7-19 World Heritage
8/28にSPEEDWAYの「SPEEDWAY 40th ~☆Folk Pavilion☆もやるよ!!~ 」が開催されました。
ニコ生でやらないかなあと思っていましたが、ありませんでした。
カメラも入っていなかったそうなので、今後映像が公開されることもないでしょう。
浅倉さんのtwitterには、終演後?の記念写真がアップされています。
ハタ☆ケンさんもライブ中の写真をアップしてますね。
私もチケット欲しかったのですが、手に入りませんでした。
FC会員でも厳しかったようです。
ただライブの内容は、参加した方から情報を頂くことができました。
今回はFolk PavilionとSPEEDWAYの40周年ライブが同時に開催されました。
MCによると、ウツはある時2019年がSPEEDWAY40周年だと気が付いて、携帯にメモしていたのだそうです。
で、木根さんを通じてメンバーに打診…ということだそうで、1996年と同じように、ウツが言い出しっぺで木根さんが動くという流れだったんですね。
しかしやはり年齢もあり(ハタ☆ケンさんてウツや木根さんより年上なんですね)、2時間のライブはきついということで、1時間Folk Pavilionを開催するということになったそうです。
Folk Pavilionは久々ですが、選曲は定番曲が多いです。
ウツはずっと「それゆけ!! 歌謡曲」をやっていますから、ウツファンにはそれほど久しぶり感はなかったかもしれませんね。
「落陽」はレアかもしれません。
浅倉さんはFolk Pavilionだけの出演なのかなと思っていましたが、SPEEDWAYにも参加したようです。
SPEEDWAYの演奏曲はアンコール含め10曲で、13曲を演奏した1996年の「Only One Night Dream Away」よりは少ないですが、時間が半分になった割にはまあまあ演奏した印象です。
オープニングが「ACT 810」「Close Your Eyes」なのは1996年と同じで、選曲もあまり変わっていない印象です。
1996年にやらなかったSPEEDWAYの曲は、本編では「眠りの森」くらいです。
演奏しづらい曲とか思い入れがある曲もあるんでしょうね。
個人的には「Mickael」「神話」をやってほしいんですが。
…いや、どうせ参加できなかったんですけど。
意外な選曲としては、TMの「Diving」があります(ウツは歌を間違えたようですが)。
「SPEEDWAYのアルバムの中の曲」と言って始めたそうですが、たしかにTMのアルバム「SPEEDWAY」の収録曲です。
このアルバムのコンセプトはSPEEDWAYの3rdアルバムでしたから、あながち間違ってもいません。
SPEEDWAYの若気の至り代表のデビュー曲「夢まで翔んで」は、1996年には現代仕様で「ぽこぽーん」「ピーッ」はなくなっていましたが、今回はこれをちゃんと再現していたそうです。
おそらくは浅倉さんがシンセで音を出していたんでしょうか
*(追記)新井さんとハタ☆ケンさんだったそうです(kaiesanご提供情報)
これは参加者、笑ったんじゃないかなあ。少なくとも心の中では。
いや、うらやましいんですよ?
おそらくライブで一番盛り上がったであろう曲は、アンコールの「Rockin' On the 月光仮面」でしょう。
1996年は恥ずかしいという理由で外されましたが、今回はやっと演奏してくれました。
本人たちはやっぱり恥ずかしかったでしょうが、これは参加者の思い出になったことと思います。
そういや最後の3曲は全部シングル曲ですね。
MCでも色々と面白い発言があったようですが(ソロのデビュー曲とかは今後も形を変えてやっていけるけど、TMのデビュー曲は10年後にはやれないとか)、そこらへんも含めてライブレポートが出ると良いですね。
SPEEDWAY関連企画として、ライブのオーダーTシャツ販売があります。
ライブ会場でカードを購入した後、web上でサイズや入れる文字などを指示するというものです。
こういう企画は他のミュージシャンもよくやっているんでしょうか?
なおライブに参加できなかった方も通販できるようです。
締め切りは9/30です。
話題は変わりますが、8/7に、劇場版「シティハンター」のBlu-ray発売が10/30と発表されました
さらにフランスで公開されていた「シティハンター」の実写版「NICKY LARSON」が、11月に「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」のタイトルで、日本でも公開されることが決まりました。
8/17には公式サイトも立ち上がっています。
ティザー映像を見る限り、主題歌は「Get Wild」なのでしょうか
その他の話題では、木根さんが、8/5・12にFMヨコハマ「otonanoラジオ」にゲスト出演しました。
では本題に入ります。
----------------------
SONYは2004/2/6、TM20周年に当たり、特設サイトとして、「TM NETWORK 20th Anniversary DOUBLE-DECADE」を開設した。
SONYは以後6月末日まで、20周年記念商品の情報をここで発信するとした。
この期限設定は、TM20周年の活動が6月に終わることが年始の時点で決まっていたことを示すものでもあろう。
ただしその後SONYの追加企画が始まったことで、DOUBLE-DECADEのサイトは年末まで継続することになった。
サイト内には速報、SONYの商品リリース情報、BBSが設けられた(その後ベスト盤企画に伴いファン投票のページも設けられた)。
これらは2004年末日を以って更新が止められ、BBSも書き込みできなくなったが、閲覧は2022年現在でも可能である。
リリース情報についても、現在はSONY Musicのサイトにリンクが貼られている。
SONYが企画した主な商品は2つあった。
CD BOX「World Heritage」とDVD「CAROL The Live」である。
その中で、まずは「World Heritage」を見てみよう。
「World Heritage -DOUBLE-DECADE COMPLETE BOX-」は3/31にリリースされたが、完全受注生産で、2/26までが予約受付期間とされた(ただし実際には、amazonなどでその後も購入できた)。
この締切日は、「NETWORK™」リリース日の2/25に合わせたものに違いない。
20周年の盛り上がりが始まるタイミングで、便乗商品を出してきたのである。
値段は24000円(税込25200円)で、それまでのTM関係商品で最高金額となった。
タイトルはユネスコの「世界遺産」に基づく。
日本でも1992年の世界遺産条約批准以来、世界遺産の登録数が急速に増加し(2000年までに11件)、日常的にも「世界遺産」の語をよく聞くようになってきた頃だが、SONYはそのような中で「終了」以前のTM楽曲を、「世界遺産」になぞらえたわけだ。
BOXに収録されたのは、基本的に1994年の「終了」以前の既発売アルバムである。
オリジナルアルバム9枚(フルアルバム8枚+ミニアルバム1枚)に、ベスト盤4枚・リミックス盤3枚・ライブ盤4枚も含まれる。
これに特典ディスク6枚を含め、全26枚のディスクとブックレットが封入された。
BOXの形状は立方体で、遺跡のレリーフ風の模様が施されている。
この形はなかなかカッコ良いと思う。
