7-37 TM NETWORK -REMASTER-①
2/27と3/6、ウツと木根さんがニコ生に出演しました。
2/27は「tribute live SPIN OFF T-Mue-needs Tour Blu-ray」視聴会、3/6は「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク〜ハタシテ?ドチラが勝つでショー〜!」視聴会です。
FC盤Blu-rayの申込締切が3/7のため、その販促のために企画されたものです。
また4月から開催される「K-Folk 2021」と5月から開催される「LIVE UTSU BAR 2021〜それゆけ歌酔曲!〜」の宣伝も行なわれました。
内容はウツと木根さんがライブ映像を見ながらコメントをするという、他愛もないものですが、意外と知らなかったネタも出ました。
たとえば「CAROL Tour」で当初は松本孝弘さんが空を飛んで襲い掛かってくる演出が想定されていたのに(松本さんは悪魔役なので自然な設定です)、事務所から制止されたため、木根さんが空を飛んでキャロルを救いに来る演出に変わったという話などは、多分これまで出たことがなかったのではないでしょうか。
(追記:本記事のharuさんコメントによれば、すでに語られていたようです)
木根さんが高校卒業後に開催したプログレのソロライブというマニアックな話題も出ましたが、この時はウツもアコギとコーラスでサポート参加したそうです。
ウツがコーラスで木根さんがメインボーカルのライブだったんですね。
最近の話では、本来「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク」で小室さんが参加するのは1曲だけだったけれども、「あの素晴らしい愛をもう一度」でも参加することが、当日のリハーサルで決まったということが分かりました。
小室さん、出たかったんでしょうね(笑)
番組の最後には木根さんが、次回は小室さんも含めた3人で出たいと言っていました。
2/24には「Digitalian is eating breakfast Special Edition」「tk-trap Re:2021」がリリースされました。
意外なことに「Digitalian is eating breakfast Special Edition」は、2/23付けアルバムデイリーチャートで8位、2/24付けで40位を獲得しました。
週間チャートでは19位・2714枚です。
また「tk-trap Re:2021」は、2/23付け音楽BDデイリーチャートで3位、翌日も8位に入りました。
週間では4位・1318枚です。
マジですか!?
まあ冷静に見れば、売上自体は大したことないんですが、ランキングだけならなかなかのところに行きました。
最後に、2/26に山田桂子氏がavexのサイトで直筆メッセージを公開し、小室さんとの離婚が成立したことを発表しました。
すでに2019年には離婚協議に入っていることが報道されており、同年10/21に5回目の調停が行なわれていたとされています。
調停は26ヶ月にわたり行なわれたとも報道されていますので、調停期間は2019年1月から2021年2月ということになります。
報道後小室さんがどれくらい叩かれるかと危惧しましたし、実際にゴシップ誌は盛んに書きたてましたが、話題としても賞味期限を過ぎたのか、大して盛り上がらなかった印象です。
本件がすっきりしたことで、小室さんが音楽活動に専念できる環境が整えば嬉しいです。
あと決着がついたことですし、小室さんにこれ以上圧力をかけても取れる金額が増えるわけではないので、先方の方々もゴシップ誌にネタを提供し続けることは、いい加減にやめてほしいものです。
今回小室さんは、相応の財産分与を行なったと報道されています。
2008年の逮捕時に松浦さんに負った借金の返済は2023年となっていますが、その返済はちゃんとできるのでしょうか。
小室さんには、なにとぞお仕事を頑張っていたただければと思います。できればTM中心で。
まとまった収入を期待できるコンテンツとなると、結局TMが一番有効と思うんですよね。
以上、近況の整理でした。
それでは本題に入ります。
-------------------------------------
これまで触れてきたように、2004年以来止まっていたTMが動き出したのは、2007/11/2・3にパシフィコ横浜で開催される「楽器フェア 2007」のライブイベントへの出演打診がきっかけだった。
このライブは2007年8月には、「TM NETWORK -REMASTER-」というタイトルで発表された。
SONYは2004年のTM20周年に合わせて、過去音源をBOXやベスト盤の形で再発売し、2007年にもBOX収録のアルバムのバラ売りを行なった
これらの音源は再マスタリング処理が施されたが、それは「リマスター」と呼ばれた。
この頃はTMに限らず過去作品のリマスター盤再発がよく見られたが、それをこの時はライブタイトルとして取り入れたのである。
それまでTMのライブは、「終了」ライブという特殊な位置づけだった「TMN 4001 Days Groove」を除き、スタジオのオリジナル音源とは大きく異なるアレンジで演奏されるのが常だった。
2004年の「Double Decade “NETWORK” in YOKOHAMA ARENA」に始まる20周年ライブも、過去曲の多くがトランスアレンジで演奏された。
これらはいわばライブ用の「リミックス」というべきものであり、それがTMライブの醍醐味でもあった。
ところがこの時掲げられたのは、「リミックス」ではなく「リマスター」だった。
このタイトルは、オリジナル音源にライブ用のアレンジを加えるのではなく、原曲のアレンジを高音質でリスナーに届けることを目指したものと解することができる。
たとえば小室は2007/9/20「スポーツ報知」の記事で、以下のように語っている。
実際に「楽器フェア」(以後「TM NETWORK -REMASTER-」パシフィコ横浜公演をこのように表記)では、楽曲のライブアレンジが大幅に加えられることはなく、原曲に準じたアレンジで演奏された。
この頃は「Get Wild」がオリジナルのままで演奏することもアピールされた(変わったアピールだと思う)。
またもう一点、「みなさんが知っている曲」から選曲するという方針も示されている。
誰が来ても楽しめるように、メジャーな曲でセットリストを組み立てるヒットメドレー形式を採るということである。
この方針は、定番曲をほとんど排し新曲を軸に据えた「Tour Major Turn-Round」などとは大きく異なるものである。
こうした方針になったのは、アルバムリリースを前提とせずに企画されたライブだったこともあるだろう。
シングル「Welcome Back 2」はライブ開催直前にリリースされたが、これだけではライブの軸とすることはできない。
ヒットメドレー的ライブになることは必然的だったともいえる。
小室は当時のインタビューで、「せっかくやるならみなさんに喜んでもらえるものをやろうと思った」とも発言している。
小室は自らの目指す音を提示するのではなく、観客の求めるものに応じようとする姿勢を示した。
こうした方針を採用したのは、「自分が好きなロックバンドのライブDVDを観ても、コンサートに行っても、知っている曲が次々に出てきた方が圧倒的に楽しいから」という理由だと、小室は語っている。
