7-28 Spin Off from TM①
6/11に急な告知がありました。
同日25:00~26:00、TOKYO FMほか全国FM各局で放送されている「TOKYO SPEAKEASY」に、小室さんと古市憲寿さんが生出演することが発表されたのです。
小室さんのメディア生出演は、実に2018/2/6にPandoraとして出演した「うたコン」以来、2年4ヶ月ぶりとなります(生収録でなければ2018/2/25「ラストアイドル2nd season」以来)。
いったいどういうこと?どんなテンションなんだろう?と思って聞いてみたら、古市さんの誘導が良かったのもあるのでしょうが、小室さんはものすごい饒舌に、いろんなことをペラペラしゃべってくれました。
先日の「Dragon The Carnival」のBlu-rayの映像でも感じましたが、そろそろ表に出てきたがっているんでしょうか。
なお番組twitterには、スタジオの写真がアップされています。
小室さんは2018年の引退の後、聴覚障害もあり、しばらく音楽には関わっていなかったそうなのですが、小説や脚本は書いていたそうです。
そういや、TM30周年後に次の小説の構想もあるとか言ってましたね。
渋谷のハロウィンに現れたテロリストを、ロボットになった109ビルがやっつけるという奇想天外な話らしいんですが、やはり何もせずにいることはできない方なんだなあと思います。
2019年秋頃からは、ピアノで建築に音楽を付けたりすることを始めたとのことです。
2016年のオーストリア・リンツの「ARS ELECTRONICA FESTIVAL」出演以来、アート関係の方との付き合いが広がり、その延長でやっていたそうです。
TM30周年の後、小室さんが関心を示したのがリンツでのインスタレーションでしたが、これがまだ続いていたんですね。
ちなみに小室さんによれば、年末の松浦さんとの衝突は、作曲の依頼を断ったためだったそうです(それ「だけ」なのかは別にして)。
その時点で小室さんは作曲をやる気はなかったようですが、今年になってやる気になってきたとのこと。
そうした中で秋元康さんから曲を作ってみるように言われ、3曲ほどレコーディングもしました(結局秋元さんからダメ出しされたらしいですが)。
時期はコロナが大変になる前の頃というので、今年の2~3月頃のことでしょう。
これと同じ頃には松浦勝人さんからスタジオに遊びに行こうと誘われ、そこでシンセを弾くこともあったそうです。
松浦さんは小室さんと一緒に2/23にクラブに遊びに行っているので、この前後のことかもしれません。
秋元さんや松浦さんが、小室さんの音楽活動再開のきっかけを与えようとしていることがうかがえます。
そもそも小室さんが今回出演したのは、番組のプロデューサーの秋元康さんから勧められたためなのだそうです。
番組の最後には、「もう復帰しましょうよ」という秋元さんのメッセージも読み上げられました。
小室さんが今注目しているのはオンライン上の音楽鑑賞で、今のコロナ騒動の中で急激に進んだと言っていました。
もしも30歳若ければ自分もオンラインのアーティストとして活動していたと言っており、表面的にはもう遅いみたいな言い方をするんですが、自分にはオンラインのヒット曲がまだないから1曲作りたいとも言っていて、明らかに復帰の志向を示しています。
古市さんから「完全にそれ復帰宣言じゃないですか」と突っ込まれて、否定しながら「練習してみているだけなんで」とか言っています。
練習てのは秋元さんに言われて3曲作ったことを言っているんでしょうけど、復帰するつもりがないのに何の練習なんですか、先生?(笑)
ただ優しい古市さんは小室さんが答えやすいようにいたわりつつ、「引退て言ってから復帰しますというのは、勇気がいりますよね?」と振り、小室さんから「いりますよもちろん。あと批判もあるだろうし、そう簡単に『はい』というわけにはいかないので(復帰したいけどしづらい[心の声を補足])」という言葉を聞くと、「でも批判するのは、これ部外者じゃないですか。もちろん部外者には引退会見したのに復帰するなという人はいるだろうけど、でもやっぱりファンは待っているていうか」と小室さんに迫ります。
しかしなんつうか小室さん、発言を文字化すると、本心駄々洩れのかわいいおじさんですね。
小室さんは古市さんの追及に対し、年齢もあるのでメディアに出る気はまったくゼロだし、ファンの前でライブをやる気はないと言うのですが、楽曲はちょっと違うかな(楽曲を発表するのは許されるかな)とも言っています。
いやそれって昔、プロデューサーになるから表には出なくなるとか言っていた(のにすぐに表舞台に出た)のをめちゃ思い出すんですが。
たぶん楽曲発表で調子に乗り出したら、どうせ表に出てくるんでしょう!
まあともかく今は、オンラインに出す新作で注目されたいという意欲が先行していることは伝わりました。
しかし多くのミュージシャンがコロナの苦境にあえぐ中で、新しい事態の可能性の方に目を向けるあたりは、いかにも小室さんだなあと思いました。
多分小室さんは、もうじっとしているのに我慢できなくなっているように感じます。
どんな形かは分かりませんが、案外年内には何か新しい音を聞かせてくれる可能性もあるんじゃないかなあと思いました。
今回はまったく期待もしていなかったところから、大変うれしい出来事があり、めちゃテンション上がりました。
その他の近況も整理しておきます。
コロナウイルスが収まってきたことを踏まえてか、6/2にSONYから新商品の発表がありました。
もともと「TM NETWORK 初のBlu-ray化となる映像作品発売を準備中!!」と告知されていたものですが、予想通り「Decade」「All the Clips」でした。
8/26リリースで、それぞれ4950円と6050円(税込み)となります。
商品名がそれぞれ「Decade 2020 HD Remaster」「All the Clips 1984-1999 Refinement」となり、ゴージャス感がアピールされています(私は買う気はないですけど)。
購入者特典も店舗ごとに色々と設定されていますが、SONY MUSIC SHOPの2点同時購入特典の「ステンレスミニボトル ポケットサイズ」は、「Get Wild (Ver. 0)」の小室仮歌の「ステンレス」を意識しているのでしょうが、ちょっと面白いですね。
なお「Decade」に入っていた「Crazy For You」「Think of Earth」は、もともと「3D Pavilion」での上映用の3D映像(左右に色の入ったメガネをかけると立体に見えるもの)が収録されていましたが、「このたび発見された<2Dフル・カラー>のオリジナル・マスター素材へ差し替え編集」されたとのことです。
また「このたび発見された」ですか…(イラッ)。
「All the Clips」には特典として、終わりに「Self Control and the Scenes from "the Shooting"」が追加収録されます。
収録曲名を見ると、一瞬「Time Passed Me By」「Spanish Blue」「Here, There & Everywhere」のPVが収録されているように勘違いしてしまいますが、これって「Self Control」PVのメイキング映像のBGMですので、だまされないでくださいね!