これまでTMのオリジナルアルバムは何度か再発されていたが、ミニアルバム・リミックス盤・ベスト盤などは再発されてこなかった。
これらは中古市場で安価で投げ売りされていたが、新品を求めていた後発ファンには貴重な機会だったかもしれない。
特にミニアルバムとはいえオリジナル版だった「Twinkle Night」は、需要も少なくなかっただろう。
各アルバムはリマスター処理が施されている。
この後SONYは旧譜を再発する際、何度も「リマスター」を銘打ち続け、音にこだわるファンに同じ作品を買わせ続ける商法を展開した。
当初から予想はされていたが、BOX収録アルバムはこの後単品でもリリースされた。
NETWORK時代のオリジナル盤7枚と「Dress」は紙ジャケット仕様で2007/3/21、「Gift for Fanks」は2007/11/21(DVD付き)である。
さらにTM30周年の時には、Blu-spec2 CD仕様でも再リリースされた。
NETWORK時代のオリジナル版が2013/2/20、「Dress」は2013/11/21、「Rhythm Red」「EXPO」は2014/5/21、「Colosseum」「Classix」「Groove Gear」「final live LAST GROOVE」は各2枚組で2014/9/24のリリースである。
それにしてもTMN時代の「Rhythm Red」「EXPO」の冷遇はなぜなのだろうか。
2004年のリマスターで特に重要だったのは、リリース当時あえて音量を小さくして収録された「humansystem」で、本BOXの発売によって通常の音量で聴けるようになった。
これによって本作の音源を他のアルバムと続けて聞いても不自然ではなくなった。
また「TMN Black」「TMN Red」「TMN Blue」は、2019年現在でリマスター盤の単独販売が行なわれていない(ただし配信は行なわれている)。
現在では「TMN Red」の「Open Your Heart」と「TMN Blue」の「Another Meeting」の2曲以外に価値がないので、今後も販売されることはないだろうが、CDで両曲のリマスター音源が欲しいファンはBOXを購入せざるを得ない(ただし配信音源では販売されている)。
ただしリマスター作業もかなり雑なものだったと見え、「Dress」収録の「Be Together」には一部音飛びが含まれている。
SONYはこの問題が発覚した後「Dress」を回収し、音飛びなしのディスクの再配布した。
後述の「Get Wild Song Mafia」でも同様の問題が起こったが、作品に敬意の見えないこの手の雑な仕事には、実にうんざりさせられる。
本商品のリリースに当たり危惧されたのは、レーベルゲートCD2(SONYのCCCDの規格)での発売となる可能性だった。
SMEは2003年に、2004年1月以後全CDをレーベルゲートCD2でリリースする方針を発表していた。
その意味で「World Heritage」が通常のCD(CD-DA)となったのは、かなり幸運なことであった。
レーベルゲートCD2の全面採用についてはユーザー側の批判も多く、SMEも慎重に様子を見ていたらしい。
この点で大きな意味があったのは、「World Heritage」の1週間前にリリースされたレベッカ20周年記念BOX「REBECCA COMPLETE BOX ~20th anniversary~」である。
本作は「World Heritage」よりかなり早く、2003年末にはリリースが発表されていたが、当初はレーベルゲートCD2とされていた。
ところがこれに対してファンの抗議や、BOX編集に関わったレベッカリーダーの土橋安騎夫の訴えがあり、年始になってCD-DAでのリリースに変更された。
土橋が反対した一つの理由は、「すでに10年以上も前にリリースされたもの」ということだった。
この少し後の1/20には佐野元春「VISITORS 20th Anniversary Edition」も、「既にCD化された音源が殆どである」との理由で、レーベルゲートCD2でのリリースをやめ、CD-DAとすることが発表されている。
「VISITORS 20th Anniversary Edition」の半月後にリリース告知された「World Heritage」がCD-DAとなったのは、過去作品の再発盤を例外扱いとすることが認められたことによるものだったと考えられる(以上、AKAさんのご指摘による)。
「World Heritage」収録のCDジャケットは、オリジナルのプラスチックケースではなく紙ジャケットとされた。
これは物理的容積を抑えるための措置だろう。
ライナーは白黒の紙1枚を4つ折りしたものに変更されたため、オリジナル盤にあった写真や解説文などはすべて割愛されることになった。
本作の問題点として、「COMPLETE BOX」と銘打ちながら、シングルが収録されなかったことがある。
TMの場合、シングルとアルバムでアレンジが異なる場合や、シングルカップリングにしか収録されていない作品もあるが、これらはベスト盤に入ったものを除き聞くことはできなかった。
1996年にはシングル全曲をまとめた「Time Capsule」がリリースされていたが、これはBOXに収録されていない。
収録対象を1994年以前の作品に限定する方針によるものかもしれないし、当時まだ「Time Capsule」が単品で販売されていたこともあるのかもしれない。
またSONY時代の作品でも、1999年のTRUE KiSS DiSC時代の楽曲はシングルでしかリリースされなかったので、基本的にはBOXには収録されなかった。
(後述の通り、「Get Wild Decade Run」は例外的に収録された)
以上のように「World Heritage」は実態としては、「COMPLETE」とは言いがたいものだった。
なお次年度にはこの中途半端な状態を利用して、また新商品がリリースされるが、これについては別章で触れることにしたい。
BOXには「3大スペシャルディスク」が特典と称して収録された。
1つは1994年の限定生産BOX「Groove Gear」収録の3枚のCDである。
これは「終了」以前から追っていたファンならば、たいてい持っているものだっただろうが、TK時代にファンになった者には意味があっただろう。
2つ目は「All the “Get Wild” Album」で、「Get Wild」の各バージョンを集めたアルバムである。
ジャケットはシングル盤のものを使っており、「Get Wild」のタイトルの下に、「ALL the “Get Wild” ALBUM」の字が小さく追加されている。
具体的な収録内容は、「Get Wild」のオリジナルバージョン、「Get Wild ‘89」「Get Wild (techno overdub mix)」「Get Wild Decade Run」「Get Wild Decade Run(112 Club Mix)」の4つのリミックスバージョン、「Fanks Cry-Max」「Camp Fanks!! ’89」「Rhythm Red Tour」「EXPO Arena “Crazy 4 You”」「TMN 4001 Days Groove 5.18」の5つのライブバージョンの合計10テイクと、ボーナストラックのデモ音源「ver.0」となっている。
言うまでもないが、「Get Wild」のオリジナルは、本BOXの他の複数のディスクにすでに収録されている。
(「Gift for Fanks」「TMN Black」「Groove Gear 1」)
