!
さて今回の35周年関係企画について、少し前には木根さんのインタビューが出ましたが、「Player」7月号にも木根さんのインタビューが出ているそうです(本記事haruさんコメント)。
またBOXリリース日には、ウツのインタビューが出ました。
ウツが昔の思い出を語ってくれています。
「TMN 4001 Days Groove」2日目のオープニングの話もしていますが、何の曲をやったか覚えていないようです(実際にはTMの曲ではなく、サポートメンバーによる即興演奏)。
まあウツはオープニングではステージにいなかったわけだし、ウツ自身が演奏したわけでもないから、あんまり印象にないのかもしれないですね。
このたびのBOXリリースで、TM35周年企画は終わりとなりましたが、6/18にはナタリーの企画で、新宿ロフトプラスワンにクラムボンのミトさんとRAM RIDERを招き、トークライブ「Respect! トークライブ Vol.2 ~TM NETWORK 勝手に名曲総選挙~」が開催されます
すでに終わってしまいましたが、6/3までTMの名曲投票が行なわれていたので、おそらくこの結果を元にトークを行なうんだと思います。
ウツは「それゆけ!歌謡曲〜ギア4 one〜」が佳境に入ってきましたが、5/29のマイナビブリッツ赤坂公演では、ゲストとして木根さんが出演しました。
木根さん、小室さんとたまたま会った話などしたそうです。
木根さんは「2626ツアー」の後半公演の日程(8/17~10/6)を発表しました。
6/15チケット発売です。
またFC休止の代替措置として、停止されていたメーリングリストが再開されました。
いつのまにか「キネメガ」て名前が付けられているんですが、こんな名前ありましたっけ?
メディア出演では、木根さんが、6/3日本テレビの「ヒルナンデス!」、6/4ラジオフチューズの「Zackeyの府中熱中音楽館」に出演しました。
ウツは6/1「ほくりくアイドル部 放課後ホリデイ」、6/11「Sunset Express MOVE」に出演します。
どちらもFM石川です。
では本題に入ります。
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TM20周年記念シングルは、小室新曲・小室リミックス曲・木根新曲の3曲と、それぞれのインストを加えた6テイクを収めたマキシシングルとして、2004/2/25にリリースされた。
この中で小室の2曲はともにトランスアレンジである。
これをリードシングルとして出してきたことは、TM20周年がトランスを中心とすることを宣言するものでもあった。
アルバム制作も本作と連続して行なわれたが、やはりトランス風味の作品に仕上がっている。
このシングルは収録曲とは別のタイトルが付けられた。
「NETWORK™」である。
こうした例はTMでは他にないが、当時の邦楽シングルでしばしば見られたものである。
小室が本作の前に制作したKEIKOのソロシングルも、収録曲名とは関係なく「KCO」と名付けられている。
翌月のアルバムのタイトルが「NETWORK-Easy Listening-」であり、20周年記念ライブのタイトルが「Double-Decade “NETWORK”」だったように、20周年では「NETWORK」という単語がクローズアップされた。
実は意外なことに、これまで20年間、「TM NETWORK」の内の「NETWORK」がキーワードとして強調されたことはなかった。
タイトルのロゴは、「™」の部分がマルで囲まれている。
また文字の周りには、汚れのような装飾がある。
このロゴは「NETWORK™」のCDに印刷されているほか、「NETWORK-Easy Listening-」の「NETWORK」の部分でも用いられた。
だから実は「NETWORK-Easy Listening-」も、厳密には「NETWORK™-Easy Listening-」とすべきである。
CDには藤井徹貫の解説文を載せた別紙も封入されており、その裏には20周年のロゴマークが印刷されている。
3本の傘が横に並び、その下に「NETWORK™」の文字、そしてその下に「DOUBLE-DECADE」の文字があり、これらが下向きの矢印の中に収められているというものである。
なぜ傘なのかは分からないが、3本の傘はTMの3人を表現しているのだろう。

このロゴマークは「Double-Decade “NETWORK”」でも使用され、TM20周年のシンボル的なマークになった。
色々と不満があった20周年の活動ではあったが、個人的にこのロゴは結構好きである。
CDのジャケットは、浮輪をはめて屋外を歩く子供の後ろ姿である。
海岸で撮影したものだろうか。
この時期のジャケットデザインは、洋楽ジャケット風の雰囲気が濃い。
本作に封入される応募券を「Easy Listening」に封入される応募ハガキに貼って送ると、抽選で「プレミアムグッズ」がプレゼントされた。