そして当初4/21に予定されていたTMライブ映像配信企画が、7/4の10:00~22:00に決定しました。
「TM 12H LIVE! TM NETWORK 35 Anniversary THANKS! FANKS!! and…」というタイトルだそうです。
商品化済みの映像を編集して垂れ流すだけと思いますが、ライブblu-rayを購入されていない方はどうぞご覧ください。
ウツの「「それゆけ歌酔曲!!」ギア―レイワ2」は、すでに4・5月の公演が中止・延期とされていましたが、7/7マイナビBLITZ赤坂公演までの8公演も中止になりました。
現在開催の可能性があるのは、7/27以後の6公演のみとなります(仙台・札幌・広島・福岡)。
ただし6/2・3の赤坂公演については4/7公演と同様に、ニコ生の有料チャンネルで無観客ライブが配信されました。
上記SONYのBlu-rayリリース情報発表が6/2に行なわれたのは、このウツ企画に合わせたものだったのでしょう。
木根さんはすでに「2727ツアー」の7月までの公演は中止告知が出ていましたが、6/1には8・9月分も含む全公演の開催を見合わせることが告知されました。
コロナウイルスの状況次第で今後振替公演を行なうことも考えているそうですが、現状では未定とのことです。
5/24・29には、木根さんが久保こーじさんのLINE LIVE番組「#SAVE THE ARTIST」に出演しました。
youtubeには5/24分と5/29分ともにアーカイブされています。
私は見ていないのですが…。
木根さんがかえるのピクルスのアニメ版の主題歌を担当することが決まりました。
これってテレビで放映するんでしょうか? またはキャラクター制作会社のチャンネルで動画配信されるとかなのでしょうか。
正直あんまりよく分からないのですが、5/31にはピクルスのバースデーイベントのネット生配信があり、木根さんのライブも30分ほど行なわれたそうです。
今回の近況は以上です。
それでは本題に入ります。
2005年が始まったばかりの1/21、ウツと木根のオフィシャルサイトに告知が出された。
「Spin Off from TM -tribute live 2005- Tour」の開催である(未確認だが、多分浅倉FCでも告知があったと思う)。
出演者としてウツ・木根・浅倉大介の3人が発表され、数日後には3人のFC会員に向けてライブの優先予約の案内が送られた。
ツアータイトルに「tribute live 2005」とある通り、本ツアーは2003年に開催された「tribute Live」の第2弾である。
要するに、小室哲哉を欠いたTMメンバーの全国ツアーである。
当初はウツ・木根・浅倉の3人の名前だけが出されたが、結果としては「tribute Live」と同様に、葛城哲哉・阿部薫を含む5人でのライブとなった。
2003年の「tribute LIVE」はウツ・木根を中心としたライブであり、サブタイトルにも「UTSU & KINE's SELECTION」とあった。
しかし「Spin Off from TM」は浅倉を含む3人がメインの形式で、後述のようにライブでは3人のソロコーナーも設けられた。
ライブパンフレットでも3人は数ページにわたって写真が掲載されているのに対し、葛城・阿部は最終ページに小さくプロフィールが掲載されるだけである。
これは「tribute Live」で浅倉・阿部・葛城3人がサポートとして横並びの扱いとされたのとは異なっている。
浅倉の動員力も期待しての措置だろう。
SPIN OFFはこの頃地上波ドラマや映画でよく使われるようになった言葉で、そこから取ったものと考えられる。
メンバーは「波及する」という意味を強調し、TMから外に波及するものを表現したものとしている。
ツアータイトルのロゴマークの下に5本の矢印が描かれているのも、TMからの波及を意味しているのだろう。
ツアーは当初4/8~5/4の1ヶ月間、土日を中心に6会場12公演が発表されたが、最終的に4/28横浜BlitzでのFC限定公演と5/7のZepp Osakaおよび5/14・15のZepp Tokyo追加公演が加わり、8会場16公演となった(Zepp Tokyoは4/8・9も含めて4公演)。
リハーサルは3月末から4月初めにかけて1週間行なわれ、4/7にはZepp Tokyoでゲネプロが行なわれた。
日替わり曲を設けたため曲数が多くなり、リハーサルは連日長引いたという。
具体的な曲目は後述するが、この時はオープニングSEを除いて、実に合計32曲も用意された。
小室を除くという特殊なツアーが、この時に再度開催されたのはなぜだろうか。
2003年の「tribute Live」は、本来TMのツアー用に抑えていた会場を転用したものである可能性が高く、またTM20周年に向けた活動という名目もあったし、小室哲哉公認という言い訳めいた説明も一応はあった。
ところが「Spin Off from TM」では当初こうした説明が一切なく、その後もTM本体や小室との関係がことさらに語られることは少なかった。
「TMからの波及」と言いながら、本体のTMについてはむしろ腫物に触るが如きである。
このライブを行なうに当たりどのような意志決定があったのかは、現状でほとんど情報がない。
それはTMの活動と関係ないところで行なわれたため、TMの歴史が語られる際にも言及されないためでもある。
木根の「電気じかけの預言者たち」シリーズでも、1997年から2004年までのTM関係の活動は継続的に記されてきたが、TMに関わる活動がなかった2004年後半から2007年初めまでは記録がない(そのためこの時期の歴史を書くことは困難が多い)。
以下にFC会員に送られたビラの文章を引用しておくが、TMの曲をやること以外、コンセプトに関わることはまったく記されていない。
なおこの時に限らないが、徹貫の変な英語は本当にやめた方がよい。
最後の英文も意味不明だが、冒頭の「a TM SONGS」など、一目でおかしいと気付くと思うのだが。
本ツアーに関して多少とも準備段階の様子が推測できるのが、2/4に「コンサートは会議室で行われている?」というタイトルでウツFCのmagenticaのサイト上に掲載されたウツ事務所M-tresの石坂健一郎名義の文章である。
文章はいかにも空虚な徹貫文なのだが、これをあえてウツではなく石坂の名義で出したのは、ファンの様子見の意味もあったのだろう。
全文引用は省くが、ここからは2月上旬(4日以前だから2/1~4)に、ウツ・木根・浅倉とスタッフのミーティングがあったことが分かる。
ウツ・木根のFC会報の編集締切がこの頃なので、それに先立って行なわれたものだろう。
ミーティングでは候補曲・ライブの内容が話し合われ、葛城哲哉・阿部薫への参加依頼が決定された(本当にこの時になって決まったのかは疑わしいが)。
さらにツアーの意味付けについても議論されたらしい。
逆に言えばそれまでツアーを行なうことの建前は、議論されてすらいなかったことになる。
要するに、後に本ツアーについて語られた意義はすべて後付けであり、小室抜きのTMツアー開催はそうした建前とは別のところで既定路線とされていたのだ。
ウツによれば、「Spin Off from TM」の企画は、ファンの要望を受けたスタッフからの提案だったという。
スタッフからすれば、TM20周年の盛り上がりが消え去る前に、小室抜きでももう一度ツアーを行ないたかったことは、ビジネスとしては理解できる。
石坂名義の文ではミーティングでの議論につき、
と記され、さらに木根が以下のように語ったことも記されている。
これが本当に木根の発言そのものかはともかく(多分徹貫の文飾が加わっている)、この文章が木根の了解下で公開されたことは認めて良かろう。
そこに見える「TMブランドを守っていくこと」が、この時に提示された後付けのライブ開催意義だった。
この文章を真に受けて論じれば、この頃TMというブランドは、意識的に守らないと失われかねないものとされていた。
なぜ失われるのかといえば、それは本体が活動できないからに他ならない。
だから動けるメンバーだけで動くべきだという主張には賛否あろうが、もっともらしい理由付けではある。
ウツ・木根は「Spin Off from TM」に参加したのだから、この場合TMが活動できないのは小室のせいだったことになる。
「Spin Off from TM」の企画が立ち上がったのがいつかはよく分からないが、2004年後半のある時、小室がTMを再開する見通しは当分ないと判断されていたのだろう。
M-tresはglobeのツアー「globe decade」(2004/11~2005/1)を手掛けており、その間小室と継続的に接することができたから、スタッフと小室の意志疎通は「tribute LIVE」の時よりも容易だったはずである。
実際に石坂は、「globe decade」中に、小室と「Spin Off from TM」の話をすることがあったという。
スタッフは小室の動向をよく把握し、TMの活動があり得ないことの確証を得た上で、20周年の熱気が残っている内に小室抜きでTM関連関連企画をやろうと考えたのだろう。
この頃の小室がTMを再開する見込みがなかったことは、「Spin Off from TM」後の木根の、
との発言からもうかがえる。
TMが「いつかまた動く」というのは、いつ動くかまだ見通しが立っていないことの裏返しでもあろうし、「解釈しています」というのも、決定はしていないことを含意しているのだろう。
2003年に「tribute LIVE」を積極的に推進した木根が、この頃に以下のように悲観的な発言をしているのは、少々気になるところである。
20周年をやり切った今、TMについては諦観の様子もあったのかもしれない。
以上を見るに「Spin Off from TM」は、木根よりもウツ側、さらに言えばスタッフ側の主導性が強かったように見える。
実はこの時にスタッフが第2の「tribute LIVE」開催を推進したのは、TM20周年の余勢を利用したひと稼ぎというだけではなく、もう少し事情があった可能性も考えられるのだが、それについては別章で触れることにしたい。
このように様々な問題が伏在する中で本ツアーが開催されたことを受けて、当然ながら小室抜きの活動が恒例化することに危惧を抱くファンも多かった。
実際にこの2年後には、tribute LIVE第3弾として、「Spin Off from TM 2007」が開催される。
ただ一方で、「Spin Off from TM」はファンと楽しむライブを目指したこともあり、観客には好意的な意見も多かったようだ。
本ツアーはtribute LIVE第2弾とされたことから分かるように、2003年の「tribute LIVE」を引き継ぐツアーという位置づけだった。
