7-21 Double-Decade "NETWORK" in YOKOHAMA ARENA②
相変わらず非常に多忙な日々が続いており、隔月更新になっています。
今回の横浜アリーナライブなんて2回に分けているから、この1日のライブの記事だけで4カ月ですね…すみません。
とりあえず近況をまとめておきます。
まずウツの「Dragon The Carnival」が11/10を以て終わりました。
ところがファイナルの日になって、来年2/6・7の追加公演が発表されました。
会場は中野サンプラザです。
結構評判良かったんでしょうか。
すでにFC受付は終わっていますが、おそらく会場規模から考えて一般でも取れると思うので、関心のある方はどうぞご参加ください。
木根さんは12/1にFMかつしか「優峰のエポック」に出演しました。
12/14・15には「ニューロマンティックシアター」を開催し、12/30には「Nobuyuki Shimizu Presents 木根尚登×鳥山雄司×清水信之」に出演します。
え、この組み合わせ、好きな人にはたまんなくないですか?
来年にはまた佐藤竹善さんとのコラボライブ「My Favorite Songs」を開催します。
2/6から3/12まで4公演です。
以上はいずれもチケット発売中です。
木根さんは現在、ライブ会場で販売しているシングル「R1」に収録される「君が生まれた日」のMVを制作しているそうです。
11月末日で募集は締め切られましたが、自分や家族・友人などの0歳の時の写真を、webで募集していました。
MVは後日youtubeで公開されるそうです。
TMベスト盤投票企画、11/15に公式サイトで第1回中間発表がありました。
上位30曲が発表されているので、CDには30曲が収録されるのでしょうか。
選ばれた曲を見た感想は、2004年の「Welcome to the Fanks!」の時の投票結果と比べて、ほとんど変わらないということです。
上位20曲について、2004年に選曲対象外だった「I am」「Get Wild '89」を除く18曲中12曲は、2004年盤にも入っています。
また今回の上位30曲には、2004年の上位20曲中16曲が入っています。
今回の10位内に絞って見ると、2004年に入らなかった曲は、「I am」「Nights of the Knife」だけです。
2004年には「Nights of the Knife」はツアーで演奏したのに選ばれませんでしたが、30周年ライブでは1会場以外演奏しなかったのに今回は10位にランクインです。
2004年にはまだファンの間に拒否感が強かったのでしょうか。
逆に2004年にライブ効果で選ばれたと思しき「10 Years After」は、今回は姿を消しました。
ROJAM期以後の曲は、20位内では9位の「I am」だけでした。
(28位には「Message」もランクイン)
結局こんな風になるんですね。
ボーナスディスクとか付けて再始動以後の楽曲を救済しないと、2004年盤の微調整くらいのものになっちゃいそうです。
とりあえず今月中にもう一回中間発表があるみたいです。
投票は12/31まで行なっています。
11/29には「シティーハンター THE MOVIE 」が公開されました。
「Get Wild」のオリジナルも使われているそうです。
また来週には、アニメ映画「ぼくらの7日間戦争」が公開されます。
こちらには「Seven Days War」のインストが使われるとの話です。
ホント今年はTMのコラボが目白押しでした。
いえ、肝心の本体がまったく動けなかったんですけどね…
そんな中で最後のリリース情報になるでしょうか。
「Beyond The Time」「Seven Days War」のアナログシングルレコードと、サウンドトラック「Seven Days War」のBSCD2盤が、12/4にリリースされました。
アナログ盤は2年前の「Get Wild」と合わせて3枚ということになります。
これは完全にコレクターズアイテムですが、今はCDよりもレコードの方が売れたりするそうなので、案外今後はこういう商品が出たりするのかもしれません。
なお「Beyond The Time」は1988年のリリース当時、CD盤はカットアウト、レコード盤はより短いフェイドアウトになっていました。
その後1996年の「Time Capsule」を除き、歴代ベスト盤はことごとくレコード盤に準拠してきたのですが、今回はなぜかレコード盤なのにカットアウトという謎の事態になっているそうです。
うーーん、もう何がなにやら。
いや、良いことなんですけども。
サントラ盤は私も大好きな作品なのに絶版だったので、復刻はうれしい限りです。
(「TETSUYA KOMURO ARCHIVES PROFESSIONAL PRODUCTS」に入れたやつを単品リリースしただけですけども)
今回のアニメ映画をきっかけに、30年前の実写映画にも関心を持った方が、小室さんの音楽を聴くきっかけになればうれしいです。
では本題に入ります。
上で触れた「10 Years After」や「Nights of the Knife」も登場します。
----------------
開演を告げるベルが鳴ると、ステージ上の赤い照明が静かに明かりを灯す。
まだ誰も現れていないステージの背後の大きな3枚のスクリーンには、ツアーのロゴマークである三本傘のマークが映し出されている。
スクリーンの映像は時計に変わる。
時計が時間を遡ってTM NETWORKのデビュー日「1984.4.21」の日付を表示すると、TMの始まりであるデビューシングル「金曜日のライオン」PVの冒頭部分が流される。
その後は「Come on Let’s Dance」「Time To Count Down」「Get Wild Decade Run」のPVが流れる。
それぞれTMブレイクにつながったFANKSを掲げた曲、TMNへのリニューアルを宣言した時の曲、「終了」後の再始動時に発表された曲であり、20年のTMの歴史におけるターニングポイントとなる3曲である。
ここまでの4曲は、TMの歴史をよく踏まえた選曲と言える。
続いて「Dive Into Your Body」「Come On Everybody」「All-Right All-Night」「Self Control」など、歴代のシングル曲のPVが流される。
歴史的な位置づけを意識したというよりは、勢いのある曲を並べた選曲だろう。
その後はまた時計の映像になり、「2004.4.21」の文字が映し出される。
この日TMがデビューから20年目を迎えたことを、ヴィジュアル的に表現した演出である。