A賞はオリジナルリストウォッチ(50名)、B賞はオリジナルウィンドブレーカー(100名)、C賞はオリジナルピンバッチ(赤・青・黒)(300名)だった。
さらに本作には、4/21の横浜アリーナライブ「Double-Decade “NETWORK”」と、5~6月の全国ツアー「Double-Decade Tour」(一部)の特別先行予約案内も封入されていた。
この時の活動が短期で宣伝もほとんどできなかったこともあり、TMは新作の発売をライブ開催と組み合わせて、効率的に動員に結び付けようとした。
本作は初動13位・1.8万枚、総合2.7万枚の成績となった。
2002年の前作「Castle in the Clouds」の3.6万枚を下回る成績であり、TMのメジャーシングルでは、1987年「Get Wild」以来、初めて10位内ランクインを逃した。
売上は3万枚(1989年CD化当時の売上を除く)を越えた1987年「Self Control」を下回っている。
TMが長い間まともな活動を行なわなかったことで、ファンの規模がブレイク以前の程度にまで低落していたことが分かる。
本作の制作過程については、アルバムとともに前章ですでに触れたところである。
結論のみ確認すると、2003/11/10~13に「Take it to the lucky」がレコーディングされた後、2004/1/6から同月半ばにかけて、「風のない十字路」「Screen of Life」がレコーディングされた。
そして小室はそのまま、アルバム曲の制作に入った。
アルバムも含めてこの時のレコーディングでは、小室とウツ・木根の間のコミュニケーションが極めて乏しかった。
レコーディングの時も、3人で会ったことは一度もなかった。
2000年の「Major Turn-Round」の時も、小室はアメリカ、他のメンバーは日本でレコーディングし、データをネットでやり取りしつつ制作を行なった。
だがこれは、小室がアメリカの永住権を保持するために、一定日数アメリカに滞在しないといけないという事情もあったと思われる。
一方2004年には、3人とも東京にいたにもかかわらず、小室は自宅のスタジオで一人で作業を行なった(もちろんアシスタントはいたが)。
小室によれば、Protoolsでハードディスクレコーディングをすれば、大規模な設備は不要だったためという。
シンセサイザー以外の生楽器は、葛城哲哉のエレキギターだけである。
小室は音源がある程度できると、スタッフを呼んで渡すか、またはデータでメンバーに送った。
ウツ・木根はこれに歌やコーラスを入れて小室に送り返した。
木根は個別に小室に会うことはあったようだが、3人で日常的な会話をする機会はほとんどなく、3人での打ち合わせはラジオ出演などの機会をとらえて行なわれた。
木根の「新・電気じかけの予言者たち」でも、本作のレコーディングについては、エピソードらしいものがほとんどない。
木根がほぼ関与しておらず、仕事の進行状況以上の情報が入ってこなかったのだろう。
一方で木根曲の「風のない十字路」には、小室が関与した形跡がまったくなく、事実上木根と吉田建による共作となっている。
アルバム曲を含めても、この事情は変わらない。
Dave Fordに外注した音源も、小室は関わっていないようだ。
小室が関わった曲はほぼ一人で作り、その他の曲は完全に制作をまかせると言う形態であり、シングルのキャッチフレーズである「NETWORK」が生きているとは思えない状態である。
前章で触れたように、小室が精神的に追い詰められていた中での作業だったことから、あえてこのような形が取られたのだろう。
おそらく楽曲制作をする小室の横にいたのは、ウツでも木根でもなく、妻のKEIKOだった。
この小室の孤立感は、次作「SPEEDWAY」レコーディング時との大きな相違点である。
以下、本作収録の3曲について触れていく。
まず最初に作られた「Take it to the lucky(金曜日のライオン)」は、すでに述べたように9月の「Fan Event in Naeba」でのアレンジを基にしている。
2004年1月から、フジTV系「ジャンクSPORTS」のエンディングに起用されたが、かつての「Ignition, Sequence, Start」と同様に、よほど意識していないと誰の曲かも分からない程度の無意味なタイアップだった。
本作は1984年のTMデビュー曲「金曜日のライオン(Take it to the lucky)」のトランスミックスで、選曲としては20周年にふさわしい。
曲名とサブタイトルを入れ替えた事情はよく分からないが、「金曜日のライオン」というタイトルを後悔していたのだろうか。
この曲ではバックトラックを作り直しただけでなく、ウツのボーカルも録り直した。
ウツは20年前よりも声が若くなっていると言っている。
歌唱力の増したこの頃のウツによる「金曜日のライオン」が音源化したことは、この曲のファンである自分には嬉しいところだった。
ベース・ドラムはシンセである。
いかにも機械で作られた感じのシンセドラムは、この時期の作品の特徴でもある。