ここにさらに「All the “Get Wild” Album」を入れることに何の意義があるのか、私にはまったく理解ができない。
さらに他のテイクも、多くは他のディスクに収録されている。
あえて言えばTRUE KiSS DiSC時代の「Get Wild Decade Run」2テイクは、本BOXの中ではこのディスクでしか聞くことができない。
もちろんシングルで発売済みの音源ではあるが、あえて言えばリマスターが施されたという点に価値を見出すことができるかもしれない。
ただしシングルのリリースから5年も経っておらず、リマスターの意義がどの程度あったのかは疑問である。
「Get Wild (ver.0)」は「Groove Gear 1」にも収録されるが、そこでは前曲の「INTRODUCTION」と続けてクロスフェードして曲に入る構成になっている。
これに対して「All the “Get Wild” Album」では、そのクロスフェード部分がカットされているので、単独で聴く場合には「INTRODUCTION」の音が気にならない仕様ではある。
(デモ音源にそのような配慮が必要かは疑問だが)
ただしクロスフェード部分から前曲の音を取り除くのではなく、重なっている部分をカットしているのは、マスターテープからの処理ではなく商品化済み音源に手を加えたに過ぎないことも示している。
そのため「All the “Get Wild” Album」では、イントロの一部を聞くことができなくなっている。
以上の如き驚くべき収録内容の本ディスクにおいて(これで「特典」だと!?)売りとされたのは、「Fanks Cry-Max」「EXPO Arena」のライブ音源収録である。
これは確かにCD音源としては初商品化である。
ただし前者は「Fanks The Live 1」、後者は「Groove Gear」収録の「EXPO ARENA FINAL」のライブビデオに収録されており、ライブ音源はその映像から抜き出したものに過ぎない。
マスタリングにこだわらなければ、自宅のビデオデッキで作成できる音源ということになる。
要するに本ディスクのライブ音源は、すべて既発表のライブCD・ライブビデオから寄せ集めたものである。
もしも「Fanks! Bang The Gong」「Kiss Japan Dancing Dyna-Mix」「STARCAMP TOKYO」「CAROL Tour」「TMN 4001 Days Groove 5.19」「Log-on to 21st Century」などのライブ音源が収録されていれば、本ディスクは真の意味で「特典」になっただろうが、どのようなユーザーが喜ぶと思って作ったのだろうか。
実のところ根本的なところで理解できないのは、なぜ「Get Wild」の音源を集めようと思ったのかという点である。
ただ2017年には本品の拡大企画「Get Wild Song Mafia」がリリースされ、しかもそこそこ売れた。
あるいはこの点が理解できないのは、私の感覚のズレのせいなのかもしれない。
もしも特典が以上だけだったならば、TMのアルバムを一部しか持っていなかったファンや、紛失・破損などしてしまったファンを除き、本BOXの価値はほとんどなかったと言える。
だがそうした中でも本BOXに価値を認めざるを得ないのは、第3の特典として収録された2枚組DVD「”BEE” presents TM VISIONS」があるからである。
これはSONYのBEEが全国で開催したビデオコンサート用の映像で、TMは1985~87年の3年間で6本のビデオを制作した。
本DVDではこの中の1~3をDisc1、4~6をDisc2に収録し、さらにDisc2の最後に「TM VISION 0」として、「金曜日のライオン」「Rainbow Rainbow」のPVも収録している。
これらの具体的な内容については、すでに本ブログの第1部・第2部で扱っているので割愛するが(テーマ「映像作品(PV・ライブ映像)」を参照)、映像作品の少ないブレイク以前の活動状況を知る上で非常に重要であり、私にとってはこの2枚のDVDだけで、2万円超の価値があった。

本作品群の映像は従来まったく商品化されておらず、特に「Eletric Prophet」の「1974」「カリビアーナ・ハイ」や、「Fanks Dyna-Mix」の「Come on Let's Dance」「Passenger」「8月の長い夜」は、現在でもこれでしか見ることができない。
(ただし「1974」の一部は「Decade」「TM NETWORK THE MOVIE」でも見ることができる)
最後に挙げておくべきは、120ページに及ぶ付属ブックレットである。
本ブックレットには、各年代におけるメンバーの写真や全アルバムの解説を載せており、またTMの歴史を振り返るエッセイもついている。
解説・エッセイは藤井徹貫によるもので、新味も新発見もないが、本ブックレットにはその他にも小坂洋二・青木高貴・山口三平・坂西伊作・立岡正樹など、80年代のTMに関わっていたスタッフのインタビューが載っている。
これらは当時の活動の裏側を記すものとして貴重な情報である。
特に初期TMの活動のキーマンである小坂や、今は亡き伊作のインタビューは貴重である。
本作は限定生産ということで、売上はそれほど高くなかったが、それでもチャート40位・7730セットを売っている。
単価の高さ・雑な仕事ぶり(制作費の低さ)を考えれば、それなりの成果だったと言えるだろう。
なお本BOXは2017/3/21に、「World Heritage ~Revival and Renewal BOX~」と題し、税抜27500円(税込29700円)に値上げした上で、SONY Music Shopで再発売された。
この時はCDを2013年以後のリマスター音源に差し替え、1000セット限定販売とした。
ただし2022年現在でも売れ残っている。
さて、2004年版「World Heritage」は2/26に予約を締め切ったが、その直前になって、シングル「NETWORK™」リリースに合わせ、4つの商品の発売を発表した。
その内の3つはライブビデオ「Fanks The Live」シリーズ(1~3)のDVD化である。
リリース日は2004/5/19で、TMN「終了」の日に合わせられた。
値段は税抜2300円(税込2415円)に値下げされ、かつてのビデオと比べると半額以下になった。
SONY時代のTMのビデオ作品の内、1994年の「Decade」「final live LAST GROOVE 5.18」「final live LAST GROOVE 5.19」の3本は2000年にDVD化されていたが、それ以前のものはデジタル映像化されていなかった。
その中でもっとも売り上げが見込めそうな「Fanks The Live」シリーズが、この時にDVD化されることになったのである。
なお「Decade」と「final live」のDVDは、すでに2003/12/17に再販されていた。
そしてもう1つの新商品は、DVD「CAROL The Live」である。
これは2004/4/21、TMデビュー記念日に合わせてリリースされ、2004年末日までの限定生産販売とされた。
内容は「Camp Fanks!! ‘89」ファイナルの1989/8/30横浜アリーナ公演を、「Passenger」を除いて全曲収録したものである。
「Passenger」ではコロッケがゲスト出演したため、商品化の許諾を得る手間と費用を惜しんでカットしたのだろう。