スクリーンの映像は「NETWORK™」のロゴに変わり、ステージには「Screen of Life」のイントロが流れ出す。
暗かったステージ中央に赤い照明が灯される。
すでに中央の台の上には、メンバー3人と葛城哲哉の4人が直立して立っており、照明が当てられることで、表情もうっすらと見えるようになる。
記念すべき20周年ライブの始まりである。
4人はそれぞれの持ち場に移動し、演奏に入る。
「Screen of Life」のアレンジは、イントロの長い「Extended Mix」である。
全体的にキックが強調されている。
長いイントロや間奏の演奏は緊張感を漂わせ、これからどんなライブになるのかという期待も高める。
サビの「mind,pride,shame,cry,love,fight」の部分では、ウツが一言ごとに体を動かす特徴的なフリを披露した。
2曲目は「Rhythm Red Beat Black」。
再始動後初の演奏である。
葛城哲哉はTMN時代と同様、ギターとトーキングモジュレータを操る。
前の曲から引き続き赤と青を主体とした照明で、全体としては暗いステージだが、それも曲名や曲の雰囲気にマッチしている。
「It’s called “RED”」で照明が赤くなり、「It’s called “BLACK”」で暗くなる演出は、この時にも行なわれた。
この曲はTMN時代の演奏と比べると、リズムトラックが強調され、鍵盤パートの多くは削られたり目立たなくされている。
クラブ風に乗りやすい音作りを志したのだろう。
個人的に、この曲についてはこのアレンジは好きだ。
同様のアレンジの傾向は、本ライブの他の曲についても言える。
すべての曲がトランスアレンジになったわけではないが、ライブを通じて音に一定の統一性が図られている。
「Kiss You」。
ライブの定番曲ながら、前回「Tour Major Turn-Round」では外された曲である。
この曲も、特に歌に入ってからはリズムトラックが目立っており、その中でもAメロは前曲以上に緊張感が漂うアレンジである。
2番の後の間奏で入るウツの「I Kiss You for Happy Christmas」以下のセリフは、この時はなかった。
「Be Together」。
ここでようやく観客が飛び跳ねて暴れられる曲が登場する。
オリジナルのゆったりとしたイントロではなく、軽やかで勢いのあるイントロで始まるニューアレンジである。
ステージも明るい照明で照らされ、雰囲気を一新する。
ウツもイントロで客席を見渡す仕草をし、「Foo! Yeah! Everybody!」と煽る。
2番の間奏は葛城のエレキギターをメインに演奏され、その後テンポを落としたシンセパートが入る。
このアレンジは20周年のライブでのみ用いられたもので、観客はこの音に合わせて手を振った。
「Get Wild」。
やはりリズムトラックを強調したアレンジではあるが、この曲には非常に珍しいことに、それ以外の点ではオリジナルに準じて演奏された。
しばしば「Get Wild」はライブでオリジナルで聴く機会がないと言われるが、この日はそれが実現したのである。
なおこの後2007年の「TM NETWORK –REMASTER-」の最初の2公演(パシフィコ横浜)では、「Get Wild」をオリジナルで演奏するのが売りとして宣伝された。
(なんとも不思議なアピールだが)
ようやく盛り上がってきたところで、ウツが両手を大きく目の上にかざし、会場を見渡してMC
ウツ、歓声を聞くジェスチャーをしてMCを続ける
ここで始まったのが「10 Years After」である。
20周年記念ライブで演奏する曲として、「10 Years After」の曲名はふさわしいと考えられたのだろう。
この曲は「第3期」とのことだが、そもそもこれまでTMの活動が公式に3期に区分されたことはない。
おそらくTMN以前が1期、「終了」までが2期であり、3期は再始動後の活動を指すのだろう。
実は「10 Years After」は、1999年の「Yes To Life Festival」内のミニライブや、同年の日本テレビのスタジオライブで演奏されたことはあるが、フルライブでは一度も演奏されたことがない。
さらにいえばこの時とその後の「Double-Decade Tour」以後は、2022年現在で一度も演奏されたことがない。
つまりこの頃のライブが、この曲の唯一のフルライブでの演奏例となる。
その意味でこの曲は、かなり貴重な選曲だった。
なおこの曲はこの時までかなり影の薄い曲だったが、本年年末リリースのファン投票ベスト盤「Welcome to the Fanks!」では、再始動後の曲として唯一収録された。
ライブで演奏したことが影響したのだろう。
演奏はシンプルだが、安心感のあるものとなっている。
木根はこの曲で、ギターをアコースティックギターに持ち替えた。
また小室はここからこの後のバラード2曲まで、他の曲よりも比較的多く手弾きで演奏をした。
なお「10 Years After」のスタジオ音源では、小室のコーラスがかなり目立っているが、この時のライブではスタジオ音源のコーラスが流され、小室は歌わなかった。
(他の曲ではコーラスに参加しているのだが)
ウツ、「どうもありがとう」と言って曲を締める。
次の曲はおそらくこのライブで一番意外な選曲、「We Are Starting Over」である。
「10 Years After」と続けて「第3期」からの選曲ということなのだろうが、前のツアー「Tour Major Turn-Round」とかぶるところでもある。
ニューアルバムにも木根の曲は入っているのに、なぜあえてこの曲だったのだろうか。
横浜公演以前に木根が書いた「新・電気じかけの予言者たち」によれば、小室は横浜のセットリストを考える時に、再始動後の木根三部作から曲を選ぶことを一案として提示したという。
ここで言う「木根三部作」は、「We Are Starting Over」「君がいる朝」「風のない十字路」を指す。
実際にこれらが一連のものとして作られたことは、木根自身が語るところである。
私は当初一連の20周年ライブで、木根三部作を1曲ずつ演奏する計画があった可能性を考えている。
前章で述べたように、20周年ライブとしては横浜アリーナ公演に加え、全国ツアーと武道館公演の3種類が用意されていた。
その最初に当たる横浜アリーナで、三部作一作目の「We Are Starting Over」を選んだのは、全国ツアーで「君がいる朝」、武道館で「風のない十字路」を演奏するつもりだったからではないだろうか。
ただ実際にはツアーでは三部作の枠が削られてしまい、「君がいる朝」「風のない十字路」はTMのフルライブで一度も演奏されない曲になってしまった。