生音としては、葛城哲哉のエレキギターが入っている。
このギターはところどころでかなり目立っており、曲に適度な重みを加えている。
「金曜日のライオン」の原曲は個人的にも大変好きな曲なのだが、このアレンジではたしかに21世紀仕様に大きく様変わりした。
原曲のフレーズはほぼ使っておらず、かつての表現を使えば「リプロダクション」というべきものである。
原曲の雰囲気が残っているのは、間奏のシンセのフレーズくらいだろうか。
また苗場で行なわれた「Fan Event in Naeba」のバージョンとシングル版を比較すると、シングル版はイントロがパーカッションのみで始まるが、この冒頭のパートは苗場バージョンには存在しない。
シングル版で私が特に好きなのは、イントロやBメロで多用される左右に振られたシンセで、この曲でもっとも印象的な音となっている。
AメロからBメロの展開も好みで、原曲とは違った魅力を表現できていると思う。
この曲は1番から2番Bメロにかけて勢いを増すが、2番・3番のサビ(「Together」以下の部分)では音が大きく減らされる(ただし3番サビ後半では音が加えられている)。
サビをあえてシンプルにして、メリハリを付けようとしたものだろう。
ただ私はこの部分は、あまり好きではない。
なお苗場では、シングル版ほど極端にはサビの音が減っていない。
「Take it to the lucky」は翌月リリースのアルバム「Easy Listening」にも、「Album Mix」として収録された。
曲の長さは30秒ほど長くなったくらいだが、音の面でもシングル版とはかなり異なっている。
20周年のライブでは、常に「Album Mix」が演奏された。
「Album Mix」のイントロは、シングルのようにパーカッションで始まるのではなく、シンセで始まる。
私としては、イントロはこちらの方が気に入っている。
1番Aメロに入った後も、オケの印象はかなり違う。
「Album Mix」ではしばらくドラムが入らないのだ。
また3番Aメロのドラムパターンが、シングルと「Album Mix」では異なっている。
シングルでは2番Aメロのパターンを使っているが、「Album Mix」は前半が1番Aメロ、後半が2番Aメロのパターンを用いている(この曲は1番と2番でAメロのドラムパターンが異なる)。
最大の違いは、3番サビの後の展開である。
シングル版では原曲に準じてBメロの繰り返しが入るが、「Album Mix」ではこれがなく、ウツが「Take it to the lucky」のフレーズを2回歌うまで2分以上間奏が続く。
逆にウツの歌う「Take it to the lucky」のフレーズは、シングル版には入っていない。
他にも様々な相違点があると思うが、いずれにしろ「Album Mix」は、単にシングル版を長くしたわけではない。
ついで「Screen of Life」に触れよう。
本作は1999年「10 Years After」以来5年ぶりの小室の作詞である。
以後2014年まで(つまり小室引退に至るまで)、TMの新曲は小室作詞が基本となる。
その意味で本作は、歌詞の上ではTM史上の一つの画期である。
この歌詞は特徴的な文体で、リリース当時ファンによって話題にされた。
一つは歌詞がです・ます調だったこと、一つは相手への呼びかけが「あなた」となっていたことがある。
同様の文体は「Easy Listening」に収録された「Presence」でも採用された。
この文体はTMでは、前にも後にもこの時だけで、ウツははっぴいえんど的な言い回しと言っている。
ただこの文体はTMファンには驚きだったかもしれないが、実はglobeではすでに2002年から、「Over the Rainbow」「get it on now」などで使われており、TKファンにとっては必ずしも突飛なものではなかった。
しかしこの歌詞が衝撃的だったのは、文体以上に内容による。
この頃の小室は、自分の心象風景などいろんなことを歌詞にしたかったといい、どんどん言葉が出てくる状態だった。
次に述べる「風のない十字路」も、初めは小室が自分で作詞することを提案したという。
2007年の「SPEEDWAY」でも同様に、小室が大部分の曲を作詞したが、あるいは曲よりも歌詞の方に関心が向かっていたのかもしれない。
歌詞は「あなたはこの国の戦士(ソルジャー)」という呼びかけから始まる。
その「あなた」は戦いを強いられながらも、生きがいを見つけて愛すべき人を思い出しながら奮闘しているが、「手遅れな人々は山積みにスクラップのようにこの国の土地のために埋め立ての材料にされていく」という。
つまり「あなた」は、国にとって替えの利くコマの一つとして、使い捨てにされそうになっている中で、生きがいや愛する人のために生き抜こうとしている。
小室はそれを踏まえて以下のように言って、「あなた」に対して今すぐではなくてもいいから動くべきだと伝える。
目覚めてるんでしょう? 動かないのですか?