また抱き合わせで木根の小説版「CAROL」の新装版も封入された。
実は私が初めて小説版を読んだのはこの時である。
値段は税抜3800円(税込3990円)で、「Fanks The Live」シリーズの倍となっている。
ただし収録時間は3倍近くあるので、悪い値段ではない。
この10年後に「CAROL Deluxe Edition」として、ほとんど同じ商品に不要なおまけをつけたものが1万円で販売されたのと比べれば、良心的な値段設定と言える。
これまで「終了」前のTMライブは、全体が商品化されることはなかった。
これが初めて実現したのは、1994年の「終了」ライブ「TMN 4001 Days Groove」の時である。
この状態はTMファンにとって非常に残念なことであり、過去ライブの完全版映像は長く待望されていたが、それがこの時に、(1曲は欠くものの)ほぼ実現したのである。
「Camp Fanks!! ’89」はTM人気最盛期のライブだった上、目玉のミュージカル部分が従来一切伏せられていたこともあり、その全貌公開は商業的にも成立すると判断されたのだろう。
本作が比較的良心的な状態で商品化された前提には、制作費がほとんどかからなかったこともある。
これはライブ当日に全国で中継上映された「Closed Circuit」の映像をそのまま使ったもので、ビデオ用に数台のカメラで撮影した素材映像を編集したものではなかったのである。
そのため本作は、ライブ映像の商品版としては音質・画質が必ずしも高くなく、「Camp Fanks!! ’89」の映像としては「Fanks The Live 3」に収録されるものの方が質は良い。
またこれは以前も書いたことがあるが、DVDのチャプターが「CAROL TOUR FINAL」と「CAMP FANKS '89!!」の2部に分かれている。
前者は第1部のミュージカルパート、後者が第2部の通常パートに当たる。
これは本ライブのタイトルが「CAROL Tour Final Camp Fanks!! '89」だったのを、「CAROL Tour Final」+「Camp Fanks!! '89」と解したためと思われるが(なおDVDチャプターの「CAMP FANKS '89!!」の「!!」は位置が間違っている)、実際は「CAROL Tour」ファイナルの特別公演のライブタイトルが「Camp Fanks!! '89」という関係である。
おそらく1989年当時の関係者がほとんど関与していなかったため、スタッフも分からなかったのだろう。
DVDのライナーには、TM3人名義の(おそらく藤井徹貫作文の)文章が掲載されており、本作リリースの建前としての理由が書かれている。
その全文は以前転載したことがあるが、要するにDVDという高品質メディアが普及したから映像を公表したという趣旨である。
以上のように、SONYは20周年という機会をとらえて、すでに移籍したTMの特設サイトを作り、過去のコンテンツを用いた商品をリリースした。
その中でファンは「TM VISIONS」「CAROL The Live」を得ることができた。
これでもまだまだ出し惜しみしたラインナップとも感じる。
だがその中に価値の高いものが含まれていたことは確かであり、その後SONYがリリースした商品群と比較して見れば、この時期の商品はかなりマシな内容だったとは言えると思う。

TM NETWORK WORLD HERITAGE~DOUBLE DECADE COMPLETE BOX~ - ARRAY(0x101527f0)
ニコ生でやらないかなあと思っていましたが、ありませんでした。
カメラも入っていなかったそうなので、今後映像が公開されることもないでしょう。
浅倉さんのtwitterには、終演後?の記念写真がアップされています。
ハタ☆ケンさんもライブ中の写真をアップしてますね。
私もチケット欲しかったのですが、手に入りませんでした。
FC会員でも厳しかったようです。
ただライブの内容は、参加した方から情報を頂くことができました。
「SPEEDWAY 40th ~☆Folk Pavilion☆もやるよ!!~」
2019.08.28 マイナビBLITZ赤坂公演
◇Folk Pavilion
1. 冬の稲妻(アリス)
2. 氷の世界(井上陽水)
3. 落陽(吉田拓郎)
4. あずさ二号(狩人)
5. 飾りじゃないのよ涙は(中森明菜)
6. あの素晴らしい愛をもう一度(ザ・フォーク・クルセイダーズ)
7. Another Meeting (TMN)
◇SPEEDWAY 40th
SE. American Woman (The Guess Who)
1. ACT 810
2. Close Your Eyes
3. 眠りの森
4. Love Goes On
5. Diving
6. Super Star, Good Morning
7. Smile Again
8. 夢まで翔んで
9. Captain America
Enc. Rockin' On the 月光仮面
今回はFolk PavilionとSPEEDWAYの40周年ライブが同時に開催されました。
MCによると、ウツはある時2019年がSPEEDWAY40周年だと気が付いて、携帯にメモしていたのだそうです。
で、木根さんを通じてメンバーに打診…ということだそうで、1996年と同じように、ウツが言い出しっぺで木根さんが動くという流れだったんですね。
しかしやはり年齢もあり(ハタ☆ケンさんてウツや木根さんより年上なんですね)、2時間のライブはきついということで、1時間Folk Pavilionを開催するということになったそうです。
Folk Pavilionは久々ですが、選曲は定番曲が多いです。
ウツはずっと「それゆけ!! 歌謡曲」をやっていますから、ウツファンにはそれほど久しぶり感はなかったかもしれませんね。
「落陽」はレアかもしれません。
浅倉さんはFolk Pavilionだけの出演なのかなと思っていましたが、SPEEDWAYにも参加したようです。
SPEEDWAYの演奏曲はアンコール含め10曲で、13曲を演奏した1996年の「Only One Night Dream Away」よりは少ないですが、時間が半分になった割にはまあまあ演奏した印象です。
オープニングが「ACT 810」「Close Your Eyes」なのは1996年と同じで、選曲もあまり変わっていない印象です。
1996年にやらなかったSPEEDWAYの曲は、本編では「眠りの森」くらいです。
演奏しづらい曲とか思い入れがある曲もあるんでしょうね。
個人的には「Mickael」「神話」をやってほしいんですが。
…いや、どうせ参加できなかったんですけど。
意外な選曲としては、TMの「Diving」があります(ウツは歌を間違えたようですが)。
「SPEEDWAYのアルバムの中の曲」と言って始めたそうですが、たしかにTMのアルバム「SPEEDWAY」の収録曲です。
このアルバムのコンセプトはSPEEDWAYの3rdアルバムでしたから、あながち間違ってもいません。
SPEEDWAYの若気の至り代表のデビュー曲「夢まで翔んで」は、1996年には現代仕様で「ぽこぽーん」「ピーッ」はなくなっていましたが、今回はこれをちゃんと再現していたそうです。
*(追記)新井さんとハタ☆ケンさんだったそうです(kaiesanご提供情報)
これは参加者、笑ったんじゃないかなあ。少なくとも心の中では。
いや、うらやましいんですよ?