特に「風のない十字路」は、TMで演奏されたこと自体が現在まで一度もない。
「We Are Starting Over」アウトロは、小室のピアノ音色のシンセ手弾きで終わった。
次いでウツ、「どうもありがとう。えーじゃあこのへんで、懐かしい曲を」と、短いMC。
この紹介で始まったのは、小室の手弾きシンセのイントロで始まる「Telephone Line」である。
この曲では、小室の手弾きが特に目立つ。
プラネタリウム風の照明が降り注ぐ80年代以来の演出は、この時も行なわれた。
この曲は2000年「Log-on to 21st Century」や、2007年「TM NETWORK –REMASTER-」でも演奏されている。
この頃の木根バラでも特に頻繁に演奏された曲だが、木根が推していたのだろうか。
個人的に好きな曲ではあるのだが、貴重なバラード枠なのだから、もっといろんな曲を聞きたいと言う気持ちもあった。
次はアルバム版冒頭のセリフ付きの「1974」。
これもウツの言う「懐かしい曲」の一環だろう。
また20周年記念ライブということで、TMデビューのきっかけとなった記念曲を持ってきたこともあるのだと思う。
暗かったステージの照明も明るくされた。
また照明が暗くなり、トランス風のトラックが流れ出す。
木根はアコギをエレキギターに持ち直す。
イントロのフレーズからは何の曲かまったくわからないが。スクリーンには「Fanks The Live 3」から、「Camp Fanks!! ’89」のCAROL役、Parnilla Dahlstrandの映像が映し出される。
観客はここで「CAROL」関係の楽曲が演奏されることが分かっただろう。
Parnillaの映像には英語のメッセージがかぶせられている。
これは実際にParnillaから寄せられたTM20周年へのメッセージである。
ただDVDではスクリーンの遠景しか見えず、このメッセージを判読することはできない。
なぜこういうのを読めるように編集しないのだろうか…
ただしその全文は木根の「真・電気じかけの予言者たち」に引用されている。
以下、これを転載しておこう
木根によれば、これはEメールで送られた文面だという。
2004/3/15という日付は、3人がライブの準備に入っていた時だが、おそらくライブの企画としてPernillaに連絡を取り、メッセージを送ってもらったのだろう。
イントロの間、ウツの背後のモニターに電源が入り、ウツは観客に背中を向けてこのモニターを操作する。
これは大型のタッチパネルで、希望のエフェクトをウツが選んでスクリーンに映すことができた。
冒頭からしばらくはリズムトラックだけが流れ続けたが、やがてオリジナルの「Just One Victory」イントロのフレーズが入り、スクリーンには「Just One Victory」のPVが映し出された。
ここで観客は、ようやくこの曲が何なのか理解できた。
一瞬だけのオリジナルフレーズの後は、またオリジナルの痕跡が皆無のイントロが続く。
オリジナル版はミディアムテンポの曲だが、このアレンジでは歌に入っても勢いのあるドラムが続き、原曲とはかなりかけ離れた雰囲気となっている。
この大胆なアレンジは、好き嫌いを措けば、このライブ最大の目玉である。
Aメロ後半ではドラムの音が消える(Bメロでは復活)。
曲のペースは変わらないが、音数が減ったことでウツの歌に耳が行く構成である。
一曲の中で音を増減し雰囲気を変えるのは、「Take it to the lucky」でも取られた手法である。
サビではさらに音数が減らされてバラード的なアレンジにされるため、通常のTMライブのようにサビで手を振ろうとするとかなりやりづらい(会場で多くのファンが戸惑い気味にやっていた)。
小室はそういう伝統的なライブのノリを崩したかったのかもしれない。
この曲では、なぜか歌詞も変えられている。
「男たちの熱いレース」が「男たちの熱いプライド」になっているのである。
この変更の理由が何なのかはいまだに分からないが、1999年の「Get Wild Decade Run」や、2001年のウツソロ「Runnning To Horizon」でも、同様の試みが行なわれている。
また2番の後の「たった一つ君のVictory」以下の部分は、歌の符割りがまったく変わっている。
曲の聞かせどころの符割りを変更するのは、翌年小室が玉置成美に提供した「Get Wild」のリミックスでも行なわれている。
ついで「Time To Count Down (Labo Mix)」。
この曲の間ウツは一時退場し、小室・木根・葛城での演奏となる。
ウツは曲の終盤で着替えて再登場する。
基本的にアルバムと同じアレンジでの演奏だが、ウツの歌は少し長くなっており、サビの全体を歌った。
最後は「Time To Count Down」と歌って曲を終える。
ウツMC
代表曲「Self Control」の前振りのMCだが、これは同月イラクで武装勢力によって、日本人のボランティアやジャーナリストが拉致された時、閣僚や官庁関係者より「自己責任」との発言が相次ぎ、これがメディアで頻繁に取り上げられたことを踏まえている。
もちろんウツのMCは深い考えがあってのものではなく、流行りの言葉を曲名にひっかけただけのものである。
「Self Control」は「Fanks Cry-Max」以来の定番のイントロから始まった。
キックが強調されている以外は、基本的にオリジナルに準じたポップな演奏である。
ライブ中でもっとも強烈な2曲の後にこの曲が来ることで、トランスの流れが断ち切られてしまった印象を受ける。
この後にトランスアレンジの2曲が来ることを考えればなおさらである。
あるいはライブの最後をトランスだけで締めることに不安があったのかもしれない。
明るい照明が再び暗くなり、「Love Train (Extended Mix)」が始まり、「Take it to the lucky (Album Mix)」へとつながる。
この2曲は基本的にCD通りの演奏である。
20周年ライブの「Take it to the lucky」は、この後も一貫してアルバムバージョンで演奏され、シングルアレンジでは演奏されなかった。
曲の最後、ウツが両手を左右に広げて、「Take it to the lucky」と歌い上げて「フー!」と声を上げると、ウツ・木根・葛城は客席に手を振って続けて退場した。
小室のみはシンセブースに残り、シンセの演奏を今少し続けた。
ここはCDのアウトロとは異なっており、資料によっては小室のシンセソロとして扱われている。
小室は演奏を終えると、客席に向かって「どうもありがとう」と言って退場した。
これにてライブ本編は終わりである。