明日からでもいいんです 今日からじゃなくてもいいんです
要するに小室は、社会から使い捨てにされそうな状況でもがんばろうと呼びかけているわけである。
かつて作ってきた10代向けの歌詞と比べると、なんとも様変わりした感がある。
小室は団塊世代でも共感できる歌詞と言っている。
だがそもそもこの曲は記念すべき20周年のアニバーサリーソングである。
ファンに向かって「あなたはスクラップにされそうだ」というのは、歌詞の一テーマとしてはありえるとしても、「なぜ今これ?」という思いも禁じ得ないというのが正直なところだ。
団塊世代が共感できる歌詞だとしても、それはTMファンの中心世代(1970年代生まれ)でもない。
この歌詞は本当にTMファンへのメッセージとして着想されたのか、という疑問も湧いてくる。
気にかかるのは、先に述べたように、この頃の小室が自分の心象風景などを書きたいと発言していたことである。
つまりこの歌詞は、小室自身の内心を表現したものである可能性がある。
ならば歌詞の形式は「あなた」=ファンに忠告するものではあるものの、その実、自らの決意表明であるとも考えられる。
決意表明説を傍証するのが、2番の歌詞である。
冒頭では「死に際のスクリーン」に「クライマックスをつくりましょう」と述べられ、そして「私もあなたもつくりましょう」とも述べられている。
自分もクライマックスを作るから、あなたも作ろうと言うことであり、「あなた」への忠告が自分の決意でもあることが明言されている。
だとすれば1番で、スクラップにされそうな状況下で再起を図ってがんばりたいと言われているのも「あなた」だけの話でなく、ほかならぬ小室自身の願いでもあるのかもしれない。
なんとも特殊な状況下にある「あなた」自体、小室が自己を投影したものと見ることもできよう。
想像をたくましくすれば、「あなた」と「わたし」の会話は、小室の心中で行なわれていた自問自答の様子を歌詞に起こしたものかもしれない。
この頃の小室は財政的に窮迫する一方で、仕事はうまくいかず、創作意欲も減退していた。
以下では小室がそのような状況を自省して、「スクラップ」にされそうだと思って作ったのが、「Screen of Life」の歌詞だという前提で、その歌詞を解釈してみたい。
小室がスクラップにされるのは、「この国の土地のため」の埋め立てのためである。
ここで「国」という大きなレベルが持ち出されているのは、この頃の小室が、日本社会全体から不要なものとして見捨てられ、抹殺されようとしていることを感じていたためだろう。
その前提には、かつて日本列島全体がこぞって、自分を天才ともてはやしていた頃との落差を意識したこともあったに違いない。
かつての多忙なプロデューサー時代の小室は、まさに戦いを強いられる「この国のソルジャー」だったのだ。
だが現状のような絶望的な状況下でも、生きがい(音楽)や愛すべき人(妻KEIKO)のために、小室は今すぐではなくてもできる限り動きたいと願った。
小室の決意表明説をとった場合、だいたい以上がその内容であると考えられる。
周知の通り小室は、2008年の逮捕時、世間から様々な批判を受けたが、その中には、現状を認識せず浪費を続けたことへの批判も多かった。
だが以上のような歌詞の解釈が成立するならば、小室はこの頃には危機的状況を自覚していたと見るべきだろう。
小室は財政的危機の中で、2003年にスランプに陥ったが、2004年にはもう一度音楽とKEIKOのためにがんばろうと決意した。
その決意を元に作り上げたのが、この「Screen of Life」だった。
ところでタイトルの「Screen of Life」=「人生というスクリーン」とは、歌詞に「死に際のスクリーン」に「クライマックスをつくりましょう」とある部分を受けたものに違いない。
つまり小室は人生を、一本の映画に例えているのである。
「クライマックス」というのは、仕事の成功など人生の盛りを言っているのだろうが、それを「クライマックス」と表現するのも、人生を映画に例えた表現と考えられる。
すでに自らは人生において「死に際」にいるが、そんな中でも華々しい場をまた実現したいと、小室は考えていた。
それは「愛する人にその人のためだけの上映会を行ないましょう someday」という通り、愛する人、KEIKOに見せるためだった。