おそらくライブで一番盛り上がったであろう曲は、アンコールの「Rockin' On the 月光仮面」でしょう。
1996年は恥ずかしいという理由で外されましたが、今回はやっと演奏してくれました。
本人たちはやっぱり恥ずかしかったでしょうが、これは参加者の思い出になったことと思います。
そういや最後の3曲は全部シングル曲ですね。
MCでも色々と面白い発言があったようですが(ソロのデビュー曲とかは今後も形を変えてやっていけるけど、TMのデビュー曲は10年後にはやれないとか)、そこらへんも含めてライブレポートが出ると良いですね。
SPEEDWAY関連企画として、ライブのオーダーTシャツ販売があります。
ライブ会場でカードを購入した後、web上でサイズや入れる文字などを指示するというものです。
こういう企画は他のミュージシャンもよくやっているんでしょうか?
なおライブに参加できなかった方も通販できるようです。
締め切りは9/30です。
話題は変わりますが、8/7に、劇場版「シティハンター」のBlu-ray発売が10/30と発表されました
さらにフランスで公開されていた「シティハンター」の実写版「NICKY LARSON」が、11月に「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」のタイトルで、日本でも公開されることが決まりました。
8/17には公式サイトも立ち上がっています。
ティザー映像を見る限り、主題歌は「Get Wild」なのでしょうか
その他の話題では、木根さんが、8/5・12にFMヨコハマ「otonanoラジオ」にゲスト出演しました。
では本題に入ります。
----------------------
SONYは2004/2/6、TM20周年に当たり、特設サイトとして、「TM NETWORK 20th Anniversary DOUBLE-DECADE」を開設した。
SONYは以後6月末日まで、20周年記念商品の情報をここで発信するとした。
この期限設定は、TM20周年の活動が6月に終わることが年始の時点で決まっていたことを示すものでもあろう。
ただしその後SONYの追加企画が始まったことで、DOUBLE-DECADEのサイトは年末まで継続することになった。
サイト内には速報、SONYの商品リリース情報、BBSが設けられた(その後ベスト盤企画に伴いファン投票のページも設けられた)。
これらは2004年末日を以って更新が止められ、BBSも書き込みできなくなったが、閲覧は2022年現在でも可能である。
リリース情報についても、現在はSONY Musicのサイトにリンクが貼られている。
SONYが企画した主な商品は2つあった。
CD BOX「World Heritage」とDVD「CAROL The Live」である。
その中で、まずは「World Heritage」を見てみよう。
「World Heritage -DOUBLE-DECADE COMPLETE BOX-」は3/31にリリースされたが、完全受注生産で、2/26までが予約受付期間とされた(ただし実際には、amazonなどでその後も購入できた)。
この締切日は、「NETWORK™」リリース日の2/25に合わせたものに違いない。
20周年の盛り上がりが始まるタイミングで、便乗商品を出してきたのである。
値段は24000円(税込25200円)で、それまでのTM関係商品で最高金額となった。
タイトルはユネスコの「世界遺産」に基づく。
日本でも1992年の世界遺産条約批准以来、世界遺産の登録数が急速に増加し(2000年までに11件)、日常的にも「世界遺産」の語をよく聞くようになってきた頃だが、SONYはそのような中で「終了」以前のTM楽曲を、「世界遺産」になぞらえたわけだ。
BOXに収録されたのは、基本的に1994年の「終了」以前の既発売アルバムである。
オリジナルアルバム9枚(フルアルバム8枚+ミニアルバム1枚)に、ベスト盤4枚・リミックス盤3枚・ライブ盤4枚も含まれる。
これに特典ディスク6枚を含め、全26枚のディスクとブックレットが封入された。
BOXの形状は立方体で、遺跡のレリーフ風の模様が施されている。
この形はなかなかカッコ良いと思う。
これまでTMのオリジナルアルバムは何度か再発されていたが、ミニアルバム・リミックス盤・ベスト盤などは再発されてこなかった。
これらは中古市場で安価で投げ売りされていたが、新品を求めていた後発ファンには貴重な機会だったかもしれない。
特にミニアルバムとはいえオリジナル版だった「Twinkle Night」は、需要も少なくなかっただろう。
各アルバムはリマスター処理が施されている。
この後SONYは旧譜を再発する際、何度も「リマスター」を銘打ち続け、音にこだわるファンに同じ作品を買わせ続ける商法を展開した。
当初から予想はされていたが、BOX収録アルバムはこの後単品でもリリースされた。
NETWORK時代のオリジナル盤7枚と「Dress」は紙ジャケット仕様で2007/3/21、「Gift for Fanks」は2007/11/21(DVD付き)である。
さらにTM30周年の時には、Blu-spec2 CD仕様でも再リリースされた。
NETWORK時代のオリジナル版が2013/2/20、「Dress」は2013/11/21、「Rhythm Red」「EXPO」は2014/5/21、「Colosseum」「Classix」「Groove Gear」「final live LAST GROOVE」は各2枚組で2014/9/24のリリースである。
それにしてもTMN時代の「Rhythm Red」「EXPO」の冷遇はなぜなのだろうか。
2004年のリマスターで特に重要だったのは、リリース当時あえて音量を小さくして収録された「humansystem」で、本BOXの発売によって通常の音量で聴けるようになった。
これによって本作の音源を他のアルバムと続けて聞いても不自然ではなくなった。
また「TMN Black」「TMN Red」「TMN Blue」は、2019年現在でリマスター盤の単独販売が行なわれていない(ただし配信は行なわれている)。
現在では「TMN Red」の「Open Your Heart」と「TMN Blue」の「Another Meeting」の2曲以外に価値がないので、今後も販売されることはないだろうが、CDで両曲のリマスター音源が欲しいファンはBOXを購入せざるを得ない(ただし配信音源では販売されている)。
ただしリマスター作業もかなり雑なものだったと見え、「Dress」収録の「Be Together」には一部音飛びが含まれている。
SONYはこの問題が発覚した後「Dress」を回収し、音飛びなしのディスクの再配布した。
後述の「Get Wild Song Mafia」でも同様の問題が起こったが、作品に敬意の見えないこの手の雑な仕事には、実にうんざりさせられる。
本商品のリリースに当たり危惧されたのは、レーベルゲートCD2(SONYのCCCDの規格)での発売となる可能性だった。
SMEは2003年に、2004年1月以後全CDをレーベルゲートCD2でリリースする方針を発表していた。
その意味で「World Heritage」が通常のCD(CD-DA)となったのは、かなり幸運なことであった。
レーベルゲートCD2の全面採用についてはユーザー側の批判も多く、SMEも慎重に様子を見ていたらしい。
この点で大きな意味があったのは、「World Heritage」の1週間前にリリースされたレベッカ20周年記念BOX「REBECCA COMPLETE BOX ~20th anniversary~」である。
本作は「World Heritage」よりかなり早く、2003年末にはリリースが発表されていたが、当初はレーベルゲートCD2とされていた。
