7-42 25周年の関連商品群
7/2、小室さんが新しいサービスを始めました。
TETSUYA KOMURO STUDIOというそうです。
faniconというサイトで運用されている有料コミュニティで、STANDARDコースが3ヶ月1500円、GOLDコースが3ヶ月9000円です。
1年コースもあり、こちらを選ぶと1割引きになります。
サービス内容は、毎週金曜日21時からのプライベートスタジオからの定期配信、不定期の会員限定ライブ配信、オフショット(プライベートの写真?)や本人からのメッセージの掲載、会員限定のグループチャットなどです。
金曜日の定期配信と不定期ライブ配信が、実質的な活動内容というところでしょう。
すでに皆さんが忘れ去っていたであろう有料配信番組GroundTKは、本サービスの開始とともに、事実上の終了と見て良いと思います。
なおGOLD会員のみ、配信のアーカイブ動画を見ることができます。
またGOLD会員は、デジタルファンレターを送ることができるそうですが、小室さんの返信は特にないとのことです。
小室さん、一時期Clubhouseに積極的に出入りしていましたが、ファンのみに囲まれた閉じた仮想空間が気に入ったのでしょうか。
おそらく世間に向けて大々的な活動をする自信はまだないのかなと思います。
私は興味ないのでスルーしますが、ファンの方は小室さんを応援する意味で入会しても良いかと思います。
(ただし1年コースに入っても、サービスが1年続くかは未知数ですが)
なおサービスが発足した7/2、小室さんの新曲「TK PROGRESSIVE JAZZ 0702」の音源ファイルが、客寄せのためにコミュニティ内に置かれていることが、公式twitterによって宣伝されています。
先の「Running To Horizon (206 Mix)」みたいなジャズぽいピアノが入っているんでしょうか。
第1回の配信は、7/9に行なわれました。
話の聞き役として、藤井徹貫もいたようです。
私は視聴していないのですが、twitterで流れている情報などを見るに、今後毎週1曲は生演奏をするそうで、第1回は「Faces Places」だったようです。
また次回はゲストとして木根さんも来るとのことです。
7/21の19:00からは、YOSHIKIのYOSHIKI CHANNEL(youtube・ニコ生)に小室さんが出演して、対談を行なうそうです。
小室さんが同チャンネルに出演するのは2回目、5年7ヶ月ぶりとなります。
7/5には、ウツの「それゆけ歌酔曲!!」の最終公演が終わりました。
次は9月からソロツアーとなりますが、今回は間隔が短いですね。
まだツアータイトルも出ていないけど。
7/11には、木根さんが配信ライブ「3 Songs Of My Favorites #18」を行ないます。
「3 Songs Of My Favories」は、丸山圭子さんという方の企画で、去年から隔週くらいでやっているようです。
ライブの内容は、今一番歌いたい曲・リクエストの多い曲・影響を受けた曲をそれぞれ1曲ずつ歌うというものだそうです。
木根さんのサイトでは、「TM NETWORKのあの曲や、フォークソング、そして木根ソロ曲も久しぶりに演奏」とあるので、多分歌いたい曲=木根ソロ、リクエストの多い曲=TM、影響を受けた曲=フォーク(吉田拓郎?)を演奏するのでしょう。
値段は1500円で、安いと思いましたが、3曲しかやらないならそんなもんですよね。
時間は30分です。
本番を見逃しても、2週間アーカイブが見られるそうです。
それでは本題に入ります。
---------------------------
2008年末から始まるはずだったTM25周年の企画は、小室哲哉の逮捕によって結局実現しなかった。
しかし25周年と関わる企画は、これ以前からSONYも考えていたらしい。
その大部分は日の目を見ずに封印されたと考えられるが、まったくゼロになったわけでもなかった。
2007年年始、SONYは「RESTORATION OF ORIGINAL ALBUM」と題する特設サイトを開き、過去のオリジナルアルバムの紙ジャケット盤リリースの告知を行なった。
2004年には20周年企画と絡むDOUBLE-DECADE.COMのサイトがSONYによって開設されたが、これとは別のサイトが立ち上げられたのである。
注目したいのは、この特設サイトで、「来年2008年はTM NETWORKの25th Anniversary Yearが始まります」 「この商品を起点とし、随時Anniversary Yearに相応しい企画を提案していく予定です」と告知されたことである。
SONYは早くもこの段階で、TM25周年が2009年ではなく2008年から始まると明言したが、これは前章で見た2008年前半のTMメンバーの発言と軌を一にしている。
仮にSONY側の単独の企画ならば、あえて2008年からを25周年とする可能性は低く、TMサイドから25周年の活動予定が伝えられていたと見るべきだろう。
この後SONYがリリースした商品を見るに、「Spin Off from TM 2007」開催中の2007/3/21に紙ジャケアルバム、「SPEEDWAY and TK Hits!!」終演直後の2008/5/28に「TM NETWORK The Singles 1」がリリースされ、「TM NETWORK The Singles 2」は当初2008年10月リリースの予定だったが、globeによる「Get Wild」カバーが11/26に決まると、それと同日のリリースとなった。
こうした現象が起こるのは、TM・SONY間の情報共有が前提にあったためと見るべきである。
特設サイト作成の時間を考えれば、TMサイドからSONYへの情報伝達は、2006年11月頃には遡るだろう。
つまり2006年11月頃には、2008年からTM25周年企画を始めるプランが存在したことになる。
2007年11月の「楽器フェア」でのTM復活を前提に企画されたと思しき「Spin Off from TM 2007」は、2006年11月に開催告知が行なわれたが、その頃にはTM25周年企画の大枠は、だいたい決まっていたのだろう。
なおウツ・木根が「楽器フェア」出演告知以前(2007年前半)から、TM25周年を意識した発言をしていたことは、以前触れたことがある。
これは一見すると早すぎるようにも感じられるが、上記SONYの対応を見ても、やはり25周年企画はかなり早い段階から構想されていたと見るべきである。
小室の不安定な状況もあり、25周年企画はかなり入念かつ慎重に進められていたのである。
25周年に向けて企画されたSONYの便乗商品群を見てみよう。
まず開設当初に発表されたのは、「DRESS」までのオリジナルアルバム・リミックスアルバム8枚の紙ジャケットリマスター盤のリリースだった。
紙ジャケ・リマスター盤という形態は、2004年の紙ジャケアルバムBOX「World Heritage」と同じである(ただしリマスリングは新たに施された)。
これらは2007/3/21にリリースされた。
紙ジャケ盤アルバムのコンセプトは、LPレコードの復刻だった。
そのため「DRESS」以前にCDのみでリリースされたベスト盤「Gift for Fanks」のリリースはなかった。
ただし「Gift for Fanks」については、「TM NETWORK -REMASTER-」開催中の2007/11/21に、DVDとの同梱盤CDがリリースされている。
DVDには「Get Wild」「Self Control」のPVが収録された。
TMN期の「Rhythm Red」「EXPO」も、リリース当時LPのリリースがなかったため、紙ジャケ盤企画に入らなかった。