そのため2003年と同様に、音源は浅倉が作成し、また基本的にはオリジナルアレンジの再現が志向された。
ただし「Your Song」「Twinkle Night」など、浅倉独自のアレンジが加えられた曲もある。
2003年には「終了」以前の定番曲を中心にセットリストが組み立てられたのに対し、「Spin Off from TM」では2003年に演奏されなかった曲を中心に選曲された。
そのためこの時は、「終了」以前でもレアだった曲が多く選ばれることになった。
時期的なバランスも取られており、選曲は「終了」以前の全アルバムから行なわれている。
また「tribute LIVE」と違い、「終了」後の曲も対象とされた。
「Spin Off from TM」の地方限定曲(後述)以外の選曲で「tribute LIVE」とかぶるのは、「Get Wild ‘89」「Self Control」「You Can Dance」「Dive Into Your Body」の4曲だけである。
再始動後のTMフルライブで演奏された曲とのかぶりを考えても、これに「Be Together」が加わるのみである。
大部分は1994年以来11年以上ぶりに演奏された曲だったことになる。
選曲は2月から考え始め、3月には確定していたが、TM本体では絶対に演奏しなさそうな曲を選ぶ方針だったという。
あまりポジティブな印象を受けない選曲基準ではあるが、20周年ライブのフォロー企画としては悪くなかったかもしれない。
ライブで特に目玉とされたのは先述の「Your Song」「Twinkle Night」で、3人が出演した3/12東海ラジオ特番「Spin Off from TM」でも両曲を演奏することが特にアピールされた。
両曲は1985年のミニアルバム「Twinkle Night」に収録されるが、本作リリース後のツアーはなかったため、ライブでの演奏の機会は当時も非常に乏しかった。
「Your Song」は1987年「Fanks! Bang The Gong」で演奏されたことがあるが、「Twinkle Night」はクリスマスのライブやファンイベントで臨時に演奏されたことがあるくらいである。
その他にも特にライブ前半はレア曲尽くしで、たとえば「雨に誓って」「クリストファー」「This Night」「TIME」「Girl Friend」などは、「Tour TMN EXPO」のフォークパビリオンを除き、TMでは80年代以来演奏されてこなかった。
「Jean Was Lonely」「Another Meeting」などTMN期の曲もレアである。
なお「雨に誓って」「Jean Was Lonely」はツアー冒頭で続けて演奏されたが、これは2004年年末にリリースされたファン投票ベスト「Welcome to the Fanks!」に収録されたことが影響しているのだろう。
また再始動後の楽曲は、ライブの機会が限られたため、ほとんど演奏されていなかったものも多かったが、「Spin Off from TM」ではこうした曲もいくつか救済された。
たとえば「Castle in the Clouds」はシングル曲にもかかわらず、フルライブでの演奏はこの時が初めてだった。
また「it’s gonna be alright」「80’s」は管見で史上初の演奏になる(「80’s」は木根ソロでの演奏例があるかもしれない)。
あるいはこれも「Welcome to the Fanks!」に収録されたことが関わるのかもしれない。
本ツアーでは大部分の会場で、2日続けて公演が催された。
これは日替わり曲を数曲用意して、各会場の初日と2日目のセットリストを変更したためである。
全18曲中、ツアー前期には6曲、後期には5曲が日替わりだった。
日替わり曲を入れてツアーの動員を稼ぐことは、他ミュージシャンではしばしば見られるもので、ウツのソロライブでも行なわれたことはあるが、TM本体では「終了」ライブ「TMN 4001 Days Groove」以外に行なわれたことがなかった。
だが「Spin Off from TM」でうまく動員に結びつけられたためか、日替わり曲は2007年の「Spin Off from TM 2007」でも採用され、2008年にはTMの「SPEEDWAY and TK Hits!!」でも設けられた。
その点で「Spin Off from TM」は、次期TMの活動の前史として見ることもできる。
なおライブ会場は「tribute Live」でも半分がライブハウスだったが、「Spin Off from TM」では全部がライブハウスになった(ほとんどがZepp)。
これはウツソロと同程度の会場である。
ホールよりも小規模な会場で公演数を増やし(「tribute LIVE」の9公演から倍増して16公演)、リピーターとなる固定ファンに頼って動員総数を稼ぐ方針に転換したともいえる。
さらに遠征を行なうディープなファンの動員も期待していたようで、本ツアーでは地方ごとの特別曲枠も1曲ずつ用意された(DVD収録用の横浜Blitz公演のみ無し)。
「Spin Off from TM」は横浜を除き7会場で開催され、地方限定曲は8曲用意された(Zepp Tokyoは4月2公演と5月2公演で別の曲を演奏)。
これらの音源は公演後6/30まで、ORICON STYLEのサイトで期間限定で配信された。
日替わり音源の配信は、熱心なファンほど嬉しかっただろう。
この点はとても有意義な企画だったと思う。
後のTMでも採用してほしかったものである。
なお詳細は別章で扱うが、ライブ音源配信はこの頃M-tresが行なっていた試みと関わるものである。
すなわちウツはこの頃新たな活動形態を試みていたが、その最初の試みがCDではなく配信音源による新曲発表だった。
ウツの配信音源第一弾は「Slash!」だった。
配信日は2005/3/23で、「Spin Off from TM」開始の約半月前だった。
以後新曲の配信は毎月1回、2年近く行なわれることになる(着うた・ORICON STYLEで1曲210円で配信)。
配信日とツアー開始の日程の近接は偶然ではないだろう。
ウツの新しいソロ活動の宣伝を行なうことは、「Spin Off from TM」の一つの使命だったと考えられる。
実際に「Slash!」は本ツアーでも演奏された。
先に挙げたツアー告知文で新曲の発表がほのめかされたのも、一見するとTMの新曲と期待させられてしまうが、実際にはウツと木根の新曲のことだった。
ここまで触れていなかったが、「Spin Off from TM」のテーマとして掲げられたものに「温故知新」があった。
「昔のことを尋ねて新しいことを見出す」というのは、過去のTM曲を演奏するとともに、ソロの新曲も聞いてもらうことをポジティブに言い換えたものである。
「Slash!」の作詞は井上秋緒、作曲・編曲は浅倉大介だった。
配信第3弾「Dawn Moon」も同じ制作陣である。
一方配信第2弾「Hold on blue」と第4弾「Lost Sky」は、ともに作詞井上、作曲木根で、編曲は葛城哲哉・Ch@ppyだった。
Ch@ppyは当時葛城哲哉が組んでいたバンドTrance Noise Machineのメンバーである。
浅倉・木根・葛城が関与したこれら4曲の制作陣は、「Spin Off from TM」との関わりの中で選ばれた。
「Spin Off from TM」では、ウツだけでなく、木根と浅倉にもソロ曲の演奏枠が設けられていた
木根については、TM曲「Looking At You」「月はピアノに誘われて」から1曲(日替わり)を演奏した後、続けてソロのニューシングル「My Best Friend」が演奏された。
この曲についても、詳細は別章で触れることにする。
浅倉の演奏曲は日替わりで2曲用意された。
1曲は「Quantum Mechanics Rainbow Ⅵ」、1曲は「Techno Beethoven」である。
前者は2004~05年に7枚連続でインディーズからリリースされた「Quantum Mechanics Rainbow」シリーズに収録されている曲である。
「Quantum Mechanics Rainbow」シリーズは、3/3に最後の「Red Trigger」がリリースされたばかりだった。
また後者は2002年「21st Fortune CD」に収録された曲である。
なお浅倉は「Spin Off from TM」開催直前の3/25・26に、東京国際フォーラムでソロライブ「Quantum Mechanics Rainbow」を開催している。
「Spin Off from TM」のリハーサルはその後から始まったが、音源の準備などもあっただろうから、浅倉にはそれなりに負担だっただろう。
本ツアーのステージ上の配置は、前方中央にウツ、観客側から見てその右に木根、左に葛城、後方は観客から見て右に浅倉、左に阿部というものだった。
「tribute LIVE」と比べると、左右の配置が逆になっている。
ステージの背景と床にはツアーのロゴマークが貼られた(床は2階席からしか見えなかっただろうが)。
演出や機材などにアピールすべき工夫は特になく、その点ではいかにも過去の曲を演奏するだけのライブだった。
「tribute LIVE」のようなお遊びコーナーやフォークコーナーもない。
その中であえて一つだけ挙げれば木根のベース演奏があり、ソロ曲「My Best Friend」およびアンコール曲「You Can Dance」で披露された。

木根尚登・オン・ベース
「Spin Off from TM」開催に当たっては、関連商品が少なからず発売された。
ウツの新曲配信・木根の新曲CD・ライブ日替わり曲配信についてはすでに触れたが、他に「tribute LIVE」のDVDリリースもあった。
実に2003年の公演から2年越しのことである。
これはウツのソロDVDと同様に、一般の流通には乗らなかったが、FCで先行販売された他、ツアー開始日の4/8からはライブ会場およびmagneticaのwebshopでも販売され、ツアー終了後には在庫品が新星堂でも取り扱われるようになった。
最後に、「Spin Off from TM」に関する商品を整理しておく。
本作についてはライブDVD「Spin Off from -tribute LIVE 2005-」が最良の資料で、FC・新星堂で販売された。
新星堂で売られた通常盤は2005/10/1リリースである。
「tribute LIVE」のDVDと違い、ライブ開催から半年で速やかに商品化された。