以上のように「Screen of Life」の歌詞は、20周年に当たっての決意表明を述べたものと考えられるが、同時に歌詞全体の形式はファンへのメッセージともなっている。
たとえばサビの「We are always shooting mind, pride, shame, cry, love, fight, all of you!!」という歌詞は、直訳すれば「我々TMは、あなたのあらゆるものをいつも撮影している」ということになる。
ファンの人生の様々な要素を映画の素材に例え、TMがこれをいつも見守っていると伝えているのである。
もっともそれは同時に、自分たちの活動を見守っていて欲しいと言うファンへの期待の裏返しでもあるのだろう。
いずれにしてもこの曲の歌詞からは、いささか重い空気が流れているが、そのことは曲にも表れている。
たとえばイントロ冒頭の哀愁漂うギター音は、まさに「死に際」で息絶えようとしている「私」の様子を表現しているように感じられる。
しかしまもなくすると、テンポの速いドラムとともに、哀愁を含みつつも勢いのあるブラス系音色のシンセが加わってくる。
これは曲のトレードマークとも言える音である。
曲は勢いを増し、Aメロからサビに向かって盛り上がりを高めていく。
なお1番と2番の間の間奏からは、ピアノ音色のシンセが曲の前面に出てくるが、これが曲に軽快な感じを与えている。
重い雰囲気から軽やかな雰囲気へと展開する作りは、少し前の小室曲ではglobeの「Many Classic Moments」を思わせる。
私はこの展開は、絶望の中で生きることをで改めて決意したことを表現したものと思っている。
音が歌詞とともに、製作者の心情を表現しているように思うのだ。
曲の好き嫌いは分かれるだろうが、「Screen of Life」は小室が自らの心情を絞り出すことによって生み出された楽曲だったと感じる。
なおこうした事態がさらに差し迫った段階で、小室が改めて同様の決意表明を行なったのが、2007年の「SPEEDWAY」収録の「Action」だったと考えられる。
木根は「Screen of Life」について衝撃作と思ったと語っている。
特に歌詞を見て新鮮な衝撃を受け、TMで新しいことがやれそうな気がしたと述べている。
TM20周年が真の意味で始まった曲だと言えるだろう。
ウツもこの曲については、曲の雰囲気と歌詞が合っていてとても好きだと言っている。
2009年のTM休止中に開催された「SMALL NETWORK」でも、ウツはこの曲を演奏曲に選んでいる。
ただデモテープではお経のようなラップだったため、ウツはこれに歌を入れてポップスにするのは、かなり大変だったという。
音はトランスを意識しているが、ポップスとして聴くこともできる作りであり、「Take it to the lucky」ほどはトランスの要素を強調していない。
小室は本作を含むアルバム「Easy Listening」の音について、ポップスにトランスを落とし込んだJトランス、またはトランスぽいという意味でトランシーという言葉で説明しているが、おそらくこの説明は「Screen of Life」を念頭に置いたものだろう。
この曲は、シングルでは約5分だが、アルバム版「Extended Mix」は約8分で、かなり長さが異なる(なお歌の部分はどちらも3分程度)。
アルバムでは1曲目に位置するため、イントロは事実上冒頭のSEの役割も兼ね、2分の長さに及んでいる(シングルは1分)。
1番・2番の間の間奏も、シングルでは約30秒だったのが、アルバムでは約2分半に及んでいる。
アルバムでは冒頭のギターがシンセに置き換えられており、シングルとは印象がかなり違う。
またアルバム版の間奏では、「All of you」や「浮かぶんでしょ」の「ぶん」の部分など、「なぜここ?」と感じる箇所がサンプリングフレーズとして用いられている。
最後に「風のない十字路」について触れよう。
歌詞(小室みつ子)については前章で触れたので、ここでは略す。
曲は木根が2002年末に、TMのために作っていたものだという。
これは以前私が推測した、2002年末からのアルバム制作の計画と関わるものだろう。