本編最後の2曲はライブの中心となるべき部分だっただろう。
実際にライブ向けに作られたトラックだと思う。
しかし当日は本編が終わると、「もう終わり?」という空気が強かった。
会場にいた私も、ようやく体も温まってきたところと感じており、あと2~3曲は来ると思っていたところである。
記念ライブにしては、演奏時間が短すぎたように思う。
スクリーンに「NETWORK™」のロゴが浮かぶ中で、手拍子などしながらアンコールを要求する観客たち。
5分ほどすると4人は着替えて再登場する。
木根はアコギである。
ステージが真っ暗になり、演奏が始まる。
アンコール曲は「Nights of the Knife」。
ここでこの曲か!と思うが、実は前年の「Fan Event in Naeba」でも1曲目で演奏している。
「Fan Event in Naeba」の記事でも言及したが、この曲は「終了」の曲としてではなく、ポジティブな「新しい始まり」の歌として歌っているものと思われる。
TMN「終了」の曲であるとともに10周年の曲でもあり、この時歌うにふさわしいと考えられたのだと思う。
またTM3人+葛城という編成も、この曲のレコーディング時のメンバーである。
なおこの曲が2014年の30周年ツアー「Quit30」の初日公演で演奏されたのも、10周年記念の曲という理由によるものと考えられるが、この時には会場の雰囲気が重くなってしまったため、同ツアーでは以後セットリストから外されることとなった。
照明が明るくなり、ウツのMC
この「武道館ファイナル」とは、6/24・25の「Double-Decade Tour Final in NIPPON BUDOKAN」のことで、この日横浜アリーナの会場で配布されたチラシで開催が発表された。
この告知をライブ最後に行なったわけである。
アンコール最後は「Easy Listening」から新曲「Presence」。
小室もしっかりと手弾きで演奏しているし、木根のアコギもしっかり聴こえる。
TMの「演奏」をじっくりと味わうことができる。
ウツの歌も生き生きとしている。
実は私はCDではこの曲はあまり気に入っていなかったのだが、ライブで聴いて良い曲と感じ、好きになった。

間奏中
演奏が終わると、ウツは頭を下げ、また頭を上げて、客席に向けて「みんなどうもありがとう!」と告げる。
4人はステージ真ん中に集合し、客席に手を振る。
この時ウツと葛城は、かつての「Rhythm Red Beat Black」のダンスを一瞬再現している。
最後は「Screen of Life」のインストをBGMに、4人でファンに手を振りながらステージを左右に歩き回る。
ライブ中は動きが少なかった小室だが、この時だけはやたらとよく動いている。
以上が終わるとメンバーは退場し、ライブは完全に終わりを告げた
しかし考えてみるとこのライブ、メンバーがステージ中央から全然動いておらず、横浜アリーナの広さを生かしていない。
クールなトランスのライブを目指したためだろうか。
![TM NETWORK DOUBLE-DECADE TOUR“NET WORK” [DVD]](https://blog.seesaa.jp/img/loading.svg)
TM NETWORK DOUBLE-DECADE TOUR“NET WORK” [DVD]
今回の横浜アリーナライブなんて2回に分けているから、この1日のライブの記事だけで4カ月ですね…すみません。
とりあえず近況をまとめておきます。
まずウツの「Dragon The Carnival」が11/10を以て終わりました。
ところがファイナルの日になって、来年2/6・7の追加公演が発表されました。
会場は中野サンプラザです。
結構評判良かったんでしょうか。
すでにFC受付は終わっていますが、おそらく会場規模から考えて一般でも取れると思うので、関心のある方はどうぞご参加ください。
木根さんは12/1にFMかつしか「優峰のエポック」に出演しました。
12/14・15には「ニューロマンティックシアター」を開催し、12/30には「Nobuyuki Shimizu Presents 木根尚登×鳥山雄司×清水信之」に出演します。
え、この組み合わせ、好きな人にはたまんなくないですか?
来年にはまた佐藤竹善さんとのコラボライブ「My Favorite Songs」を開催します。
2/6から3/12まで4公演です。
以上はいずれもチケット発売中です。
木根さんは現在、ライブ会場で販売しているシングル「R1」に収録される「君が生まれた日」のMVを制作しているそうです。
11月末日で募集は締め切られましたが、自分や家族・友人などの0歳の時の写真を、webで募集していました。
MVは後日youtubeで公開されるそうです。
TMベスト盤投票企画、11/15に公式サイトで第1回中間発表がありました。
上位30曲が発表されているので、CDには30曲が収録されるのでしょうか。
選ばれた曲を見た感想は、2004年の「Welcome to the Fanks!」の時の投票結果と比べて、ほとんど変わらないということです。
上位20曲について、2004年に選曲対象外だった「I am」「Get Wild '89」を除く18曲中12曲は、2004年盤にも入っています。
また今回の上位30曲には、2004年の上位20曲中16曲が入っています。
今回の10位内に絞って見ると、2004年に入らなかった曲は、「I am」「Nights of the Knife」だけです。
2004年には「Nights of the Knife」はツアーで演奏したのに選ばれませんでしたが、30周年ライブでは1会場以外演奏しなかったのに今回は10位にランクインです。
2004年にはまだファンの間に拒否感が強かったのでしょうか。
逆に2004年にライブ効果で選ばれたと思しき「10 Years After」は、今回は姿を消しました。
ROJAM期以後の曲は、20位内では9位の「I am」だけでした。
(28位には「Message」もランクイン)
結局こんな風になるんですね。
ボーナスディスクとか付けて再始動以後の楽曲を救済しないと、2004年盤の微調整くらいのものになっちゃいそうです。
とりあえず今月中にもう一回中間発表があるみたいです。
投票は12/31まで行なっています。
11/29には「シティーハンター THE MOVIE 」が公開されました。
「Get Wild」のオリジナルも使われているそうです。
また来週には、アニメ映画「ぼくらの7日間戦争」が公開されます。
こちらには「Seven Days War」のインストが使われるとの話です。
ホント今年はTMのコラボが目白押しでした。