DVDに収録された4/28の横浜Blitz公演は、収録を前提にFC会員限定で開催されたライブで、2日分のセットリストを組み合わせた特殊な内容である(その点で通常のツアーとは少し趣が異なる)。
具体的には、ファンの間で需要が大きかった見られる日替わり曲「クリストファー」「This Night」、「Your Song」「Twinkle Night」、「Self Control」「Get Wild ‘89」を両方演奏し、代わりに日替わり曲「it’s gonna be alright」「80’s」を両方外した上、「TIME」や地方曲も演奏されなかった。
木根ボーカル曲では「Looking At You」は演奏されず、「月はピアノに誘われて」が選ばれた。
なお本ツアーは横浜Blitz公演の前後でセットリストが変わった。
具体的には4/30のZepp Sendai公演以後「TIME」が削られ、「Your Song」「Twinkle Night」が両方演奏されるようになり、また追加公演の5/7・15には、アンコールの「Another Meeting」がChuck Berry「Johnny B. Goode」のカバーに差し替えられた。
以上の如くセットリストの変更が行なわれたため、DVDでは「it’s gonna be alright」「80’s」「Looking At You」「TIME」「Johnny B. Goode」の5曲を見ることはできない(「Johnny B. Goode」はそんなに需要はないだろうが)。
また通常盤ではウツ・木根・浅倉のソロ曲も収録されていない(後述の通りFC盤には収録)。
特に「it’s gonna be alright」「80’s」はTM史上一度も演奏されたことがなく、tribute LIVEではあっても、是非入れてほしかった曲である。
「TIME」もこの時点では映像がまったく存在しなかった上、個人的にも好きな曲だったので、入れてほしかったところである。
ただしライブ参加者にとってもっとも気になったと思われる地方限定曲については、意外な形で救済された。
「Spin Off from TM」のDVDと同時にリリースされたドキュメントDVD「Spin Off from TM -8 songs, and more.-」に、スタッフ資料用の固定映像ではあるが、全曲が収録されたのである。
この時の企画は、本当に丁寧にフォローされているという印象である。
なお「8 songs, and more.」には、ウツ・木根・浅倉が地方曲8曲について思い出を語る映像と、曲の演奏シーンが収録されている。
またエンディングのスタッフロールでは、BGMにTMの「Presence」のインストが収録されており、意外と貴重な音源である。
この2枚のDVDは、FCでは一商品として先行販売された。
またFC盤にはソロ曲を1曲収めた特典ディスクもついており、合計3枚組となっていた。
つまりウツFCのmagneticaで申し込むと、ウツソロ「Slash!」のディスクが付いてきたということである
木根FCなら木根の「My Best Friend」、浅倉FCなら浅倉曲「Quantum Mechanics Rainbow Ⅵ」である(「Techno Beethoven」は未商品化)。
これをすべて揃えるためには、3人のFCに入って3種類のDVDを購入しないとならないが、私はいまだにこれを成し遂げたファンを知らない。
ここまでハードルが上がるとファンとしても手を出す気は失せるだろうし、FC側も全部を買わせることは念頭になかったと思う。
ただ金にこだわらなければ、FC盤3種類を全部揃えれば4/28に演奏された曲の映像はMCを除いてすべて揃う上、地方曲の様子も知ることができる(日程の都合で収録されなかった6曲は残念だが)。
なお通常盤のライブDVDは5500円、「8 songs, and more.」は4800円、3枚組FC盤は1万円だった(税込み)。
この値段設定を見ると、ライブ2本の映像をほぼすべて収録したTMの「Double-Decade Tour "NETWORK"」が1万円で売られたのは、当時は高いとも言われたが、良心的だったといえる。
音源としては、地方曲がすべて期間限定で配信されたことは、先に述べた通りである
他に2007年にiTunesで配信された「TM NETWORK tribute LIVE EP Edition #1~3」には、各Editionごとに「tribute LIVE」「Spin Off from TM」の音源が2曲ずつ収録されている。
その内の「Spin Off from TM」の音源は、「Get Wild ‘89」「Be Together」「Dive Into Your Body」「Girl Friend」「Self Control」「Castle in the Clouds」となる。
なおmora版は内容が異なり、「Dive Into Your Body」「Girl Friend」「Self Control」の代わりに、「クリストファー」「月はピアノに誘われて」「You Can Dance」が収録されている。
また2010年にiTunesで配信された「TM NETWORK tribute LIVE 2005」の「Lead」「Second」には、「Jean Was Lonely」「雨に誓って」「クリストファー」「This Night」「月はピアノに誘われて」「Your Song」「Twinkle Night」「Another Meeting」の音源と、「Dive Into Your Body」「Self Control」の映像が収録されている。
これら配信音源を網羅すれば、地方曲とソロ曲を除く全DVD収録曲(15曲)の視聴が可能である。
ただしDVDが入手できれば、これらはまったく不要である。
以上が本ツアーの概要である。
具体的な内容については、次章で見ていくことにしよう。
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SPIN OFF from TM-8songs,and more.- [DVD] - 宇都宮隆
同日25:00~26:00、TOKYO FMほか全国FM各局で放送されている「TOKYO SPEAKEASY」に、小室さんと古市憲寿さんが生出演することが発表されたのです。
小室さんのメディア生出演は、実に2018/2/6にPandoraとして出演した「うたコン」以来、2年4ヶ月ぶりとなります(生収録でなければ2018/2/25「ラストアイドル2nd season」以来)。
いったいどういうこと?どんなテンションなんだろう?と思って聞いてみたら、古市さんの誘導が良かったのもあるのでしょうが、小室さんはものすごい饒舌に、いろんなことをペラペラしゃべってくれました。
先日の「Dragon The Carnival」のBlu-rayの映像でも感じましたが、そろそろ表に出てきたがっているんでしょうか。
なお番組twitterには、スタジオの写真がアップされています。
小室さんは2018年の引退の後、聴覚障害もあり、しばらく音楽には関わっていなかったそうなのですが、小説や脚本は書いていたそうです。
そういや、TM30周年後に次の小説の構想もあるとか言ってましたね。
渋谷のハロウィンに現れたテロリストを、ロボットになった109ビルがやっつけるという奇想天外な話らしいんですが、やはり何もせずにいることはできない方なんだなあと思います。
2019年秋頃からは、ピアノで建築に音楽を付けたりすることを始めたとのことです。
2016年のオーストリア・リンツの「ARS ELECTRONICA FESTIVAL」出演以来、アート関係の方との付き合いが広がり、その延長でやっていたそうです。
TM30周年の後、小室さんが関心を示したのがリンツでのインスタレーションでしたが、これがまだ続いていたんですね。
ちなみに小室さんによれば、年末の松浦さんとの衝突は、作曲の依頼を断ったためだったそうです(それ「だけ」なのかは別にして)。
その時点で小室さんは作曲をやる気はなかったようですが、今年になってやる気になってきたとのこと。
そうした中で秋元康さんから曲を作ってみるように言われ、3曲ほどレコーディングもしました(結局秋元さんからダメ出しされたらしいですが)。
時期はコロナが大変になる前の頃というので、今年の2~3月頃のことでしょう。
これと同じ頃には松浦勝人さんからスタジオに遊びに行こうと誘われ、そこでシンセを弾くこともあったそうです。
松浦さんは小室さんと一緒に2/23にクラブに遊びに行っているので、この前後のことかもしれません。
秋元さんや松浦さんが、小室さんの音楽活動再開のきっかけを与えようとしていることがうかがえます。
そもそも小室さんが今回出演したのは、番組のプロデューサーの秋元康さんから勧められたためなのだそうです。
番組の最後には、「もう復帰しましょうよ」という秋元さんのメッセージも読み上げられました。
小室さんが今注目しているのはオンライン上の音楽鑑賞で、今のコロナ騒動の中で急激に進んだと言っていました。
もしも30歳若ければ自分もオンラインのアーティストとして活動していたと言っており、表面的にはもう遅いみたいな言い方をするんですが、自分にはオンラインのヒット曲がまだないから1曲作りたいとも言っていて、明らかに復帰の志向を示しています。
古市さんから「完全にそれ復帰宣言じゃないですか」と突っ込まれて、否定しながら「練習してみているだけなんで」とか言っています。
練習てのは秋元さんに言われて3曲作ったことを言っているんでしょうけど、復帰するつもりがないのに何の練習なんですか、先生?(笑)
ただ優しい古市さんは小室さんが答えやすいようにいたわりつつ、「引退て言ってから復帰しますというのは、勇気がいりますよね?」と振り、小室さんから「いりますよもちろん。あと批判もあるだろうし、そう簡単に『はい』というわけにはいかないので(復帰したいけどしづらい[心の声を補足])」という言葉を聞くと、「でも批判するのは、これ部外者じゃないですか。もちろん部外者には引退会見したのに復帰するなという人はいるだろうけど、でもやっぱりファンは待っているていうか」と小室さんに迫ります。
しかしなんつうか小室さん、発言を文字化すると、本心駄々洩れのかわいいおじさんですね。
小室さんは古市さんの追及に対し、年齢もあるのでメディアに出る気はまったくゼロだし、ファンの前でライブをやる気はないと言うのですが、楽曲はちょっと違うかな(楽曲を発表するのは許されるかな)とも言っています。
いやそれって昔、プロデューサーになるから表には出なくなるとか言っていた(のにすぐに表舞台に出た)のをめちゃ思い出すんですが。
たぶん楽曲発表で調子に乗り出したら、どうせ表に出てくるんでしょう!