編曲は2002年の「君がいる朝」と同様に、吉田建と小室哲哉の連名である。
ライナーで吉田の方が小室よりも前に書かれていることを見るに、メインは吉田の方だろう。
おそらく小室の編曲は最終確認程度のものか、またはほとんど名義上のものかもしれない。
木根は12/25「TK Presents X'mas Chorus」およびそのリハーサル(12/17)の時に、吉田と打ち合わせを行なっている。
この時木根は吉田に、「メロディとミスマッチのアレンジ」をお願いしたと言う。
演奏については、吉田がシンセとベースを担当しており、小室のシンセは入っていない。
キーボードとしては国吉良一、ギターとしては松尾和博、シンセプラグラマーとしては溝口和彦が参加した。
別れをテーマにした歌詞に合わせて、曲には悲しげな感じが漂っている。
特にピアノ音色のシンセが印象的である。
サビで別れの決意を力強く歌い上げるところなどは、引き込まれるところである。
安定した木根バラという印象である。
ウツも「君がいる朝」と並んで、すごく良い曲と言っている。
なおこの曲も「Easy Listening」では、「Album Mix」として収録された。
このアレンジについては「君がいる朝」と一緒に、次章で触れることにしたい。
以上3曲の中で「Take it to the lucky」は、すでに「Fan Event in Naeba」で演奏されており、「Double-Decade “NETWORK”」に始まるTM20周年のライブでも演奏された
それ以後TMでは一度も演奏されていないが、意外にも2007年のtribute LIVE「Spin Off from TM 2007」では、シングルバージョンで演奏されている。
「Screen of Life」は20周年を代表する曲であり、20周年のライブでも1曲目など大事な場所で演奏された。
その後も2009年、ウツの「SMALL NETWORK」や、2015年TMの「30th Final」で演奏されている。
ウツが好きな曲ということもあるのだろう。
以上に対して「風のない十字路」は、20周年ライブも含めてTMでは一度も演奏されたことがない。
好きな曲だけに、一度TMで聞いてみたかった曲である。
ただ木根ソロでは演奏されたことがあり、また2007年のtribute LIVE「Spin Off from TM 2007」でも、「君がいる朝」と日替わりで演奏されたことがある。
この記事へのコメント
同年 藤井隆さんに提供した タメイキ の歌詞にも近しいものを感じていました。
他の単語ではなく クライマックス の単語を使うあたり 武道館ライブのタイトルを想起させて、これはTMの曲なんだなと当時思ったものです。
あと先日のヒルナンデスで娘よりも若いモデルに私服をコーディネートしてもらった木根さんですが「Player」7月号にラスグルについてのインタビューが4ページ掲載されています。これが本業なのになぜか公式HPには記されていない…。
ついにここまで来ましたね。
僕、Screen of Lifeは大好きなんです。
少し前からその萌芽はあったと思うんですが、この曲以前と以後でTMは変わったなと思います。
小室さんはこの曲以降、SPEEDWAYでも30周年でも、その時々の自身の想いや感情を、音で、詩でストレートにぶつけてくるようになったと思います。絶望だったり、諦めだったり、また仲間と
音楽をやれる喜びだったり・・・。
それ以前はどっちかというと曲と自身の感情との間にクールに距離をとっていることが多かったと思います。
たぶん少数派なんでしょうが、僕はこれ以降のTMのほうがずっと好きなんですよね。
このブログ、もう10年以上ずっと読ませていただいています。
青い惑星の愚か者さんのおかげで、それまでよく知らなかったTMのことをいろいろと知ることができました。
これからも(あまり無理にならない範囲でw)頑張ってください。