いえ、肝心の本体がまったく動けなかったんですけどね…
そんな中で最後のリリース情報になるでしょうか。
「Beyond The Time」「Seven Days War」のアナログシングルレコードと、サウンドトラック「Seven Days War」のBSCD2盤が、12/4にリリースされました。
アナログ盤は2年前の「Get Wild」と合わせて3枚ということになります。
これは完全にコレクターズアイテムですが、今はCDよりもレコードの方が売れたりするそうなので、案外今後はこういう商品が出たりするのかもしれません。
なお「Beyond The Time」は1988年のリリース当時、CD盤はカットアウト、レコード盤はより短いフェイドアウトになっていました。
その後1996年の「Time Capsule」を除き、歴代ベスト盤はことごとくレコード盤に準拠してきたのですが、今回はなぜかレコード盤なのにカットアウトという謎の事態になっているそうです。
うーーん、もう何がなにやら。
いや、良いことなんですけども。
サントラ盤は私も大好きな作品なのに絶版だったので、復刻はうれしい限りです。
(「TETSUYA KOMURO ARCHIVES PROFESSIONAL PRODUCTS」に入れたやつを単品リリースしただけですけども)
今回のアニメ映画をきっかけに、30年前の実写映画にも関心を持った方が、小室さんの音楽を聴くきっかけになればうれしいです。
では本題に入ります。
上で触れた「10 Years After」や「Nights of the Knife」も登場します。
----------------
開演を告げるベルが鳴ると、ステージ上の赤い照明が静かに明かりを灯す。
まだ誰も現れていないステージの背後の大きな3枚のスクリーンには、ツアーのロゴマークである三本傘のマークが映し出されている。
スクリーンの映像は時計に変わる。
時計が時間を遡ってTM NETWORKのデビュー日「1984.4.21」の日付を表示すると、TMの始まりであるデビューシングル「金曜日のライオン」PVの冒頭部分が流される。
その後は「Come on Let’s Dance」「Time To Count Down」「Get Wild Decade Run」のPVが流れる。
それぞれTMブレイクにつながったFANKSを掲げた曲、TMNへのリニューアルを宣言した時の曲、「終了」後の再始動時に発表された曲であり、20年のTMの歴史におけるターニングポイントとなる3曲である。
ここまでの4曲は、TMの歴史をよく踏まえた選曲と言える。
続いて「Dive Into Your Body」「Come On Everybody」「All-Right All-Night」「Self Control」など、歴代のシングル曲のPVが流される。
歴史的な位置づけを意識したというよりは、勢いのある曲を並べた選曲だろう。
その後はまた時計の映像になり、「2004.4.21」の文字が映し出される。
この日TMがデビューから20年目を迎えたことを、ヴィジュアル的に表現した演出である。
スクリーンの映像は「NETWORK™」のロゴに変わり、ステージには「Screen of Life」のイントロが流れ出す。
暗かったステージ中央に赤い照明が灯される。
すでに中央の台の上には、メンバー3人と葛城哲哉の4人が直立して立っており、照明が当てられることで、表情もうっすらと見えるようになる。
記念すべき20周年ライブの始まりである。
4人はそれぞれの持ち場に移動し、演奏に入る。
「Screen of Life」のアレンジは、イントロの長い「Extended Mix」である。
全体的にキックが強調されている。
長いイントロや間奏の演奏は緊張感を漂わせ、これからどんなライブになるのかという期待も高める。
サビの「mind,pride,shame,cry,love,fight」の部分では、ウツが一言ごとに体を動かす特徴的なフリを披露した。
2曲目は「Rhythm Red Beat Black」。
再始動後初の演奏である。
葛城哲哉はTMN時代と同様、ギターとトーキングモジュレータを操る。
前の曲から引き続き赤と青を主体とした照明で、全体としては暗いステージだが、それも曲名や曲の雰囲気にマッチしている。
「It’s called “RED”」で照明が赤くなり、「It’s called “BLACK”」で暗くなる演出は、この時にも行なわれた。
この曲はTMN時代の演奏と比べると、リズムトラックが強調され、鍵盤パートの多くは削られたり目立たなくされている。
クラブ風に乗りやすい音作りを志したのだろう。
個人的に、この曲についてはこのアレンジは好きだ。
同様のアレンジの傾向は、本ライブの他の曲についても言える。
すべての曲がトランスアレンジになったわけではないが、ライブを通じて音に一定の統一性が図られている。
「Kiss You」。
ライブの定番曲ながら、前回「Tour Major Turn-Round」では外された曲である。
この曲も、特に歌に入ってからはリズムトラックが目立っており、その中でもAメロは前曲以上に緊張感が漂うアレンジである。
2番の後の間奏で入るウツの「I Kiss You for Happy Christmas」以下のセリフは、この時はなかった。
「Be Together」。
ここでようやく観客が飛び跳ねて暴れられる曲が登場する。
オリジナルのゆったりとしたイントロではなく、軽やかで勢いのあるイントロで始まるニューアレンジである。
ステージも明るい照明で照らされ、雰囲気を一新する。
ウツもイントロで客席を見渡す仕草をし、「Foo! Yeah! Everybody!」と煽る。
2番の間奏は葛城のエレキギターをメインに演奏され、その後テンポを落としたシンセパートが入る。
このアレンジは20周年のライブでのみ用いられたもので、観客はこの音に合わせて手を振った。
「Get Wild」。
やはりリズムトラックを強調したアレンジではあるが、この曲には非常に珍しいことに、それ以外の点ではオリジナルに準じて演奏された。
しばしば「Get Wild」はライブでオリジナルで聴く機会がないと言われるが、この日はそれが実現したのである。
なおこの後2007年の「TM NETWORK –REMASTER-」の最初の2公演(パシフィコ横浜)では、「Get Wild」をオリジナルで演奏するのが売りとして宣伝された。
(なんとも不思議なアピールだが)
ようやく盛り上がってきたところで、ウツが両手を大きく目の上にかざし、会場を見渡してMC
どうもこんばんはー! Yeah!
えー、今日はもう間違いなく、20周年です!