まあともかく今は、オンラインに出す新作で注目されたいという意欲が先行していることは伝わりました。
しかし多くのミュージシャンがコロナの苦境にあえぐ中で、新しい事態の可能性の方に目を向けるあたりは、いかにも小室さんだなあと思いました。
多分小室さんは、もうじっとしているのに我慢できなくなっているように感じます。
どんな形かは分かりませんが、案外年内には何か新しい音を聞かせてくれる可能性もあるんじゃないかなあと思いました。
今回はまったく期待もしていなかったところから、大変うれしい出来事があり、めちゃテンション上がりました。
その他の近況も整理しておきます。
コロナウイルスが収まってきたことを踏まえてか、6/2にSONYから新商品の発表がありました。
もともと「TM NETWORK 初のBlu-ray化となる映像作品発売を準備中!!」と告知されていたものですが、予想通り「Decade」「All the Clips」でした。
8/26リリースで、それぞれ4950円と6050円(税込み)となります。
商品名がそれぞれ「Decade 2020 HD Remaster」「All the Clips 1984-1999 Refinement」となり、ゴージャス感がアピールされています(私は買う気はないですけど)。
購入者特典も店舗ごとに色々と設定されていますが、SONY MUSIC SHOPの2点同時購入特典の「ステンレスミニボトル ポケットサイズ」は、「Get Wild (Ver. 0)」の小室仮歌の「ステンレス」を意識しているのでしょうが、ちょっと面白いですね。
なお「Decade」に入っていた「Crazy For You」「Think of Earth」は、もともと「3D Pavilion」での上映用の3D映像(左右に色の入ったメガネをかけると立体に見えるもの)が収録されていましたが、「このたび発見された<2Dフル・カラー>のオリジナル・マスター素材へ差し替え編集」されたとのことです。
また「このたび発見された」ですか…(イラッ)。
「All the Clips」には特典として、終わりに「Self Control and the Scenes from "the Shooting"」が追加収録されます。
収録曲名を見ると、一瞬「Time Passed Me By」「Spanish Blue」「Here, There & Everywhere」のPVが収録されているように勘違いしてしまいますが、これって「Self Control」PVのメイキング映像のBGMですので、だまされないでくださいね!
そして当初4/21に予定されていたTMライブ映像配信企画が、7/4の10:00~22:00に決定しました。
「TM 12H LIVE! TM NETWORK 35 Anniversary THANKS! FANKS!! and…」というタイトルだそうです。
商品化済みの映像を編集して垂れ流すだけと思いますが、ライブblu-rayを購入されていない方はどうぞご覧ください。
ウツの「「それゆけ歌酔曲!!」ギア―レイワ2」は、すでに4・5月の公演が中止・延期とされていましたが、7/7マイナビBLITZ赤坂公演までの8公演も中止になりました。
現在開催の可能性があるのは、7/27以後の6公演のみとなります(仙台・札幌・広島・福岡)。
ただし6/2・3の赤坂公演については4/7公演と同様に、ニコ生の有料チャンネルで無観客ライブが配信されました。
上記SONYのBlu-rayリリース情報発表が6/2に行なわれたのは、このウツ企画に合わせたものだったのでしょう。
木根さんはすでに「2727ツアー」の7月までの公演は中止告知が出ていましたが、6/1には8・9月分も含む全公演の開催を見合わせることが告知されました。
コロナウイルスの状況次第で今後振替公演を行なうことも考えているそうですが、現状では未定とのことです。
5/24・29には、木根さんが久保こーじさんのLINE LIVE番組「#SAVE THE ARTIST」に出演しました。
youtubeには5/24分と5/29分ともにアーカイブされています。
私は見ていないのですが…。
木根さんがかえるのピクルスのアニメ版の主題歌を担当することが決まりました。
これってテレビで放映するんでしょうか? またはキャラクター制作会社のチャンネルで動画配信されるとかなのでしょうか。
正直あんまりよく分からないのですが、5/31にはピクルスのバースデーイベントのネット生配信があり、木根さんのライブも30分ほど行なわれたそうです。
今回の近況は以上です。
それでは本題に入ります。
2005年が始まったばかりの1/21、ウツと木根のオフィシャルサイトに告知が出された。
「Spin Off from TM -tribute live 2005- Tour」の開催である(未確認だが、多分浅倉FCでも告知があったと思う)。
出演者としてウツ・木根・浅倉大介の3人が発表され、数日後には3人のFC会員に向けてライブの優先予約の案内が送られた。
ツアータイトルに「tribute live 2005」とある通り、本ツアーは2003年に開催された「tribute Live」の第2弾である。
要するに、小室哲哉を欠いたTMメンバーの全国ツアーである。
当初はウツ・木根・浅倉の3人の名前だけが出されたが、結果としては「tribute Live」と同様に、葛城哲哉・阿部薫を含む5人でのライブとなった。
2003年の「tribute LIVE」はウツ・木根を中心としたライブであり、サブタイトルにも「UTSU & KINE's SELECTION」とあった。
しかし「Spin Off from TM」は浅倉を含む3人がメインの形式で、後述のようにライブでは3人のソロコーナーも設けられた。
ライブパンフレットでも3人は数ページにわたって写真が掲載されているのに対し、葛城・阿部は最終ページに小さくプロフィールが掲載されるだけである。
これは「tribute Live」で浅倉・阿部・葛城3人がサポートとして横並びの扱いとされたのとは異なっている。
浅倉の動員力も期待しての措置だろう。
SPIN OFFはこの頃地上波ドラマや映画でよく使われるようになった言葉で、そこから取ったものと考えられる。
メンバーは「波及する」という意味を強調し、TMから外に波及するものを表現したものとしている。
ツアータイトルのロゴマークの下に5本の矢印が描かれているのも、TMからの波及を意味しているのだろう。
ツアーは当初4/8~5/4の1ヶ月間、土日を中心に6会場12公演が発表されたが、最終的に4/28横浜BlitzでのFC限定公演と5/7のZepp Osakaおよび5/14・15のZepp Tokyo追加公演が加わり、8会場16公演となった(Zepp Tokyoは4/8・9も含めて4公演)。
リハーサルは3月末から4月初めにかけて1週間行なわれ、4/7にはZepp Tokyoでゲネプロが行なわれた。
日替わり曲を設けたため曲数が多くなり、リハーサルは連日長引いたという。
具体的な曲目は後述するが、この時はオープニングSEを除いて、実に合計32曲も用意された。
小室を除くという特殊なツアーが、この時に再度開催されたのはなぜだろうか。
2003年の「tribute Live」は、本来TMのツアー用に抑えていた会場を転用したものである可能性が高く、またTM20周年に向けた活動という名目もあったし、小室哲哉公認という言い訳めいた説明も一応はあった。
ところが「Spin Off from TM」では当初こうした説明が一切なく、その後もTM本体や小室との関係がことさらに語られることは少なかった。
「TMからの波及」と言いながら、本体のTMについてはむしろ腫物に触るが如きである。
このライブを行なうに当たりどのような意志決定があったのかは、現状でほとんど情報がない。
それはTMの活動と関係ないところで行なわれたため、TMの歴史が語られる際にも言及されないためでもある。
木根の「電気じかけの預言者たち」シリーズでも、1997年から2004年までのTM関係の活動は継続的に記されてきたが、TMに関わる活動がなかった2004年後半から2007年初めまでは記録がない(そのためこの時期の歴史を書くことは困難が多い)。
以下にFC会員に送られたビラの文章を引用しておくが、TMの曲をやること以外、コンセプトに関わることはまったく記されていない。
There is a TM SONGS for all of you.
大好評だったTM NETWORK tribute LIVEが帰ってきます。
宇都宮隆・木根尚登と浅倉大介が結集。鳥肌もののセット・リストを決定!
ヒット曲からマニア心をくすぐる楽曲まで、TMナンバーを披露します。
SPIN OFFとは波及効果。つまり、未来に向け、TMをより知ってもらうためのイベント。
夢に向かい、TMの波紋をより広げるためのライブ。だから、TM未体験オーディエンスも熱烈歓迎。
当然、マニアであればあるほど、深く楽しめる仕掛けも満載。TM好きの秘孔を直撃。
また、ロックヴォーカリスト宇都宮隆、アコースティックな木根尚登、
テクノロジーを自在に操る浅倉大介、それぞれの音楽性も最大限に発揮します。
彼らの強烈なオリジナリティーにもご期待ください。
もしかしたら、新曲誕生も……。さらなるサプライズも……。
TMナンバー炸裂。怒涛の一夜。共に歌い、踊り尽くし、心を震わせましょう。
It might be able to meet the great impression!