木根が8月のライブMCで語ったことによれば、小室はChage & Askaのライブを見に行ったが、知らない曲ばかりでつまらなかったと言っていたという。
これは7/22にNHKホールで開催された「Tour 2007 Double」のことと考えられる。
ニューアルバム「Double」を軸にしたツアーだった。
おそらくこの体験に基づいて、小室は「みなさんが知っている曲」という基準を作ったのである。
小室がこれまで自分がやりたい音楽に徹底的にこだわってきたことを考えると、この時の基準はいかにもファンにおもねったものという印象を受ける。
小室は自信を失い、何をやるべきかを自らの音楽的関心からは提示できない状態だったのかもしれない。
この時に選曲されたのは、大部分が1987~88年の楽曲だった。
「楽器フェア」で演奏された曲を見ると、非インストの14曲中、9曲がこの時期の楽曲である。
特にこの時は、「Beyond The Time」を演奏することがアピールされた。
意外なことに、この曲のライブ映像は、これ以前に一度も商品化されていない。
知名度の割には演奏頻度が低かったことも事実で、これを聞きたいというファンの声もあったのだろう。
他に演奏されたのは、TMN時代の3曲(1990~91)と、ニューシングル「Welcome Back 2」およびそのカップリング「N43」である。
1986年以前の楽曲や、新曲以外の再始動後の楽曲は1曲もない。
その長いキャリアにもかかわらず、1987,1988,1990,1991,2007の5年間に発表した曲だけでライブを行なったことになる。
要するに「楽器フェア」は、TMが売れていた時代を重点的に振り返るライブだった。
この点は、「Welcome Back 2」のコンセプトに通じるものでもある。
なお実際には演奏されなかったが、「Dreams of Christmas」も候補に挙がっていたことが知られる。
同じクリスマスソングの「N43」とセットで演奏する計画だったのだろうか。
もう一点、このライブについて触れておかねばならないのは、小室の関与の少なさである。
本ライブのリハーサルは10/27~31に行なわれたが、小室はあまり現れなかった。
おおまかな演奏曲候補は3人で考えていただろうが、細部についてはリハーサルスタジオで詰める予定になっていた。
だが小室は曲順を決める段になっても現れなかったため、リハーサルは難航したらしい。
これは小室がサボっていたのではなく、前回の記事で触れたように、「SPEEDWAY」のレコーディングのためである。
本来「SPEEDWAY」は10/20以前にレコーディングを終えているはずだったが、これを1週間過ぎても終わっておらず、TMはレコーディングとリハーサルを同時にこなさざるを得なかった。
特に音源作りを担当する小室には余裕がなかった。
小室は10/28には体調を崩して病院に搬送され、翌日もリハーサルに顔を出さなかった。
この間はウツがその場を仕切ることになった。
その後もリハーサルの期間はもちろんのこと、ライブ当日の早朝までレコーディングは続いた。
満足なリハーサルができなかったことは推測できる。
「楽器フェア」で演奏ミスが目立ったのも、これが一因だろう。
こうした中で用意されたライブ音源の作成に、小室が深く関与したとは考えられない。
おそらく音源作りはスタッフに丸投げしており、ライブ当日の事前リハーサルで微調整を加える程度だっただろう。
これは原曲通りに演奏するというコンセプトだからこそ可能だったとも言えるが、逆にいえば小室はこのコンセプトを提示した時点で、音源制作はスタッフに丸投げするつもりだったのかもしれない。
TMは前回の「Double-Decade “NETWORK”」ではバンド色を排し、葛城哲哉のギターを除くほぼすべての音を小室がリアルタイムミックスによって制御するという、挑戦的な試みを行なった。
だが「楽器フェア」では生のギター・ベース・ドラムが加わり、一般的なロックバンド編成によって演奏された。
その点では「Double-Decade “NETWORK”」の前に開催された「Tour Major Turn-Round」に近い形だった。
以上のように「楽器フェア」は、オリジナルアレンジ・著名曲中心・音源制作丸投げ・バンド演奏という特徴を持つライブだった。
この特徴から受ける印象は人によって異なるだろうが(たとえば著名曲中心というのは歓迎する観客もいただろう)、私としてはバンド演奏という要素以外については、久しぶりのライブだったのに非常に残念な思いを感じたというのが正直なところである。
ただオリジナルアレンジでの演奏については、おそらく前例があった。
これ以前の2003~07年に開催された「tribute LIVE」「Spin Off from TM」「Spin Off from TM 2007」である。
これらのライブは過去の楽曲の魅力を伝えるために、TM楽曲をオリジナルのままで演奏するというコンセプトだった。
「楽器フェア」のライブスタッフも、中心は「tribute LIVE」等と同じく、ウツ事務所のM-tres関係者だったと考えられる。
ウツ・木根によるオリジナル演奏のライブが常態化していたことは、積極的なプランがなかった小室がライブの構想を行なうに当たり参考にされた可能性がある。
しかも3回も開催されたことから分かるように、「tribute LIVE」を支持するファンも少なくなかった。
TMの活動が行なえない間のつなぎとして開催されてきたtribute LIVEの形式が、本体のTMの活動に影響を及ぼしてしまったということもできる。
「楽器フェア」のセットリストは、オープニングでインスト曲をSEとして流し、2~3曲ごとにMCを挟み、インスト曲の後で最後の盛り上げ曲を続けて演奏するという、tribute LIVEと同様の構成だった。
これはウツ・木根中心で曲順を決定したことによる必然的なものといえる。
その意味でも本ライブはtribute LIVEの延長としての性格がある。
「楽器フェア」の公演時間は、100分超に過ぎなかった。
この間にMCやアンコール待ちの時間もあったので、実質的な演奏時間は80分程度である。
再始動後は「Tour Major Tunr-Round」「Double-Decade “NETWORK”」など短時間のライブが続いていたが、それでも2時間近い時間は確保されていた。
「楽器フェア」と同程度の公演時間だったライブとして、「Log-on to 21st Century」があるが、後者が短時間になったのは、本来対バンとして企画されたものが直前にワンマンライブに変更されたという事情もあった。
「楽器フェア」はこうした特殊なライブと同程度の短さのライブだった。
ただしこれはTM側の事情というよりも、「楽器フェア」主催者側の事情で、公演時間が制限されていたものかもしれない。
後述の追加3公演では、いずれも2時間近い公演時間となっている。
演奏曲数はインストを除き14曲である。
「Double-Decade “NETWORK」「Double-Decade Tour」は16曲、「Double-Decade Tour Final」は17~19曲であり、しかも長大なライブアレンジが施された曲も含まれた。
これらと比べると「楽器フェア」は、やはり物足りないライブだったと言えるだろう。