ウツ、歓声を聞くジェスチャーをしてMCを続ける
ありがとうございます。えー今夜はですね、もうそうですね、あの、堅苦しい感じじゃなく、できるだけお祭りな感じで! もうどんどんどんどん、もう飲め…飲めないか、飲めや歌えやの、その歌えやの方か、あと踊れやか、そんな感じで最後まで、思いっきり、楽しんでいって下さい。(歓声)えー次の曲はですね。第3期TM NETWORKの作品です。
ここで始まったのが「10 Years After」である。
20周年記念ライブで演奏する曲として、「10 Years After」の曲名はふさわしいと考えられたのだろう。
この曲は「第3期」とのことだが、そもそもこれまでTMの活動が公式に3期に区分されたことはない。
おそらくTMN以前が1期、「終了」までが2期であり、3期は再始動後の活動を指すのだろう。
実は「10 Years After」は、1999年の「Yes To Life Festival」内のミニライブや、同年の日本テレビのスタジオライブで演奏されたことはあるが、フルライブでは一度も演奏されたことがない。
さらにいえばこの時とその後の「Double-Decade Tour」以後は、2022年現在で一度も演奏されたことがない。
つまりこの頃のライブが、この曲の唯一のフルライブでの演奏例となる。
その意味でこの曲は、かなり貴重な選曲だった。
なおこの曲はこの時までかなり影の薄い曲だったが、本年年末リリースのファン投票ベスト盤「Welcome to the Fanks!」では、再始動後の曲として唯一収録された。
ライブで演奏したことが影響したのだろう。
演奏はシンプルだが、安心感のあるものとなっている。
木根はこの曲で、ギターをアコースティックギターに持ち替えた。
また小室はここからこの後のバラード2曲まで、他の曲よりも比較的多く手弾きで演奏をした。
なお「10 Years After」のスタジオ音源では、小室のコーラスがかなり目立っているが、この時のライブではスタジオ音源のコーラスが流され、小室は歌わなかった。
(他の曲ではコーラスに参加しているのだが)
ウツ、「どうもありがとう」と言って曲を締める。
次の曲はおそらくこのライブで一番意外な選曲、「We Are Starting Over」である。
「10 Years After」と続けて「第3期」からの選曲ということなのだろうが、前のツアー「Tour Major Turn-Round」とかぶるところでもある。
ニューアルバムにも木根の曲は入っているのに、なぜあえてこの曲だったのだろうか。
横浜公演以前に木根が書いた「新・電気じかけの予言者たち」によれば、小室は横浜のセットリストを考える時に、再始動後の木根三部作から曲を選ぶことを一案として提示したという。
ここで言う「木根三部作」は、「We Are Starting Over」「君がいる朝」「風のない十字路」を指す。
実際にこれらが一連のものとして作られたことは、木根自身が語るところである。
私は当初一連の20周年ライブで、木根三部作を1曲ずつ演奏する計画があった可能性を考えている。
前章で述べたように、20周年ライブとしては横浜アリーナ公演に加え、全国ツアーと武道館公演の3種類が用意されていた。
その最初に当たる横浜アリーナで、三部作一作目の「We Are Starting Over」を選んだのは、全国ツアーで「君がいる朝」、武道館で「風のない十字路」を演奏するつもりだったからではないだろうか。
ただ実際にはツアーでは三部作の枠が削られてしまい、「君がいる朝」「風のない十字路」はTMのフルライブで一度も演奏されない曲になってしまった。
特に「風のない十字路」は、TMで演奏されたこと自体が現在まで一度もない。
「We Are Starting Over」アウトロは、小室のピアノ音色のシンセ手弾きで終わった。
次いでウツ、「どうもありがとう。えーじゃあこのへんで、懐かしい曲を」と、短いMC。
この紹介で始まったのは、小室の手弾きシンセのイントロで始まる「Telephone Line」である。
この曲では、小室の手弾きが特に目立つ。
プラネタリウム風の照明が降り注ぐ80年代以来の演出は、この時も行なわれた。
この曲は2000年「Log-on to 21st Century」や、2007年「TM NETWORK –REMASTER-」でも演奏されている。
この頃の木根バラでも特に頻繁に演奏された曲だが、木根が推していたのだろうか。
個人的に好きな曲ではあるのだが、貴重なバラード枠なのだから、もっといろんな曲を聞きたいと言う気持ちもあった。
次はアルバム版冒頭のセリフ付きの「1974」。
これもウツの言う「懐かしい曲」の一環だろう。
また20周年記念ライブということで、TMデビューのきっかけとなった記念曲を持ってきたこともあるのだと思う。
暗かったステージの照明も明るくされた。
また照明が暗くなり、トランス風のトラックが流れ出す。
木根はアコギをエレキギターに持ち直す。
イントロのフレーズからは何の曲かまったくわからないが。スクリーンには「Fanks The Live 3」から、「Camp Fanks!! ’89」のCAROL役、Parnilla Dahlstrandの映像が映し出される。
観客はここで「CAROL」関係の楽曲が演奏されることが分かっただろう。
Parnillaの映像には英語のメッセージがかぶせられている。
これは実際にParnillaから寄せられたTM20周年へのメッセージである。
ただDVDではスクリーンの遠景しか見えず、このメッセージを判読することはできない。
なぜこういうのを読めるように編集しないのだろうか…
ただしその全文は木根の「真・電気じかけの予言者たち」に引用されている。
以下、これを転載しておこう
March 15, 2004
To all TM NETWORK members,
Dear Tetsuya, Utsunomiya and Kine,
Congratulations to the Twentieth Anniversary Concert,
It’s great to hear that you all still have the spirit and are performing together.
I wish you the best of luck on your concert and hope that all your fans will join you in this celebration.
My stay in Japan in 1988 was an important and inspirational part of my career and my remembrance of Carol is like a fairy tale.
To freshen up your memory I am including a short list of my career since 1989.