なおこの時に限らないが、徹貫の変な英語は本当にやめた方がよい。
最後の英文も意味不明だが、冒頭の「a TM SONGS」など、一目でおかしいと気付くと思うのだが。
本ツアーに関して多少とも準備段階の様子が推測できるのが、2/4に「コンサートは会議室で行われている?」というタイトルでウツFCのmagenticaのサイト上に掲載されたウツ事務所M-tresの石坂健一郎名義の文章である。
文章はいかにも空虚な徹貫文なのだが、これをあえてウツではなく石坂の名義で出したのは、ファンの様子見の意味もあったのだろう。
全文引用は省くが、ここからは2月上旬(4日以前だから2/1~4)に、ウツ・木根・浅倉とスタッフのミーティングがあったことが分かる。
ウツ・木根のFC会報の編集締切がこの頃なので、それに先立って行なわれたものだろう。
ミーティングでは候補曲・ライブの内容が話し合われ、葛城哲哉・阿部薫への参加依頼が決定された(本当にこの時になって決まったのかは疑わしいが)。
さらにツアーの意味付けについても議論されたらしい。
逆に言えばそれまでツアーを行なうことの建前は、議論されてすらいなかったことになる。
要するに、後に本ツアーについて語られた意義はすべて後付けであり、小室抜きのTMツアー開催はそうした建前とは別のところで既定路線とされていたのだ。
ウツによれば、「Spin Off from TM」の企画は、ファンの要望を受けたスタッフからの提案だったという。
スタッフからすれば、TM20周年の盛り上がりが消え去る前に、小室抜きでももう一度ツアーを行ないたかったことは、ビジネスとしては理解できる。
石坂名義の文ではミーティングでの議論につき、
TMという大きなブランドイメージを壊さず、且つ、初めて観る人、10年ぶりにTMの曲に触れる人、20年間愛し続けてくれている人、 それぞれの人達が楽しめるイベントにしたい、また、自分たちも楽しみたいというのが、ある種の結論めいたものになった。
と記され、さらに木根が以下のように語ったことも記されている。
あたりまえだけど、どんなに楽しんでも、音楽だけはキッチリやろう、僕達はMusicianであり、20年間築き上げたTMブランドを守っていくことが出来るたった何人かの内の一人なのだから。
これが本当に木根の発言そのものかはともかく(多分徹貫の文飾が加わっている)、この文章が木根の了解下で公開されたことは認めて良かろう。
そこに見える「TMブランドを守っていくこと」が、この時に提示された後付けのライブ開催意義だった。
この文章を真に受けて論じれば、この頃TMというブランドは、意識的に守らないと失われかねないものとされていた。
なぜ失われるのかといえば、それは本体が活動できないからに他ならない。
だから動けるメンバーだけで動くべきだという主張には賛否あろうが、もっともらしい理由付けではある。
ウツ・木根は「Spin Off from TM」に参加したのだから、この場合TMが活動できないのは小室のせいだったことになる。
「Spin Off from TM」の企画が立ち上がったのがいつかはよく分からないが、2004年後半のある時、小室がTMを再開する見通しは当分ないと判断されていたのだろう。
M-tresはglobeのツアー「globe decade」(2004/11~2005/1)を手掛けており、その間小室と継続的に接することができたから、スタッフと小室の意志疎通は「tribute LIVE」の時よりも容易だったはずである。
実際に石坂は、「globe decade」中に、小室と「Spin Off from TM」の話をすることがあったという。
スタッフは小室の動向をよく把握し、TMの活動があり得ないことの確証を得た上で、20周年の熱気が残っている内に小室抜きでTM関連関連企画をやろうと考えたのだろう。
この頃の小室がTMを再開する見込みがなかったことは、「Spin Off from TM」後の木根の、
TM NETWORKは現存しているわけだし、終わったわけじゃないから、その点ではいつかまた動くTMにつながる活動だと、僕は解釈しています。
との発言からもうかがえる。
TMが「いつかまた動く」というのは、いつ動くかまだ見通しが立っていないことの裏返しでもあろうし、「解釈しています」というのも、決定はしていないことを含意しているのだろう。
2003年に「tribute LIVE」を積極的に推進した木根が、この頃に以下のように悲観的な発言をしているのは、少々気になるところである。
20周年をやり切った今、TMについては諦観の様子もあったのかもしれない。
一瞬思ったりもしたんだよ、この5人で新たなバンドを組んだらどうかと。
万が一にも、TMが完全解散したら、どうなるだろうかとも考えたよね。
以上を見るに「Spin Off from TM」は、木根よりもウツ側、さらに言えばスタッフ側の主導性が強かったように見える。
実はこの時にスタッフが第2の「tribute LIVE」開催を推進したのは、TM20周年の余勢を利用したひと稼ぎというだけではなく、もう少し事情があった可能性も考えられるのだが、それについては別章で触れることにしたい。
このように様々な問題が伏在する中で本ツアーが開催されたことを受けて、当然ながら小室抜きの活動が恒例化することに危惧を抱くファンも多かった。
実際にこの2年後には、tribute LIVE第3弾として、「Spin Off from TM 2007」が開催される。
ただ一方で、「Spin Off from TM」はファンと楽しむライブを目指したこともあり、観客には好意的な意見も多かったようだ。
本ツアーはtribute LIVE第2弾とされたことから分かるように、2003年の「tribute LIVE」を引き継ぐツアーという位置づけだった。
そのため2003年と同様に、音源は浅倉が作成し、また基本的にはオリジナルアレンジの再現が志向された。
ただし「Your Song」「Twinkle Night」など、浅倉独自のアレンジが加えられた曲もある。
2003年には「終了」以前の定番曲を中心にセットリストが組み立てられたのに対し、「Spin Off from TM」では2003年に演奏されなかった曲を中心に選曲された。
そのためこの時は、「終了」以前でもレアだった曲が多く選ばれることになった。
時期的なバランスも取られており、選曲は「終了」以前の全アルバムから行なわれている。
また「tribute LIVE」と違い、「終了」後の曲も対象とされた。
「Spin Off from TM」の地方限定曲(後述)以外の選曲で「tribute LIVE」とかぶるのは、「Get Wild ‘89」「Self Control」「You Can Dance」「Dive Into Your Body」の4曲だけである。
再始動後のTMフルライブで演奏された曲とのかぶりを考えても、これに「Be Together」が加わるのみである。
大部分は1994年以来11年以上ぶりに演奏された曲だったことになる。
選曲は2月から考え始め、3月には確定していたが、TM本体では絶対に演奏しなさそうな曲を選ぶ方針だったという。
あまりポジティブな印象を受けない選曲基準ではあるが、20周年ライブのフォロー企画としては悪くなかったかもしれない。
ライブで特に目玉とされたのは先述の「Your Song」「Twinkle Night」で、3人が出演した3/12東海ラジオ特番「Spin Off from TM」でも両曲を演奏することが特にアピールされた。
両曲は1985年のミニアルバム「Twinkle Night」に収録されるが、本作リリース後のツアーはなかったため、ライブでの演奏の機会は当時も非常に乏しかった。
「Your Song」は1987年「Fanks! Bang The Gong」で演奏されたことがあるが、「Twinkle Night」はクリスマスのライブやファンイベントで臨時に演奏されたことがあるくらいである。
その他にも特にライブ前半はレア曲尽くしで、たとえば「雨に誓って」「クリストファー」「This Night」「TIME」「Girl Friend」などは、「Tour TMN EXPO」のフォークパビリオンを除き、TMでは80年代以来演奏されてこなかった。
「Jean Was Lonely」「Another Meeting」などTMN期の曲もレアである。
なお「雨に誓って」「Jean Was Lonely」はツアー冒頭で続けて演奏されたが、これは2004年年末にリリースされたファン投票ベスト「Welcome to the Fanks!」に収録されたことが影響しているのだろう。
また再始動後の楽曲は、ライブの機会が限られたため、ほとんど演奏されていなかったものも多かったが、「Spin Off from TM」ではこうした曲もいくつか救済された。
たとえば「Castle in the Clouds」はシングル曲にもかかわらず、フルライブでの演奏はこの時が初めてだった。
また「it’s gonna be alright」「80’s」は管見で史上初の演奏になる(「80’s」は木根ソロでの演奏例があるかもしれない)。
あるいはこれも「Welcome to the Fanks!」に収録されたことが関わるのかもしれない。
本ツアーでは大部分の会場で、2日続けて公演が催された。
これは日替わり曲を数曲用意して、各会場の初日と2日目のセットリストを変更したためである。
全18曲中、ツアー前期には6曲、後期には5曲が日替わりだった。
日替わり曲を入れてツアーの動員を稼ぐことは、他ミュージシャンではしばしば見られるもので、ウツのソロライブでも行なわれたことはあるが、TM本体では「終了」ライブ「TMN 4001 Days Groove」以外に行なわれたことがなかった。
だが「Spin Off from TM」でうまく動員に結びつけられたためか、日替わり曲は2007年の「Spin Off from TM 2007」でも採用され、2008年にはTMの「SPEEDWAY and TK Hits!!」でも設けられた。
その点で「Spin Off from TM」は、次期TMの活動の前史として見ることもできる。
なおライブ会場は「tribute Live」でも半分がライブハウスだったが、「Spin Off from TM」では全部がライブハウスになった(ほとんどがZepp)。
これはウツソロと同程度の会場である。
ホールよりも小規模な会場で公演数を増やし(「tribute LIVE」の9公演から倍増して16公演)、リピーターとなる固定ファンに頼って動員総数を稼ぐ方針に転換したともいえる。
さらに遠征を行なうディープなファンの動員も期待していたようで、本ツアーでは地方ごとの特別曲枠も1曲ずつ用意された(DVD収録用の横浜Blitz公演のみ無し)。
「Spin Off from TM」は横浜を除き7会場で開催され、地方限定曲は8曲用意された(Zepp Tokyoは4月2公演と5月2公演で別の曲を演奏)。
これらの音源は公演後6/30まで、ORICON STYLEのサイトで期間限定で配信された。
日替わり音源の配信は、熱心なファンほど嬉しかっただろう。
この点はとても有意義な企画だったと思う。
後のTMでも採用してほしかったものである。
なお詳細は別章で扱うが、ライブ音源配信はこの頃M-tresが行なっていた試みと関わるものである。
すなわちウツはこの頃新たな活動形態を試みていたが、その最初の試みがCDではなく配信音源による新曲発表だった。