さて、TMの活動再開に当たって当初予定されていたのは、出演打診を受けた11/2・3の「楽器フェア」だけだった。
だが前章までで見てきたように、TMはこれを引き受けた後、シングル・アルバムのリリースを決定した。
おそらくこれと合わせて、「楽器フェア」以外のライブも開催することを決めたらしい。
ライブタイトルを単に「楽器フェア」とせず、「TM NETWORK -REMASTER-」という独自のものを付けたのも、おそらくこのことと関わるだろう。
9月半ばには3人のFCで、シングル「Welcome Back 2」のリリースおよび11/26・27の渋谷C.C.Lemonホール公演と12/3の日本武道館公演の開催が発表された。
結局「TM NETWORK-REMASTER-」は、「楽器フェア」も含めて全5公演となり、すべて首都圏で開催された。
小室や木根は「REMASTERツアー」と言っており、ライブツアーという認識だった。
渋谷公演と武道館公演のセットリストは、横浜の「楽器フェア」から変更になった。
具体的にはライブのオープニングSEが、「楽器フェア」は「nuworld」、渋谷公演は「EXPO」、武道館公演は「Malibu」となった。
また「楽器フェア」の演奏曲の内、渋谷公演では「Here, There & Everywhere」「N43」「Wild Heaven」の3曲が除かれ、代わりに「Love Train」「Come On Everybody」「Action」が追加された。
武道館では以上の入れ替わり6曲の内、「Here, There & Everywhere」を除く5曲が演奏されたため、演奏曲数としては2曲増えた。
特に変わった演出があったのは渋谷の2公演である。
この2公演は小室の誕生日11/27に前後して設定されたが、小室はサプライズのバースデーケーキなどはいらないから、好きなことをできる時間をプレゼントして欲しいと、スタッフに交渉した。
小室がこの時間で行なったのは、当時小室がデビューさせようとしていたバンドPurple Daysの出演だった。
彼らはこれがバンドとして初めてのプロのステージだったと考えられる。
この時はオリジナル曲「Shine of Love」「あなたが笑う度、恋をする」の2曲を披露している。
なお渋谷公演でのTMの演奏曲数は「楽器フェア」と同じだったが、Purple Daysの2曲があったため、時間は合計2時間程度になった。
武道館も公演時間は同じ程度だったが、Purple Daysの2曲が削られた代わりに、TM曲が2曲増えた。
「TM NETWORK -REMASTER-」5公演では、いずれも凝った演出は見られなかった。
ただ渋谷・武道館公演では、ステージの後ろにタイムマシーンを意識したと思しき巨大な時計のオブジェが置かれた。
これは「SPEEDWAY」のジャケットにも見られるもので、翌年の「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」でも使われた。
ライブパンフレットは「楽器フェア」では作られなかったが、渋谷・武道館公演では販売された。
内容は、「楽器フェア」の写真・レポートを中心にしたものである。

サポートメンバーは、ギター北島健二、ベース吉田建、ドラムそうる透である。
北島・吉田は2002年のイベント「Laugh & Peace Premium Night」でもサポートを務めたことがあるが、吉田はフルライブでのサポートは初めてである。
北島は「4001 Days Groove」「Double-Decade Tour Final」でサポートを務めたことがあるが、前者は葛城哲哉との共同サポートで、後者は冒頭6曲とアンコールのみのサポートだった。
北島とTMの長い交友関係を考えると少々意外だが、TMのフルライブを通して1人でギターを担当したのは、この時が初めてと思う。
そうる透は「Welcome Back 2」のレコーディングにも参加しており、その縁でサポートを依頼されたものだろう。
THE ALFEEのサポートなどを務めてきたベテランドラマーで、実は小室と同い年である。
ライブでは強く主張するドラムプレイを披露したが、これは生ドラムのなかった「Double-Decade “NETWORK”」と比べると、大きな相違点である。
このサポート陣は、それまでのTMのライブとはかなり様変わりしたものとなっている。
北島とそうるは翌年の「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」でもサポートを務めており、この時期の音を特徴付けていると言って良い。
なおギターのサポートは、1990年の「Rhythm Red Tour」以来、葛城哲哉がすべてのフルライブを担当してきたが、この時から外れることになった。
ライブステージ上の配置は、客席から見てウツが前方中心におり、小室が右、木根が左にいた。
小室と木根の位置は「Log-on to 21st Century」「Tour Major Turn-Round」と逆で、「終了」前の配置に戻った。
ステージ後方には、中央にそうる透、右に吉田、左に北島がいた。
これは横浜・渋谷・武道館に共通する。
衣装は各会場で変化した。
「楽器フェア」では、ウツが黒のシャツの上に赤茶のジャケット、小室が白の半袖Yシャツの上にベージュのジャケット(ジャケットは途中で脱ぐ)、木根が黒地に柄付きのTシャツの上に黒のポイント入りの白いジャケットを羽織った。
木根は普段と雰囲気の異なるサングラスをかけており、一瞬電撃ネットワークの南部虎弾に見える。
風貌としては、3人ともイケていると思う。
渋谷公演は、木根は横浜と同じ衣装だったが、小室はカジュアルな黒地のシャツの上に黒のジャケットを羽織り、ウツは銀色のコートを羽織っている。
武道館では、ウツ・木根は渋谷と変わらなかったが、小室は渋谷とは異なるフォーマルな仕様の黒ジャケットを羽織り、下にはフリル付きのシャツを着ている。
本ライブについてもっともまとまった資料は、DVD「TN NETWORK -REMASTER- at NIPPON BODOKAN 2007」である。
武道館公演の様子を全編収録したもので(ただしMCは一部カット)、通常盤はR&Cより2008/4/2にリリースされた。
今後触れるタイミングもないので、ここで本商品にも言及しておこう。
本作のジャケット原画は「Welcome Back 2」と同じものだが、「Welcome Back 2」とは別の部分(下の部分)をトリミングして用いている。
ライブ映像の他にボーナストラックがあり、「SPEEDWAY」のMV2種(BGMは「Action」)、「Welcome Back 2」MV、ライブリハーサルのダイジェスト映像(BGMは「Red Carpet」)が収録されている。
本作にはFC限定版も存在する。
こちらはライブの様子を撮影したブックレットおよびドキュメントDVD「TM NETWORK Document 2007 Kick Into Action」が同梱されている。
非常にいやらしいことに、FC盤には通常盤のボーナストラックが収録されていないため、すべての映像を入手したい場合には、数分のボーナストラックのために5000円(税別)で通常盤を追加購入しなくてはならなかった。