ただこの企画は、所詮「World Heritage」収録ディスクのバラ売りに過ぎない。
そこでオリジナルアルバムの「Rhythm Red」「EXPO」を外したのは、問題だったと思う。
(「DRESS」「Gift for Fanks」等よりもはるかに重要な作品である)
2014年にSONYがTM楽曲のハイレゾ音源配信を行なった時も、この2枚はなぜか外された。
TMN期だけ売れないということはないと思うのだが…
2007年紙ジャケ盤では、「World Heritage」では復刻されなかったLP盤のインナーと帯・ステッカーが封入され、またCDのレーベル面にはオリジナルLPのデザインが印刷された。
さらに8枚全部を購入すると、「FANKS!」ロゴ入りの特製Tシャツがもらえた。
だがこれら特典はどれもこれも枝葉末節に過ぎない。
わずかに注目されるのは、CDとLPで曲順が違った「CAROL」が、LPに準じた曲順で発売されたことくらいである。
いかにも25周年特設サイトを始めるに当たり、間に合わせで作った企画というべき内容である。
その後企画されたのが、2008年の「TM NETWORK The Singles 1・2」である。
EPIC/SONY時代のシングル曲を2枚に分けてリリースしたものである。
本来は5/28に「The Singles 1」がリリースされた後、11/26には「The Singles 2」がリリースされる予定だったが、後者は11/4の小室逮捕によって即日中止となった。
だが2009年に裁判が終わり、5月に小室の執行猶予付き有罪判決が確定すると、後者も9/30に発売された。
ジャケットは1・2とも同様のデザインで、手袋がそれぞれ1本、2本の指を立てている。
色違いで、「1」は黄色地に赤手袋、「2」は黒地に青手袋だった。
背景には「ONE」「TWO」と書かれている。
ライナーには各楽曲に関するメンバーの簡単なコメントも付いていた。

ライナー裏表紙の謎のキモキャラ。
ファンの間ですら話題にならなかった。
収録曲は、「The Singles 1」は「金曜日のライオン」から「Seven Days War」まで、「The Singles 2」は「Come On Everybody」から「Nights of the Knife」となっている。
同様の企画としては、すでに1996年の「Time Capsule」がある。
したがって、2008年になってシングルを改めてまとめる意味はほとんどなかった。
シングル音源が全曲リマスタリングされたのは初めてなので、こだわりのあるファンにはそこに価値を見出す者もいるだろうが、大したアピールポイントでもない。
「The Singles 1」については、「Beyond The Time」がカットアウトするCDバージョンではなく、途中でフェードアウトするシングルレコードのバージョンが収録された。
また1999年の鈴木あみのカヴァーでヒットした「Be Together」も収録されているが、「The Singles」というタイトルからすると、違和感もぬぐえない。
(一応1999年版の12インチシングル「Get Wild」のカップリングではあったが)
「Rhythm Red Beat Black version 2.0」は、「Time Capsule」には短縮バージョンで収録されたが、「The Singles 2」ではオリジナル音源で聞くことができるので、その点は数少ない注目点である(後述の「Original Singles」では収録すらされていない)。
ただし「Rhythm Red Beat Black version 2.0」のリマスター音源自体は、「World Heritage」収録の「TMN Red」で聴くことができるので、これを持っている者にはさほど価値があるものではない。
以上のシングル音源については、相当の音源マニアを除き、改めて購入する価値はないと断言できる。
2012年にTrue Kiss Disc時代(1999年)の作品やカップリング音源を含む「TM NETWORK Original Singles」がリリースされた今となってはなおさらである。
ところが「The Singles」は通常盤と別に、ボーナスディスクを付した2枚組の限定版があった。
通常盤は税抜き2400円、限定版は税抜き3000円である。
この内で後者の限定版には、初商品化の初期ライブ音源や未商品化テイクが収録されている。
もしも購入する意味があるとすれば後者である。
特に注目されるのは「The Singles 1」である。
ただし収録曲中、シングルのカップリングである「1974 (Children’s Live Mix)」「Your Song (Special Instrumental Disco Mix)」「Self Control(Version The “Budohkan”)」は「Welcome to the Fanks!」、「Come on Let’s Dance (The Saint Mix)」は「TMN Red」にすでに収録されており、ほとんど価値はない。
だが本ディスクには、その他に1984/12/5Parco Part Ⅲの「Electric Prophet」から3テイク、1985/10/30日本青年館の「Dragon The Festival Tour」から3テイクのライブ音源が収録された。
その多くは当時の初公開音源であり、貴重なものだった。
まず「Electric Prophet」の「永遠のパスポート」は、スタジオ音源制作以前のアレンジであり、歌詞も「Childhood’s End」収録のものとはまったく異なる貴重なテイクである。
これは2021年現在で、このCDでしか聞くことのできない貴重な音源である。
同ライブからは他に「金曜日のライオン」「Electric Prophet」も収録されたが、この2曲はライブ映像が「Vision Festival」に収録されているんどえ、マスタリングの違いを確認する以外に価値はない。
なぜわざわざこれを収録したのか、当時の担当者に問い詰めたい思いである。
私が担当ならば、絶対に「17 to 19」「Time Machine」を選んだところである。
「Dragon The Festival Tour」からは、「Dragon The Festival」「カリビアーナ・ハイ」「Rainbow Rainbow」が選ばれた。
これはライブ冒頭の3曲でもあり、当時の勢いを感じることができる。
ただ「カリビアーナ・ハイ」のトラックに「Rainbow Rainbow」のイントロが入っているのは、製作者に猛省を促したいところである。
「Dragon The Festival Tour」の完全版映像が2019年の「TM NETWORK THE VIDEOS」で得られた今となっては、これらの音源はすでに価値がない。
だが「The Singles 1」リリース当時、本ツアーの映像はごく断片的にしか商品化されておらず、音源も「Groove Gear」収録の「パノラマジック」1曲しか存在しなかったので、本ツアーからは何が出ても貴重な状態だった。
当時の私は、契約の問題でSONY時代の未商品化音源・映像の発表が不可能である可能性すら疑っていたので、上記のライブ音源を聴けたこと以上に、今後新たなライブ音源が出る可能性があるという事実に歓喜したものである。
当時の私はこの流れで、「The Singles 2」にもアルバム未収録カップリング曲と未発表ライブ音源が来るものと疑っていなかった。
その場合は1986年の「Fanks Dyna-Mix」が来る可能性を考え、楽しみにしていた。
しかし実際にはその期待は実現しなかった。