木根によれば、これはEメールで送られた文面だという。
2004/3/15という日付は、3人がライブの準備に入っていた時だが、おそらくライブの企画としてPernillaに連絡を取り、メッセージを送ってもらったのだろう。
イントロの間、ウツの背後のモニターに電源が入り、ウツは観客に背中を向けてこのモニターを操作する。
これは大型のタッチパネルで、希望のエフェクトをウツが選んでスクリーンに映すことができた。
冒頭からしばらくはリズムトラックだけが流れ続けたが、やがてオリジナルの「Just One Victory」イントロのフレーズが入り、スクリーンには「Just One Victory」のPVが映し出された。
ここで観客は、ようやくこの曲が何なのか理解できた。
一瞬だけのオリジナルフレーズの後は、またオリジナルの痕跡が皆無のイントロが続く。
オリジナル版はミディアムテンポの曲だが、このアレンジでは歌に入っても勢いのあるドラムが続き、原曲とはかなりかけ離れた雰囲気となっている。
この大胆なアレンジは、好き嫌いを措けば、このライブ最大の目玉である。
Aメロ後半ではドラムの音が消える(Bメロでは復活)。
曲のペースは変わらないが、音数が減ったことでウツの歌に耳が行く構成である。
一曲の中で音を増減し雰囲気を変えるのは、「Take it to the lucky」でも取られた手法である。
サビではさらに音数が減らされてバラード的なアレンジにされるため、通常のTMライブのようにサビで手を振ろうとするとかなりやりづらい(会場で多くのファンが戸惑い気味にやっていた)。
小室はそういう伝統的なライブのノリを崩したかったのかもしれない。
この曲では、なぜか歌詞も変えられている。
「男たちの熱いレース」が「男たちの熱いプライド」になっているのである。
この変更の理由が何なのかはいまだに分からないが、1999年の「Get Wild Decade Run」や、2001年のウツソロ「Runnning To Horizon」でも、同様の試みが行なわれている。
また2番の後の「たった一つ君のVictory」以下の部分は、歌の符割りがまったく変わっている。
曲の聞かせどころの符割りを変更するのは、翌年小室が玉置成美に提供した「Get Wild」のリミックスでも行なわれている。
ついで「Time To Count Down (Labo Mix)」。
この曲の間ウツは一時退場し、小室・木根・葛城での演奏となる。
ウツは曲の終盤で着替えて再登場する。
基本的にアルバムと同じアレンジでの演奏だが、ウツの歌は少し長くなっており、サビの全体を歌った。
最後は「Time To Count Down」と歌って曲を終える。
ウツMC
どうもありがとう! えー僕たちはですね何年も前から、「自己責任」「自己管理」という言葉を言っていましたね。早すぎたのかもしれないし。聞いてください。
代表曲「Self Control」の前振りのMCだが、これは同月イラクで武装勢力によって、日本人のボランティアやジャーナリストが拉致された時、閣僚や官庁関係者より「自己責任」との発言が相次ぎ、これがメディアで頻繁に取り上げられたことを踏まえている。
もちろんウツのMCは深い考えがあってのものではなく、流行りの言葉を曲名にひっかけただけのものである。
「Self Control」は「Fanks Cry-Max」以来の定番のイントロから始まった。
キックが強調されている以外は、基本的にオリジナルに準じたポップな演奏である。
ライブ中でもっとも強烈な2曲の後にこの曲が来ることで、トランスの流れが断ち切られてしまった印象を受ける。
この後にトランスアレンジの2曲が来ることを考えればなおさらである。
あるいはライブの最後をトランスだけで締めることに不安があったのかもしれない。
明るい照明が再び暗くなり、「Love Train (Extended Mix)」が始まり、「Take it to the lucky (Album Mix)」へとつながる。
この2曲は基本的にCD通りの演奏である。
20周年ライブの「Take it to the lucky」は、この後も一貫してアルバムバージョンで演奏され、シングルアレンジでは演奏されなかった。
曲の最後、ウツが両手を左右に広げて、「Take it to the lucky」と歌い上げて「フー!」と声を上げると、ウツ・木根・葛城は客席に手を振って続けて退場した。
小室のみはシンセブースに残り、シンセの演奏を今少し続けた。
ここはCDのアウトロとは異なっており、資料によっては小室のシンセソロとして扱われている。
小室は演奏を終えると、客席に向かって「どうもありがとう」と言って退場した。
これにてライブ本編は終わりである。
本編最後の2曲はライブの中心となるべき部分だっただろう。
実際にライブ向けに作られたトラックだと思う。
しかし当日は本編が終わると、「もう終わり?」という空気が強かった。
会場にいた私も、ようやく体も温まってきたところと感じており、あと2~3曲は来ると思っていたところである。
記念ライブにしては、演奏時間が短すぎたように思う。
スクリーンに「NETWORK™」のロゴが浮かぶ中で、手拍子などしながらアンコールを要求する観客たち。
5分ほどすると4人は着替えて再登場する。
木根はアコギである。
ステージが真っ暗になり、演奏が始まる。
アンコール曲は「Nights of the Knife」。
ここでこの曲か!と思うが、実は前年の「Fan Event in Naeba」でも1曲目で演奏している。
「Fan Event in Naeba」の記事でも言及したが、この曲は「終了」の曲としてではなく、ポジティブな「新しい始まり」の歌として歌っているものと思われる。
TMN「終了」の曲であるとともに10周年の曲でもあり、この時歌うにふさわしいと考えられたのだと思う。
またTM3人+葛城という編成も、この曲のレコーディング時のメンバーである。
なおこの曲が2014年の30周年ツアー「Quit30」の初日公演で演奏されたのも、10周年記念の曲という理由によるものと考えられるが、この時には会場の雰囲気が重くなってしまったため、同ツアーでは以後セットリストから外されることとなった。
照明が明るくなり、ウツのMC
みんなどうもありがとう! Yeah!