「Kick Into Action」は「Welcome Back 2」のリリースから渋谷公演に至る日々のドキュメント映像を収録したものである(2007/9/16~11/27)。
この時期のレコーディングの過程は他の時期と比べて情報が少ないため、貴重である。
本ディスクには11/2「楽器フェア」オープニングの「nuworld」と、11/27渋谷公演の「Action」の様子も収録されている。
両公演の映像が商品化しているのはこれだけである。
2007/12/23にはTV番組「みゅーじん」で、TMの活動を追った特集が組まれた。
映像の素材は「Kick Into Action」と同じものを使ったと思われるが、使われている映像はほぼかぶっておらず、これも貴重な情報源である。
番組では特に「You Can Find」制作の過程に焦点を当てているが、ライブ映像としても「楽器フェア」から「Be Together」「Get Wild」、武道館公演から「Love Train」「Seven Days War」「Get Wild」「Action」をそれぞれ一瞬だけ放送している。
「楽器フェア」の演奏シーンは「Kick Into Action」にはなく、これ以外で見ることはできない。
以上が、「TM NETWORK -REMASTER-」の概要である。
具体的なライブの内容については、次章で扱うことにしたい。
![TM NETWORK -REMASTER- at NIPPON BUDOKAN 2007 [DVD] - TM NETWORK, TM NETWORK](https://blog.seesaa.jp/img/loading.svg)
TM NETWORK -REMASTER- at NIPPON BUDOKAN 2007 [DVD] - TM NETWORK, TM NETWORK
2/27は「tribute live SPIN OFF T-Mue-needs Tour Blu-ray」視聴会、3/6は「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク〜ハタシテ?ドチラが勝つでショー〜!」視聴会です。
FC盤Blu-rayの申込締切が3/7のため、その販促のために企画されたものです。
また4月から開催される「K-Folk 2021」と5月から開催される「LIVE UTSU BAR 2021〜それゆけ歌酔曲!〜」の宣伝も行なわれました。
内容はウツと木根さんがライブ映像を見ながらコメントをするという、他愛もないものですが、意外と知らなかったネタも出ました。
たとえば「CAROL Tour」で当初は松本孝弘さんが空を飛んで襲い掛かってくる演出が想定されていたのに(松本さんは悪魔役なので自然な設定です)、事務所から制止されたため、木根さんが空を飛んでキャロルを救いに来る演出に変わったという話などは、
(追記:本記事のharuさんコメントによれば、すでに語られていたようです)
木根さんが高校卒業後に開催したプログレのソロライブというマニアックな話題も出ましたが、この時はウツもアコギとコーラスでサポート参加したそうです。
ウツがコーラスで木根さんがメインボーカルのライブだったんですね。
最近の話では、本来「年忘れ!!歌酔曲vsフォーク」で小室さんが参加するのは1曲だけだったけれども、「あの素晴らしい愛をもう一度」でも参加することが、当日のリハーサルで決まったということが分かりました。
小室さん、出たかったんでしょうね(笑)
番組の最後には木根さんが、次回は小室さんも含めた3人で出たいと言っていました。
2/24には「Digitalian is eating breakfast Special Edition」「tk-trap Re:2021」がリリースされました。
意外なことに「Digitalian is eating breakfast Special Edition」は、2/23付けアルバムデイリーチャートで8位、2/24付けで40位を獲得しました。
週間チャートでは19位・2714枚です。
また「tk-trap Re:2021」は、2/23付け音楽BDデイリーチャートで3位、翌日も8位に入りました。
週間では4位・1318枚です。
マジですか!?
まあ冷静に見れば、売上自体は大したことないんですが、ランキングだけならなかなかのところに行きました。
最後に、2/26に山田桂子氏がavexのサイトで直筆メッセージを公開し、小室さんとの離婚が成立したことを発表しました。
すでに2019年には離婚協議に入っていることが報道されており、同年10/21に5回目の調停が行なわれていたとされています。
調停は26ヶ月にわたり行なわれたとも報道されていますので、調停期間は2019年1月から2021年2月ということになります。
報道後小室さんがどれくらい叩かれるかと危惧しましたし、実際にゴシップ誌は盛んに書きたてましたが、話題としても賞味期限を過ぎたのか、大して盛り上がらなかった印象です。
本件がすっきりしたことで、小室さんが音楽活動に専念できる環境が整えば嬉しいです。
あと決着がついたことですし、小室さんにこれ以上圧力をかけても取れる金額が増えるわけではないので、先方の方々もゴシップ誌にネタを提供し続けることは、いい加減にやめてほしいものです。
今回小室さんは、相応の財産分与を行なったと報道されています。
2008年の逮捕時に松浦さんに負った借金の返済は2023年となっていますが、その返済はちゃんとできるのでしょうか。
小室さんには、なにとぞお仕事を頑張っていたただければと思います。できればTM中心で。
まとまった収入を期待できるコンテンツとなると、結局TMが一番有効と思うんですよね。
以上、近況の整理でした。
それでは本題に入ります。
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これまで触れてきたように、2004年以来止まっていたTMが動き出したのは、2007/11/2・3にパシフィコ横浜で開催される「楽器フェア 2007」のライブイベントへの出演打診がきっかけだった。
このライブは2007年8月には、「TM NETWORK -REMASTER-」というタイトルで発表された。
SONYは2004年のTM20周年に合わせて、過去音源をBOXやベスト盤の形で再発売し、2007年にもBOX収録のアルバムのバラ売りを行なった
これらの音源は再マスタリング処理が施されたが、それは「リマスター」と呼ばれた。
この頃はTMに限らず過去作品のリマスター盤再発がよく見られたが、それをこの時はライブタイトルとして取り入れたのである。
それまでTMのライブは、「終了」ライブという特殊な位置づけだった「TMN 4001 Days Groove」を除き、スタジオのオリジナル音源とは大きく異なるアレンジで演奏されるのが常だった。
2004年の「Double Decade “NETWORK” in YOKOHAMA ARENA」に始まる20周年ライブも、過去曲の多くがトランスアレンジで演奏された。
これらはいわばライブ用の「リミックス」というべきものであり、それがTMライブの醍醐味でもあった。
ところがこの時掲げられたのは、「リミックス」ではなく「リマスター」だった。
このタイトルは、オリジナル音源にライブ用のアレンジを加えるのではなく、原曲のアレンジを高音質でリスナーに届けることを目指したものと解することができる。