ところがこれに対してファンの抗議や、BOX編集に関わったレベッカリーダーの土橋安騎夫の訴えがあり、年始になってCD-DAでのリリースに変更された。
土橋が反対した一つの理由は、「すでに10年以上も前にリリースされたもの」ということだった。
この少し後の1/20には佐野元春「VISITORS 20th Anniversary Edition」も、「既にCD化された音源が殆どである」との理由で、レーベルゲートCD2でのリリースをやめ、CD-DAとすることが発表されている。
「VISITORS 20th Anniversary Edition」の半月後にリリース告知された「World Heritage」がCD-DAとなったのは、過去作品の再発盤を例外扱いとすることが認められたことによるものだったと考えられる(以上、AKAさんのご指摘による)。
「World Heritage」収録のCDジャケットは、オリジナルのプラスチックケースではなく紙ジャケットとされた。
これは物理的容積を抑えるための措置だろう。
ライナーは白黒の紙1枚を4つ折りしたものに変更されたため、オリジナル盤にあった写真や解説文などはすべて割愛されることになった。
本作の問題点として、「COMPLETE BOX」と銘打ちながら、シングルが収録されなかったことがある。
TMの場合、シングルとアルバムでアレンジが異なる場合や、シングルカップリングにしか収録されていない作品もあるが、これらはベスト盤に入ったものを除き聞くことはできなかった。
1996年にはシングル全曲をまとめた「Time Capsule」がリリースされていたが、これはBOXに収録されていない。
収録対象を1994年以前の作品に限定する方針によるものかもしれないし、当時まだ「Time Capsule」が単品で販売されていたこともあるのかもしれない。
またSONY時代の作品でも、1999年のTRUE KiSS DiSC時代の楽曲はシングルでしかリリースされなかったので、基本的にはBOXには収録されなかった。
(後述の通り、「Get Wild Decade Run」は例外的に収録された)
以上のように「World Heritage」は実態としては、「COMPLETE」とは言いがたいものだった。
なお次年度にはこの中途半端な状態を利用して、また新商品がリリースされるが、これについては別章で触れることにしたい。
BOXには「3大スペシャルディスク」が特典と称して収録された。
1つは1994年の限定生産BOX「Groove Gear」収録の3枚のCDである。
これは「終了」以前から追っていたファンならば、たいてい持っているものだっただろうが、TK時代にファンになった者には意味があっただろう。
2つ目は「All the “Get Wild” Album」で、「Get Wild」の各バージョンを集めたアルバムである。
ジャケットはシングル盤のものを使っており、「Get Wild」のタイトルの下に、「ALL the “Get Wild” ALBUM」の字が小さく追加されている。
具体的な収録内容は、「Get Wild」のオリジナルバージョン、「Get Wild ‘89」「Get Wild (techno overdub mix)」「Get Wild Decade Run」「Get Wild Decade Run(112 Club Mix)」の4つのリミックスバージョン、「Fanks Cry-Max」「Camp Fanks!! ’89」「Rhythm Red Tour」「EXPO Arena “Crazy 4 You”」「TMN 4001 Days Groove 5.18」の5つのライブバージョンの合計10テイクと、ボーナストラックのデモ音源「ver.0」となっている。
言うまでもないが、「Get Wild」のオリジナルは、本BOXの他の複数のディスクにすでに収録されている。
(「Gift for Fanks」「TMN Black」「Groove Gear 1」)
ここにさらに「All the “Get Wild” Album」を入れることに何の意義があるのか、私にはまったく理解ができない。
さらに他のテイクも、多くは他のディスクに収録されている。
あえて言えばTRUE KiSS DiSC時代の「Get Wild Decade Run」2テイクは、本BOXの中ではこのディスクでしか聞くことができない。
もちろんシングルで発売済みの音源ではあるが、あえて言えばリマスターが施されたという点に価値を見出すことができるかもしれない。
ただしシングルのリリースから5年も経っておらず、リマスターの意義がどの程度あったのかは疑問である。
「Get Wild (ver.0)」は「Groove Gear 1」にも収録されるが、そこでは前曲の「INTRODUCTION」と続けてクロスフェードして曲に入る構成になっている。
これに対して「All the “Get Wild” Album」では、そのクロスフェード部分がカットされているので、単独で聴く場合には「INTRODUCTION」の音が気にならない仕様ではある。
(デモ音源にそのような配慮が必要かは疑問だが)
ただしクロスフェード部分から前曲の音を取り除くのではなく、重なっている部分をカットしているのは、マスターテープからの処理ではなく商品化済み音源に手を加えたに過ぎないことも示している。
そのため「All the “Get Wild” Album」では、イントロの一部を聞くことができなくなっている。
以上の如き驚くべき収録内容の本ディスクにおいて(これで「特典」だと!?)売りとされたのは、「Fanks Cry-Max」「EXPO Arena」のライブ音源収録である。
これは確かにCD音源としては初商品化である。
ただし前者は「Fanks The Live 1」、後者は「Groove Gear」収録の「EXPO ARENA FINAL」のライブビデオに収録されており、ライブ音源はその映像から抜き出したものに過ぎない。
マスタリングにこだわらなければ、自宅のビデオデッキで作成できる音源ということになる。
要するに本ディスクのライブ音源は、すべて既発表のライブCD・ライブビデオから寄せ集めたものである。
もしも「Fanks! Bang The Gong」「Kiss Japan Dancing Dyna-Mix」「STARCAMP TOKYO」「CAROL Tour」「TMN 4001 Days Groove 5.19」「Log-on to 21st Century」などのライブ音源が収録されていれば、本ディスクは真の意味で「特典」になっただろうが、どのようなユーザーが喜ぶと思って作ったのだろうか。
実のところ根本的なところで理解できないのは、なぜ「Get Wild」の音源を集めようと思ったのかという点である。
ただ2017年には本品の拡大企画「Get Wild Song Mafia」がリリースされ、しかもそこそこ売れた。
あるいはこの点が理解できないのは、私の感覚のズレのせいなのかもしれない。
もしも特典が以上だけだったならば、TMのアルバムを一部しか持っていなかったファンや、紛失・破損などしてしまったファンを除き、本BOXの価値はほとんどなかったと言える。
だがそうした中でも本BOXに価値を認めざるを得ないのは、第3の特典として収録された2枚組DVD「”BEE” presents TM VISIONS」があるからである。
これはSONYのBEEが全国で開催したビデオコンサート用の映像で、TMは1985~87年の3年間で6本のビデオを制作した。
本DVDではこの中の1~3をDisc1、4~6をDisc2に収録し、さらにDisc2の最後に「TM VISION 0」として、「金曜日のライオン」「Rainbow Rainbow」のPVも収録している。