特典ディスクの収録内容を見るに、「Time (Passes So Slowly)」「Fool On The Planet (Where Are You Now)」「We love the EARTH」「Dreams of Christmas(’91 NY Mix)」「一途な恋(Another Material)」の5テイクはすべて「Welcome to the Fanks!」に収録済みのものであり、他の3テイクが新規音源となる。
一つは「Dive Into Your Body (Dub Instrumental Mix)」で、シングル「Dive Into Your Body」購入者向けプレゼント用12inchレコードのB面に収録されていたものである。
この12inchのA面に収録されていた「Dive Into Your Body (12’’ Club Mix)」は「Welcome to the Fanks!」でCD化されていたが、「Dub Instrumental Mix」はこれが唯一のCD音源となる。
既発表音源ではあったが、意味のあるものだろう。
「Crazy For You (Instrumental)」は、ウツと女性のセリフを除いたバックトラックである(伊集院光の笑い声や男性・女性のボーカルは残っている)。
これはまったくの新出音源であり、欲しかったファンも多かったと思う。
ただ上記のいずれも、3000円2枚組アルバムの特典としてそこまで魅力的かと言われると、いかにもファンを舐めたレコード会社の撒いたエサという印象がぬぐえない。
最後は「Just One Victory (Long No Breakdown)」である。
この謎のミックス名は、2番の後に入る「Chase in Labyrinth」のフレーズにボーカルが入っていないことと、アルバムバージョンに準じてカットアウトで終わっていることによる(シングルは途中でフェードアウト)。
要するに「フェイドアウトしないので長くて、他曲による中断がない」ということだが、なんとも投げやりな命名である。
「Chase in Labyrinth」のボーカルが入っていないのは、ミックス過程で作られた試作音源の一つだからであろうが、商品化音源で除かれた音が入っているのならばともかく、商品化音源に入っている音が除かれている音源に何の意味があるのかまったく分からない。
それならば「Chase in Labyrinth」のインストを入れた方が、よほどましだっただろう。
「Just One Victory」がシングルのミックスでカットアウトで終わっている音源も、「Classsix 2」の「Just One Victory (Single 7’ Version)」としてすでにリリースされている。
こんなものを入れるくらいならば、「EXPO」用に作られていた「Wild Heaven」の音源などを収録できなかったのだろうか。
上記2商品は、それぞれ30位・9932枚、39位・4233枚の成績を出した。
TMが稼働していてそれなりに盛り上がっていた時期と、小室逮捕後でTMの先が見えていなかった時期の差が、如実に表れた数字だが、特典音源の魅力の差もいくらか反映されているのかもしれない。
なおTM再始動直後の2012年にリリースされた「Original Singles」は26位・7158枚だったから、「The Singles 1」はそれよりも売れたことになる。
だが2004年の「Welcome to the Fanks!」の18位・2.9万枚と比べると、雲泥の差である。
ちなみにファン向けではなくライトユーザー向けの商品だったためか、25周年企画サイトでも取り上げられなかったが、2008/7/2には「TM NETWORK BEST OF BEST」、2008/7/20には「TM NETWORK SUPER BEST」が、SONYからリリースされた。
ジャケットはTMN「終了」の時の3人の写真である。
内容は「金曜日のライオン」から「Wild Heaven」までのシングル曲からTMの代表的な曲を選んだもので、前者は12曲入りで1600円(税抜き)、後者はこれに4曲を加えて1905円(税抜き)である。
特筆すべきことは何もない。
TM中心の企画ではないが、「POP meet JAZZ」にも触れておく。
これはFence of Defenseの西村麻聡が中心になって制作したオムニバスアルバムで、日本のポップス楽曲をJAZZ風にアレンジしたものを集めたものである。
西村は2006/2/5から同名のライブイベントを定期的に開催しており、その実績を踏まえて2007/11/24にリリースされた。
木根はライブイベント初回のゲストだったが、ウツも出演したことがあるのか否かは未確認である。
本作には2曲のTM楽曲が含まれ、「Self Control」ではウツが、「Time Passed Me By」では木根がボーカルを担当した。
西村自身もFenceの「時の河」でボーカルを務めた他、田村直美・織田哲郎・ROLLYなど様々なミュージシャンが参加している。
一つのグループから複数が参加したのはTMのみである。
最後にTM名義の作品ではないが、この頃に集中的にリリースされたトリビュートアルバムについて触れよう。
「The Singles 1」リリースの翌週、2008/6/4に、AsianDynasty Recordというクラブ系の音楽を扱うレーベルから、「I LOVE TM NETWORK」というトリビュートアルバムがリリースされた。
これを制作したKei KoharaとLifeはDJで、RECOという女性ボーカルを迎えてTM曲をハウスアレンジした。
ウツと木根は2003~07年にtribute LIVEという形で自らTMをトリビュートという微妙な企画を行なってきたが、TMが25周年に向けて動き出したこの頃になって、ようやく真の意味でのトリビュート企画が行なわれたことになる。
7/30にはウェブ上で、「YOU LOVE TM NETWORK」という企画が立ち上げられた。
ヤマハの音楽配信サイトMySoundにTM楽曲のリミックス音源をアップロードすると、審査員が審査を行ない、優秀作品に賞を与えるというものである。
2017年の「Get Wild Song Mafia」リリースと連動して企画された「あなたの「Get Wild」リミックスコンテスト」と同様の企画である。
締切は8/27、審査結果発表は9/17とされ、最終的には341件の応募があった。
当時は盛り上がっていなかった印象だったが、「あなたの「Get Wild」リミックスコンテスト」も応募件数は621件だから、その半分以上に及んでいることになり、参加者はそれなりにいたと見られる。
審査員はKei Kohara、Life、Toshihiro Komine(AsianDynasty主催者)などである。
さらに「TM NETWORKコンサート事務局」も審査に加わったが、これはM-tresの関係者だろう。
Kei Kohara側が主導した企画と思われるが、この段階ではTM側も協力に応じていたようである。
25周年を盛り上げる一企画になれば良いとの思いからだろう。
なおKei Koharaは、自らのサイトにTM NETWORKトリビュート特設ページも開設している。
TM25周年記念日の翌日2009/4/22には、「WE LOVE TM NETWORK」がリリースされた。
小室の逮捕にもかかわらず企画を遂行できたのは、大手レーベルではなかったことの強みでもあっただろう。
アレンジャーにはKei Koharaの他にportableという人物も参加した。
portableは、2008年にニコニコ動画上に、TM NETWORKの楽曲と吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」をマッシュアップさせた動画を公開した人物である。