たとえば小室は2007/9/20「スポーツ報知」の記事で、以下のように語っている。
一連のコンサートでは、オリジナルバージョンのアレンジや演奏に重点を置き、楽曲のポテンシャルを引き出す方向で考えています。 みなさんが知っている曲を知っているアレンジで連発する予定でいます。
実際に「楽器フェア」(以後「TM NETWORK -REMASTER-」パシフィコ横浜公演をこのように表記)では、楽曲のライブアレンジが大幅に加えられることはなく、原曲に準じたアレンジで演奏された。
この頃は「Get Wild」がオリジナルのままで演奏することもアピールされた(変わったアピールだと思う)。
またもう一点、「みなさんが知っている曲」から選曲するという方針も示されている。
誰が来ても楽しめるように、メジャーな曲でセットリストを組み立てるヒットメドレー形式を採るということである。
この方針は、定番曲をほとんど排し新曲を軸に据えた「Tour Major Turn-Round」などとは大きく異なるものである。
こうした方針になったのは、アルバムリリースを前提とせずに企画されたライブだったこともあるだろう。
シングル「Welcome Back 2」はライブ開催直前にリリースされたが、これだけではライブの軸とすることはできない。
ヒットメドレー的ライブになることは必然的だったともいえる。
小室は当時のインタビューで、「せっかくやるならみなさんに喜んでもらえるものをやろうと思った」とも発言している。
小室は自らの目指す音を提示するのではなく、観客の求めるものに応じようとする姿勢を示した。
こうした方針を採用したのは、「自分が好きなロックバンドのライブDVDを観ても、コンサートに行っても、知っている曲が次々に出てきた方が圧倒的に楽しいから」という理由だと、小室は語っている。
木根が8月のライブMCで語ったことによれば、小室はChage & Askaのライブを見に行ったが、知らない曲ばかりでつまらなかったと言っていたという。
これは7/22にNHKホールで開催された「Tour 2007 Double」のことと考えられる。
ニューアルバム「Double」を軸にしたツアーだった。
おそらくこの体験に基づいて、小室は「みなさんが知っている曲」という基準を作ったのである。
小室がこれまで自分がやりたい音楽に徹底的にこだわってきたことを考えると、この時の基準はいかにもファンにおもねったものという印象を受ける。
小室は自信を失い、何をやるべきかを自らの音楽的関心からは提示できない状態だったのかもしれない。
この時に選曲されたのは、大部分が1987~88年の楽曲だった。
「楽器フェア」で演奏された曲を見ると、非インストの14曲中、9曲がこの時期の楽曲である。
特にこの時は、「Beyond The Time」を演奏することがアピールされた。
意外なことに、この曲のライブ映像は、これ以前に一度も商品化されていない。
知名度の割には演奏頻度が低かったことも事実で、これを聞きたいというファンの声もあったのだろう。
他に演奏されたのは、TMN時代の3曲(1990~91)と、ニューシングル「Welcome Back 2」およびそのカップリング「N43」である。
1986年以前の楽曲や、新曲以外の再始動後の楽曲は1曲もない。
その長いキャリアにもかかわらず、1987,1988,1990,1991,2007の5年間に発表した曲だけでライブを行なったことになる。
要するに「楽器フェア」は、TMが売れていた時代を重点的に振り返るライブだった。
この点は、「Welcome Back 2」のコンセプトに通じるものでもある。
なお実際には演奏されなかったが、「Dreams of Christmas」も候補に挙がっていたことが知られる。
同じクリスマスソングの「N43」とセットで演奏する計画だったのだろうか。
もう一点、このライブについて触れておかねばならないのは、小室の関与の少なさである。
本ライブのリハーサルは10/27~31に行なわれたが、小室はあまり現れなかった。
おおまかな演奏曲候補は3人で考えていただろうが、細部についてはリハーサルスタジオで詰める予定になっていた。
だが小室は曲順を決める段になっても現れなかったため、リハーサルは難航したらしい。
これは小室がサボっていたのではなく、前回の記事で触れたように、「SPEEDWAY」のレコーディングのためである。
本来「SPEEDWAY」は10/20以前にレコーディングを終えているはずだったが、これを1週間過ぎても終わっておらず、TMはレコーディングとリハーサルを同時にこなさざるを得なかった。
特に音源作りを担当する小室には余裕がなかった。
小室は10/28には体調を崩して病院に搬送され、翌日もリハーサルに顔を出さなかった。
この間はウツがその場を仕切ることになった。
その後もリハーサルの期間はもちろんのこと、ライブ当日の早朝までレコーディングは続いた。
満足なリハーサルができなかったことは推測できる。
「楽器フェア」で演奏ミスが目立ったのも、これが一因だろう。
こうした中で用意されたライブ音源の作成に、小室が深く関与したとは考えられない。
おそらく音源作りはスタッフに丸投げしており、ライブ当日の事前リハーサルで微調整を加える程度だっただろう。
これは原曲通りに演奏するというコンセプトだからこそ可能だったとも言えるが、逆にいえば小室はこのコンセプトを提示した時点で、音源制作はスタッフに丸投げするつもりだったのかもしれない。
TMは前回の「Double-Decade “NETWORK”」ではバンド色を排し、葛城哲哉のギターを除くほぼすべての音を小室がリアルタイムミックスによって制御するという、挑戦的な試みを行なった。
だが「楽器フェア」では生のギター・ベース・ドラムが加わり、一般的なロックバンド編成によって演奏された。
その点では「Double-Decade “NETWORK”」の前に開催された「Tour Major Turn-Round」に近い形だった。
以上のように「楽器フェア」は、オリジナルアレンジ・著名曲中心・音源制作丸投げ・バンド演奏という特徴を持つライブだった。
この特徴から受ける印象は人によって異なるだろうが(たとえば著名曲中心というのは歓迎する観客もいただろう)、私としてはバンド演奏という要素以外については、久しぶりのライブだったのに非常に残念な思いを感じたというのが正直なところである。
ただオリジナルアレンジでの演奏については、おそらく前例があった。
これ以前の2003~07年に開催された「tribute LIVE」「Spin Off from TM」「Spin Off from TM 2007」である。
これらのライブは過去の楽曲の魅力を伝えるために、TM楽曲をオリジナルのままで演奏するというコンセプトだった。
「楽器フェア」のライブスタッフも、中心は「tribute LIVE」等と同じく、ウツ事務所のM-tres関係者だったと考えられる。
ウツ・木根によるオリジナル演奏のライブが常態化していたことは、積極的なプランがなかった小室がライブの構想を行なうに当たり参考にされた可能性がある。
しかも3回も開催されたことから分かるように、「tribute LIVE」を支持するファンも少なくなかった。