今回のBD-BOXについて本文で触れられてないところで問題点がけっこうありまして(上記のディスク交換の件もそうですが)発売前の宣伝で使われてた総再生時間が誤表記だったという事がありました。(EXPOの再生時間が重複してたとか)しかも発売当日に特設サイトで数回に分けて訂正がはいってました。再生時間数が正規のものに差し代わったかと思ったら数時間後には該当部分が削除されたりYouTubeの動画が削除されたりして、最終的には謝罪文公開と修正動画アップに落ち着いたようです。(現在はディスク交換の謝罪文に差し変わってます)これで特典映像が入るのかと期待してた人も多かったのではと思います(VISION FESTIVALに1974等が入るのかとかCAMP FANKSにFANKS the LIVE3バージョンがはいるのかとかリズレにイメージカット無しバージョンが入るのかとか...)他にも問題だと思ったのがCAMP FANKS 2014版のインナーのクレジットがFANKS the LIVE3の転載だというところです。撮影も編集も異なる班が行ってる以上この情報を載せるのは適切ではない、という事です。完全にスタッフが異なるのは手持ちのCAROL BOXで確認しました。2004年版は持ってないので確認できませんでしたが)ラスグルやドラフェスでいい仕事してる反面、こういうところで穴だらけなのはソニーだからと諦めるしかないのか...
もう一つ気になったのはSTARCAMPの盤面がNHK VIDEO/発行:NHKエンタープライズ、となっているのでNHKサイドで制作された、という事でしょうか。(企画はもちろんですがマスタリング等はソニー側で行ったようですが...)BS版ではなく地上波版だったのはNHK側の裁量だったりして?
タメイキ、存在自体知りませんでした。アルバムに入っていたんですね。
聞いてみたら、たしかに描いているものはとても近い気がしました。
リリース日を見るに、TM20周年に並行して作られた曲でしょうね。
PresenceとGreen Daysの間に入る曲ですかね。
結構いい曲だなあと思いました。
しかし考えてみたらこの年に商品化した音源て、TM以外は吉本芸人関係だけですね。
>haruさん
ドラフェスの頭出しの話は、私は全然気にしていなかったので忘れていました。
またPlayerは知りませんでした。
正直言って新作でもなんでもないのに、なんですかこの厚遇は?
Playerはバックナンバーがなくなるかもしれないので、急ぎ追記しておきますが、
実は今回、記事の文字数が制限ギリギリでして、ドラフェスは字数的に追記できません。
ディスク交換は12月締切でまだ時間的余裕があるので、次回更新時に近況で書いておくことにします。
>ぽぽぽさん
長い間御覧いただき、ありがとうございます。
10年以上というと、逮捕以後でしょうか。
なかなかScreen of Lifeまでたどりつかず、お待たせしました。
この時期以後、TMは小室さんのエッセイ的な歌詞が増えますよね。
もうマーケティングとかファンのことまで気が回らず、
自分のことでいっぱいいっぱいになってしまったことの反映かとも思いますが、
私も自分の中にあるものを絞り出している感じは、
耳あたりが良いだけの表層的な歌詞なんかよりも評価しています。
再生時間の件は、発売前に少し気になっていたんですが、
特典ディスクの内容が判明した時点で、単なる間違いだろうなと思っていました。
仮に他のディスクにボーナス映像を入れるなら、絶対にそのことを宣伝するはずですし。
CAMP FANKSのクレジットは気付いていませんでした。これはまずいですね。
ただまあ杜撰な仕事であることは確かですけど、
そういうのをチェックできるほどスタッフが配置されていないんでしょう。
こういう固定ファンを対象にした商品の場合、
出せばどんな内容でも一定数売れるし、宣伝しても売り上げは増えないので、
厳密なチェックを行なうインセンティブがないんだと思います。
ファンの目がもっと厳しければ、SONYの姿勢も変わるのかもしれないですけどね。
STARCAMPでBS版にストップをかけたのがNHKである説、たしかにあり得るかもしれません。
ならばEXPO ARENAが一部カットでビデオ化されたのも、WOWOWが関係しているのでしょうか。
こちらはBlu-rayになっても画質が良くなっていないという意見も出ていますが、
SONYはWOWOWにあるマスターに触ることができないのかもしれません。
TM NETWORK THE MOVIEでEXPOの映像が極端に少なかったのも、同様の事情があるのかもしれないと疑っています。