2008/4/28から6/21にかけて「俺らゲットワイルだ’89」「IKUZO THE FESTIVAL」「19zo74」「Just One Vecotory」「Telephone Lineもねぇ」「テレビもNightsラジオもKnife」などが公開されている。
この少し前、ニコニコ動画でPerfume「ポリリズム」と「俺ら東京さ行ぐだ」をマッシュアップした「ポリ幾三」の動画が流行り、同様の試みを行なう者が続出した。
その中でも特に多くの視聴者を集めたのが「Get Wild '89」を用いた「俺らゲットワイルだ’89」で、本家「ポリ幾三」以上の再生回数を記録した。
パロディとはいえ、過去の作品がウェブで改めて注目を集めたことは、いかにも新しい時代の出来事だった。
「WE LOVE TM NETWORK」のライナーには、TMのコメントも寄せられた
その全文は確認していないが、特設ページに掲載される抜粋文には、「まるでサプライズなプレゼントをもらったみたいです。嬉しい。このアルバムは、J-POPにも継承や連鎖が生まれた証言者です。We want to call new yesterday tomorrow.」とある。
変な英文を最後に付ける当たり徹貫の作文だろうが、TMサイドも公式に認めていたものということになるだろう。
2010/4/21にはトリビュート第3段企画として、「TM NETWORK Tribute "CLUB COLOSSEUM"」がリリースされた。
架空のライブ空間というコンセプトで制作された1992年の「TMN Colosseum」を踏まえ、架空のクラブイベント「クラブコロシアム」というコンセプトで制作されたものだった。
本作にもKei Koharaとportableが関与したが、他のアレンジャーも参加している。
他に特殊な世界ではあるが、8-Bitサウンドとボーカロイドによるトリビュートアルバム「8-bit Prophet -TM Network Tribute Generated by Chiptune + Vocaloid-」が、2009/6/3にリリースされた。
確かに8-bitサウンドは、TMとは相性が良いかもしれない。
2011/12/21には、TM楽曲をエレクトロ風にアレンジした「TM NETWORK IN THE HOUSE」という作品も発売されている。
小室の「Mademoiselle Mozart」収録のインスト曲「Mozart in the House」を踏まえたタイトルだろうか。
以上、TM25周年との絡みでリリースされた作品群を取り上げてみた。
おそらく当初の予定通りに25周年企画が遂行されていれば、これよりも多くのリリースがあったのだろう。
未公開ライブ映像の公開もあったのかもしれないと思うと、残念な限りである。
だが30周年の時でもSONYからは「Camp Fanks!! '89」の再編集映像(「CAROL Deluxe Edition」)くらいしか出なかったので、今思うと多分関係なかったのだろうとも思う。

TM NETWORK THE SINGLES 1(初回生産限定盤) - TM NETWORK
TETSUYA KOMURO STUDIOというそうです。
faniconというサイトで運用されている有料コミュニティで、STANDARDコースが3ヶ月1500円、GOLDコースが3ヶ月9000円です。
1年コースもあり、こちらを選ぶと1割引きになります。
サービス内容は、毎週金曜日21時からのプライベートスタジオからの定期配信、不定期の会員限定ライブ配信、オフショット(プライベートの写真?)や本人からのメッセージの掲載、会員限定のグループチャットなどです。
金曜日の定期配信と不定期ライブ配信が、実質的な活動内容というところでしょう。
すでに皆さんが忘れ去っていたであろう有料配信番組GroundTKは、本サービスの開始とともに、事実上の終了と見て良いと思います。
なおGOLD会員のみ、配信のアーカイブ動画を見ることができます。
またGOLD会員は、デジタルファンレターを送ることができるそうですが、小室さんの返信は特にないとのことです。
小室さん、一時期Clubhouseに積極的に出入りしていましたが、ファンのみに囲まれた閉じた仮想空間が気に入ったのでしょうか。
おそらく世間に向けて大々的な活動をする自信はまだないのかなと思います。
私は興味ないのでスルーしますが、ファンの方は小室さんを応援する意味で入会しても良いかと思います。
(ただし1年コースに入っても、サービスが1年続くかは未知数ですが)
なおサービスが発足した7/2、小室さんの新曲「TK PROGRESSIVE JAZZ 0702」の音源ファイルが、客寄せのためにコミュニティ内に置かれていることが、公式twitterによって宣伝されています。
先の「Running To Horizon (206 Mix)」みたいなジャズぽいピアノが入っているんでしょうか。
第1回の配信は、7/9に行なわれました。
話の聞き役として、藤井徹貫もいたようです。
私は視聴していないのですが、twitterで流れている情報などを見るに、今後毎週1曲は生演奏をするそうで、第1回は「Faces Places」だったようです。
また次回はゲストとして木根さんも来るとのことです。
7/21の19:00からは、YOSHIKIのYOSHIKI CHANNEL(youtube・ニコ生)に小室さんが出演して、対談を行なうそうです。
小室さんが同チャンネルに出演するのは2回目、5年7ヶ月ぶりとなります。
7/5には、ウツの「それゆけ歌酔曲!!」の最終公演が終わりました。
次は9月からソロツアーとなりますが、今回は間隔が短いですね。
まだツアータイトルも出ていないけど。
7/11には、木根さんが配信ライブ「3 Songs Of My Favorites #18」を行ないます。
「3 Songs Of My Favories」は、丸山圭子さんという方の企画で、去年から隔週くらいでやっているようです。
ライブの内容は、今一番歌いたい曲・リクエストの多い曲・影響を受けた曲をそれぞれ1曲ずつ歌うというものだそうです。
木根さんのサイトでは、「TM NETWORKのあの曲や、フォークソング、そして木根ソロ曲も久しぶりに演奏」とあるので、多分歌いたい曲=木根ソロ、リクエストの多い曲=TM、影響を受けた曲=フォーク(吉田拓郎?)を演奏するのでしょう。
値段は1500円で、安いと思いましたが、3曲しかやらないならそんなもんですよね。
時間は30分です。
本番を見逃しても、2週間アーカイブが見られるそうです。
それでは本題に入ります。
---------------------------
2008年末から始まるはずだったTM25周年の企画は、小室哲哉の逮捕によって結局実現しなかった。
しかし25周年と関わる企画は、これ以前からSONYも考えていたらしい。
その大部分は日の目を見ずに封印されたと考えられるが、まったくゼロになったわけでもなかった。
2007年年始、SONYは「RESTORATION OF ORIGINAL ALBUM」と題する特設サイトを開き、過去のオリジナルアルバムの紙ジャケット盤リリースの告知を行なった。
2004年には20周年企画と絡むDOUBLE-DECADE.COMのサイトがSONYによって開設されたが、これとは別のサイトが立ち上げられたのである。
注目したいのは、この特設サイトで、「来年2008年はTM NETWORKの25th Anniversary Yearが始まります」 「この商品を起点とし、随時Anniversary Yearに相応しい企画を提案していく予定です」と告知されたことである。