ウツの配信音源第一弾は「Slash!」だった。
配信日は2005/3/23で、「Spin Off from TM」開始の約半月前だった。
以後新曲の配信は毎月1回、2年近く行なわれることになる(着うた・ORICON STYLEで1曲210円で配信)。
配信日とツアー開始の日程の近接は偶然ではないだろう。
ウツの新しいソロ活動の宣伝を行なうことは、「Spin Off from TM」の一つの使命だったと考えられる。
実際に「Slash!」は本ツアーでも演奏された。
先に挙げたツアー告知文で新曲の発表がほのめかされたのも、一見するとTMの新曲と期待させられてしまうが、実際にはウツと木根の新曲のことだった。
ここまで触れていなかったが、「Spin Off from TM」のテーマとして掲げられたものに「温故知新」があった。
「昔のことを尋ねて新しいことを見出す」というのは、過去のTM曲を演奏するとともに、ソロの新曲も聞いてもらうことをポジティブに言い換えたものである。
「Slash!」の作詞は井上秋緒、作曲・編曲は浅倉大介だった。
配信第3弾「Dawn Moon」も同じ制作陣である。
一方配信第2弾「Hold on blue」と第4弾「Lost Sky」は、ともに作詞井上、作曲木根で、編曲は葛城哲哉・Ch@ppyだった。
Ch@ppyは当時葛城哲哉が組んでいたバンドTrance Noise Machineのメンバーである。
浅倉・木根・葛城が関与したこれら4曲の制作陣は、「Spin Off from TM」との関わりの中で選ばれた。
「Spin Off from TM」では、ウツだけでなく、木根と浅倉にもソロ曲の演奏枠が設けられていた
木根については、TM曲「Looking At You」「月はピアノに誘われて」から1曲(日替わり)を演奏した後、続けてソロのニューシングル「My Best Friend」が演奏された。
この曲についても、詳細は別章で触れることにする。
浅倉の演奏曲は日替わりで2曲用意された。
1曲は「Quantum Mechanics Rainbow Ⅵ」、1曲は「Techno Beethoven」である。
前者は2004~05年に7枚連続でインディーズからリリースされた「Quantum Mechanics Rainbow」シリーズに収録されている曲である。
「Quantum Mechanics Rainbow」シリーズは、3/3に最後の「Red Trigger」がリリースされたばかりだった。
また後者は2002年「21st Fortune CD」に収録された曲である。
なお浅倉は「Spin Off from TM」開催直前の3/25・26に、東京国際フォーラムでソロライブ「Quantum Mechanics Rainbow」を開催している。
「Spin Off from TM」のリハーサルはその後から始まったが、音源の準備などもあっただろうから、浅倉にはそれなりに負担だっただろう。
本ツアーのステージ上の配置は、前方中央にウツ、観客側から見てその右に木根、左に葛城、後方は観客から見て右に浅倉、左に阿部というものだった。
「tribute LIVE」と比べると、左右の配置が逆になっている。
ステージの背景と床にはツアーのロゴマークが貼られた(床は2階席からしか見えなかっただろうが)。
演出や機材などにアピールすべき工夫は特になく、その点ではいかにも過去の曲を演奏するだけのライブだった。
「tribute LIVE」のようなお遊びコーナーやフォークコーナーもない。
その中であえて一つだけ挙げれば木根のベース演奏があり、ソロ曲「My Best Friend」およびアンコール曲「You Can Dance」で披露された。

木根尚登・オン・ベース
「Spin Off from TM」開催に当たっては、関連商品が少なからず発売された。
ウツの新曲配信・木根の新曲CD・ライブ日替わり曲配信についてはすでに触れたが、他に「tribute LIVE」のDVDリリースもあった。
実に2003年の公演から2年越しのことである。
これはウツのソロDVDと同様に、一般の流通には乗らなかったが、FCで先行販売された他、ツアー開始日の4/8からはライブ会場およびmagneticaのwebshopでも販売され、ツアー終了後には在庫品が新星堂でも取り扱われるようになった。
最後に、「Spin Off from TM」に関する商品を整理しておく。
本作についてはライブDVD「Spin Off from -tribute LIVE 2005-」が最良の資料で、FC・新星堂で販売された。
新星堂で売られた通常盤は2005/10/1リリースである。
「tribute LIVE」のDVDと違い、ライブ開催から半年で速やかに商品化された。
DVDに収録された4/28の横浜Blitz公演は、収録を前提にFC会員限定で開催されたライブで、2日分のセットリストを組み合わせた特殊な内容である(その点で通常のツアーとは少し趣が異なる)。
具体的には、ファンの間で需要が大きかった見られる日替わり曲「クリストファー」「This Night」、「Your Song」「Twinkle Night」、「Self Control」「Get Wild ‘89」を両方演奏し、代わりに日替わり曲「it’s gonna be alright」「80’s」を両方外した上、「TIME」や地方曲も演奏されなかった。
木根ボーカル曲では「Looking At You」は演奏されず、「月はピアノに誘われて」が選ばれた。
なお本ツアーは横浜Blitz公演の前後でセットリストが変わった。
具体的には4/30のZepp Sendai公演以後「TIME」が削られ、「Your Song」「Twinkle Night」が両方演奏されるようになり、また追加公演の5/7・15には、アンコールの「Another Meeting」がChuck Berry「Johnny B. Goode」のカバーに差し替えられた。
以上の如くセットリストの変更が行なわれたため、DVDでは「it’s gonna be alright」「80’s」「Looking At You」「TIME」「Johnny B. Goode」の5曲を見ることはできない(「Johnny B. Goode」はそんなに需要はないだろうが)。
また通常盤ではウツ・木根・浅倉のソロ曲も収録されていない(後述の通りFC盤には収録)。
特に「it’s gonna be alright」「80’s」はTM史上一度も演奏されたことがなく、tribute LIVEではあっても、是非入れてほしかった曲である。
「TIME」もこの時点では映像がまったく存在しなかった上、個人的にも好きな曲だったので、入れてほしかったところである。
ただしライブ参加者にとってもっとも気になったと思われる地方限定曲については、意外な形で救済された。
「Spin Off from TM」のDVDと同時にリリースされたドキュメントDVD「Spin Off from TM -8 songs, and more.-」に、スタッフ資料用の固定映像ではあるが、全曲が収録されたのである。
この時の企画は、本当に丁寧にフォローされているという印象である。
なお「8 songs, and more.」には、ウツ・木根・浅倉が地方曲8曲について思い出を語る映像と、曲の演奏シーンが収録されている。
またエンディングのスタッフロールでは、BGMにTMの「Presence」のインストが収録されており、意外と貴重な音源である。
この2枚のDVDは、FCでは一商品として先行販売された。
またFC盤にはソロ曲を1曲収めた特典ディスクもついており、合計3枚組となっていた。
つまりウツFCのmagneticaで申し込むと、ウツソロ「Slash!」のディスクが付いてきたということである
木根FCなら木根の「My Best Friend」、浅倉FCなら浅倉曲「Quantum Mechanics Rainbow Ⅵ」である(「Techno Beethoven」は未商品化)。
これをすべて揃えるためには、3人のFCに入って3種類のDVDを購入しないとならないが、私はいまだにこれを成し遂げたファンを知らない。
ここまでハードルが上がるとファンとしても手を出す気は失せるだろうし、FC側も全部を買わせることは念頭になかったと思う。
ただ金にこだわらなければ、FC盤3種類を全部揃えれば4/28に演奏された曲の映像はMCを除いてすべて揃う上、地方曲の様子も知ることができる(日程の都合で収録されなかった6曲は残念だが)。
なお通常盤のライブDVDは5500円、「8 songs, and more.」は4800円、3枚組FC盤は1万円だった(税込み)。
この値段設定を見ると、ライブ2本の映像をほぼすべて収録したTMの「Double-Decade Tour "NETWORK"」が1万円で売られたのは、当時は高いとも言われたが、良心的だったといえる。
音源としては、地方曲がすべて期間限定で配信されたことは、先に述べた通りである
他に2007年にiTunesで配信された「TM NETWORK tribute LIVE EP Edition #1~3」には、各Editionごとに「tribute LIVE」「Spin Off from TM」の音源が2曲ずつ収録されている。
その内の「Spin Off from TM」の音源は、「Get Wild ‘89」「Be Together」「Dive Into Your Body」「Girl Friend」「Self Control」「Castle in the Clouds」となる。
なおmora版は内容が異なり、「Dive Into Your Body」「Girl Friend」「Self Control」の代わりに、「クリストファー」「月はピアノに誘われて」「You Can Dance」が収録されている。
また2010年にiTunesで配信された「TM NETWORK tribute LIVE 2005」の「Lead」「Second」には、「Jean Was Lonely」「雨に誓って」「クリストファー」「This Night」「月はピアノに誘われて」「Your Song」「Twinkle Night」「Another Meeting」の音源と、「Dive Into Your Body」「Self Control」の映像が収録されている。
これら配信音源を網羅すれば、地方曲とソロ曲を除く全DVD収録曲(15曲)の視聴が可能である。
ただしDVDが入手できれば、これらはまったく不要である。
以上が本ツアーの概要である。
具体的な内容については、次章で見ていくことにしよう。
![SPIN OFF from TM-8songs,and more.- [DVD] - 宇都宮隆](https://m.media-amazon.com/images/I/518fDzZMGgL.jpg)
SPIN OFF from TM-8songs,and more.- [DVD] - 宇都宮隆
この記事へのコメント
とは言え「Gift for Fanks」「TMN」がフォローされなかったのは残念です。。特に「Rhythm Red Beat Black」は「TMN」収録版を編集した物でこのバージョンが定番になってしまってる状況は如何なものかとDVDの頃から思っていましたが...今回セルコンが特典で採用されたのは内容が重複しないと判断されたのでしょう。今回のリリースはライト層向けでしょうから過剰な重複を避けた意向も感じられますが...