そして何より、歌詞です。
ぼくも当時、「ファンへの扇動的な励まし」と「小室さんの心情」とが半々なんだろうなと思っていました。
当時仕事で苦しんでいた自分には、この歌詞が刺さりました。
(ちなみに、サビの「よぎること いくつもの顔が」「よぎることのいくつもの顔が」という細かな違いが、自分には大きなこととだと当時は思っていました)
「TAKE IT TO THE LUCKY」は、キーが原曲より下がったのが残念でしたが、テンポを落とさなかったことやサウンドはとても好きです。
1度目のサビで音数が少ないのはぼくも残念に思いますが、2度目のサビの後半で音数が一気に増えてパワフルになるあたりは好きです。あとは、ドラムンベース(とは違うのかな?)のリズムの細やかさも好きです。
「風のない十字路」の最後のサビ前の間奏のシンセ音や、最後のサビで音が減っていってシンセ音が残るあたりが、「Major Turn-Round」ツアーの「ELECTRIC PROPHET」の音っぽいなと思ったりして、小室さんが関与しているに違いない!と思っていました。
というか、思い込もうとしていました。
「CASTLE IN THE CLOUDS」の時もそうでしたが、TM3人以外が音作りに関わっているというのが受け入れられなかったから。
当時ヒットしませんでしたが、「いかにもTM」という凝り固まったイメージを求める従来のファンクスではなく、新しい若い人たちに受け入れられるはずだったと思うので、もっと売り方がなかったのかなと残念です。
発売当時、タワーレコードのポップで、「大人たちが出すこの衝撃的なサウンドは必聴」みたいなことが書かれていました。
横から勝手にすみません。
「SCREEN OF LIFE」をテレビです演奏したのは、ミュージックフェアだと思います。
「Get Wild」と「Love Train(EXTENDED MIX)」のメドレーと、「SCREEN OF LIFE」単体での演奏でした。
新曲をちゃんと歌わせてもらえているのを見て、まだまだ現役!と思ったものでした。
失礼しました。
当時もこのシングルについては、結構反応は悪くなかったと思います。
アルバムへの批判は多かったですけどね。
このシングルはファン以外にはまったく広がらなかったし、
売り方については本当にどうにかしてほしかったですが、
TM側(小室さん)がなかなか動かないし、本当に作るかもわからなかったから、
R&C側としても長期的な販売戦略を立てずらかったんだろうと思います。
>kuri566さん
テレビで演奏したのはジルラココさんの回答の通りミュージックフェアですね。
このテレビ出演について、いずれ取り上げます。
こういうちゃんとした番組に出ることができるんだって、当時意外に思いました。
小室さんもこの番組の制作姿勢は感心していて、喜んでいたようです。
吉本時代でスタジオでちゃんとした形で歌ったのは、これが最後だと思います。
アニソン特集みたいなのはありましたけど。
リアルタイム時
「ギターとシンセの音色の違いをハッキリ示して、ぶつからせて異物感を残らせるのっていい!アウトロの遠い所に旅立ちそうな終わり方も感傷的!」
今、聴きなおして
「やっぱりTM『SEVEN DAYS WAR』の間奏の『ギターとシンセの違いがわかるか?』と言いたそうな曖昧な演出と、2am『enemy of life』のどちらも切り裂くような音色にして調和させた方が、しっくりくるな…」
イントロから繰り広げられる「本質が違う音色同士をぶつけ合って、異物感を残す」演出はTM「Leprechaun Christmas」「BURNIN' STREET」の方が派手で陽気でよく表現し切っていたんだな…と思いました。「SCREEN OF LIFE」はエレクトリックピアノがきれいで、アウトロに代表される静かな音色が災いして、最初のギターが頭から離れません。
「思い出のままの方が」ってわけではないですが、青い惑星様の言葉をお借りすれば、「ネタ切れなのに無理矢理動いた」という焦燥感が仄かに感じられます。
失礼いたしました。
ライブでもツアーではイントロのギターを復活させていたし、小室さん自身は気に入っていたんじゃないかと思っています。
30th finalではここがアコギになっていましたね。