SONYは早くもこの段階で、TM25周年が2009年ではなく2008年から始まると明言したが、これは前章で見た2008年前半のTMメンバーの発言と軌を一にしている。
仮にSONY側の単独の企画ならば、あえて2008年からを25周年とする可能性は低く、TMサイドから25周年の活動予定が伝えられていたと見るべきだろう。
この後SONYがリリースした商品を見るに、「Spin Off from TM 2007」開催中の2007/3/21に紙ジャケアルバム、「SPEEDWAY and TK Hits!!」終演直後の2008/5/28に「TM NETWORK The Singles 1」がリリースされ、「TM NETWORK The Singles 2」は当初2008年10月リリースの予定だったが、globeによる「Get Wild」カバーが11/26に決まると、それと同日のリリースとなった。
こうした現象が起こるのは、TM・SONY間の情報共有が前提にあったためと見るべきである。
特設サイト作成の時間を考えれば、TMサイドからSONYへの情報伝達は、2006年11月頃には遡るだろう。
つまり2006年11月頃には、2008年からTM25周年企画を始めるプランが存在したことになる。
2007年11月の「楽器フェア」でのTM復活を前提に企画されたと思しき「Spin Off from TM 2007」は、2006年11月に開催告知が行なわれたが、その頃にはTM25周年企画の大枠は、だいたい決まっていたのだろう。
なおウツ・木根が「楽器フェア」出演告知以前(2007年前半)から、TM25周年を意識した発言をしていたことは、以前触れたことがある。
これは一見すると早すぎるようにも感じられるが、上記SONYの対応を見ても、やはり25周年企画はかなり早い段階から構想されていたと見るべきである。
小室の不安定な状況もあり、25周年企画はかなり入念かつ慎重に進められていたのである。
25周年に向けて企画されたSONYの便乗商品群を見てみよう。
まず開設当初に発表されたのは、「DRESS」までのオリジナルアルバム・リミックスアルバム8枚の紙ジャケットリマスター盤のリリースだった。
紙ジャケ・リマスター盤という形態は、2004年の紙ジャケアルバムBOX「World Heritage」と同じである(ただしリマスリングは新たに施された)。
これらは2007/3/21にリリースされた。
紙ジャケ盤アルバムのコンセプトは、LPレコードの復刻だった。
そのため「DRESS」以前にCDのみでリリースされたベスト盤「Gift for Fanks」のリリースはなかった。
ただし「Gift for Fanks」については、「TM NETWORK -REMASTER-」開催中の2007/11/21に、DVDとの同梱盤CDがリリースされている。
DVDには「Get Wild」「Self Control」のPVが収録された。
TMN期の「Rhythm Red」「EXPO」も、リリース当時LPのリリースがなかったため、紙ジャケ盤企画に入らなかった。
ただこの企画は、所詮「World Heritage」収録ディスクのバラ売りに過ぎない。
そこでオリジナルアルバムの「Rhythm Red」「EXPO」を外したのは、問題だったと思う。
(「DRESS」「Gift for Fanks」等よりもはるかに重要な作品である)
2014年にSONYがTM楽曲のハイレゾ音源配信を行なった時も、この2枚はなぜか外された。
TMN期だけ売れないということはないと思うのだが…
2007年紙ジャケ盤では、「World Heritage」では復刻されなかったLP盤のインナーと帯・ステッカーが封入され、またCDのレーベル面にはオリジナルLPのデザインが印刷された。
さらに8枚全部を購入すると、「FANKS!」ロゴ入りの特製Tシャツがもらえた。
だがこれら特典はどれもこれも枝葉末節に過ぎない。
わずかに注目されるのは、CDとLPで曲順が違った「CAROL」が、LPに準じた曲順で発売されたことくらいである。
いかにも25周年特設サイトを始めるに当たり、間に合わせで作った企画というべき内容である。
その後企画されたのが、2008年の「TM NETWORK The Singles 1・2」である。
EPIC/SONY時代のシングル曲を2枚に分けてリリースしたものである。
本来は5/28に「The Singles 1」がリリースされた後、11/26には「The Singles 2」がリリースされる予定だったが、後者は11/4の小室逮捕によって即日中止となった。
だが2009年に裁判が終わり、5月に小室の執行猶予付き有罪判決が確定すると、後者も9/30に発売された。
ジャケットは1・2とも同様のデザインで、手袋がそれぞれ1本、2本の指を立てている。
色違いで、「1」は黄色地に赤手袋、「2」は黒地に青手袋だった。
背景には「ONE」「TWO」と書かれている。
ライナーには各楽曲に関するメンバーの簡単なコメントも付いていた。

ライナー裏表紙の謎のキモキャラ。
ファンの間ですら話題にならなかった。
収録曲は、「The Singles 1」は「金曜日のライオン」から「Seven Days War」まで、「The Singles 2」は「Come On Everybody」から「Nights of the Knife」となっている。
同様の企画としては、すでに1996年の「Time Capsule」がある。
したがって、2008年になってシングルを改めてまとめる意味はほとんどなかった。
シングル音源が全曲リマスタリングされたのは初めてなので、こだわりのあるファンにはそこに価値を見出す者もいるだろうが、大したアピールポイントでもない。
「The Singles 1」については、「Beyond The Time」がカットアウトするCDバージョンではなく、途中でフェードアウトするシングルレコードのバージョンが収録された。
また1999年の鈴木あみのカヴァーでヒットした「Be Together」も収録されているが、「The Singles」というタイトルからすると、違和感もぬぐえない。
(一応1999年版の12インチシングル「Get Wild」のカップリングではあったが)
「Rhythm Red Beat Black version 2.0」は、「Time Capsule」には短縮バージョンで収録されたが、「The Singles 2」ではオリジナル音源で聞くことができるので、その点は数少ない注目点である(後述の「Original Singles」では収録すらされていない)。
ただし「Rhythm Red Beat Black version 2.0」のリマスター音源自体は、「World Heritage」収録の「TMN Red」で聴くことができるので、これを持っている者にはさほど価値があるものではない。
以上のシングル音源については、相当の音源マニアを除き、改めて購入する価値はないと断言できる。
2012年にTrue Kiss Disc時代(1999年)の作品やカップリング音源を含む「TM NETWORK Original Singles」がリリースされた今となってはなおさらである。
ところが「The Singles」は通常盤と別に、ボーナスディスクを付した2枚組の限定版があった。
通常盤は税抜き2400円、限定版は税抜き3000円である。
この内で後者の限定版には、初商品化の初期ライブ音源や未商品化テイクが収録されている。
もしも購入する意味があるとすれば後者である。
特に注目されるのは「The Singles 1」である。