TMの活動が行なえない間のつなぎとして開催されてきたtribute LIVEの形式が、本体のTMの活動に影響を及ぼしてしまったということもできる。
「楽器フェア」のセットリストは、オープニングでインスト曲をSEとして流し、2~3曲ごとにMCを挟み、インスト曲の後で最後の盛り上げ曲を続けて演奏するという、tribute LIVEと同様の構成だった。
これはウツ・木根中心で曲順を決定したことによる必然的なものといえる。
その意味でも本ライブはtribute LIVEの延長としての性格がある。
「楽器フェア」の公演時間は、100分超に過ぎなかった。
この間にMCやアンコール待ちの時間もあったので、実質的な演奏時間は80分程度である。
再始動後は「Tour Major Tunr-Round」「Double-Decade “NETWORK”」など短時間のライブが続いていたが、それでも2時間近い時間は確保されていた。
「楽器フェア」と同程度の公演時間だったライブとして、「Log-on to 21st Century」があるが、後者が短時間になったのは、本来対バンとして企画されたものが直前にワンマンライブに変更されたという事情もあった。
「楽器フェア」はこうした特殊なライブと同程度の短さのライブだった。
ただしこれはTM側の事情というよりも、「楽器フェア」主催者側の事情で、公演時間が制限されていたものかもしれない。
後述の追加3公演では、いずれも2時間近い公演時間となっている。
演奏曲数はインストを除き14曲である。
「Double-Decade “NETWORK」「Double-Decade Tour」は16曲、「Double-Decade Tour Final」は17~19曲であり、しかも長大なライブアレンジが施された曲も含まれた。
これらと比べると「楽器フェア」は、やはり物足りないライブだったと言えるだろう。
さて、TMの活動再開に当たって当初予定されていたのは、出演打診を受けた11/2・3の「楽器フェア」だけだった。
だが前章までで見てきたように、TMはこれを引き受けた後、シングル・アルバムのリリースを決定した。
おそらくこれと合わせて、「楽器フェア」以外のライブも開催することを決めたらしい。
ライブタイトルを単に「楽器フェア」とせず、「TM NETWORK -REMASTER-」という独自のものを付けたのも、おそらくこのことと関わるだろう。
9月半ばには3人のFCで、シングル「Welcome Back 2」のリリースおよび11/26・27の渋谷C.C.Lemonホール公演と12/3の日本武道館公演の開催が発表された。
結局「TM NETWORK-REMASTER-」は、「楽器フェア」も含めて全5公演となり、すべて首都圏で開催された。
小室や木根は「REMASTERツアー」と言っており、ライブツアーという認識だった。
渋谷公演と武道館公演のセットリストは、横浜の「楽器フェア」から変更になった。
具体的にはライブのオープニングSEが、「楽器フェア」は「nuworld」、渋谷公演は「EXPO」、武道館公演は「Malibu」となった。
また「楽器フェア」の演奏曲の内、渋谷公演では「Here, There & Everywhere」「N43」「Wild Heaven」の3曲が除かれ、代わりに「Love Train」「Come On Everybody」「Action」が追加された。
武道館では以上の入れ替わり6曲の内、「Here, There & Everywhere」を除く5曲が演奏されたため、演奏曲数としては2曲増えた。
特に変わった演出があったのは渋谷の2公演である。
この2公演は小室の誕生日11/27に前後して設定されたが、小室はサプライズのバースデーケーキなどはいらないから、好きなことをできる時間をプレゼントして欲しいと、スタッフに交渉した。
小室がこの時間で行なったのは、当時小室がデビューさせようとしていたバンドPurple Daysの出演だった。
彼らはこれがバンドとして初めてのプロのステージだったと考えられる。
この時はオリジナル曲「Shine of Love」「あなたが笑う度、恋をする」の2曲を披露している。
なお渋谷公演でのTMの演奏曲数は「楽器フェア」と同じだったが、Purple Daysの2曲があったため、時間は合計2時間程度になった。
武道館も公演時間は同じ程度だったが、Purple Daysの2曲が削られた代わりに、TM曲が2曲増えた。
「TM NETWORK -REMASTER-」5公演では、いずれも凝った演出は見られなかった。
ただ渋谷・武道館公演では、ステージの後ろにタイムマシーンを意識したと思しき巨大な時計のオブジェが置かれた。
これは「SPEEDWAY」のジャケットにも見られるもので、翌年の「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」でも使われた。
ライブパンフレットは「楽器フェア」では作られなかったが、渋谷・武道館公演では販売された。
内容は、「楽器フェア」の写真・レポートを中心にしたものである。

サポートメンバーは、ギター北島健二、ベース吉田建、ドラムそうる透である。
北島・吉田は2002年のイベント「Laugh & Peace Premium Night」でもサポートを務めたことがあるが、吉田はフルライブでのサポートは初めてである。
北島は「4001 Days Groove」「Double-Decade Tour Final」でサポートを務めたことがあるが、前者は葛城哲哉との共同サポートで、後者は冒頭6曲とアンコールのみのサポートだった。
北島とTMの長い交友関係を考えると少々意外だが、TMのフルライブを通して1人でギターを担当したのは、この時が初めてと思う。
そうる透は「Welcome Back 2」のレコーディングにも参加しており、その縁でサポートを依頼されたものだろう。
THE ALFEEのサポートなどを務めてきたベテランドラマーで、実は小室と同い年である。
ライブでは強く主張するドラムプレイを披露したが、これは生ドラムのなかった「Double-Decade “NETWORK”」と比べると、大きな相違点である。
このサポート陣は、それまでのTMのライブとはかなり様変わりしたものとなっている。
北島とそうるは翌年の「TM NETWORK play SPEEDWAY and TK Hits!!」でもサポートを務めており、この時期の音を特徴付けていると言って良い。
なおギターのサポートは、1990年の「Rhythm Red Tour」以来、葛城哲哉がすべてのフルライブを担当してきたが、この時から外れることになった。
ライブステージ上の配置は、客席から見てウツが前方中心におり、小室が右、木根が左にいた。
小室と木根の位置は「Log-on to 21st Century」「Tour Major Turn-Round」と逆で、「終了」前の配置に戻った。
ステージ後方には、中央にそうる透、右に吉田、左に北島がいた。
これは横浜・渋谷・武道館に共通する。
衣装は各会場で変化した。
「楽器フェア」では、ウツが黒のシャツの上に赤茶のジャケット、小室が白の半袖Yシャツの上にベージュのジャケット(ジャケットは途中で脱ぐ)、木根が黒地に柄付きのTシャツの上に黒のポイント入りの白いジャケットを羽織った。
木根は普段と雰囲気の異なるサングラスをかけており、一瞬電撃ネットワークの南部虎弾に見える。