これらの具体的な内容については、すでに本ブログの第1部・第2部で扱っているので割愛するが(テーマ「映像作品(PV・ライブ映像)」を参照)、映像作品の少ないブレイク以前の活動状況を知る上で非常に重要であり、私にとってはこの2枚のDVDだけで、2万円超の価値があった。

本作品群の映像は従来まったく商品化されておらず、特に「Eletric Prophet」の「1974」「カリビアーナ・ハイ」や、「Fanks Dyna-Mix」の「Come on Let's Dance」「Passenger」「8月の長い夜」は、現在でもこれでしか見ることができない。
(ただし「1974」の一部は「Decade」「TM NETWORK THE MOVIE」でも見ることができる)
最後に挙げておくべきは、120ページに及ぶ付属ブックレットである。
本ブックレットには、各年代におけるメンバーの写真や全アルバムの解説を載せており、またTMの歴史を振り返るエッセイもついている。
解説・エッセイは藤井徹貫によるもので、新味も新発見もないが、本ブックレットにはその他にも小坂洋二・青木高貴・山口三平・坂西伊作・立岡正樹など、80年代のTMに関わっていたスタッフのインタビューが載っている。
これらは当時の活動の裏側を記すものとして貴重な情報である。
特に初期TMの活動のキーマンである小坂や、今は亡き伊作のインタビューは貴重である。
本作は限定生産ということで、売上はそれほど高くなかったが、それでもチャート40位・7730セットを売っている。
単価の高さ・雑な仕事ぶり(制作費の低さ)を考えれば、それなりの成果だったと言えるだろう。
なお本BOXは2017/3/21に、「World Heritage ~Revival and Renewal BOX~」と題し、税抜27500円(税込29700円)に値上げした上で、SONY Music Shopで再発売された。
この時はCDを2013年以後のリマスター音源に差し替え、1000セット限定販売とした。
ただし2022年現在でも売れ残っている。
さて、2004年版「World Heritage」は2/26に予約を締め切ったが、その直前になって、シングル「NETWORK™」リリースに合わせ、4つの商品の発売を発表した。
その内の3つはライブビデオ「Fanks The Live」シリーズ(1~3)のDVD化である。
リリース日は2004/5/19で、TMN「終了」の日に合わせられた。
値段は税抜2300円(税込2415円)に値下げされ、かつてのビデオと比べると半額以下になった。
SONY時代のTMのビデオ作品の内、1994年の「Decade」「final live LAST GROOVE 5.18」「final live LAST GROOVE 5.19」の3本は2000年にDVD化されていたが、それ以前のものはデジタル映像化されていなかった。
その中でもっとも売り上げが見込めそうな「Fanks The Live」シリーズが、この時にDVD化されることになったのである。
なお「Decade」と「final live」のDVDは、すでに2003/12/17に再販されていた。
そしてもう1つの新商品は、DVD「CAROL The Live」である。
これは2004/4/21、TMデビュー記念日に合わせてリリースされ、2004年末日までの限定生産販売とされた。
内容は「Camp Fanks!! ‘89」ファイナルの1989/8/30横浜アリーナ公演を、「Passenger」を除いて全曲収録したものである。
「Passenger」ではコロッケがゲスト出演したため、商品化の許諾を得る手間と費用を惜しんでカットしたのだろう。
また抱き合わせで木根の小説版「CAROL」の新装版も封入された。
実は私が初めて小説版を読んだのはこの時である。
値段は税抜3800円(税込3990円)で、「Fanks The Live」シリーズの倍となっている。
ただし収録時間は3倍近くあるので、悪い値段ではない。
この10年後に「CAROL Deluxe Edition」として、ほとんど同じ商品に不要なおまけをつけたものが1万円で販売されたのと比べれば、良心的な値段設定と言える。
これまで「終了」前のTMライブは、全体が商品化されることはなかった。
これが初めて実現したのは、1994年の「終了」ライブ「TMN 4001 Days Groove」の時である。
この状態はTMファンにとって非常に残念なことであり、過去ライブの完全版映像は長く待望されていたが、それがこの時に、(1曲は欠くものの)ほぼ実現したのである。
「Camp Fanks!! ’89」はTM人気最盛期のライブだった上、目玉のミュージカル部分が従来一切伏せられていたこともあり、その全貌公開は商業的にも成立すると判断されたのだろう。
本作が比較的良心的な状態で商品化された前提には、制作費がほとんどかからなかったこともある。
これはライブ当日に全国で中継上映された「Closed Circuit」の映像をそのまま使ったもので、ビデオ用に数台のカメラで撮影した素材映像を編集したものではなかったのである。
そのため本作は、ライブ映像の商品版としては音質・画質が必ずしも高くなく、「Camp Fanks!! ’89」の映像としては「Fanks The Live 3」に収録されるものの方が質は良い。
またこれは以前も書いたことがあるが、DVDのチャプターが「CAROL TOUR FINAL」と「CAMP FANKS '89!!」の2部に分かれている。
前者は第1部のミュージカルパート、後者が第2部の通常パートに当たる。
これは本ライブのタイトルが「CAROL Tour Final Camp Fanks!! '89」だったのを、「CAROL Tour Final」+「Camp Fanks!! '89」と解したためと思われるが(なおDVDチャプターの「CAMP FANKS '89!!」の「!!」は位置が間違っている)、実際は「CAROL Tour」ファイナルの特別公演のライブタイトルが「Camp Fanks!! '89」という関係である。
おそらく1989年当時の関係者がほとんど関与していなかったため、スタッフも分からなかったのだろう。
DVDのライナーには、TM3人名義の(おそらく藤井徹貫作文の)文章が掲載されており、本作リリースの建前としての理由が書かれている。
その全文は以前転載したことがあるが、要するにDVDという高品質メディアが普及したから映像を公表したという趣旨である。
以上のように、SONYは20周年という機会をとらえて、すでに移籍したTMの特設サイトを作り、過去のコンテンツを用いた商品をリリースした。
その中でファンは「TM VISIONS」「CAROL The Live」を得ることができた。
これでもまだまだ出し惜しみしたラインナップとも感じる。
だがその中に価値の高いものが含まれていたことは確かであり、その後SONYがリリースした商品群と比較して見れば、この時期の商品はかなりマシな内容だったとは言えると思う。

TM NETWORK WORLD HERITAGE~DOUBLE DECADE COMPLETE BOX~ - ARRAY(0x101527f0)
この記事へのコメント
https://www.cdjournal.com/i/news/rebecca/5922
2017年に再発した「World Heritage ~Revival and Renewal BOX~」、CDは2013年のリマスター音源に差し替えられましたが「TM VISIONS」の方はBlu-rayにアップグレードされておらずDVDのままです。何でだろう?