ただし収録曲中、シングルのカップリングである「1974 (Children’s Live Mix)」「Your Song (Special Instrumental Disco Mix)」「Self Control(Version The “Budohkan”)」は「Welcome to the Fanks!」、「Come on Let’s Dance (The Saint Mix)」は「TMN Red」にすでに収録されており、ほとんど価値はない。
だが本ディスクには、その他に1984/12/5Parco Part Ⅲの「Electric Prophet」から3テイク、1985/10/30日本青年館の「Dragon The Festival Tour」から3テイクのライブ音源が収録された。
その多くは当時の初公開音源であり、貴重なものだった。
まず「Electric Prophet」の「永遠のパスポート」は、スタジオ音源制作以前のアレンジであり、歌詞も「Childhood’s End」収録のものとはまったく異なる貴重なテイクである。
これは2021年現在で、このCDでしか聞くことのできない貴重な音源である。
同ライブからは他に「金曜日のライオン」「Electric Prophet」も収録されたが、この2曲はライブ映像が「Vision Festival」に収録されているんどえ、マスタリングの違いを確認する以外に価値はない。
なぜわざわざこれを収録したのか、当時の担当者に問い詰めたい思いである。
私が担当ならば、絶対に「17 to 19」「Time Machine」を選んだところである。
「Dragon The Festival Tour」からは、「Dragon The Festival」「カリビアーナ・ハイ」「Rainbow Rainbow」が選ばれた。
これはライブ冒頭の3曲でもあり、当時の勢いを感じることができる。
ただ「カリビアーナ・ハイ」のトラックに「Rainbow Rainbow」のイントロが入っているのは、製作者に猛省を促したいところである。
「Dragon The Festival Tour」の完全版映像が2019年の「TM NETWORK THE VIDEOS」で得られた今となっては、これらの音源はすでに価値がない。
だが「The Singles 1」リリース当時、本ツアーの映像はごく断片的にしか商品化されておらず、音源も「Groove Gear」収録の「パノラマジック」1曲しか存在しなかったので、本ツアーからは何が出ても貴重な状態だった。
当時の私は、契約の問題でSONY時代の未商品化音源・映像の発表が不可能である可能性すら疑っていたので、上記のライブ音源を聴けたこと以上に、今後新たなライブ音源が出る可能性があるという事実に歓喜したものである。
当時の私はこの流れで、「The Singles 2」にもアルバム未収録カップリング曲と未発表ライブ音源が来るものと疑っていなかった。
その場合は1986年の「Fanks Dyna-Mix」が来る可能性を考え、楽しみにしていた。
しかし実際にはその期待は実現しなかった。
特典ディスクの収録内容を見るに、「Time (Passes So Slowly)」「Fool On The Planet (Where Are You Now)」「We love the EARTH」「Dreams of Christmas(’91 NY Mix)」「一途な恋(Another Material)」の5テイクはすべて「Welcome to the Fanks!」に収録済みのものであり、他の3テイクが新規音源となる。
一つは「Dive Into Your Body (Dub Instrumental Mix)」で、シングル「Dive Into Your Body」購入者向けプレゼント用12inchレコードのB面に収録されていたものである。
この12inchのA面に収録されていた「Dive Into Your Body (12’’ Club Mix)」は「Welcome to the Fanks!」でCD化されていたが、「Dub Instrumental Mix」はこれが唯一のCD音源となる。
既発表音源ではあったが、意味のあるものだろう。
「Crazy For You (Instrumental)」は、ウツと女性のセリフを除いたバックトラックである(伊集院光の笑い声や男性・女性のボーカルは残っている)。
これはまったくの新出音源であり、欲しかったファンも多かったと思う。
ただ上記のいずれも、3000円2枚組アルバムの特典としてそこまで魅力的かと言われると、いかにもファンを舐めたレコード会社の撒いたエサという印象がぬぐえない。
最後は「Just One Victory (Long No Breakdown)」である。
この謎のミックス名は、2番の後に入る「Chase in Labyrinth」のフレーズにボーカルが入っていないことと、アルバムバージョンに準じてカットアウトで終わっていることによる(シングルは途中でフェードアウト)。
要するに「フェイドアウトしないので長くて、他曲による中断がない」ということだが、なんとも投げやりな命名である。
「Chase in Labyrinth」のボーカルが入っていないのは、ミックス過程で作られた試作音源の一つだからであろうが、商品化音源で除かれた音が入っているのならばともかく、商品化音源に入っている音が除かれている音源に何の意味があるのかまったく分からない。
それならば「Chase in Labyrinth」のインストを入れた方が、よほどましだっただろう。
「Just One Victory」がシングルのミックスでカットアウトで終わっている音源も、「Classsix 2」の「Just One Victory (Single 7’ Version)」としてすでにリリースされている。
こんなものを入れるくらいならば、「EXPO」用に作られていた「Wild Heaven」の音源などを収録できなかったのだろうか。
上記2商品は、それぞれ30位・9932枚、39位・4233枚の成績を出した。
TMが稼働していてそれなりに盛り上がっていた時期と、小室逮捕後でTMの先が見えていなかった時期の差が、如実に表れた数字だが、特典音源の魅力の差もいくらか反映されているのかもしれない。
なおTM再始動直後の2012年にリリースされた「Original Singles」は26位・7158枚だったから、「The Singles 1」はそれよりも売れたことになる。
だが2004年の「Welcome to the Fanks!」の18位・2.9万枚と比べると、雲泥の差である。
ちなみにファン向けではなくライトユーザー向けの商品だったためか、25周年企画サイトでも取り上げられなかったが、2008/7/2には「TM NETWORK BEST OF BEST」、2008/7/20には「TM NETWORK SUPER BEST」が、SONYからリリースされた。
ジャケットはTMN「終了」の時の3人の写真である。
内容は「金曜日のライオン」から「Wild Heaven」までのシングル曲からTMの代表的な曲を選んだもので、前者は12曲入りで1600円(税抜き)、後者はこれに4曲を加えて1905円(税抜き)である。
特筆すべきことは何もない。
TM中心の企画ではないが、「POP meet JAZZ」にも触れておく。
これはFence of Defenseの西村麻聡が中心になって制作したオムニバスアルバムで、日本のポップス楽曲をJAZZ風にアレンジしたものを集めたものである。
西村は2006/2/5から同名のライブイベントを定期的に開催しており、その実績を踏まえて2007/11/24にリリースされた。