風貌としては、3人ともイケていると思う。
渋谷公演は、木根は横浜と同じ衣装だったが、小室はカジュアルな黒地のシャツの上に黒のジャケットを羽織り、ウツは銀色のコートを羽織っている。
武道館では、ウツ・木根は渋谷と変わらなかったが、小室は渋谷とは異なるフォーマルな仕様の黒ジャケットを羽織り、下にはフリル付きのシャツを着ている。
本ライブについてもっともまとまった資料は、DVD「TN NETWORK -REMASTER- at NIPPON BODOKAN 2007」である。
武道館公演の様子を全編収録したもので(ただしMCは一部カット)、通常盤はR&Cより2008/4/2にリリースされた。
今後触れるタイミングもないので、ここで本商品にも言及しておこう。
本作のジャケット原画は「Welcome Back 2」と同じものだが、「Welcome Back 2」とは別の部分(下の部分)をトリミングして用いている。
ライブ映像の他にボーナストラックがあり、「SPEEDWAY」のMV2種(BGMは「Action」)、「Welcome Back 2」MV、ライブリハーサルのダイジェスト映像(BGMは「Red Carpet」)が収録されている。
本作にはFC限定版も存在する。
こちらはライブの様子を撮影したブックレットおよびドキュメントDVD「TM NETWORK Document 2007 Kick Into Action」が同梱されている。
非常にいやらしいことに、FC盤には通常盤のボーナストラックが収録されていないため、すべての映像を入手したい場合には、数分のボーナストラックのために5000円(税別)で通常盤を追加購入しなくてはならなかった。
「Kick Into Action」は「Welcome Back 2」のリリースから渋谷公演に至る日々のドキュメント映像を収録したものである(2007/9/16~11/27)。
この時期のレコーディングの過程は他の時期と比べて情報が少ないため、貴重である。
本ディスクには11/2「楽器フェア」オープニングの「nuworld」と、11/27渋谷公演の「Action」の様子も収録されている。
両公演の映像が商品化しているのはこれだけである。
2007/12/23にはTV番組「みゅーじん」で、TMの活動を追った特集が組まれた。
映像の素材は「Kick Into Action」と同じものを使ったと思われるが、使われている映像はほぼかぶっておらず、これも貴重な情報源である。
番組では特に「You Can Find」制作の過程に焦点を当てているが、ライブ映像としても「楽器フェア」から「Be Together」「Get Wild」、武道館公演から「Love Train」「Seven Days War」「Get Wild」「Action」をそれぞれ一瞬だけ放送している。
「楽器フェア」の演奏シーンは「Kick Into Action」にはなく、これ以外で見ることはできない。
以上が、「TM NETWORK -REMASTER-」の概要である。
具体的なライブの内容については、次章で扱うことにしたい。
![TM NETWORK -REMASTER- at NIPPON BUDOKAN 2007 [DVD] - TM NETWORK, TM NETWORK](https://m.media-amazon.com/images/I/51FnRCG5LBL.jpg)
TM NETWORK -REMASTER- at NIPPON BUDOKAN 2007 [DVD] - TM NETWORK, TM NETWORK
この記事へのコメント
さて、楽器フェアの時は、土曜日の公演に行ったことを覚えています。なんか、オープニングの登場の仕方が、あまりにも普通だった記憶があります。あとは、小室さんおピアノソロがCAROLだったことです。CAROL好きな私にとっては、とても嬉しいことでした。それでは、本編の解説を楽しみにしています。
序盤に「CAROL Tour」で空を飛んでキャロルを救いに来る役、松本孝弘さんから木根さんに変わったという話について書かれていますが、「続・電気じかけの予言者たち」で既に記されています。(92~93ページ参照。)
更新早々、いきなり指摘しちゃってホント申し訳ありません…。
遅ればせながら今年もお邪魔させて頂いてます。
宜しくお願いします。
何時もながら記事内容更新大変でしょうに凄いなと思う次第です。
敢えて、小室氏に言いたい事があるとすれば一々週刊誌などの取材受けり答えたりするなという事!
週刊誌で酷い目にあったのに・・・。
ケイコに伝えたい事があるなら手紙書くなり週刊誌で会話するのは止めるべきだし抑もglobeの事どうするか話ししなかったのか、そこはケイコもしとかないかんのちゃうの、結局実際はケイコの復帰って夢物語だから題材に上がらなかったのか
復帰するにしてもソロglobeではしないから応答がないのか分からないが
兎に角離婚した今小室氏の思いだけで纏まってない事を表に出されてもファンは混乱だし色々批判の的になるだけなのに何故分からない・・・小室氏そういうところがズレてる。
思えば、蒸し返すけど会見でにケイコの事も時系列をもっとしっかりしてドリルとか小学生を強調しなければ、何年か前の事で今はもっと良いんですけどと、ファンというかチェックしてる人は分かっていたと思うんだけどね。
自分の病気の治療もあり段々と疲れましたと言えば良かったんだよ!
後からでも訂正するなり加えるなり何らかしたら良かったのに、あくまでも小室氏の気持ちの流れな訳でしんどく思い別れたいと思うのはしょうがない事でしょ。
少なくともケイコ側の親族が批判してる時点でさっきも言ったケイコに手紙書くなり、対処するべきだったと思う。
結局、松浦氏にケイコが手紙を書く、返済云々の件も合わしてそこからでしょ動き出したの気持ちの変化も合わして小室氏、でもケイコ的にはもう遅かったんじゃないかと思う。
まぁもう離婚にあたり、色々言われるのは覚悟してたしハイハイわかったわかったとある意味の冷静にいれたが、
でも1つ、ケイコ側も色々言い過ぎでしょ、小室氏がたまにアップするケイコ近況報告に難癖つけ出すわ
抑もの病気の原因が小室氏のせいとか言い出したらもう終わり終了ですわな!
文春オンラインの「やっと僕の時代が来た」の嫌味な記事、アレ只小室氏のやる気これから頑張ろってだけの話じゃない、なのにあんな感じに取材申し込んであの書きよう・・・。
其れで、女性自身の記事・・・もう何で答えるの・・・もうどう答えようとyahooの批判ネタにしかならないのに誰か言ってやってくれ気付いてくれ、マークには申し訳ないけどglobeは封印にしようよ。
要は小室氏ケイコの関係次第という事が大きい、ケイコマーク2人で曲だけ提供でCDだけなら出せるのかも知れないし、そういう意味なのかも知れないが
もう何年か経ち落ち着けばある意味フラットな気持ちにファンもなるのかもだけどあくまでも週刊誌に出てる関係性でケイコ望んでるか、興醒めじゃないかyahooコメ見てみ散々です。小室氏は良かれと思ってというか悪気ないのかもだけど空気読んだ方がいいよ。
離婚問題などは夫婦の問題だから大人はああだこうだ言わないにしても事後処理が下手すぎる。
そこが人としてとか人間性を問われてる。結局仕事も人間関係ですしこの印象が後から色々影響出るんではないかと心配だ!