DECADEの3D映像が通常で差し替えられたのは、憶測ではありますが素材発掘は前々から行われていて(2017年のゲワイ復刻時のネットラジオでの木根さんの発言。「倉庫をくまなく探して」から)今後の素材で使えそうなものとしてキープしてたのでしょうか...そのタイミングでCRY-MAXの追加映像やドラフェス、グリニッジの素材が見つかっても不自然ではないでしょうし。まぁ明らかに小出ししてる感はありますね。実際ゲワイ89のショート版も寝かせてたわけですし。流石に今回の煽り文句で「奇跡的に」を使わなかったのはここ数年で乱用し過ぎてるのを意識してでしょうが。。
ファンはその性格が好きなんですよ。
お元気そうでうれしいです!
見た目も思いっきりかっこよくして出てきて欲しいです!
さて、このSpin Offですが、私は大阪と福岡の計4公演に行きました。前年の20周年の後だけに、どんなに頑張っても虚しさのようなものを拭えませんでした。曲については「雨に誓って」と「Yuour Song」の良さは、このライブがきっかけで感じられるようになったように思います。
また、本論からはずれてしまいますが、このブログを開始されたのは2006年だったと記憶しています。おそらく、この頃には準備を始められていたのではないでしょうか。是非とも、一章を使って、このブログが始まった時のことなどを記述して頂ければなと思いました。幸い、私はその時期に惑星様にお会いする機会がありましたが、まさかこのようなことを考えておられるとは、気づくことさえ出来ませんでした。楽しみにしています。それでは、梅雨の時期ですが、健康にはお気を付けて。
まさに、そのようになってきているようで、とてもうれしいです。
書籍についての情報提供です。1つ目は、渡辺美里さんの歌手デビュー35周年を記念して出版された「ココロ銀河~革命の星座~」(朝日新聞出版)です。美里さんが、小室さんとの関係について言及していました。
2つ目は、「平凡Special 1985 僕らの80年代」(マガジンハウス)です。この中では、木根尚登さんがインタビューで登場し、TMや美里さんなどについて述べていました。
https://www.sonymusic.co.jp/artist/TMNetwork/info/519475
Gift~とTMNは、AKAさんのよう完全にコレクションしたいと思う方なら思うところがあるでしょうが、それを望む顧客がどの程度いるのかというシビアな問題がありますからね。
Self Controlでも単品での商品化が難しいからおまけにしたわけで、Gift~とTMNに関してはなおさら、ということと思います。
3Dの件はおっしゃる通り以前の素材調査の成果でしょう。きっと30周年の時にとっておいたネタだと思います。
個人的にこれだけは少し気になるんですが、そのために6000円払う気にはならないので、今回はスルーします。
>サキコさん
スネ気味なフリしてチラチラと様子を見てる感じですね。
多分世間が褒めだしたら出てくるんじゃないかと思うんですが、まあそれは難しいでしょうね。
なんとかライブにまで引きずりだしたいところです。
見た目は本体が老化が進んでいるのは否めないですが、服装は相変わらずおしゃれだなあと思います。
>やまびこさん
パニーラの件は存じ上げませんでした。
tweetを消しちゃったというのは、なおさら重大事だったことを匂わせますね。
まあ、もうCAROLはいいだろうという気もしますけど、Get Wild、ガンダム、七日間戦争をスルーしちゃったし、仕方ないのかな。
ブログを始めたのはたしかに2006年でした。ブログ開設に対したエピソードはないので、わざわざ記事にしても仕方ないかと思っていますが、少なくとも2005年にはまだブログは考えていなかったです。ただ20周年後のおまけイベントと思っていたSPIN OFFが終わった後、TMが何も動き出さない(むしろ3人とも不自然なほど触れようとしない)状況を見て、「TMは20周年で終わった」という感を強めたことで、歴史をまとめようと思ったところです。
その意味では本来本ブログでまとめるべき歴史は先々月くらいで終わったわけですが、意外とその後もTMが続いてしまいましたね。
>poco
おっしゃる通り、小室さんが曲を作りたくなっていて、それを人に聞いてほしくなっているというのは大きいですね。
そこが一番だいじなところですので。
最初の一歩を踏み出すのが大変な勇気であることは理解できますが、我慢せず出てきてほしいです。
>秘密結社まゆゆさん
初めまして。情報提供ありがとうございます。
平凡スペシャルは前記事でharuさんのレポートをコメント欄でいただきました。TMもこういう過去を懐かしむ特集で取り上げられる感じになってきましたね。
美里本の話もそういえばありましたね。
具体的なところまで話が出ていたんでしょうかね。
>haruさん
毎回企画を立てるたびに何かのミスをしますが、今回のはなかなかの大ポカでしたね。
その件については、近日中に某サイトで事情が明かされるはずです。
GIFT,TMNは気づいたら廃盤になってた悔しさもありましたね...そのうち買おうと思ってたら、というのは甘かったです...
実は去年のBD-BOX、オンライン上で品薄になりつつありますので、まだ持ってない方も今度のYouTube等で興味が出たら給○金使ってでも手に入れた方がいいと思います。後に何作か単品再発されたとしてもSTARCAMP TOKYOは契約上絶対再発しないと思いますので...
あと朗報ですがSPIN OFF開催に合わせて旧作の再発(BD-BOX)も決まったそうです。
https://magnetica.net/information/?p=5753
こちらのブログで関心が出た後追いのファンには朗報ではないでしょうか。
https://enamae.net/
をご存知でしょうか。これに「小室哲哉」と入力すると、興味深い結果が出ました。天格、人格、地格、外格のいずれも「凶」なのに、総格は「大吉」なのです。
「努力によっては成功をつかんでも、大きなアクシデントでそれを失うかもしれません。人生に浮き沈みが多く、うまくいっているように見えても内実は苦労ばかりです。」
「努力によっては成功をつかんでも、大きなアクシデントでそれを失うかもしれません。人生に浮き沈みが多く、うまくいっているように見えても内実は苦労ばかりです。」
「孤独で家族の縁に薄く、人間関係が不安定です。」
「誘惑に弱く、異性関係では要注意。」
姓名判断は、どこまで科学的根拠があるのか分かりませんが、小室さんについては、かなり当たっていような・・・。
サイトを作った人が「小室哲哉」でこういう結果が出るように作ったのかもとか勘ぐり。