木根はライブイベント初回のゲストだったが、ウツも出演したことがあるのか否かは未確認である。
本作には2曲のTM楽曲が含まれ、「Self Control」ではウツが、「Time Passed Me By」では木根がボーカルを担当した。
西村自身もFenceの「時の河」でボーカルを務めた他、田村直美・織田哲郎・ROLLYなど様々なミュージシャンが参加している。
一つのグループから複数が参加したのはTMのみである。
最後にTM名義の作品ではないが、この頃に集中的にリリースされたトリビュートアルバムについて触れよう。
「The Singles 1」リリースの翌週、2008/6/4に、AsianDynasty Recordというクラブ系の音楽を扱うレーベルから、「I LOVE TM NETWORK」というトリビュートアルバムがリリースされた。
これを制作したKei KoharaとLifeはDJで、RECOという女性ボーカルを迎えてTM曲をハウスアレンジした。
ウツと木根は2003~07年にtribute LIVEという形で自らTMをトリビュートという微妙な企画を行なってきたが、TMが25周年に向けて動き出したこの頃になって、ようやく真の意味でのトリビュート企画が行なわれたことになる。
7/30にはウェブ上で、「YOU LOVE TM NETWORK」という企画が立ち上げられた。
ヤマハの音楽配信サイトMySoundにTM楽曲のリミックス音源をアップロードすると、審査員が審査を行ない、優秀作品に賞を与えるというものである。
2017年の「Get Wild Song Mafia」リリースと連動して企画された「あなたの「Get Wild」リミックスコンテスト」と同様の企画である。
締切は8/27、審査結果発表は9/17とされ、最終的には341件の応募があった。
当時は盛り上がっていなかった印象だったが、「あなたの「Get Wild」リミックスコンテスト」も応募件数は621件だから、その半分以上に及んでいることになり、参加者はそれなりにいたと見られる。
審査員はKei Kohara、Life、Toshihiro Komine(AsianDynasty主催者)などである。
さらに「TM NETWORKコンサート事務局」も審査に加わったが、これはM-tresの関係者だろう。
Kei Kohara側が主導した企画と思われるが、この段階ではTM側も協力に応じていたようである。
25周年を盛り上げる一企画になれば良いとの思いからだろう。
なおKei Koharaは、自らのサイトにTM NETWORKトリビュート特設ページも開設している。
TM25周年記念日の翌日2009/4/22には、「WE LOVE TM NETWORK」がリリースされた。
小室の逮捕にもかかわらず企画を遂行できたのは、大手レーベルではなかったことの強みでもあっただろう。
アレンジャーにはKei Koharaの他にportableという人物も参加した。
portableは、2008年にニコニコ動画上に、TM NETWORKの楽曲と吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」をマッシュアップさせた動画を公開した人物である。
2008/4/28から6/21にかけて「俺らゲットワイルだ’89」「IKUZO THE FESTIVAL」「19zo74」「Just One Vecotory」「Telephone Lineもねぇ」「テレビもNightsラジオもKnife」などが公開されている。
この少し前、ニコニコ動画でPerfume「ポリリズム」と「俺ら東京さ行ぐだ」をマッシュアップした「ポリ幾三」の動画が流行り、同様の試みを行なう者が続出した。
その中でも特に多くの視聴者を集めたのが「Get Wild '89」を用いた「俺らゲットワイルだ’89」で、本家「ポリ幾三」以上の再生回数を記録した。
パロディとはいえ、過去の作品がウェブで改めて注目を集めたことは、いかにも新しい時代の出来事だった。
「WE LOVE TM NETWORK」のライナーには、TMのコメントも寄せられた
その全文は確認していないが、特設ページに掲載される抜粋文には、「まるでサプライズなプレゼントをもらったみたいです。嬉しい。このアルバムは、J-POPにも継承や連鎖が生まれた証言者です。We want to call new yesterday tomorrow.」とある。
変な英文を最後に付ける当たり徹貫の作文だろうが、TMサイドも公式に認めていたものということになるだろう。
2010/4/21にはトリビュート第3段企画として、「TM NETWORK Tribute "CLUB COLOSSEUM"」がリリースされた。
架空のライブ空間というコンセプトで制作された1992年の「TMN Colosseum」を踏まえ、架空のクラブイベント「クラブコロシアム」というコンセプトで制作されたものだった。
本作にもKei Koharaとportableが関与したが、他のアレンジャーも参加している。
他に特殊な世界ではあるが、8-Bitサウンドとボーカロイドによるトリビュートアルバム「8-bit Prophet -TM Network Tribute Generated by Chiptune + Vocaloid-」が、2009/6/3にリリースされた。
確かに8-bitサウンドは、TMとは相性が良いかもしれない。
2011/12/21には、TM楽曲をエレクトロ風にアレンジした「TM NETWORK IN THE HOUSE」という作品も発売されている。
小室の「Mademoiselle Mozart」収録のインスト曲「Mozart in the House」を踏まえたタイトルだろうか。
以上、TM25周年との絡みでリリースされた作品群を取り上げてみた。
おそらく当初の予定通りに25周年企画が遂行されていれば、これよりも多くのリリースがあったのだろう。
未公開ライブ映像の公開もあったのかもしれないと思うと、残念な限りである。
だが30周年の時でもSONYからは「Camp Fanks!! '89」の再編集映像(「CAROL Deluxe Edition」)くらいしか出なかったので、今思うと多分関係なかったのだろうとも思う。

TM NETWORK THE SINGLES 1(初回生産限定盤) - TM NETWORK
この記事へのコメント
Singlesについては焼き直し感は否めなかったのですが特典ディスクも永続仕様にすべきだったのではと未だに思ってます。(今ではサブスクで聴けますが)
1のシングルカップリングのコンパイルは良くまとまってたと思います。カモレのSAINT MIXはWelcome To The Fanks未収録で(遺産箱のRedに収録されたからか)ここに再収録されたのはそれなりに意義があったと思います。ところが2の手抜き具合いは(個人的意見ですが)酷すぎでした。1の纏め方から見ると本来収録されるべきDreams of Chiristmasオリジナル版、Dive Into Your Body(12’Club Mix)、Love Train(Club Mix)が未収録(余裕で収録できる容量があったのに!)、メインディスクに収録されるべきWe Love the Earthがボーナス収録というのは…収録時間の問題だったら1のメインディスクにBe Together入れるぐらいならカモエビ1に繰り上げれば収録もできたろうに…Welcome To The Fanksの商品価値を残そうとした結果中途半端な仕様になったと今でも思っています。