アーティストだし小室氏だから常識的にとか難しいのかも知れんがファンは贔屓目に見ても一般的に見たら色々あくまでも週刊誌を鵜呑みにしたら酷い印象に見える。
実際、新曲のCD出して売れる必要とされてるのか、globeとしてはというかエイベ的にはヒット曲あるんだしコンサートで回ってくれた方が売り上げ出るんじゃないのとか、今この時期は出来ないにしても、でも実際ケイコライブで回るとかは無理じゃないかなとは思うけど・・・。
正直、globeの話してるがglobeに何の未練もない!
自分は初めからTMだけで良いのだ!
アムロちゃんとか渡辺美里さんの曲は別にして、小室プロデュースと付くものglobeももう自分の中では黒歴史にちかい・・・。
正直、離婚成立してスッキリしましたよね。
兎に角婚姻関係がない時の方が仕事上手くいくタイプの様に思うし、向かないという事に何故気づかない!
そう、青い惑星の愚か者さんが言うようにむしろ松浦氏に返済ですよね。
そっちが心配だしもうこれ以上スキャンダルになる様な事はヤメテクレ!
今回エイベからケイコ公式に発表してアーティストとしてやるみたいな事言ってるし、今TM契約エイベと切れてるとの事で、松浦氏もCEO降り何か微妙な感じな様に思えるんですが、エイベ自体もコロナで売却して以前ほど勢いもない訳で、個人的に小室氏と松浦氏の繋がりが返済問題ではあっても其れが良好でも、エイベ的にはケイコ側なのかとか、、、
もう時代も流れて一時代築いたも通用しない様に思うし、ココはいっそ元々の古巣エピックソニー、ソニーがいけるのならそっちの方が良いかもと思わなくもない・・・どうなんだろ、余談特に関係ないけどソニー鬼滅の刃で一人勝ち状態みたいですね。
兎に角小室さんには音楽に集中して欲しいし、させてやって欲しいもう歳も歳そう時間はないし、TMに集中しとき!
もうケイコやglobeはいいってまたいつか時間が解決する日が来るかもだけど・・・。
相変わらずダラダラ書いて申し訳ないです。
とっ散らかっているコメで御免なさいね。
ルルさん、こんにちは。
小室さんとしては誠実な態度でいるだけだと思いますよ。
手紙を書くとかすると後々暴露されてしまうのは目に見えていますし
週刊誌に不誠実な態度はとってしまえば
叩かれてしまうのも目に見えてます。
そもそも小室さんは自分がどういう立場であるにしろ
誠実であろうとしているのは確かです。
昔とは大違いです。
勿論心情としてもう良いでしょう、無視で良いじゃないですか
と言って解決できれば良いのですが
そうはしないのを許せるかどうかで小室さんを
善にも悪にも見る事が出来ると思います。
そこで悪どい印象で見てしまうから
口汚くKEIKOさんやもしくはKEIKOさん側親族のようになってしまうと
思います。
善で見て「お人よしだな」「そこまで誠実にしないでも」と見れば
幾分小室さん寄りに物事を見る事が出来ると思います。
感情的に見てしまうから呆れられるのでしょうけど
それではバッシングしているのと同じくらい価値を下げてます。
願わくば小室さんが誠実に答えているのだからそれが報われて欲しいとは
僕としては思います。
あと、TMの未発表を商品として売ってしまえるほど
小室さんもウツさんも木根さんもTMを軽く見てないと思います。
昔93年ごろTMNでレコーディングした曲をtrfにしたかも
というのがありましたけど、(逆かもしれないけれど)
実際そういうことはしなかったと思います。
そんな簡単に転用できる程度しかTMNに愛着が無いわけでは
ないと思います。3人は誰よりもTMを愛していると思います。
未発表の発表にしても
長年の思いが通じたとファンとしては歓喜するでしょうけれど
美味しいネタは最後の最後の最後でも良いと思っています。
多分3人ともそれを簡単に扱って私腹を肥やすことをしないだろうし
それは共通したプライドだと僕は思います。
長文ごめんなさい
「TMもいよいよ懐メログループの仲間入りか」と思ったものです。
このDVDも買いましたが、一度観て以来、棚にしまったまま。
やはりアレンジが変わってこそのTMです。
オリジナルバージョンを聴いて
「つまらない」と思うグループも珍しいけど(笑)。
小室復刻作品の売上少ないとの感想ですが、ウツソロでも新作アルバム2000枚てとこなので、復刻に過ぎない高価商品が同じくらい売れたのは、まあまあなんじゃないかなと思います。私も買っていませんけどね(ボックスも買ってない)。
ただたしかにこの程度の売上ではレコード会社も制作にお金をかけられないとは思います。だから単価を釣り上げて収益を確保する方向に行くんでしょう。digitalianの単価が通常のアルバムの5倍であることを考えれば、アルバム1万枚売ったくらいの収益は上がっているのかな? tk-trapも入れれば1.5万枚相当の成果になるでしょうか。
楽器フェアはノー演出、演奏だけって感じでしたね。nuworldという選曲は良かったんですけど。
CAROLは武道館のはとても好きです。さらに言うとSPEEDWAYツアーのCAROLは至高と思っているんですが、そこらへんは後の更新で…
>haruさん
ご指摘ありがとうございます。忘れていました。
本文に加筆しておきますね!
>ルルさん
今の小室さんの対応にはご不満もあると思うんですが、多分どんな対応しても悪意ある形に仕立て上げられると思うんですよ。
目くじら立てて騒ぐのも、あちらの思うつぼと思います。
今回の件はglobeファンには残念だったと思いますし、小室さんも以前は復活を本気で願っていたと思うんですが、私はもともとそっちはかけらも興味がなかったし、むしろ限られたリソースを奇跡のような可能性に向けられるのはもったいないなあと思っていたので、今回の件は好意的にとらえています。
TMをやって松浦氏に借金を返済してくれれば、彼のプライベートとかどうでもいいんで…。
>Mさん
これはいろんな立場があることは承知の上ですが、私は未発表の曲いつでも聞きたいです。
少なくともSONY時代の作品については3人は意見を言える立場にないので、私腹とかプライドとかの問題とは関係なく、SONYが勝手に出せちゃうはずです(先のグリニッジやドラフェスツアーみたいに)。
それならさっさと出してほしいなと思います。
時間が経つほど当時のことを知る関係者がいなくなって、価値のあるもの分からなくなる可能性が高いですし。
もちろん新しい活動が一番うれしいですけどね。
>椎名さん
REMASTERのコンセプトを聞いた時は、私も同じことを思いました。
当時もブログに書いていた気がします。
まあ武道館になるとSEVEN DAYSとかWe loveとか、多少のアレンジは加えてきてはいたんですけどね。
今思うと小室さん、SPEEDWAYのレコーディングと同じで、音楽仲間と一緒に演奏をしたかったのかもしれません。自分が全責任を負って演奏を引っ張るDouble-Decadeみたいな形ではなく。