えー6月に、武道館ファイナルも決まりました! えーまたそこではですね、スペシャル的な企画も、「考えて」います。えーまだ「考えて」いる段階なんですが(苦笑)、皆さん楽しみにして下さい。
この「武道館ファイナル」とは、6/24・25の「Double-Decade Tour Final in NIPPON BUDOKAN」のことで、この日横浜アリーナの会場で配布されたチラシで開催が発表された。
この告知をライブ最後に行なったわけである。
アンコール最後は「Easy Listening」から新曲「Presence」。
小室もしっかりと手弾きで演奏しているし、木根のアコギもしっかり聴こえる。
TMの「演奏」をじっくりと味わうことができる。
ウツの歌も生き生きとしている。
実は私はCDではこの曲はあまり気に入っていなかったのだが、ライブで聴いて良い曲と感じ、好きになった。

間奏中
演奏が終わると、ウツは頭を下げ、また頭を上げて、客席に向けて「みんなどうもありがとう!」と告げる。
4人はステージ真ん中に集合し、客席に手を振る。
この時ウツと葛城は、かつての「Rhythm Red Beat Black」のダンスを一瞬再現している。
最後は「Screen of Life」のインストをBGMに、4人でファンに手を振りながらステージを左右に歩き回る。
ライブ中は動きが少なかった小室だが、この時だけはやたらとよく動いている。
以上が終わるとメンバーは退場し、ライブは完全に終わりを告げた
しかし考えてみるとこのライブ、メンバーがステージ中央から全然動いておらず、横浜アリーナの広さを生かしていない。
クールなトランスのライブを目指したためだろうか。
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TM NETWORK DOUBLE-DECADE TOUR“NET WORK” [DVD]
この記事へのコメント
「男たちの熱いレース」はモータースポーツ趣味で
「男たちの熱いプライド」はフットボールシーンに影響されたのかなぁと当時感じました
GREEN DAYSに繋がりますね
20周年の横アリは初めて参加したTMのライブでした。今までDVDやCDでしか聴けなかった曲の数々を生で聴ける日が来るとは思ってなかったので、ライブ中はひたすら感動してました。特にTelephone Lineはウツのボーカルがとても印象的だったのを今でもよく覚えています。10 years afterやwe are starting overといった再始動後の曲が選曲されてたのも嬉しかったです。
ただその後の武道館ファイナルと比べると、ライブとしては物足りなさを感じますね。
おっしゃる通り、横アリという広い会場をもう少し活かして欲しかったと思います。
「TMでトランス」「念願の、バンド形式じゃないライブ」という点にはすごく賛成なのですが、DVDを見る限り、攻めきれなかったライブという印象を受けました。
globeのトランスライブではしっかり攻めて、原形を留めないほどアレンジできている曲も多々ありました。
しかしTMでは、客層の違いや、再始動後からの「昔からのファン」との齟齬のせいか、または前回までのブログにもあったとおり小室さんにゆとりがなかったせいか、なんだか中途半端な感じがします。
色々な難点があるのでしょうが、ぼくは「ライブなのにEasy Listening風にした」ように感じられ、DVDを見ていても気持ちが盛り上がってきませんでした。
聞き流してしまうというか、響いてこないというか。
このDVDを友人に貸したら、「Disc2こそTMだよな!」と言われてしまい、「違うのになあ……」と悲しくなったものでした。
以前にも書き込みましたが、この日NaebaのDVDを購入するために早くから会場に行き、左ヒザの痛みに耐えながら2時間並びました。ライブ本番ではキツくなったら指定席に座ればいいや、と思っていたからか痛みは気になりませんでした。
記事にもあったように、ライブ自体は「キックの音が大き過ぎるな」とか「えっ、もう終わり?」と私も感じました。
…でも、自分にとってはホントに夢のような時間だったなぁ。
小6だった86年秋に偶然耳にした「All-Right All-Night」に衝撃を受け、TMの虜になってから17年半、ようやくメンバー三人が揃って演奏する姿を生で見ることが出来たのだから。
しかもその17年半の間には大々的に終了したし、5年後再始動したもののメンバーそれぞれの立場を考えると、Epic所属期のようにTMとして毎年コンスタントに活動することは難しいだろうなとずっと感じていました。
それだけにこの日、島根県の山の中で過ごした子供の時から憧れてきたTM NETWORKを実際に見れたことは本当に感無量でした。メンバーが亡くなったとかメンバー間の確執があって今は共演が難しいバンドもあることを思うと、自分は恵まれているのかもしれません。
横浜アリーナは初めてTMのライブを見た会場ということで自分にとっては思い入れのある場所です。今のところTMを最後に見た場所でもあるけれど、これは将来変わってほしいところです。
次回の記事はDDホールツアーでしょうか。楽しみにしています。
「プライド」てフットボールでよく使うんですか?
私そこらへんまったく関心がなくて…
でも小室さん、この頃から「プライド」て変な使い方してますよね。裁判判決後のコメントとか。
>AKAさん
CDシングル盤のリマスター音源が改めて作られたのも意味があったのかもしれません。
この曲は今後もいろんなところで使われるでしょうから。
結構ちゃんと保存されているもんですね。
>エドさん
歌唱法もあるんでしょうが、TM再始動後のウツはバラードをとてもきれいに歌うようになりますね。
あと私はあまり興味なかったWe Are~が好きになりました。
物足りなさを感じたのは、20周年記念ライブと銘打っていたせいで、ファンの期待値が上がっていたこともあるんだと思います。
>ジルラココさん
ボーカル的にも形態的にも、globeの方がトランスはやりやすかったとは思います。
またglobeほど徹底的なトランスにならなかったのは、記念ライブという性格と、ウツ木根への配慮もあったのかと(globeはほぼ小室さんの独断で決められますし)。
あと記念ライブということで、ラスグルみたいなのを期待したファンが多かったんじゃないでしょうか。
その意味で宣伝ミスもあったと思います、そもそも宣伝するほど活動していなかったですが。
>haruさん
こちら思い出のライブだったんですね。
オープニングなんて、わくわくし通しだったんじゃないでしょうか。
全国ツアーにいけば思い出のAll-Right聴けたんですけど、行きました?
まぁ、今でもDVDでその様子が何度でも見れる、というのもありますが…。
今振り返ると、17年半かかってやっと生でTMを見ることが出来た、という喜びしかなかったので「あの曲をやって欲しかったなぁ」とか思う余裕は全くありませんでした。十代の頃からCDで聴き続けてきた数々の楽曲をDD仕様とはいえ生で聴けたこと、それだけで幸せでした。
その後行われたホールツアー、私は広島公演に行きました。ただ残念ながらパッケージ化されていないので、新たな記事を読んで当時のこと思い出してまた書き込みたいと思います。
20周年の後は必ずしもテンションが上がる内容にはならないかもしれませんが、2020年もこのブログの更新を楽しみにしています。
今年は春までは20周年話が続くと思うので、そこまではテンションを保っていこうと思います。その後は…まあ読者は減りそうですね(笑)