色々あって発売が白紙になって仕切り直しになった際曲目がそのままだったのはマスタリング作業が済んでいたのであれば致し方がないとは思います。ただ、こういうその場凌ぎ的な中途半端な編集を重ねた結果ベスト盤が乱発というイメージが定着してしまったわけでして…レア音源の有無は置いておくとして決定的なシングル集を改めて出して欲しいところです。また出すのかよと言われそうですが…
私なんて両方スルーしましたよ。
私は大したファンじゃないんだなあと感じます。
Singlesの限定音源はサブスクにあるんですね。そっちは未確認でした。
CD、DL音源、サブスクと3パターンあるので、もうちゃんと調べる気が起きませんね…。
Welcome to~の商品価値を残そうとしたといいますが、そもそもこんな近い時期に同じような企画を連発する方が、商売としてどうかしているんだと思います。
ライブ音源の件が無ければ、Singlesなんてほぼ言及する価値もない代物です。
あとTMの紙ジャケシリーズについてはCarolの2枚組も特徴的でしたがDRESSの復刻も意義のあるものでした。89年リリースのタイトルは国内全般でアナログレコードの生産が少なくなり一部のタイトルではとんでもないプレミアもついてました。DRESSについては94年のGROOVE GEARや4001本にも記載されておらず存在が抹消されている時期もありました。この紙ジャケ再発により再び存在が認められたのに感動してこれまたついつい買ってしまったのです…
先週は個々の活動が活発でしたね。
どうしようか悩みましたが、小室さんのお試しで入会してしまいました。ゲストに期待して。期待通り来週木根さんだし、生電話するしで面白かったですよ。昨日の木根さんライブも良かったし。
結局3人を追ってしまい、懐がやばいですけど。
さて、
この記事読んでて、あとこれまでのこういう関連商品の記事読んでていつも思ってたんですけど、メンバーはこういうBEST版的なの全く興味ないですよね。
小室さんでさえ。
各ソロのモノは各々責任があるようですから、それなりに監修しているようですけど。TM関連は「宣伝はするけど…」って体ですよね…。
関心あればもう少し違った形になってるように思えますけどね。
こういう売上げにも関心なさそうですよね。大して懐は潤わないのかな~。
あ、私は基本的にストリミングです。そこで手に入らないDVDやCDを集めてる感じです。(上のコメントうけて)
EPICの先輩、佐野元春さんが90年5月に2枚組ベストアルバム「Moto Singles 1980-1989」をリリースした時、インタビューで興味深い話をされていました。(私だけそう感じるのかもしれませんが。)
”これはベストアルバムと解釈していいんですか?”という問いに佐野さんは「知らない。これはEPICが作ったものだから。僕はタッチしていない。」とぶっちゃけ、驚くインタビュアーに対して佐野さんはさらに「そう、僕は関係してない。まずレコード会社からこういうものを出したいという要望があって…。(後略)」と返していました。そして”自分の関知しないところで作品が出てしまうことに抵抗は無いんですか?”との疑問に対しては「契約だからね。」と割り切った返事をされていました。
自身が所属するレコード会社からの要望にこれだけクールな対応をするのだから、契約を解消したあと古巣の会社が主導して作ったアルバムなら尚更なんじゃないかなー、と思いました。(もちろん佐野さんとTMのメンバー3人が全く同じ感覚だとは言えませんが。)
TMの場合撤退した後ソニーから出たベストアルバム(企画盤もかな?)には基本制作には関与していないと思います。もっと言えばソニーが便乗し勝手に企画して出しているんだと。だからメンバーも特に興味無いんだと推測していますが、如何でしょう?
いやー、私も興味ないんだろうなあと思ってて。
でも、シングルもう集めるの大変なんで、結局このアルバムのお世話になっています。
ところで、
連続コメントで申し訳ないんですが、
誰も触れていないので書くのですが、
以前ここでも紹介されていました、久保こうじさんの配信番組の#SAVETHEARTISTで作った木根さん提供楽曲が6/23に「unshakeable」というCDアルバムでリリースされてますよ。広瀬彩海さんの「風になれたら」という曲です。
nishi-kenさんとのアレンジコラボで、結構良い曲でしたよ。アーカイブ動画の#64の開始から30分くらいのところから完成曲が聴けます。
小室さんに続き、木根さんまでアイドルに提供とは驚きです。
毎回、コメント一番乗りを目指すのですが、今回は非常にコメントが難しい会でした。でも、読んだことをお伝えすることと、生存確認のためにコメントさせて頂きますw
もう、書かれている通りで「Singles 1」で出たライブ音源はとても魅力的でした。たしかに、その後「Dragon the Festival」の映像が出ると、価値はないようにも感じるのですが、私は音源はそれなりに価値があると思っています。ここ10年くらいでしょうか、浜省の作品では映像と同じ音源のCDをパッケージにして発売ケースがあるのですが、私はCD付を買っています。それなりに作業をすれば映像から音源を引き出せるのでしょうけど、理屈抜きで面倒でして、、、CDで出ると、非常に助かります。そうした意味では、ベスト版を乱発するくらいなら、ライブDVDの音を抜き出したCDを発売してくれれば、多少高額でも買いたいと思います。
あとは、もう、細かい音質等はどうでもいいので、出せるものはさっさと出してほしいです。どのみち、密録よりはマシなわけですから、、、
そうした意味では、意味のない発売品には毅然とした態度でスルーして、意味のあるものが出た時には惜しみなく予約を入れて購入するという消費者態度を示していきたいと思います。
紙ジャケでもミュージシャンごとに質の差があるのは、ファンがどれくらいうるさいか、こだわるかが関わるんでしょうかね。
DRESSのLPとか、売り上げは本当に微々たるものだったはずです。
もしかしたらSPEEDWAYとそんなに変わらないかもしれませんね。
>みーこさん、haruさん
SONYのベスト版はharuさんがおっしゃる通り、自分らが関わっていないものだから、内容もよく知らないわけだし、関心は持ちようがないと思います。
しかし先のGift from Fanksの時は、ウツも木根さんも、割と熱心に宣伝していましたよね。
シングル集のリリース自体は後発ファンのためにもやってくれればよいと思うんですが、何度もシングル集を出すのはどうなんだと思います。BLACK,TIME CAPSULE、SINGLES、ORIGINAL SINGLES…。今ならORIGINAL SINGLESを買えばよいのでしょうが、これだけあるとどれを買えば良いのか迷うと思うので、同類企画の乱発は害にしかなっていないという感想です。
あと木根さん情報、ありがとうございます。
木根さん、細かい仕事をちょくちょくやっていますね。
シングル曲とか配信曲とか提供曲を集めれば、アルバム一枚くらいになりそうですね。
>やまびこさん
ドラフェスツアーの音源は、当時ホントに嬉しかったですよ。
ほとんど幻のライブでしたから…
映像と音源両方出すのは、両方ちゃんと出してくれればそれがベストだと思います。
しかしTMの場合はどっちも中途半端ですからねえ。
ライブ音源CD、私も熱望します! FANKS DYNA-MIXとかBANG THE GONGとか出せ!
全部見ようとすれば大変でしょうけど、小室さんもそういうものとしては考えていないのかなと思います。
たしかに小室さんはなかなか大々的な動きがないですが、多分まだ本格的な活動をするほどのひらめきが出る状態じゃなくて、なんとかしたいとあがいているように見えます。今は勘を取り戻すことを期待して見守ろうかなというのが、今の私の心情です。もう戻らないかもしれませんが、もしも戻ったらTMをやってくれるかな。