取り急ぎ、失礼しました。
30周年のぴあも誤植だらけだったし、ブルーレイセットも酷かった。
商品に対する誇りやアーティストへの尊敬が微塵も無いテキトーさ。
昨今の音楽ビジネスの凋落をこういったところにも感じます。
ところで、細かいことですが、
フォークパビリオンの曲目の「飾りじゃないのよ、涙は」は、
中森明菜というよりもフォークなのだから井上陽水なのでは。
リンク先の挙動の件、お知らせありがとうございます。
ブラウザや端末によるサイトの動作の違いは厄介ですね。指摘されて知りました。
とりあえず元のPC用ブラウザ対応のリンク先のままにしておきます。
ちなみに私のAndroidのChromeでは、元サイトで行けました。
>haruさん
2017年盤World Heritageの誤り、ありがとうございます。
2017年盤は購入しなかったので、勘違いして覚えていました。
…はい、ちゃんと確認しなかった私のミスなんですけど。
こちら修正しておきました。
>椎名さん
ご指摘ありがとうございます。
「飾りじゃないのよ涙は」はちょっと考えましたが、
やはりオリジナルシンガーの中森明菜で通すことにしました。
陽水のは自らの提供曲を後からセルフカバーしたものなので。
フォーパビという名前にどこまでこだわるかですが、
これまで開催されてきたフォーパビではポップスなども対象にしており、
フォークソング縛りと言うわけではなかったですし。
「Crazy for You」について、伊集院さんがツイートしていました。
https://twitter.com/hikaruijuin/status/1171400774204588037?s=21
バックでなにか話している声は、「日本語を模した日本語風のセリフ」で、その内容には一応ストーリーがあったとのことです。
otonanoに専用サイトが出来ていますが、前回Epic Recordsが行ったのは「2004年」のはずなんですが…。
細かいことはともかく、他に企画無かったんでしょうかねぇー。
選ばれる可能性が大いにある「BEYOND THE TIME」、今度こそ8cmCDバージョンで収録してくれないかな。
あとは前回の「Welcome to the FANKS」のようにCD化されていない未発表曲が一曲でも入ればいいんですが。
それしか期待、していません…。
物語があったんですね。伊集院さんが考えただけで、坂元さんや小室さんとは話し合っていないでしょうけど。
まあ何も意味がない言葉を言い続けるて、逆に難しいですしね。
>やまびこさん
ファンの中心世代を考えて、いくらくらいまで金を出すか考えながら商品を作っているんだと思いますよ。そりゃあ15年前の僕らにとっての2.5万円は今とは重みが違いますし。チケット代も実費ではなく、たとえば武道館でやるなら1万人が集まるならチケット代設定はいくらくらいかとか計算しているでしょうし。ファンの固定化(若い人が入らなくなる)て、こういうところも影響してくるんだと思います。ちなみに私は、小室さんが逮捕された時に、小室さん関係のものが市場から消えるかもと思って、BOXを買いました。
BEEて裏取引されていたんですね。どうやって手に入れてたんだろう…。
>haruさん
ファン投票ベスト、来ましたね。別にいらないですけどね。
私は特に買う気はないですけど、当時買えなかったファンのために、
Green Days 2013とそのカップリング曲を入れてあげてほしいです。
なんか、アンケートでのベスト版ですが、順位や選曲はどうでもいいので、オマケを豪華にして欲しいです。もう、ライブ音源完全版とかなら、言い値で買いますよ。ソニーにも考えてもらいたいんですよね、Doragon the FestivalやStarcampだって、10周年や20周年の時ならもっと売れたと思うんですよ。それに、FANKS世代って、そろそろお亡くなりになる人や、家庭の事情でお金を使いにくくなる人も出て来る世代だと思います。ふんだくるのなら、早い方が良いですよ。良いものなら、喜んでふんだくられますから。
「CAROL the LIVE」もリリース当時はミュージカル部分をようやく見ることが出来て良かったと思いましたが十年後に完全版が出ちゃったので…。
ソニーが立ち上げたDOUBLE-DECADEサイト、毎日閲覧していたしBBSには過去に販売された映像作品をDVD化してください、としつこく書き込んでしました。FANKS the LIVE3枚が出せるなら他のも問題無いだろう、と思って。その効果があったかどうか分かりませんが残りの分も翌年春にDVD化されたので良かったです。全タイトル一括購入しました。
あとその他の楽曲として一番最後に「QUATRO」がありますが、CDには収録されていないはずなんですが。選ばれた場合、DVD等から音源のみ収録するのかな?
1999年までが対象だった「Welcome to the FANKS」、2000年以降の楽曲も対象となった今回の人気投票、結果にどれだけ変化が出るのか個人的には楽しみにしたいと思います。
ベスト盤についてはさっき更新した記事に書いたのですが、
私も本体に興味はないので、おまけがあるならそっちが気になります。
パルコの完全版(17 to 19入り)とか出せば飛びつくんですけどねえ。
SONYのお宝放出の見極めのタイミングは、おっしゃる通りよく分からないところがありますが、今はそのタイミングと判断し始めている感があるので、そっちに期待です。
>haruさん
2004年の過去ビデオのDVD化は、採算が採れるかどうか微妙なラインだったんでしょう。
まずは一番売れそうなやつから商品化して様子を見るという、去年のFANKS CRY-MAXのBlu-ray化と同じことをやっていたんだと思います。
まあしかし、この時にDVD化してくれて、本当に良かったと思います。
しかもかなり安かったですしね。
QUATROは1985年とありますので、VISION FESTIVALから音を抜き出したものでしょうね。
当時中古店でTMのアルバムを揃えたばかりの時にBOXの情報がきたので、しばらく途方に暮れた思い出があります。しかし、「GROOVE GEAR」とは何なのか・「リマスタリング」ってどういうのかという好奇心に負けて改めて購入しました。後、発売から1,2か月経っての購入だったのか「DRESS」に音飛びはありませんでした。
不思議なことに今も「World Heritage」と一緒にリマスター前のTMのアルバムも持っています。「humansystem」聞き比べてみようかと思ってます。
でもGroove Gearをお持ちでなかったのならば、まったく無意味ではなかったのでしょうか。TMのブックオフ価格なんて数百円でしたしね。